新年度の授業開始とリスナーからの便り
デジタル時代の国語教育を語ろうにようこそ、パーソナリティーのKasaharaです。 この番組では、Google for Education認定トレーナーと認定コーチの資格を持つ、私、Kasaharaが教育にまつわる様々な話を配信していきます。
新年度が始まって、そろそろ授業も本格的に動き出してくる時期ですね。 授業準備で忙しくされている先生方も多いんじゃないかなと思います。
自分は先週の配信では、担当するクラスが分からないという風にこぼしていたのですが、先週の月曜日になってやっと担当クラスが分かって、木曜日から授業が始まるというような形で慌ただしく過ごしています。
今年は大きなサプライズはなく、基本的に去年教えていた生徒たちを持ち上がりで教えるということになっていたので、授業準備ができないとは言っていたものの、スタートで何をやりたいかに関してはだいたいイメージを持っていました。
そのため何とか無事に授業のスタートを切ることもできたかなって感じですね。
最近は多くの学校で新年度の授業を開始されているのではないでしょうか。自分と同じように授業準備に奔走している先生が多いんじゃないかなと思います。
さて今回はそんな中、授業についてお悩みになっているリスナーの方からいただいたお便りにお答えする回にしようかなと思います。
ありがたいことに似たような話題のお便りをいくつかいただいておりまして、一通は匿名のマシュマロから、もう一通はGoogleフォームからいただきました。
どちらもICTや生成AIの活用に関するお悩み、ご相談なので、2つのお便りを関連させながら、今回は授業開きの時期ということもあるので、ICTなどについてお話ししようと思います。
新しいことを始めるなら、やっぱり年度始めですよね。では早速やっていきましょう。
大学における生成AI活用の是非に関する相談
さてここからが本題です。マシュマロは匿名の投稿フォームとなっているので、どなたでもお気軽にご投稿いただけるものになっています。
今回の配信で取り上げようと思ったのは、マシュマロにいただいたお便りなのですが、その内容が結構難しい内容なので、時間をかけてしっかりとお答えしようと思ったからなんですね。
マシュマロの内容を読み上げますね。詳しくご質問いただいています。
いつも楽しく拝聴しています。笠原先生のご意見を伺いたいことがあってコメントをしました。
最近、大学の授業を通して、生成AIに関するスタンスが教員間で以前に増して離れている感じがしています。
ガイドラインを提示した上で、使用を許可する人がいる一方で、使用を禁止するという人も少なくありません。
大学の方針としては、使ってもいいなのですが、教員個人の判断として使用を制限している形です。
ただ、使用を禁止しているどの授業においても納得のいく説明が受けられていないと思っています。
Using AI is an exactly cheating.
AIを使ったら完全にチートだよっていう訳ですかね。
Using AI is an actually lacking academicintegrity.
AIを使うことは、アカデミックな誠実性を欠いた行動だって訳せばいいですかね。
AIはハマエ、AIを使ったら勉強にならないなど、いろいろ言われています。
AIを使うイコールズルという解釈の人もいるようです。
また、そのような説明において、違反した場合はF評価といった罰則が強調されることも多く、
恐怖支配というか、ルールだからと学生を納得させる機はあまりないのだろうなぁと思ってしまいます。
大学なのだから、嫌なら受けなければいいという話ではありますが、
長く愚痴っぽくなりましたが、授業でAIを先駆けて活用を始めた笠原先生のお考えを伺いたいです。
マシュマロのご投稿でした。
お丁寧にメッセージいただいてありがとうございました。
マシュマロからの投稿は完全に匿名になるので、どなたかわかりませんが、結構大きなお悩みですね。
お便りの内容からすると、おそらく大学の先生か大学生の方ですかね。
文面の雰囲気だと学生の方からかなと思っています。
研究者の方に対するお返事と学生の方に対するお返事だと、ちょっと焦点がずれるので、今回は大学生の方からのお便りと仮定してお話をしますね。
いただいたお便りの内容を一旦整理すると、大学における生成AI活用についてどう考えればよいかというような趣旨のご質問だったと思いますが、
通っている大学の方針としては、使用は許可されている状況であるのに、教員によっては使用を禁止している先生もいて、その理由の説明に納得が行っていないというような、そういうお話でしたね。
違反したら成績をF、つまり負荷単位が取れないということですよね。
