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令和8年度改定の附帯意見26項目|中医協の検討の進め方を解説
2026-09-28 06:05

令和8年度改定の附帯意見26項目|中医協の検討の進め方を解説

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令和8年4月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第649回)で、令和8年度診療報酬改定の答申書附帯意見(改定案の答申時に中医協が示した今後の検討課題)について、検討の進め方の案が示されました。附帯意見は26項目にわたるため、どの課題をどの会議で検討するかを押さえなければ、次期改定に向けた議論を追いかけることは困難です。本号では、案に示された26項目の検討の場を整理し、医療機関が注目すべき3つのポイントを解説します。

案では、附帯意見26項目を8つの検討の場に振り分け、今回改定の影響の検証と次期改定に向けた検討に入るとしています。1つ目のポイントとして、物価対応と賃上げは、実態の把握を経て、必要な場合には令和9年度の更なる対応を総会で検討する案です。2つ目のポイントとして、病棟業務、入院医療、医師偏在対策、外来医療に関する10項目は、入院・外来医療等に関する調査・評価分科会が担当する案です。3つ目のポイントとして、在宅医療、精神医療、歯科、調剤、処方・医薬品に関する9項目は、検証部会が担当する案です。

附帯意見26項目を8つの検討の場に振り分ける案

案では、附帯意見26項目を、テーマごとに8つの検討の場へ振り分けています。各検討の場は、今回改定の影響を検証しながら、次期改定に向けた調査と検討に入るとされています。

案が示す進め方の基本は、「今回改定の影響の検証」と「次期改定に向けた調査・検討」を同時に進めることです。この2つを同時に進めれば、令和8年度改定で新設・見直しされた評価が現場でどう機能しているかを、次期改定の議論に直接つなげられます。

案に示された8つの検討の場と、担当する附帯意見の番号は、次のとおりです。

* 総会:項目1、26(項目2・3の令和9年度対応と、項目2の今後の評価の在り方も総会で検討)

* 調査実施小委員会:項目2(経営状況の把握)

* 入院・外来医療等に関する調査・評価分科会:項目3〜13、項目17(オンライン診療)

* 検証部会:項目14〜16、項目17(医療DX)、項目19〜24

* 医療技術評価分科会:項目18

* 保険医療材料専門部会:項目18、25

* 薬価専門部会:項目25

* 費用対効果評価専門部会:項目25

総会は、制度全体にかかわる2つの項目を直接担当する案です。1つは、複雑化した診療報酬体系を患者などに分かりやすくする検討です(項目1)。この項目には、施設基準届出のオンライン化や共通算定モジュールの活用による請求手続きの負担軽減も含まれます。もう1つは、施策の効果や医療の質をデータとエビデンスで迅速・正確に検証する方策の検討です(項目26)。

専門部会と医療技術評価分科会は、医療技術と、医薬品・医療材料の価格制度を担当する案です。項目18は、医療技術の継続的な再評価と、革新的な医療機器や検査を含む先進的な医療技術の評価の在り方の検討を求めています。案では、項目18の検討の場として、医療技術評価分科会と保険医療材料専門部会が併記されています。項目25は、薬価制度、保険医療材料制度、費用対効果評価制度の在り方の検討を求めています。案では、項目25の検討の場として、3つの専門部会が併記されています。

医療DXとオンライン診療の項目は、2つの検討の場で分担する案です(項目17)。電子処方箋や電子カルテ共有サービスなどの医療DXは、検証部会が担当します。D to P with DやD to P with Nなどのオンライン診療は、入院・外来医療等に関する調査・評価分科会が担当します。

物価対応と賃上げは令和9年度の対応の要否が焦点

物価対応と賃上げは、実態の調査を経て、必要な場合には令和9年度の更なる対応を総会で検討する案です。どちらの項目も、調査を担う場と、対応を検討する総会が分かれている点が特徴です。

物価対応(項目2)では、調査実施小委員会が医療機関等の経営状況を把握する案です。附帯意見は、この経営状況と実際の経済・物価の動向を踏まえ、必要な場合には令和9年度の更なる対応を検討するよう求めています。総会では、基本料・技術料を含めた物価対応に関する今後の評価の在り方も検討する案です。

