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こんにちは、常蔵です。
Design Review.fm第28回目、始めていきます。
このDesign Review.fmは、世の中の様々なもの、
主に工業製品やそれに関わる出来事について、
私の主観で、勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
前回は、科学系ポッドキャストの日の2月のテーマ、
日本で初めて空を飛んだと言われている、
ウキタ・コウキチを紹介しました。
他の科学系ポッドキャスターの方々の、
愛すべき偏人についてのエピソードも公開されていますので、
ぜひ聴いてみてください。
今回は、技術コンサルティングハンドブックを読むの3回目です。
基礎編の2章、コンサルティングの手順まで前回は読みましたので、
今回は3章の技術開発コンサルティングからですね。
では本編をどうぞ。
はい、本編です。
では早速、第3章の技術開発コンサルティングから読んでいきましょう。
技術開発コンサルティングの実際
3-1、はじめに、3-1-1、技術開発コンサルティングの実際ということで、
本章は、技術コンサルティングの中でも開発に重点を置いて解説しています。
最初から開発目的という場合もあれば、
課題解決を模索する結果、開発コンサルティングになるということも多いということですね。
ご客から依頼される内容として、5つあります。
①現在の商品・工程に問題を抱えており、良い解決方法を探したい。
②自社に不足するシステム技術・周辺技術・知的財産などに支援を求めたい。
③開発設計に問題を抱えており、改善したい。
④現在の商品・製品の寿命が見えてきて、次の展開への支援を求めたい。
⑤工程全般にわたり、他社業界のレベルを知り、自社のレベルを向上させたい。
コンサルタントに求められる資質・能力は、
①と②は具体的な実務的問題に関する調査力、解析力、提案力。
③と④は技術力強化、商品戦略などの広い視野からの戦略提案。
残りは事業戦略や商品戦略から商品企画、開発設計・製造を通した全般的な知識・経験・判断力、そしてプレゼンテーション力など。
そういう多岐にわたる要望に応えるには、コンサルタントをする者として、
製品・商品の企画から設計・生産・営業・アフターサービスなど、すべてのフローを知っている必要があるということです。
なので、このフローをいくつかの段階に分けて、重要なポイントを以下で説明して、
その各段階でコンサルティングに有用な引き出しを提供してくれるということです。
③の①の②、用語の定義と本省の構成、ここはちょっと割愛します。
技術開発コンサルティングの対象業界・業種
③の①の③、技術開発に関してコンサルタントが対象とする業界・業種ということで、
実際対象とする分野は非常に広いのですけれども、この本では製造業に絞って説明するということです。
製造業に絞っても対象は広くて、次のような業態例が挙げられます。
1つ目として、コンシュマー向け製品を自社ブランドで製造・市販する企業。
2つ目として、コンシュマー向け商品をブランドメーカーに供給するOEM・ODMの企業。
3つ目として、製造業向けに生産設備・検査設備・生産システム等を提供する企業。
4つ目として、部品・部材及び加工・組立などを123の企業に提供する企業。
5つ目として、ソフトウェアを開発・提供する企業があります。
この章では、さらに絞って製造業として最も代表的な1のコンシュマー向け商品、B2Cの商品を自社ブランドで製造・市販する企業。
3の2、商品戦略・事業戦略の要。
3の2の1が、その事業戦略における商品戦略の位置づけ。
その位置づけというのが商品開発フローの一番最初に来るところで、
まず企業には経営目的としての理念やビジョンがありますね。
そのところから商品を作り出す源となる強みコアというものと、商品開発のパターンというのが次に説明するところですね。
3の2の2、強みコアということで、商品を作り出す源となるその強みコアというものが会社として持っています。
商品を世に送り出すには、競合に優位に対抗できるその強みというものがあるはずと、これをこの章では強みコアと呼んでいます。
次に商品開発のパターン。3の2の3の商品開発のパターンですね。
新商品の生まれるパターンを分析分類すると、大きくAとBに分けられます。
Aが技術商品力から見た商品開発パターン。
Bが開発推進力から見た商品開発パターン。
さらにAは基本4パターンと細分化した16パターン。
Bは5パターンに分類できるそうです。
全て紹介すると大変なので、基本的な分類だけ紹介します。
一つ目が技術商品力から見た商品開発パターンですね。
これがまず大きな基本4パターンがあります。
この4パターンが一つ目、技術戦略型。
これは商品の持つ技術、商品力構成の視点から考えたときに、
この技術戦略型というのは技術をベースにするもので、商品開発の本筋と言えるものということですね。
二つ目がデザインブランド戦略型。
これは技術のほかに強力な商品力を与える強みコアとして、
デザインブランドなどというものを戦略として訴えるものですね。
三つ目がモデル展開戦略型。
これは過去にヒットした商品があったとしても、
それが長期的に渡り継続するとは限らないので、
