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2025-09-11 06:35

シャープ家電×miibo会話型AI|ヘルシオが実現する音声対話の革新事例

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シャープ株式会社が「人に寄り添うAI」の実現に向けて、miiboの会話型AI技術を活用した革新的な取り組みを進めています。研究開発本部ソサイエティイノベーション研究所の蛭川秀一氏が語る導入の背景には、家電製品へのAI実装における短期間でのデモ開発という課題がありました。miiboのLLMフラットな開発環境とノーコード機能により、爆速での開発を実現し、2024年9月のCEATECでの参考出展につながっています。

本事例では、水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」への会話型AI実装により、音声での自然な対話によるレシピ推薦とダウンロードを実現しました。さらに、ウェアラブルデバイス『AI SMART LINK』への展開も視野に入れ、画面のないデバイスでの直感的な情報提供という新たな挑戦も進めています。エッジデバイスとクラウドの最適な連携により、BtoC領域だけでなくBtoB領域への展開も計画されており、AIが生活に自然に溶け込む未来の実現に向けた取り組みが加速しています。

爆速デモ開発を可能にしたmiiboの3つの決め手

シャープがmiiboを選択した背景には、短期間でのデモ開発という明確なニーズがありました。ABBALabとの連携を通じてmiiboと出会った蛭川氏は、「爆速で仕上げる」というキャッチコピーが実際に体現されていることを実感しました。特に映像関連でAI開発に携わってきた同社のエンジニアにとって、違和感なく操作できる点が大きな魅力となりました。

導入の決め手となった第一の要因は、LLMフラットによる柔軟な開発アプローチです。特定のLLMに依存せず、用途に応じて最適なモデルを選択できる環境は、研究開発段階での試行錯誤に最適でした。第二の要因は、エッジデバイスとの高い親和性です。家電製品という特性上、エッジでの処理とクラウドでの処理を適切に使い分ける必要があり、miiboはその要求に応えられる設計となっていました。

第三の要因は、ノーコード環境でありながらエンジニア間での技術的な議論が可能な点です。コーディングなどの詳細な技術的議論もスムーズに行えたことで、開発効率が大幅に向上しました。これらの要因により、社内外でのデモンストレーションに向けた短期開発が実現可能となったのです。

ヘルシオ ホットクックが実現する自然な会話体験

miiboの会話型AI技術は、シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」に革新的な機能をもたらしました。ユーザーは「今日の献立は?」と話しかけるだけで、AIが好みや条件を理解し、適切なレシピを推薦します。さらに、選択したレシピをその場でホットクックへダウンロードし、調理開始までをシームレスに実現しています。

この実装における技術的な工夫は、シャープのAIoTシステムAPIとmiiboの会話型AIシステムの連携にあります。レシピの推薦から本体へのデータ転送までを一連の流れとして設計することで、従来の複雑な操作を自然な対話に置き換えることに成功しました。プロンプト技術の性能は開発者の期待を超え、ユーザーの曖昧な要求にも適切に対応できるレベルに達しています。

2024年9月のCEATECでは、家電制御Web APIとの連携活用例として参考出展され、来場者から高い評価を得ました。空気清浄機など他の家電との連携操作も検討されており、家庭内のあらゆる機器を音声で制御する未来が現実のものとなりつつあります。

エッジとクラウドの最適化で実現する運用効率

開発過程で直面した最大の課題は、エッジデバイス用とクラウド用のナレッジベースの統合でした。シャープのエンジニアチームは、データ管理の最適化と効率的な運用を実現するため、更新管理の一元化に取り組みました。この取り組みにより、エッジデバイスでの処理最適化に関する独自の知見が蓄積されています。

特に苦労したレシピのダウンロード機能については、前処理をmiiboで実施し、最終処理をシャープ側で行うという役割分担により解決しました。この協調的なアプローチは、それぞれの強みを活かした効率的な開発モデルとなっています。エッジLLMとクラウドLLMの使い分けについても、試行錯誤を重ねる中で適材適所での活用方法が明確になってきました。

画面のないデバイスでの情報提供という新たな課題にも挑戦しています。ウェアラブルデバイス『AI SMART LINK』への実装を見据え、視覚的な情報に依存しない純粋な音声コミュニケーションの確立を目指しています。テキストベースのコミュニケーションでは一定の成果を上げており、音声認識の精度向上と自然な対話の実現に向けた開発が継続されています。