賃上げ(項目3)では、入院・外来医療等に関する調査・評価分科会が賃上げの実態を把握する案です。調査の対象は、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工士等を含む幅広い医療関係職種です。附帯意見は、この実態と経営状況、経済・物価の動向を踏まえ、必要な場合には令和9年度の更なる対応を検討するよう求めています。この令和9年度の対応は、総会で検討する案です。

物価対応と賃上げの調査結果は、令和9年度の対応の要否を判断する材料になると考えられます。そのため、医療機関にとっては、今後の調査への回答が、自院の実態を伝える機会になるでしょう。

病棟業務・入院・外来などの10項目は入院・外来医療等に関する調査・評価分科会が担当する案

病棟業務、入院医療、医師偏在対策、外来医療に関する10項目(項目4〜13)は、入院・外来医療等に関する調査・評価分科会が担当する案です。この分科会は賃上げとオンライン診療も担当するため、附帯意見の中で最も多い12項目を抱える検討の場となります。

急性期入院医療(項目5〜7)では、附帯意見は新設された評価の影響の検証を求めています。検証の対象は、急性期病院一般入院基本料や急性期総合体制加算の新設による影響です。あわせて、10対1急性期病棟の在り方を含む急性期入院医療の評価の検討を求めています。高度急性期では、特定集中治療室管理料などの影響の検証に加え、重症度、医療・看護必要度の項目やSOFAスコアなどの評価指標の検討を求めています。救急では、下り搬送の評価などの影響の検証と、在宅療養を行う高齢者や介護保険施設入所者の救急受入れの実態把握を求めています。

包括期・慢性期入院医療(項目8・9)では、附帯意見は病棟ごとの評価の見直しの影響の検証を求めています。検証の対象は、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟などです。DPC/PDPS(診断群分類に基づく包括払い制度)と短期滞在手術等基本料では、更なる包括払いの在り方の検討を求めています。

病棟業務と地域偏在(項目4・10)では、附帯意見は人員配置の柔軟化と偏在対策の影響の検証を求めています。病棟業務では、看護職員と他職種の協働、ICT・AI・IoTの活用による配置基準の柔軟化、専従業務の柔軟化などについて、病棟の種別ごとの検証を求めています。検証の観点は、業務負担、医療の質、医療安全、生産性向上、医療従事者の確保などです。地域偏在では、人口の少ない地域の外来・在宅医療提供体制を確保する支援の評価や、外科医療確保特別加算の新設などの影響の検証を求めています。

外来医療(項目11〜13)では、附帯意見は外来機能分化とかかりつけ医機能の評価の検証を求めています。外来機能分化では、初診料・外来診療料における逆紹介割合に基づく減算規定の見直しや、連携強化診療情報提供料の見直しの影響の検証を求めています。医学管理では、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)や特定疾患療養管理料の影響の検証を求めています。かかりつけ医機能では、かかりつけ医機能報告制度の施行状況を踏まえた評価の在り方の検討を求めています。

在宅・精神・歯科・調剤・処方・医薬品の9項目は検証部会が担当する案

在宅医療、精神医療、歯科、調剤、処方・医薬品に関する9項目(項目14〜16、19〜24)は、検証部会が担当する案です。検証部会は、医療DXの活用状況の検証も担当する案です。

在宅医療と精神医療(項目14〜16)では、附帯意見は訪問系サービスと地域移行の評価の検証を求めています。在宅医療では、往診、訪問診療、歯科訪問診療、訪問薬剤管理指導、訪問看護の評価の在り方の検討を求めています。訪問看護では、同一建物居住者への評価の見直しや、1日あたりで包括的に評価する仕組みの新設を踏まえ、指定訪問看護事業所の経営状況の把握を求めています。精神科訪問看護では、利用者の増加傾向を踏まえた評価の在り方の検討を求めています。精神医療では、新設された精神科地域密着多機能体制加算の効果や、総合病院精神科の評価の検証を求めています。

