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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜ、の著者の堀田隆一です。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語史をお茶の間におもっとに英語の歴史の面白さを伝え、ストーンを広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は2026年4月18日土曜日。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
私、今イギリスはスコットランドのアバディーンに滞在しております。 こちらでですね、街歩きしながらいろいろと英語史ネタがないかなと探しているところなんですけれども、
まあたくさんありますね。 そのうち今日はメインの一つお話ししたいと思います。
アバディーンの街にあふれるチェーチならぬカークです。 どうぞよろしくお願いいたします。
現在私、スコットランドのアバディーンという街に滞在しております。 スコットランドはこれまでもですね、留学等で経験があるわけなんですけれども、アバディーンの街は私初めてでして、
こんなにいい街だったのかというのをですね、知って感激しているんですね。 もうこちらについて1週間ちょっとぐらい経つわけなんですけれども、
4月の終わりにはまだ寒くてですね、 だいぶ冷えるわけなんですけれども、街としては本当に素晴らしい、
いろいろ面白いものを持っているなというふうに感じているんですね。 さあ、この街もスコットランドの第三の街ということですね。
一つの街なわけなんですけれども、スコットランドならではの言語景観といいますかね、英語の風景が街を歩いていてもいろいろと飛び込んでくるんですよね。
一つ一つが英語しネタなんですよね。 スコットランド英語ネタという言い方もできると思うんですけれども、
歴史的に考えるとこれを英語しネタと言えると思うんですね。 その中でもっとも目につくと言いますか、
このスコットランド英語を街の中で感じる瞬間というのがありまして、その最たる一つだと思うんですよね。
これが今日ご紹介するkirkという単語なんですね。 綴り字で言いますとk-i-r-k、kirk
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ということなんですが、これはですね、 北部イングランドであるとかスコットランド英語のような
ブリテンとの北部で話される英語に特徴的なんですけれども、kの音を持っているんですね。
kirkという風に、一語の中にゴトーとゴマツニケイが2回現れていますが、これが南のイングランドの、いわゆる標準英語においてはkの音が
チュッという音になるんですね。 これは古英語時代、古英語以前の時代ですかね、に起こった変化で、大元はkなんです。
kの音なんです。これがある条件下と言いますと、前後にですね、前母音であるとか前寄りの音があると、このkの音自体も前寄りになりまして、
この前寄りになることを、公害化というように音声学英語史では言うんですけれども、公害化、パラタライゼーションを起こして、
南の方言ですね、現代の標準英語につながるような南部、イングランド南部の方言では、大元のkはチュッに化けるという変化がですね、起こったんですね。
公害化というふうに言いますけれども、そしてもちろんですね、これはスペリング上は現代ではkではなくて、チュッの音になったということで、chで綴られることが多いということなんですね。
で、実際、教会を意味する現代英語の標準的な綴り字は、chに対応して、chですね。churchというふうに、語頭と語末に、このchの音に変わったことを示す、chの綴りを使うということになっているんですね。
ただ、この変化を受けていない、南部の英語では、古英語あるいは古英語以前にこの変化が生じたということで、現在ではchで綴られて、churchなどとなっているんですが、北部方言ではこの変化が起きていないんですよね。
そうしますと、chのまま留まっているということで、つまりchurchはですね、大元の語源形の通りkirkのままなんですよ、発音が。
そうするとですね、綴り字以上もこれに合わせたものが一般的になっているわけでkirkとなっているんですね。
ですので、北イングランドであるとか、スコットランドの街を歩きながらですね、教会に出くわすと、これはですね、大体churchではなくkirkという名前がついているということなんです。
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各街の重要な観光資源になっているのが教会ということなんですね。
大きな教会、カテドラルなどで言いますと、これはもちろん、本来的にはChristianの信仰の場ということになっているんですが、
建築的にですね、非常に僧侶なものが多かったりしますので、これは観光資源ともなっているということなんですね。
スコットランドでもこの観光資源としてのchurchならぬkirkという存在がありまして、アバディンの街でも非常に多くの有名な教会があるわけですよね。
とりわけ、街の中心部にあるのがkirk of saint nicholas、聖ニコラス教会というものがありまして、これが街のど真ん中なんですよね。