BtoB領域への展開と若手エンジニアが切り開く未来

シャープの会話型AI戦略は、BtoC領域の「人に寄り添うAI」から、BtoB領域の「人と社会に寄り添うAI」へと拡大しています。会議システムへのAI実装や企業向けエージェントソリューションの開発が進められており、音声インターフェースの進化とプライバシー保護の強化が重要なテーマとなっています。

蛭川氏が特に期待を寄せているのは、若手エンジニアの技術革新への取り組みです。「若いメンバーはスポンジのように新しい技術を吸収し、様々な媒体や学術論文等から最新技術をキャッチアップします」と語るように、この積極的な学習姿勢が革新的な製品開発の原動力となっています。AIをはじめとする最新技術への貪欲な姿勢が、次世代の家電開発を加速させています。

シャープが目指すのは「気付かないうちにAIが生活に溶け込んでいる世界」の実現です。miiboとの協業により、その実現に向けた技術開発は着実に進んでいます。家電という身近な存在にAIを実装することで、誰もが自然にAIの恩恵を受けられる社会の創造に貢献していくことでしょう。

まとめ

シャープとmiiboの協業は、家電へのAI実装という新たな可能性を切り開きました。短期間でのデモ開発という課題から始まった取り組みは、ヘルシオ ホットクックへの会話型AI実装という具体的な成果を生み出し、さらにウェアラブルデバイスやBtoB領域への展開へと発展しています。LLMフラットな開発環境、エッジデバイスとの親和性、そしてノーコードでありながら技術的な議論が可能な開発環境が、この成功を支えています。「人に寄り添うAI」から「人と社会に寄り添うAI」へ、シャープの挑戦は続きます。



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サマリー

シャープの家電は、会話型AIのmiiboと連携し、ヘルシオやホットクックを通じて、日常生活に自然な会話を実現しようとしています。この技術革新は、エッジデバイスやノーコードの開発を活用し、AIがユーザーの曖昧なリクエストにも対応できる仕組みを目指しています。