歯科と調剤(項目19〜21)では、附帯意見はかかりつけ機能と薬局の立地の評価の検証を求めています。歯科では、かかりつけ歯科医による歯科疾患・口腔機能の管理等の評価の見直し、歯科治療のデジタル化、医科歯科連携の影響の検証を求めています。調剤では、敷地内薬局、門前薬局、医療モール薬局への改定の影響の検証を求めています。薬局の都市部偏在では、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算の実績要件や人員要件の在り方の検討を求めています。

処方と医薬品(項目22〜24)では、附帯意見は処方の在り方と医薬品の保険給付の検証を求めています。処方では、長期処方やリフィル処方の活用策と、ポリファーマシー対策を踏まえた評価の検討を求めています。後発医薬品では、バイオ後続品を含む使用促進の評価について、供給状況を踏まえた検討を求めています。保険給付では、長期収載品や食品類似薬の扱いについて、供給状況や患者の負担増に配慮した検討を求めています。

まとめ:次期改定に向けた検討の地図を手に入れる

案では、附帯意見26項目を8つの検討の場に振り分け、影響の検証と次期改定に向けた検討に入るとしています。物価対応と賃上げは、実態の調査を経て、必要な場合には令和9年度の更なる対応を総会で検討する案です。病棟業務、入院医療、医師偏在対策、外来医療の10項目は、入院・外来医療等に関する調査・評価分科会が担当する案です。在宅医療、精神医療、歯科、調剤、処方・医薬品の9項目は、検証部会が担当する案です。自院に関係する項目の検討の場を把握しておけば、今後の各会議の資料から、次期改定の方向性をいち早く読み取れます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定の附帯意見26項目について、調査を担う場と令和9年度の対応を判断する総会を分ける構造を解説します。賃上げ率や利益率などの客観的データを集める調査が、今後の予算判断の根拠になると説明します。病院の入院・医師偏在対策を扱う分科会と、訪問看護・医療DXを扱う検証部会の役割分担にも触れ、外来と在宅を担う地域の医療機関には資料の分断が課題になると指摘します。さらに、AIカメラやウェアラブル端末で看護師の歩数、ナースコール、事故発生率などを測り、人員配置の柔軟化を検証する例を示し、効率化後も残る医療者の役割を問いかけます。