そういうような形で罰則で厳しく取り締まるぞと言われて、それに納得が行っていないというような、そういうお話でしたね。
これはですね、今、教育現場にいるといろいろなところで聞くお話ですね。
もうお便りの文面を読みながら、ああもうそれか、あるあるっていう感じなんですよ。
学生の納得は関係なく、ならぬものはならぬものですというようなスタンスも、もうあるある過ぎて笑っちゃいますよね。笑っちゃいけないか。
当事者だけど、学生や生徒の意見は聞かないよって、ずっと繰り返されてきている話ですね。
生成AIに限らず、ICTが出始めた時もそうですし、ワープロが出始めた時にも同じような議論があったっていうようなことはよく聞きますよね。
ただまあ、この話はいくつかのレイヤーに分けて整理していかないと、感情論や水かけ論になってしまうので、ちょっと整理しながら話をしていこうと思いますね。
まず大前提として、自分はこうやって生成AIの活用については早い時期から取り組んできましたし、
こうやって継続的にポッドキャストやSNSのみならず、学会での実践発表や課題研究発表などで現場の状況や実践を紹介してきて、
むしろ生成AIの活用については積極的に考えていく方がむしろより良い結果になるのではないかと思って活動をしています。
だから今日の話もそういう立場からのポジショントークではありますね。
この授業での生成AIの使用を禁止するかどうかの議論については、生成AIが出てきて3年くらいになりますが、だいぶ論点としては整理されてきているかなというふうに思いますね。
例えば直近の資料としては、様々な観点から論じられているものとしては、
2026年2月に出されたOECDのデジタルエディケーションアウトルークにかなり生成AI活用についての知見がエビデンス付きでまとめられているので、これは読んだほうがいいですね。
基本的に授業での生成AI活用の是非について議論しようと思ったら、こういう資料に基づいて論点を指差ししながら確認しながら話したほうがいいなとは個人的には思っています。
実際できるかどうかちょっとハードルがあるんですけどね。
今回の相談に関する話として、OECDのデジタルエディケーションアウトルークで抑えるべき要点は、
一つが何かというと、生成AI活用については、学習過程を省略する認知的オフロードによる学習効果の低下のリスクは確かにあるので、
安易に何でもかんでもOKにはできないというのは事実なんです。
使用する場合には、事業者の教育的な意図の下に活用される必要があるというのはかなり強調されています。
高等教育の場面においては、文献を自ら探して整理していくことだとか、文章をレポートや論文の形式に手続き守ってまとめていく、書いていくというようなことだとか、
いわゆるアカデミックスキルの習得が目的にもなるわけなので、そういう能力を身につけるときに、生成AIのできることとアカデミックスキルってかなり重なる部分であるんですよ。
だからさて、どうしたものかなというふうになっちゃうわけなんですよね。
事業者の立場と学生の立場で見えているものがだいぶ変わると思いますが、
事業者、教育する側の立場から見えることとしては、大学で学生に保障するべきスキルとしてアカデミックスキルは非常に大切であることや、
アカデミックスキルの一つ一つの諸差みたいなところと、思考力判断力がつながっているだろうというような感覚はあるので、
少なくとも基本的なスキルを学ぶ科目ですね。そういう大学の科目では禁止せざるを得ない部分はあるんだろうなという事情はわかります。
ただまぁ、ズルや手抜きをしているわけではないのに、AIを使うことは全くもってズルやというような言い方だとか、
AIを使うことは完全に学問的な誠実さを欠いたというふうに一方的に感じられるのも現実的ではないかななんてことは思いますね。
OECD のアウトロックの中でも、技術の拒絶ではなく、教育的な意図と方法論的厳密さだってそういうことが大事だって言われているので、
使わなければOKだという話にはならないよなというふうに思います。
まぁそういうのが自分の基本的なスタンスですね。
結局、禁止して使うな、ズルだからお前は使うやつが良くないんだみたいな言い方をするのは問題の先送りでしたないかなというふうに思っています。
大学レベルの学びについても少しずつアップデートされていく可能性は十分にあるわけなんですよ。
実際に鶴文化大学の野中淳先生のゼミでは、生成AIを積極的に活用されている論文指導がされていたりするんですね。
その記事は概要欄にリンクを貼っておきます。
野中先生の発信から見えてくる学生たちの様子を見ると、決して手抜きやズルという様子ではないと自分は感じています。
だから使わないことが学問的な誠実さだって断言してしまうのは何となく違和感がありますね。