周りにショッピングモールなどがあって、それに囲まれる形でひっそりと歴史的な聖ニコラス教会があるというような、そんな佇まいなんですけれどもね。
こちらkirk of saint nicholasと呼ばれていまして、これ、churchではないんですね。kirkなんですね。これは北部の発音をちゃんと受け継いだ形でですね、スコットランドではそう呼ばれているということなんです。
でですね、なぜkの音が残っているのかというこの説明はですね、二通りあり得ると思うんですよね。
大元はkだったということはまずですね、認識していただきたいんですね。
これが南イングランドでは公害化して宙になったから今churchなんだということなんですが、北部ではこのkが未だに残っている。
これは一つの考え方によりますと、南部のような公害化が起こらなかった、つまり何にも起こらないまま元々のkがそのまま生き残ったものであるというのが一つ考え方なんですね。
非常にストレートでわかりやすいですよね。
もう一つの考え方は、南と同じように公害化の機運は北部とてあったんだと。
それでもkの状態に保たれているのは、ではなぜかと言いますと、8世紀後半以降にコーノルド語を話すバイキングたちがイギリスにやってきて定住したりですね。
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侵略もありましたが侵略定住という形でやってきた。
そしてそのバイキングたちの言語、コーノルド語はいろんな形で英語に影響を与えているということなんですね。
とりわけコーノルド語を話すバイキングたちがやってきた地域というのはイングランドの北東部なんですよね。
東部海岸、北部海岸ということで、もちろんスコットランドもその一部ですので非常に色濃くコーノルド語の影響を受けたということなんですが、
コーノルド語では大元のクの元を保持しており、南部英語で起こったような公害化、クからチュへの変化というのは起こっていないんですよね。
北欧語では起こっていない、コーノルド語では起こっていないというそのクークですね。
境界を意味する単語であればクークというこの形がコーノルド語にも入っておりましたので、
これが8世紀以降に英語に、とりわけ北部方言とかスコットランド方言の英語に入ってきた。
これがコーノルド語由来のカークということなんですが、それを横目に見ながら北部スコットランドの英語話者はクからチュに変化する機運を失ったといいますかね。
影響の強いコーノルド語でクのままだったので、そこに引きずられる形で大元のクを保つモチベーションといいますか、保つ力が非常に強かった。
なので、チュに変わるというきっかけがなかった。だからこそ現代ではスコットランドでクの発音が残っている。
チャーチではなくクークなんだと、こういう説明があり得るわけなんですよね。
おそらくですね、こちらの後者の説明ですね、つまり入ってきたコーノルド語がカークというふうにクを持っていたので、それを参照してといいますか、それに引きずられる形で非常に影響力が強かったので、スコットランド英語では結局ですね、チューチにならなかったと。
クのまま据え置かれた。据え置かれるだけの十分なモチベーションがあった。コーノルド語のクの発音によってクの音が守られたと。そんなふうな解釈ですね。OEDはこちらの方ではないかなというふうにとっているようです。
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このようにですね、スコットランド英語には北欧語、コーノルド語の影響が非常に強いということがあって、コーノルド語に対応した発音上ですね、対応する形の単語がいまだに多く残っているんですね。
そして南イングランドのいわゆる標準的な英語とは異なる発音を持っているというものが多いんですね。ここには8世紀以降バイキングが進行してきた。その言語上の影響というのが今の今まで残っているというふうに、このように考えるのが一番自然かなというふうに思うんですよね。
そんな思いでですね、スコットランドにはカークが多い、そしてアバディーンにもカークが多い。それはですね、ちょっと分かった状態で街歩きしていたんですが、ちょっと面白いことに気づきましたね。
これはですね、地図上もといいますか、現地に訪れてそこにあるサイン、標識ですよね。そこでもカークオブセイントニコラスであるとか、その庭はですね、教会の庭、これチェーチアードというのが一般的な標準的な表現なんですが、スコットランドではカークヤードになるわけですね。
チェーチアードではなくカークヤードになるんですね。で、セイントニコラスの教会においては、アバディーンの街のど真ん中にあるこの教会に関しては大体カークで通していると思うんですが、ちょっと郊外に行きましたね。
で、もう一つ非常に有名な、このアバディーンの街の極めて古くから、中世から残る要塞化した教会が郊外にありまして、これがですね、Kirk of Saint Mahaというものがあるんですね。
Kirkという、チェーチに相当するスコットランド版がありまして、この発音でですね、紹介されているんですが、その教会に行ってみたんですね。そうするとですね、一番その手前の入り口と言いますかね、一番正式なところって言うんですかね。
