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2025-09-15 07:39

令和8年度DPC制度改定に向けた最重要提案事項:入院初期評価の強化と在院日数設定の見直し

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令和7年9月11日に開催された診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会において、DPC/PDPS等作業グループから最終報告が提出された。DPC対象病院の構成が変化し、DPC算定病床割合が50%未満の病院が増加する中、急性期入院医療の適切な評価が課題となっている。今回の報告では、令和8年度診療報酬改定に向けて、医療機関別係数の評価方法と算定ルールの抜本的な見直しが提案された。

本報告書の要点は4つの重要な改定提案に集約される。複雑性係数については、入院初期により多くの医療資源を必要とする診断群分類を適切に評価するため、入院日数の25%tile値までの包括範囲出来高点数による評価への移行が提案された。入院期間Ⅱの設定については、在院日数の標準化が進んだ診断群分類を中心に、平均在院日数から中央値への変更が検討されている。再転棟ルールでは、同一傷病による再転棟を転棟後7日間を超える場合でも原則として一連の入院として扱う厳格化案が示された。持参薬ルールについては、入院の契機となった傷病に対する使用禁止の周知徹底と、患者への説明義務化が求められている。これらの提案は今後、中央社会保険医療協議会での議論を経て最終決定される予定である。

複雑性係数の評価方法見直し案:入院初期の医療資源投入を重視

複雑性係数は、一入院当たり医療資源投入の観点から患者構成を評価する項目として機能評価係数Ⅱの重要な要素である。現行の評価方法では、診療対象とする診断群分類の種類が少ない病院で、誤嚥性肺炎等の平均在院日数が長く1日当たり包括範囲出来高点数の小さい疾患に偏った症例構成の場合、急性期入院医療における評価として不適当になっているという問題が指摘されていた。DPC制度における「急性期」は「患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまで」と定義されており、この価値を適切に反映する指標への見直しが必要とされた。

作業グループの分析の結果、1入院当たりの包括範囲出来高点数が高い診断群分類の中には、平均的に入院初期の包括範囲出来高点数が高いものがある一方で、1日当たりの包括範囲出来高点数が全診断群分類の平均値及び中央値よりも低い診断群分類も存在することが明らかになった。1日当たりの包括範囲出来高点数に着目する案も検討されたが、「030250xx991xxx 睡眠時無呼吸」のような在院日数の短い診断群分類を著しく高く評価することになり妥当でないとの意見が出された。これらの議論を踏まえ、入院初期を特に重視する趣旨で、入院日数の25%tile値までの包括範囲出来高点数により評価するべきではないかとの提案がなされた。

DPC対象病院を構成する医療機関は時々刻々と変化していることから、複雑性係数を含めた機能評価係数Ⅱの適切な評価方法については引き続き検証を行う必要性も指摘されている。この見直し案が実現すれば、真に急性期医療を提供している医療機関がより適切に評価される仕組みへと改善されることが期待される。

入院期間Ⅱの設定方法変更案:平均在院日数から中央値への移行

入院期間Ⅱは、DPC制度において入院初期を重点評価するための3段階定額報酬設定の重要な要素である。現行では点数設定方式D以外において第Ⅱ日は平均在院日数により規定されているが、実際の患者の在院日数分布との乖離が問題視されていた。作業グループによる在院日数の分布分析では、ばらつきが小さく標準化が進んでいる診断群分類がある一方で、ばらつきが大きく十分に標準化が進んでいない診断群分類も存在することが確認された。

多くの診断群分類において平均在院日数は在院日数の中央値を上回っており、在院日数の分布は正の歪度を有していることが判明した。症例数が10,000件以上の診断群分類のうち、在院日数の中央値が平均在院日数を上回る診断群分類は2つのみで、いずれも左に歪んだ分布であった。これらの結果から、在院日数の中心傾向の指標として平均在院日数は適切でないのではないかとの指摘がなされた。