実際に今アカデミックの世界では、生成AIを使った粗悪な論文が量産されていて、そのチェックにものすごい動力を取られているという話も聞こえてきますから、
生成AIについて厳しく禁止した方が良いという議論もわからないでもないです。
でもおそらく完全に禁止はできないでしょうから、個人的には生成AIを体系的にスキルとして教えて、不正な利用についての判断を行わせるような指導があった方が良いだろうと、
デジタルスムーズンシップの教育の観点からは思いますね。
授業でダメだと言われたものが、まあひっくり返ることは今後もないかなというふうに思いますね。
でもそれぞれの先生に対して、生成AIが大学での学問をするときに、どういう点がダメだと感じているのですか、みたいな質問をしてみるのは良いかもしれないですね。
それは上げ足取りだとか喧嘩をしろという意味ではなくて、それぞれの先生方の研究分野ならではのものの考え方や思考の仕方がありますし、論文をまとめていくときの作法などもあるんです。
そういうものとAIの関係についてどう考えているのかが見えてくるかもしれなくて、そういう文脈を理解して、
自分自身のAIに対する物の見方や考え方や判断基準というのを鍛えていくことが、
AIを使う使わないというような短期的な議論よりも、よほど大学の学びとして結構価値のあることなんじゃないかなというふうに思うんですよね。
実際にその場で研究している大学の先生が、AIについてどう感じているかなんて意見は、大学にいないと聞けないわけなんですよ。
そのチャンスを十分に生かしてみるということは、これは良いことなんじゃないかなって思うんですね。
まあ、そういう議論に先生が付き合ってくれるかというとまた別問題なんですが、
いんぎんぶれいな態度を取らないで、丁寧にしっかりこういうことを考えているんですっていうお話をするんだったら、
歓迎してもらえるんじゃないかななんてことは思ったりもしますね。
こんなところでいかがですかね。また追加の質問があれば、ぜひコメントをいただければというふうに思います。
新任講師からのICT活用に関する相談
さて、二つ目のお便りなんですが、こちらはGoogleフォームにいただいたご質問です。
Googleフォームにはポッドキャストネームを記載する欄がなかったため、本名でのご投稿になっているのですが、
まあちょっといきなり読み上げてしまうのもあれなので、匿名として扱わさせていただきます。
また、授業内容などについても教えてくださっているのですが、何か影響あると良くないので、省略してお便り紹介しますね。
では読みます。
新任中学国語講師として今月デビューしました。授業でのICT活用についてアドバイスをいただきたい。
毎日楽しく拝聴しています。
ノートブックLMとジェミニを連携させて指導案やそれに基づいたスライドを作り、
できるだけ対話と意思表示を重視した授業作りをしたいと思っています。
この後授業内容について書いてあるので省略しますね。
IT素人の私にGoogle 系のウェブアプリなども使ったおすすめのICT授業をご教授ください。
ということでした。お便りありがとうございます。
実はこの方なんですが、自分よりも年上の方で新しく先生になられたみたいなんですね。
この教育受難の時代に非常に志が高くありがたいなというふうに現場の教員として思いますよ。
自分がその立場だったら絶対に教員になろうという決断はできないので、もう本当にすごいなって思いますね。
ご質問に対する答えなんですけれども、IT素人とご自身ではおっしゃられていますけれども、
ノートブックALMとGeminiを利用しようとしているならば、もうそれ全然素人じゃないじゃないですか。
そして対話と意思表示を重視した授業作りをしたいということで、それならばICTを活用する必然性って本当にありますよね。
実際にご紹介いただいている授業の実践のアイデアのところに関しては、
ちょっとこの放送では読み上げることははばかられて、読み上げていないんですけれども、
ICTを活用して他者を参照したりだとか、自分の意見を深めたりというような工夫をされたいんだなというのがよくわかります。
そういう文脈を踏まえてご質問に答えていこうと思うのですが、
ウェブアプリのご紹介みたいなことではあったんですが、ウェブアプリではないのですが、
こういう問題意識をお持ちなのであれば、ぜひ自分も一生懸命今取り組んでいるデジタルシティズンシップ教育に関心を持っていただけると嬉しいなと思いますし、
おそらく問題意識ともやりたい授業とも合致してくるんじゃないかと思います。
ご自身ですでにGeminiやNotebook LMをご活用なさっているようですし、
例えばデジタルシティズンシップ教育に関してディープリサーチをしていただき、