モデルチェンジをしていくと。
そのベースとなるヒット商品を元にモデルチェンジをしたり、
姉妹モデルを作ったりしていくと。そういう戦略ですね。
四つ目がシステム戦略型。
これは複数の商品を組み合わせて新たな機能、性能を作り出すシステム商品がこれに当たるということです。
次が大きく分けた二つ目のBの方の開発推進力から見た商品開発パターン。
これは大きく5つあります。
1個目がマーケット創造型。
これは技術シリーズ型に多くて、
今世の中に存在しない新しい技術商品というものを目指して作られる開発パターンですね。
2つ目がマーケット調査型。
これはマーケットリサーチだったり、顧客の要望をベースに商品開発を行うもの。
3つ目が他社対応型。
これは他社が自分の会社の商品を凌駕するような商品を出すときに、それに対抗するための商品を作るということですね。
4つ目がカスタマー要求型。
これはすでに市場に出ている商品に対するカスタマーからの要求に応えるような形で開発をするというパターン。
最後に5つ目がトップダウン型。
これは経営トップの指示で商品開発をするパターンですね。
成功失敗の落差が大きい傾向にあるということです。
次に3-2-4商品開発のステップ。
これ一番上に商品化のベースである企業の理念、ビジョン、事業戦略があって、
そこから商品開発、そして中長期の商品化の計画までが一番最初に来るということですね。
そして中長期商品化の計画があって、商品力強化戦略、そして年度商品化計画、商品企画から製品設計まで、
そして量産施策から生産、販売、アフターサービス、最後にPLMレビューというような商品開発のステップを踏んでいきます。
商品企画と製品設計のプロセス
3-3商品企画というところで、
ここは年度商品化計画に基づいて設計機関を見込んで各商品の商品企画を行う。
年度商品化計画では商品イメージと仕様概要程度しか設定されていない原案を、
その商品の設計に取り掛かるレベルまで具体的な詳細を詰めて商品企画書としてまとめるのが商品企画というプロセスの段階です。
商品企画の立案に向けての発動として、まず商品コンセプトの明確化と商品イメージの具体化。
ここではブレンストーミングだったり経営情報、アイデアを生み出す様々なツールを利用して商品像を具体化していきます。
これに対する顧客の評価だったり、あわせてニーズの取り込みも重要な項目で、
そこにはお客様のヒアリングだったりインタビュー、インターネットの調査みたいなものが必要となってきます。
その次に市場の再調査ということで、年度の商品化計画の時にも市場調査を行っているんですけれども、
実際に商品の企画を行う段階でも再度、もう少し突っ込んだ内容を市場の再調査で調べていきます。
市場価格の動向だったり他社の動向だったり、あとは専門の調査機関から情報を得るということをしているということですね。
そして商品の企画をまとめて商品企画書というものを作成します。
そこにはいろんな項目が書いているんですけれども、基本的に我々開発担当、設計担当は商品企画書というものを受けて実際の設計に入っていくわけです。
ということで次、3-4、製品設計というプロセスですね。
製品設計プロセスの典型的ステップというのがまず3-4にあるということで、
その商品の企画が承認された後にですね、設計体制の構築ということでプロジェクトだったりチームを作りますと。
そこでその後、最終的な製品のデザインが決まって、機能の設計をして、機構、外装を設計をしますと。
その後プロトタイプを作って評価をして、商品化が決まれば最終的なプロトタイプをまた作って、
それを確認して量産の施策をし、実際量産をして出荷されますと。
その要所要所ではデザインレビュー、機能の設計から最終的なプロトタイプができるまでデザインレビューを実施していくということですね。
実際その3-4-1設計指針の提示と関連部門連携体系の構築ということで、
コンカレント開発というものを進めるにあたって、実際の実務をするリーダーの任命だったり設計体制を構築し、
あとは各関連部門の担当者を決めて連携していくと。
そこで設計体制の骨格を作り、設計指針を作成しますということですね。
その設計指針で決める項目として、使用関係だったり、技術関係、知的財産権特許関係だったり、法規制関係だったり、
あとは実際の生産体制の内容だったり、そういうものを決めていきましょうと。
そしてプロジェクトマネジメント省の活用ということで、新商品、新製品の開発というのは、
それ自体プロジェクトの性格を持っているので、プロジェクトマネジメントの考え方が非常に有効に機能するということです。
PMBOKガイドというものがあって、そこに5つのプロセス群と9つの知識エリアのマトリクスで
マネジメントすべき44の項目が示されているそうです。
このPMBOKという本もちょっと私持っているのですけど、まだ読んでないんですよね。
ちょっと後で読んでみようかなと思います。
いろいろ書いているんですけれども、最終的なデザインが決まって、
デザインというのは最近のコンシュマー向け、一般の消費者向け製品では最も商品力に影響する重要項目の一つであると。
見た目が良くないと売れないというのは確かにそうだと思いますね。
次のプロセスとして、3-4-3プロトタイプ設計試作デザインレビュー。
最終デザインが決まった後の中身ですね。