令和8年度診療報酬改定に向けた特別調査では、クリニカルパスを採用している医療機関はDPC対象病院の約93%(1,638医療機関/1,761医療機関)に上り、そのうち約63%(1,028医療機関/1,638医療機関)が入院期間設定において「診断群分類点数表上の第Ⅱ日(平均在院日数)」を主として参照していることが明らかになった。これらの議論を踏まえ、在院日数の標準化が進んでいる診断群分類を中心として、原則として平均在院日数から在院日数の中央値に移行するべきではないかとの提案がなされた。ただし、入院期間Ⅱの見直しによる影響を一定範囲内に留めるため、変動率に一定の上限を設けることも併せて提案されている。

再転棟ルールの厳格化案:同一傷病による再転棟の取扱い見直し

DPC制度では入院初期を重点評価するため入院期間Ⅰの1日当たり点数を相対的に高く設定しているが、これを悪用した短期間退院と再入院の繰り返しを防ぐため、一定条件を満たす再入院及び再転棟を一連の入院とみなすルールが設けられている。現行では、DPC対象病棟等より退院した日の翌日又は転棟した日から起算して7日以内にDPC算定対象となる病棟等に再入院した場合、同一の傷病等であれば一連の入院とみなすこととしている。しかし、DPC算定病床以外の病床を有する医療機関の割合が増加し、「再転棟」が起こりやすい状況になっていることが作業グループから指摘された。

DPC病棟からの転棟後、再転棟までの日数の分布分析を行った結果、DPC制度において一連の入院と見なされなくなる8日目の再転棟件数が突出して多いことが判明した。この結果は、現行ルールが適切に機能していない可能性を示唆している。再転棟を認めない期間の延長も検討されたが、単に当該日の再転棟数が増加するのみで根本的な解決には至らないとの意見が出された。

これらの議論を踏まえ、同一傷病による再転棟については、転棟後7日間を超える場合であっても原則として一連の入院として扱うこととするべきではないかとの提案がなされた。なお、「再入院」については、再入院ルールの適用を受けなくなる日に再入院数が著増するような傾向は見られなかったため、現行ルールの維持が適当とされている。この見直し案が採用されれば、不適切な再転棟による診療報酬の請求が抑制され、より公平な制度運用が期待される。

持参薬ルールの周知徹底:入院契機傷病への使用禁止を明確化

DPC制度では、患者の負担軽減とDPC制度下での公平な支払いの観点から、入院中の患者に対して使用する薬剤は入院する病院において処方することが原則とされている。「入院の契機となった傷病」に対する持参薬の使用は、特別な理由がある場合を除き認められていない。しかし、作業グループの分析では、算定ルール上認められていない入院の契機となった傷病に対する持参薬使用割合が5%以上となる医療機関が一定数存在することが明らかになった。

持参薬の使用の有無によって薬剤料が大きく異なる診断群分類の分析では、「110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全」において6割以上の患者で持参薬が使用されており、持参薬を使用しない場合の薬剤料は使用する場合の約2倍となっていた。この状況は、持参薬ルールを遵守している医療機関とそれ以外の医療機関との間で不公平な設計となっているだけでなく、患者においても持参薬の持ち込みに係る不要な手間が発生している問題を示している。

今回の報告では、「入院の契機となる傷病」に対する持参薬使用に係る現行ルールの更なる周知徹底を図るべきではないかとの提案がなされた。具体的には、DPC算定を行う場合は入院の契機となった傷病に対して使用する医薬品は院内で処方されるのが原則であることや、DPC算定を行う場合の入院料には一般的に入院の契機となった傷病に対して使用する医薬品の薬剤料が含まれていることについて、患者への説明を求めることが提案されている。入院の契機となった傷病以外の傷病に対する持参薬使用の可否については、令和10年度診療報酬改定に向けて引き続き議論される予定である。

