2025-11-22 11:51

#490. 近代以降のフランス借用語

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #借用語
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サマリー

近代以降のフランス借用語に関する考察が行われており、特に18世紀にフランス語が英語に与えた影響が分析されています。また、グランドツアーやデストトリューなどの文化的背景が、フランス語と英語の単語の流入にどのように関与しているかが示されています。

フランス語の影響の始まり
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
10月3日月曜日です。新しい1週間の始まりですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオheldio。本日の話題は、リスナーさんからのコメントを受けまして、
近代以降のフランス借用語についてお話しします。どうぞよろしくお願いいたします。
一昨日、10月1日の放送だったんですけれども、488回です。
英語史ではイタリア語の存在感は薄いと題しまして、英語におけるイタリア語からの借用語についてお話ししました。
この話題自体がリスナーの方から寄せられた質問、コメントに基づいたものだったんですが、
この会員の放送後に、さらに付け加えのコメントといいますか、関連する話題が舞い込んできましたので、
今日それに乗る形でさらに話を継いでいこうということなんですが、
その488回のイタリア語の存在感について話した時に、18世紀にイギリスではグランドツアーというものが流行った。
貴族の指定が、いわば可愛い子には旅をさせようということで、大陸に旅行させるということですね。
文字通りの誘惑ということなんですが、これが貴族の間で流行ったということですね。
パリに出かけたり、そしてイタリアですね、ローマフィレンゼに出かけたりするっていうこのグランドツアーという風習があったわけなんですけれども、
これに出かけた貴族の指定が直接イタリアの文化に触れて、その単語ですね、イタリア語を英語に持ち帰ったということで、
18世紀はですね、イタリア語がちょこちょことこういう経路で入ってきたっていう、そういう世紀だったわけです。
このグランドツアーに反応をいただいたのが、フランス語史を研究されているカミンさんです。
大変面白いコメントをいただきましたので、こちらで読み上げさせていただきます。
質問にご回答いただきありがとうございました。
英語でのイタリア語の釈用はフランス語経由のものもかなりあるのですね。
15世紀以降イングランドが仏語圏でなくなって以降も、フランス語は英語に語彙の面で影響を持っていたのですね。
16世紀の釈用語についてはギリシア語、ラテン語、そしてイタリア語の流入という点で、英仏語ではパラレルな状況にあるように思えます。
18世紀のイタリア語流入がグランドツアー由来ということもちょっとびっくり、グランドツアーの文化的影響はかなり大きいものだったのですね。
併せて次のようなコメントもいただいています。
フランスのトゥーレーヌ地方のフランス語が最も純粋で美しいフランス語だということが今でも言われているのですが、
この美しいフランス語という名声の起源が英国で出版された18世紀のグランドツアー用のガイドブックではないかという仮説を検証中だったので、
イタリア語の釈用でもグランドツアーのことが出てきて、ちょっと驚いたのでした。
言葉の歴史は面白いですね。
というですね、これまた本当に面白い話題を提供していただきまして、そして調査中ということなんですが、
このフランストゥーレーヌ地方のフランス語の美しさ、これがグランドツアー中の貴族の指定の持った印象と言いますかね、
そこに遡るのであれば、これは本当に面白い話になってきますね。
このグランドツアーについては文化史的な研究であるとか文学史的な研究っていうのはあると思うんですが、
あまり英語史の観点からこのグランドツアーに注目したようなものってあまり記憶にないんですね。
いろいろと掘ってみると面白そうだなと思いまして、関心を寄せていきたいなと思いました。
非常に刺激的なインスピレーションありがとうございました。
最初にいただいたコメントの方でですね、15世紀以降イングランドが普通語圏でなくなって以降も、
フランス語は英語に語彙の面で影響を持っていたというこの点について、
18世紀の文化的背景
今日少し掘り下げてみたいと思うんですが、一般には英語に大量のフランス語単語が入ってきたのは、
いわゆる中英語の時代ですね、ノルマン征服語の3、4世紀ぐらいという間ですね、
ここにピークがありまして14世紀後半あたりが大体ピークと言われるんですが、
1万に近いフランス語の単語はですね、どっと流入してきたわけです。