物価対応・賃上げを調査と総会に分ける理由
さて、今回の深掘りなんですが、令和8年度の診療報酬改定についてですね、中医協から出た26項目の附帯意見の進め方を見ていきたいと思います。
はい。26項目ってかなり膨大ですよね。 そうなんですよ。これって、医療機関への支払いルールを決める総司令頭からのメッセージなんですけど、課題が多すぎて迷路みたいじゃないですか。
一見すると、ただの行政資料の分厚い壁みたいに感じますよね。
本当に情報過多で圧倒されちゃいます。なので、今日のミッションは、これを聞いているあなたが迷子にならないための次期改定に向けた地図を手に入れることです。
誰がどの情報を集めてどう判断するのか、その構造さえわかれば、国が次に医療をどう動かそうとしているかの明確な設計図になりますからね。
なるほど。じゃあまずは、医療現場の皆さんの生活に直結するお金のルールからいきましょうか。
知り場を読んでいて、ちょっと奇妙な点を見つけたんですよ。 奇妙な点と言いますと?
なんか、物価対応とか賃上げの実態調査をする省委員会みたいな場所と、令和9年度の対応を最終判断する総会がきっちり分かれていますよね。
そこに気づかれましたか。
これって例えるなら、証拠を集める現場の探偵と、最終決断を下す本部の裁判官をあえて分けているように見えるんです。
でも現場を知っている探偵がそのまま判断した方が早くないですか?
お役所仕事のたらい回しになっちゃうような気がして。
いや、そこがですね、まさにこの仕組みの非常に興味深いところなんですよ。
どういうことですか?
たらい回しどころか、感情とか政治的な憶測で予算が動くのを防ぐための、ある種の防波堤として機能しているんです。
防波堤ですか?
はい。もし実態把握と政策判断を同じ人がやっちゃうと、現場が大変そうだからっていう訂正的な理由だけで予算を動かすリスクがありますよね。
ああ、確かに。情に流されちゃうというか。
そうなんです。だから、探偵役と裁判官役を分けるんです。
総会という裁判官は、省委員会が持ってくる客観的なデータがないと絶対に動けない仕組みになっているんです。
客観的なデータって言うと、賃上げ率とか利益率とか、そういうハードデータってことですね?
まさにその通りです。
すごくドライに数字だけで令和9年度のさらなる対応が必要かどうかを判断するわけです。
ということは、裁判官はデータがないと絶対に予算の蛇口を開けないんですね。
これを聞いている医療従事者のあなたが、今後国から来る調査票に回答することって単なるアンケートじゃなくて、
冷徹な裁判官に直接証拠を突きつける行為なんだなって思いました。
本当にそうですよ。データがなければ裁判官は対応不要という判決を下すしかなくなりますからね。
いやー、予算の蛇口を誰がどう守るかのロジックはすごくよくわかりました。
入院分科会と検証部会の役割分担
じゃあ、そのお金を使って現場のスタッフが実際に何をするのかというルールの部分はどう決まるんでしょうか?
ここであの26の課題が関わってくるんですよね。
ええ。現場のルール作りを牽引するのは大きく2つの巨大なエンジンなんです。
2つのエンジン?
はい。1つは旧正規入院とか医師の偏在対策など10項目を抱える文化会です。
もう1つは訪問看護や医療DXなどの9項目を担う検証部会ですね。
ざっくり言うと、文化会が病院の骨格づくりで、検証部会が地域密着とDXっていう役割分担ですよね。
そういう住み分けになっています。
地域医療に生じる縦割りとAI活用の検証
でももしあなたが地域のクリニックを経営していて、外来も在宅も両方やっている場合って、この縦割りの間にぽっかり落ちちゃったりしませんか?
そこがまさにこの構造の巨大な資格であり、一番重要なインサイトなんです。
やっぱりそうなんですね。
はい。国は意図的か結果的かは別として、大規模病院と地域医療のルールづくりをサイロ化、つまり孤立化させてしまっています。
ってことは、両方に関わる医療機関は別々の会議資料を自分で読み解いて、この官僚的な資格を自力で埋めなきゃいけないってことですか?
そういうすごく厄介なことになっているんです。
それはかなり大変ですね。
ただ、どちらの会議にもAIやICTの活用っていうテーマは共通して入っていますよね?
はい。そこは共通の課題ですね。
特に文化界だと、AIを使った病棟の人員配置基準の柔軟化とか、かなり未来的な検証が組まれていますけど、これって具体的にどうやってAIを入れたらスタッフを減らしても大丈夫かを検証するんですか?
もちろん勘で決めるわけじゃありませんよ。
実際のパイロット施設でAIカメラとかウェアラブル端末を入れて具体的なデータを測るんです。
具体的なデータっていうと?
例えば、夜勤看護師の歩数とかナースコールの頻度、あとはインシデント、事故の発生率なんかですね。
なるほど。ここでも探偵のデータが物を言うわけですね。
そのデータを元に、人間が直接監視しなくても質が保たれる境界線を科学的に引こうとしているわけです。
そう考えると、この地図さえあればもう膨大な資料を隅から隅まで読む必要はないですよね。
はい、全くないです。
自分の立ち位置が文化界と検証部界のどっちにあるのかを見極めて、そこから出てくるデータだけをピンポイントで追えばいいわけですから。
その通りです。そうすれば、時期改定でどこに予算がついてどこが削られるか事前に予測を立てることができます。
効率化の先に残る医療者の役割
いやー、行政資料の裏側にあるロジックがかなり見えてきました。
では最後に一つ、これを聞いているあなたに考えてみてほしいことがあります。
もしこのまま検証が進んで、AIやシステムが人間の代替として正式に人員配置にカウントされるようになったら、
その時、機械には決して置き換えられない、医療現場における人間の本質的な役割とは一体何として残るのでしょうか。
すごく深いテーマですね。
効率化の先にある医療の形について、ぜひあなたもご自身で思考を巡らせてみてください。
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