そこではですね、Church of Saint Mahaという風に、Churchとあったんですよね。で、これつまり標準英語で書かれているんですが、ただですね、一歩その教会の中に入りまして、その中の案内を見ると、Kirk of Saint Mahaという風にKIRKという綴りがあったんですよ。
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これ一番外側の、外から入る、一番人の目につくところは標準英語で書かれていて、ただ一歩中に入ると、現地語的なKIRKがですね、確認されるということは、これ一種のダイグロシアと言いますか、二言語併用状態に近い気がするんですよね。
一番外向きには、いわば観光資源として、イギリスの観光資源として、世界からやってくる観光客、みなに分かるように、Churchと書いてあるけれども、一歩中に入ると、ここは現地、アバディーンでですね、千年近くだと思うんですけれども、それぐらいの歴史のある、いわば地元として誇りのある教会として、
その教会ということで、現地の鉛と言いますか、スコットランド系の綴り、発音を反映したKIRKと書いてある。これまあ、あの一種ですね、二言語併用、ダイグロシアと言っていいと思うんですが、この使い分けみたいなところが、今回のこのKIRK OF SAINT MACHA以外にも色々と見かけるんです。
一番外側は、Churchであるとか、一般に通じるような標準英語の通りを使っている。ところが、一歩入ると、ローカル色豊かに、スコットランド鉛の英語の通りであるとか、発音が使用されているということを見てですね、これ結局正式名称どっちなんだっていうことになるんですよね。
これ、Googleマップであるとか、正式っぽい地図で見るとですね、Churchになっていたり、いや、それでもやっぱりKIRKになっていたりっていう風に揺れが見られるんですよ。
なので、この揺れっていうのは、面白いな。ただの発音綴り時の揺れというよりはですね、社会的な意義があると思うんですよ。どっちで書くかによって、誰を対象としているのか、世界から来る観光客を対象にしているのか、それとも地元民の教会として内輪的に考えているのかということで、CHなのかKなのか。
特にこのChurchという単語はですね、そしてそれが表すインスティテューションとしての建物であるとか、教会の組織としての教会ですよね。これは非常に文化に根差しているということで、しかも言語上も頻度が高いということで、いろいろ出会う機会が多いんですが、
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これはChurchなのかKirkなのかっていうのが、これどっちが正式なのか、スコットランドの教会においてはちょっとわからなくなるような状況なんですよね。南のイングランドだととにかくChurch一つしかないので、それでずわっと名前が定まるわけなんですが、
北のイングランドであるとかスコットランドにおいては、Kirk of Honiaraが正式名称なのか、あるいはChurch of Honiaraが正式名称なのか、これ地図の上でもですね、どうも混乱が見られるようで、この事情をですね、今回目の当たりにして、
これは一種の大黒子や問題として語ることができる話題なんではないかなというふうに思ったりしました。
南の標準英語、そして北のスコットランド英語。
そしてさらにその背景には、コーノルド語という千年ほど前の言語も関わっている、この3者が取っ組み合いをしながらですね、何が本当の名前なのか、この辺をもしかしたら争ってきた歴史というふうに見ることもできるのではないかと。
こう見るとスコットランド英語もですね、なかなか面白く味わうことができるのではないかと思った次第です。
なので今日もですね、街中のいくつかの教会の前を通ったり、中を通ったりしたんですが、これはチャーチなの?カークなの?という、これ何の問題と言ったらいいんですかね。
こんなことに悩みながらと言いますか、関心を持ちながらワディンの街をですね、今日も練り歩いた、そんな1日でした。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
とてつもなく文化的な語であるチャーチあるいはカークですね。文化的と言いますか、宗教的と言いますか、歴史の中にも根付いていますし、そしてこの日々の生活ですね。
現代のこのワディンという街の日々の生活の中でも、もちろん人々のですね、精神的な支えとなっているこのキリスト教、それを支えるインスティューションとしての、組織としての教会、この名前がチャーチなのかカークなのかという、この辺の問題はですね、南のイングランドには対応する問題はないと思うんですが、
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北のスコットランドだからこそ、これどっちで呼ぶの問題というのが発生するのかなというふうに思ったりして、これは英語史の醍醐味だなと思いますね。
10世紀ほど前に1000年ほど前にバイキングが襲ってこなかったらこんなややこしい問題にはならなかったのかもしれないなと思いますと、これは現地で味わう英語史の話題ということでですね。
皆さんとも共有したいと、この話題ですね、共有したいと思った次第です。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、英語史研究者のホッタリウイチがお届けしました。
また明日!