まとめ

令和8年度DPC制度改定に向けて、DPC/PDPS等作業グループから急性期入院医療の適切な評価に向けた4つの重要な見直し提案が示された。複雑性係数は入院初期25%tile値までの包括範囲出来高点数による評価への移行案、入院期間Ⅱは平均在院日数から中央値への変更案が提案されている。再転棟ルールは同一傷病の場合7日間を超えても一連の入院として扱う厳格化案が示され、持参薬ルールは患者への説明義務化を含む周知徹底が提案された。これらの提案が実現すれば、DPC制度がより公平で適切な急性期入院医療の評価制度として機能することが期待される。今後は中央社会保険医療協議会での議論を注視し、最終的な改定内容を確認する必要がある。



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サマリー

今回のエピソードでは、令和8年度に向けてDPC制度に関する重要な提案が議論されています。具体的には、入院初期評価の強化と入院日数設定の見直しを通じて、医療提供の公平性と正確性を高めることが目指されています。

DPC制度の変更提案
こんにちは。今回はですね、日本の多くの救世機病院で使われている支払制度、あのDPC制度について、令和8年度に向けたいくつか重要な変更案が出ているので、これを一緒に見ていきたいと思います。
手元にあるのは政府の専門家会議、そこに提出された報告書の要約なんですけど、目的は救世機入院医療の評価をですね、より実態に合わせて公平にしていくと。
うーん、なかなか複雑そうですけど、掘り下げていきましょう。
そうですね、あの背景としては、DPCの対象となる病院の機能が多様化している中で、特に入院の初期ですよね、この濃密な医療をどう適正に評価していくのかっていう、そういう課題があるんです。
今回の提案はかなり踏み込んだ調整を目指していると言えると思いますね。
なるほど。では早速、一つ目の複雑性係数の見直し案。これは病院がどんな患者さんを見ているかっていう評価ですけど、入院初期、具体的には入院期間が短い方から数えて、4分の1に当たる患者さんが退院するまでの期間、25パーセンタイルまでに投入される医療をより重視すると。これどうしてなんでしょう?
うーん、そうですね。現行制度だと、結局入院期間全体で評価する形になるので、最初の、例えば危機的な時期にすごく集中治療をしても、その価値が薄まってしまう、そういう懸念があったんですね。
ああ、なるほど。
特に、5円製肺炎みたいに、結果的に入院が長引いて、1日あたりの点数が低くなりやすい疾患が多いと、旧正規病院としての評価が、ちょっと実態より低く出てしまうんじゃないかと。
だから、不安定な状態から安定へという、まさに旧正規医療の価値自体を捉え直そうという、そういう意図があるんですね。
ああ、なるほど。
初期対応へのインセンティブを高める、みたいな。
ええ。
でも、単純に入院初期の日数だけで評価するんじゃなくて、その25パーセンタイルまでっていう区切りにしたのは?
ああ、それは良い点ですね。
実は、単純に1日あたりの点数を高くするっていう案も検討がされたようなんです。
ただ、それだと、例えば睡眠時無呼吸の検査入院みたいに、もともとすごく短期で終わるものまで、過剰に評価しちゃうかもしれないと。
ああ、そうかそうか。
ええ。
それで、この25パーセンタイルまでっていう、一つの区切り方が提案されたということですね。
ふむふむ。
入院期間の評価方法に関連して、もう一つですよね。
入院期間2という、支払段階を決める基準期間。
この設定方法も見直されると、今は平均在院日数ですけど、中央値を使う案が出ている。
この違いって、どんな影響があるんでしょうか?
これはですね、評価の歪みを減らそうということなんです。
平均値って、どうしても一部のすごく極端に長い入院があると、それに引っ張られちゃうんですよね。
はいはいはい。
一方で、中央値っていうのは文字通り真ん中の値ですから、大多数の典型的な入院期間を、より正確に反映しやすい。