要素の設計と機能の試作をして、プロトタイプを設計して、その試作をして、そのプロトタイプ試作の評価、デザインレビューをしていくと。
最近プロトタイプというのは実際のモデルを作ることもあるんですけれども、
3-4-4設計プロセスと3-4-5設計生産プロセス
3Dキャネット上で、デジタル上でシミュレーションを使ったり、VRなどを使ったり、そういうコンピューター上で試作をすると。
デザインレビューも近いですね。そのデザインを実際のものを作る前にデジタル上でレビューをしていくというのは最近の流れですね。
次、3-4-4設計プロセスにおける意思決定ステップ。
商品化決定ステップ。商品企画から実際に出荷されるまでの製品設計生産には相当な期間を要する。
この期間に市場環境が大きく変わってしまえば、そこで見直す必要があります。
次、3-4-5設計生産プロセスで有用な手法・ツール。
1つ目、製品設計手法。製品設計手法は、設計の生産性向上、品質向上、生産生産性向上などの目的で数々の手法が開発・実用化されている。
例えば、DM法、直行表と機能誤差概念を使う最適設計法だったり、品質機能展開QFD、
あとはFSM、製品機能と実態での階層構造を記述したもの、
あとは、構成要素分解、置換開発手法、DFSS、タグ値メソッド、
DFM、デザイン・フォー・マニュファクチャリング、生産を考慮した設計、
DFA、デザイン・フォー・アッセンブリー、組み立て工程を考慮した設計、
DFX、デザイン・フォー・ホニャララ、
設計施策ツール、3D CAD、CAD、シミュレーション、ラピッドポルトタイピング、3Dプリンタナット、
品質管理ツール概念、製品の市場トラブル防止のための様々なツールが提案されています。
不具合が事故に結びつくようなトラブルは絶対に避けなければならず、
このため、フェイルセーフ、フェイルブルーフエンディングなどに基づく設計が必要であると。
FTA、故障の機解析をしたり、FMEA、特性用因図などを用いましょう。
フェイルセーフ原理、フェイルブルーフ原理、メタコンセプト原理を利用しましょう。
メタコンセプト原理は問題に対し、上の機能に遡って考え、本質を見出すものです。
製品設計と生産技術開発
次の大きなステップとして、製品設計が終わった後は、生産技術開発のステップです。
製品技術と料理をなす技術開発のもう一つの柱ということですね。
製品との関連の視点ということで、生産技術は製品自体に大きく影響されます。
製品に新技術が採用される場合、量産移行などで新たな生産技術が必要となる場合が多い。
次に生産技術開発の着眼点ということで、製品との関連の視点、生産システムの視点、部材部品の調達の視点、
工程の合理化コストダウンの視点、多品種対応の視点、工程能力アップの視点、品質向上の視点、
省エネ環境安全の視点、生産グローバル化の視点、9つの視点が書かれています。
次に3-5-2 生産技術開発のステップを簡単に説明すると、
まず最初に頭に生産技術の課題が設定されて、その機能を設計します。
パイロットプラントを作ってパイロットプラントの確認、そこから生産設備の設計書を作成して、
実際の生産設備設計、そして設備施策の据え付け、試運転、設備の性能確認で本生産に入ると、そういった流れがあります。
ここまでで一連の製品の規格から生産までのプロセスを一通り説明したということですね。
この3-6-2にガラッと話が変わって、独立技術コンサルタントのためにというところで、
3-6-1中小企業への価値あるコンサルティングということで、
顧客事業に関するシステム技術、周辺技術、知的財産との支援、
そして業界動向予測と次期技術獲得支援、
そしてそれを使った商品製品開発支援というのが中小企業には求められます。
3-6-2、独立コンサルタントの武器、技術調査の方法、図書館とかセミナーとか、
調査機関のレポートだったり、また独自の人脈情報も使いなさいということが書いています。
最後終わりに、技術開発コンサルティングの基礎知識を
コンシューマー向け商品開発を題材に説明しました。
コンサルティング先の顧客の製品が、生産設備、部材部品、加工技術、ソフトウェアなどであっても、
その基本は同じであると。本章は読者の業務の参考になれば幸いです。
ということで、3章技術開発コンサルティングの章は以上ですね。
クロージングです。
今週の製造業ニュースということで、2024年の春党がそろそろ始まるということで、給与関係のニュースがありました。
DMG森が3年間の累積賃上げ率が25.1%で、単独でGになったと。
機械1台あたりの受注単価が5,950万円と、前年同期比で21%も増えています。
その高負荷価値、安い機械じゃなくて高い機械を売っているということですね。
同じく工作機械関係でいうと、大隈が累積の賃上げ率が11.2%で17位。
柴浦機械が9.4%で50位ということで、
業界の中でも比較的大きなところは賃上げを進めている印象がありますね。
弊社も頑張ってほしいところではあります。
ということで、今日は技術コンサルティングハンドブックを読むの3回目ということで、
3章の技術開発コンサルティングの章をご紹介しました。
次が第4章ですね。技術評価コンサルティング第4章はまた次回ご紹介したいと思います。
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