集まった資料をNotebook LMで分析してもらいつつ、
Notebook LMで授業のアイデアを壁打ちするみたいな使い方をしていただけると、
デジタルシティズンシップと国語の授業がうまくまとまって出力されてくるんじゃないかなというふうに思いますね。
もし体系的にまとまった書籍から始めたいということであれば、日本標準から発売されている、
自分も寄稿しているので宣伝になってしまうんですが、
始めようデジタルシティズンシップの授業という本の1と2をお勧めします。
概要欄にリンクを貼っておくので、ぜひご覧いただければなというふうに思いますね。
こちらは基本的に授業案というのが、対話を通じて授業を行っていくというようなことが、
執筆するときにも依頼されていることであるので、
ご質問いただいたその対話を重視した授業というようなところにもつながりやすい授業案だと思いますし、
またワークシートもおまけでついてくるのですが、
Googleスライドやドキュメントなどオンラインに対応しているものもあるので、
ICTを活用した授業ということとしても準備しやすいかなというふうに思いますので、
ぜひお手に取っていただけるとうれしいなというふうに思いますね。
ICTをやっていく上で、デジタルシティズンシップは避けて通れない部分もあるかなと自分は思っていますので、
ご興味を持っていただけるとうれしいです。
お便り回を終えてと今後の展望
ということで、2つのお便りに答えてきましたが、何か参考になったことはあるでしょうか。
教育の難しいところは、その人が置かれている学校の文脈や人間関係や生徒の実態などが複雑に絡んでいるので、
こうすることが正解ですとは断言できないところにあるんですよね。
有識者ぶって断言してしまうことの方が自分としても簡単ですし、
たぶんポッドキャストとしても聞きやすいと思いますし、コンテンツとしても面白いはずなんですよ。
でもそういう話し方をしてしまったら、現場にかける迷惑は非常に大きいなというふうに思うので、
自分はこうやって歯に物の挟まったような言い方を続けるんだろうなぁなんてことを思っています。
ということで、こんな感じでいただいたお便りには、ボイスやポッドキャストで答えていこうと思うので、
ぜひお気軽にコメントだとかいただけるとうれしいです。
そこまで大量にお便りが来ているわけではないので、
いただいたお便りやコメントには全部目を通していますし、できるだけこまめにお返事するようにしています。
ポッドキャストをしていて、一番の悩みってリアクションが他のSNSに比べてそんなに大きくないので、
本当にこれ誰が聞いてんだみたいな疑心暗鬼になることなんです。
だからこそ気軽に本当にコメントやお便りいただけるととっても嬉しいです。
いつでもコメントだとかお待ちしています。
今回の配信はいかがだったでしょうか。
今回はマシュマロとGoogleフォームからいただいた2つのお便りにお答えしました。
大学での生成AI活用のスタンスの話と、新任の先生のICT活用の話。
立場は違いますけど、どちらも新しい技術と教育の現場をどう擦り合わせていくかという根っこは同じだなというふうに感じましたね。
答えていて改めて思ったのは、こういうお便りをいただけるとやっぱり自分の考えを言語化する良い機会になるということです。
普段ぼんやりと考えているということも、誰かの具体的な質問に向き合うとはっきり形になるところがあって、
だからこそ今後もこういうお便り会はやっていきたいですね。
でもそのためにはドシドシとリスナーからお便りいただかないとできないんですよ。
だからこれを聞いているリスナーのあなた、どうか助けると思ってもっとたくさんお便りをいただけると嬉しいです。
本当切実なお願いなんですね。
さてここで一つお知らせです。
番組への感想を送っていただけるGoogleフォームをこの度ちょっと作り変えました。
これまではメールアドレスや本名を入力する欄があったのですが、感想についてはそういった個人情報を入れなくても送れるようにしています。
今回の話参考になったとか、こういうテーマを取り上げてほしいみたいな一言でも構いませんので気軽に送ってもらえたら嬉しいです。
概要欄にリンクを貼っておきますね。
お仕事のご相談などは引き続き連絡先の送信が必要ですが、感想は匿名でOKです。
どうかコメントをください。コメントに植えています。
本日のポッドキャストの裏話は私のボイシーで朝6時半に配信しています。
ボイシーでは毎日の教育実践の話やちょっとした雑談もしていますので、ぜひそちらもお聞きください。
ここまで聞いてくださりありがとうございました。
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