特にクリニカルパスなんかで治療がある程度標準化されている場合には、より実態に近いんじゃないかと言えますね。
ということは、最初の提案、初期評価の強化と、この入院期間の基準を中央値に変えるっていう提案。
これはセットで、短期集中型の典型的な急性期治療を、より強く評価する方向に向かっていると考えていいですか?
まさにおっしゃる通りだと思います。
これで、より多くの病院で実態に即した評価とか支払いにつながるんじゃないかと期待されていますね。
入院日数の見直し
ただ、急に変わりすぎても影響が大きいので、変動の幅には上限を設ける、みたいな案も一緒に出ています。
なるほど。さて、期間の設定が変わる一方で、その期間内での動きですかね、これに関するルールも厳しくなるようで、次の再転動ルール、これはかなりインパクトがありそうですけど。
そうなんですよ。現行だと、同じ病気で短期間、具体的には7日以内に転倒を繰り返すと、一連の入院とみなされるんですね。
入院初期は報酬が高く設定されているので、これを意図的に利用するのを防ぐという趣旨です。
ところが、データをよく見ると、ちょうどそのルールが切れる8日目に再転倒するというケースが度質して多いことがわかったんです。
ほう、それはなんだろうか、かなりわかりやすいデータですね。ルールが意図通りに機能していない可能性が高いと。
まあ、そう判断されたわけですね。そこで、単に期間を伸ばすだけじゃなくて、もう同じ病気での院内転倒は期間にかかわらず、原則として一連の入院とみなさうという、かなり厳格化する案が提案されました。
これはルールの抜け穴を防ぐということと、現場の運用の複雑さとのバランス、これが問われる点ですね。
かなり厳しい変更案ですね。最後に4つ目、患者さんが持ってくる持参薬のルール、これも見直しが提案されてるんですね。
はい。原則として、入院のきっかけになった病気の治療には持参薬は使えないということになってるんですが、これが必ずしも徹底されていないと。
ふむ。
そうすると、ルールを守っている病院はちゃんと薬剤費を負担する一方で、持参薬を使っている病院は同じ包括点数をもらえながら薬剤費の負担が軽くなる、っていう不公平が生じているという指摘があったんです。
なるほど。で、具体的な対応策としては?
ルールの最終値、これは持ち物なんですが、加えて重要なのが、病院側が患者さん、つまりあなたに対してですね、入院のきっかけになった病気の薬は原則として院内で処方されて、その費用はこのDPCの点数に含まれてますよ、とちゃんと説明する義務を求める、という点なんです。
ああ、説明義務ですか。
ええ。これは患者さん自身の理解も促して、ルールを守ってもらう、そういう狙いもあると思いますね。
なるほどですね。これら4つの提案、入院初期評価の強化、それから期間設定の中央値化、採点等ルールの厳格化、そして持参薬ルールの徹底と患者説明、これらはそれぞれ独立しているようでいて、全体として見ると、旧世紀医療の実態をより正確に、そして公平に評価するんだ、という一つの大きな方向性を向いている、というふうに理解して良さそうですね。
ええ、そういうことになりますね。これらの変更案が今後、中期協というところで議論されて、正式に決まれば病院の経営ですとか、医療の質の評価にも少なからず影響を与えることになるでしょうね。複雑な制度ですけど、それをより良くしていこうという、まあ継続的な努力の現れと言えるんじゃないでしょうか。
そうですね。最後に、これは皆さんに一つ問いかけたいなと思うんですが、こうしたルール変更が旧世紀というものの定義をよりシャープにしていく中で、病院がじゃあどういう患者さんを受け入れるかっていう判断に影響するかもしれない。例えば、回復に時間がかかる患者さんとか、ちょっと非典型的な傾向をたどる患者さんの受け入れに、意図しない影響、ネガティブな影響を与えてしまう可能性はないのかなと。
制度設計の難しさというのを改めて考えさせられますね。
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