その後、確かにこのピークに比べればですね、ガクンと下がるんですけれども、
その後の近代、1500年以降もですね、そして本当に現在に至るまで、21世紀に至るまで、
やはりフランス語ってのはお隣の国です。
腐れ縁でもありますから英語にとって、段続的に入ってきてるんですね、フランス語単語っていうのは。
ただ中世の14世紀後半あたりのピークが大きすぎるので、あと影が薄いというふうに感じられるんですが、
やはりですね、しっかりと着実に近代以降も入ってきているっていうことがあるんですね。
ですので、英語史においてフランス語が流入してくるというこの現象はですね、
1066年以来、厳密に言うともう少し前からなんですが、絶えたことがない、今の今まで絶えたことがないということになりますね。
浮き沈みはあったとしても、相当息の長い付き合いということになります。
ここで中英語期に借りられたフランス語と近代以降に借りられたフランス語について、違いを指摘しておきたいと思うんですね。
まず量の点では先ほど言った通りで、圧倒的に比較してしまえば近代以降はぐっと少なくなります。
ただ質と言いますかね、どういうジャンルの単語が入ってきたかっていうジャンルについてはあんまり違いがないんです。
やはりですね、貴族の生活であるとか流行、美食、贅沢品、芸術、文学、軍事的な用語っていうんですかね。
これが入ってきているという点ではあまり変わりないんですね。
まとめて言えば、いかにもおフランス的な貴族的な気取りであるとか知的流行といったものですね。
中世から近代、そして現代にかけてこのあたりのイメージ、フランス語、フランスに対するイメージっていうのは少なくとも英語に関する限りあんまり大きく変わってはいないということができると思うんですね。
では近代以降のフランス語からの釈用語というのはどういうタイミングで、そしてどういうモチベーションで入れられたのかっていうことを考えてみますと、注目するのは18世紀なんです。
先ほどのイタリア語のグラントゥアもだいたい18世紀なわけですが、これはまた別軸でフランス語から英語に単語がグッと、近代記としてはよく入ってきたのはこの18世紀ぐらいが中心なんですね。
何があったかと言いますと、1685年にルイ14世による南都の勅令の廃止という大きな出来事がありました。
これは1世紀ほど遡った1598年に南都の勅令というのがアンリ4世によって発布された案ですね。
これは限定的ながらも信教徒、プロテストンの権利を認めるっていう寛容な勅令だったわけなんですが、ほぼ100年後の1685年にルイ14世によってこれが廃止されるっていうことなんですね。
そうすると大量のフランスにいた信教徒が国外亡命することになったわけですけれども、その少なからぬ人々がイギリスにやってきたっていうことです。
いわゆる優遇の難民ということですね。イギリスにやってきて彼らが言語的橋渡しとなってフランス語から英語へ単語が流れ込んだということになります。
これが1685年ということで17世紀後半ですが、さらに次の世紀になりますと18世紀になりますとヨーロッパ中でフランス語の威信が高まるわけですよね。
このルイ14世の威勢ということもありまして、いわばラテン語をしのぐほどの見性を保ったというのが18世紀のフランス語の栄光だったわけですね。
これはもう反ヨーロッパ的な現象ですので、当然イギリスにも影響を与えました。
こうしてやはり文化の中心地であるフランス、そしてフランス語から単語がまたイギリス英語に流れ込んできたという背景があって、
17世紀後半から18世紀にかけて近代期のフランス語釈用のピークみたいなものがあったっていうことになります。
英語へのフランス語単語の流入
この時に入ってきたフランス語っていうのは、中世に入ってきたものよりもずっとフランス語っぽいんです。
アクセントの問題が多いんですけれどもね。
例えばですが、
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
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文化史的な出来事と英語の単語の流入ということとの絡みですね。
この辺り数日話題になっていますが、本当に面白いところですよね。
まさに外面詞と内面詞が交わるところというようなところで、
フランス語と英語とのコネクション、あるいはイタリア語と英語とフランス語とのコネクション、三角関係みたいなところも含めて、なかなか深掘りしがいのある話題かと思います。
今後もこの辺りアンテナを張りつつですね、取り上げていきたいと思います。
それでは今週も頑張っていきましょう。
週始めの月曜日、今日も良い一日になりますように。
堀田隆一がお届けしました。また明日。
11:51

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