シャープとmiiboの協力
今日はですね、シャープの家電、これが会話型AIとくっつくっていう、なんかもうSFみたいな話なんですけど、ちょっと未来がぐっと身近になった感じがしますよね。
えーそうですね。 あなたが注目されたこの資料、あのシャープがmiiboっていう会話型AIを使ってヘルシオをホットクックとかで、どう自然な会話を実現しようとしているのか、その裏側が結構詳しく書かれてますね。
えー、単に音声で操作できるだけじゃなくて、人に寄り添うAIっていうそのコンセプトを目指している点が非常に興味深いなと。
今回はですね、この技術がどういう経緯で生まれて、どんな課題があって、それで私たちの生活をどう変えようとしているのか、その辺りをちょっと深く見ていければなと。
はい。まずそもそもなんですけど、この開発、なんでそんなに急いだんですかね。資料によると、研究開発本部のひるかわさんって方が、かなり短期間でAI家電のデモをやる必要があったと。
まさにそうなんです。そこでこう出会ったのがmiiboだったんですね。爆速で仕上げるっていう、まあすごい言葉ですけど。
爆速?
特定のLMM、大規模言語モデルですね。それに縛られないっていう柔軟性が決め手になったと。これって単に開発が早いってだけじゃなくて、将来的にAIのトレンドが変わってもすぐ対応できるようにしたいっていう、シャープのR&D戦略にもすごく重要だったみたいですね。
なるほど。
あと、ノーコード、つまりプログラミングなしでもある程度できて、でも技術的な深い話もちゃんとできる。さらに、家電だと大事なエッジデバイス、つまりネットがなくても最低限動く端末ですね。そことの連携も考えられていたっていうのが大きかったようです。
へー、LLMに縛られなくて、ノーコードでもある程度いけて、エッジ連携まで考えていると。そんな都合の良い技術がすぐ見つかったっていうのは、シャープにとっては結構ラッキーでしたね。
そうかもしれませんね。
で、その具体的な成果として、やっぱりヘルシーをホットクックが出てきますね。今日のこんだては?って話しかけるだけで、AIがこんなのどうですか?って提案してくれて、そのまま本体にレシピをダウンロードまでしてくれる。これすごく便利そうじゃないですか。
そうなんですよ。ここでキーになるのが、シャープがもともと持っているAIOTシステム、これとmiiboの会話AIをつなぐAPI連携っていう仕組みなんです。
API連携。
これがレシピの推薦からデータの転送までをすごくスムーズにやってくれる。それで、ユーザーのちょっと曖昧な、なんか暖かいものをかめたいんだけどみたいな、そういうリクエストにも結構精度高く答えられたっていうのは、開発してた人たちもちょっと予想以上だったみたいですね。
2024年9月のCATCでもかなり評判が良かったみたいですし、まさに人に寄り添う対話を目指した結果なのかなと。
今日のこんだては、毎日聞いちゃいそうですね、それ。でもそんなに全部が全部スムーズに実現できたものなんですかね。何か技術的に難しかった点とかはなかったんでしょうか。
確かにおっしゃる通りで、もちろん挑戦はありました。特にエッジデバイス側での対話とクラウド上にある膨大な情報ですよね。これをどう矛盾なく連携させるか。
オフラインの時とオンラインの時でAIが言ってることが違ったら困りますもんね。
そうなんです。その知識ナレッジベースをどう同期させて管理するかっていう部分ですね。ここはデータの管理を一元化するっていう点でかなり複雑だったようです。
技術の進化と未来への視点
なるほど。
あとレシピをダウンロードする機能にしても、どの処理をmiibo側でやって、どこからシャープ側でやるのか、その役割分担みたいなところも結構試行錯誤して最適化を進めたというふうに聞いています。
それから画面がないウェラブルデバイス、AIスマートリンクってありますけど、ああいうのへの応用も考えてるみたいで、高度なコミュニケーションをどう成り立たせるかっていう、さらに次の挑戦も進んでいるということですね。
なるほどなあ。その技術的な壁を一つ一つ乗り越えていくからこそ、人に寄り添うAIの本当の価値っていうのが見えてくるわけですね。
ええ、そう思います。そして、こういう過程の中で培ってきた技術っていうのは、当然他の分野にも応用が考えられますよね。
過程での人に寄り添うAIから、もっと広く人と社会に寄り添うAIへと、その視野は広がっているようです。
ということは過程だけじゃなくて、例えばビジネスの分野、B2Bですよね。会議システムとか、そういうところにも展開していく可能性があると。
便利になるのはすごくいいんですけど、一方で何でもかんでもAIに頼っちゃうと、私たちの考える力とか主体性みたいなものがちょっと鈍っちゃうんじゃないかななんて懸念も少し感じたりするんですが。
それは非常に重要な視点だと思いますね。その利便性と人間の主体性とのバランスっていうのは、これからのすごく大きなテーマになっていくでしょうね。
実際、企業向けのソリューション開発も進んでいるようですし、その中でどういうふうにバランスをとっていくのかが問われてくると思います。
そして、ヒルガーさんも語っていますけど、こういう革新を力強く進めているのが、やっぱり新しい技術を恐れずにどんどん吸収していく若手のエンジニアの存在なんだと。
なるほど。
彼らのその最新技術に対する貪欲な姿勢っていうのが、次の時代のAI体験を形作っていくんだろうなと期待を寄せているようですね。
というわけで、今回はシャープとミーボによる会話型AIの取り組み、これをちょっと深掘りしてきました。
単なる音声操作のその先にある、私たちの生活空間に自然に溶け込んでいくAIの姿っていうのが、少しリアルに見えたような気がしますね。
家電っていう私たちにとって、一番身近なインターフェースの一つから始まるこの変化が、これから社会全体にどういうふうに広がっていくのか、なんか気づかないうちにAIが生活の一部になっている。
そんな未来に向けた確かな一歩と言えるんじゃないでしょうか。
さて、最後に一つあなたにもちょっと考えてみてほしい問いがあります。
もし、家の中だけじゃなくて、街の案内板とかお店の窓口とか、社会のあらゆる場面でAIとごく自然に対話できるようになったとしたら、
私たちのコミュニケーションのあり方、もっと言えば社会の構造そのものって根本的にどう変わっていく可能性があると思いますか。
少しだけ未来を想像してみてください。
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