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いかがお過ごしでしょうか。 本日お届けする話題は、【spell】と【gospel】の【お話し】です。どうぞよろしくお願いいたします。
新著のお知らせ
本題に入る前に、新著のお知らせです。 昨日の放送609回なんですけれども、聞いていただけましたでしょうか。
家入洋子先生との対談 新著 文献学と英語史研究 開拓者を紹介します というタイトルで、著者2人が直々に新著のご案内をいたしました。
まだお聞きでない方は、ぜひ昨日の放送609回聞いていただければと思います。
この本は開拓者より出版されまして、この1月12日に一般発売となっています。
文献学と英語史研究、著者は京都大学の家入洋子先生と私堀田隆一となっています。
昨日の放送で詳しくお話ししましたけれども、こちらは英語史研究のガイドブックという内容の本となっています。
英語史を研究する方、研究を志す方に過去40年ほどの研究の動向と今後の展望を整理して示すという趣旨の本です。
レファレンスにも使えますし、できれば通読していただきたいというふうに思いつつ、執筆した本です。
やや専門性が高い内容の書籍ではありますが、このチャンネルのリスナーの皆さんの中には関心があるという方も決して少なくはないと思いますので、ぜひ手に取っていただければと思います。
文献学と英語史研究、詳細につきましてはこのチャプターに本書を紹介する記事へのリンクを貼っておきますので、そちらからご参照ください。
そして改めまして、昨日の放送会609回もぜひぜひ聞いていただければと思います。
「spell」の語源と意味の変遷
以上、新聴のお知らせでした。
今日の本題はスペルとゴスペルのお話です。
きっかけは数日前にいただいたコメントです。
606回、英語のスペリングは漢字であるということで、英語のスペリング、つづり字について話題にしたんですが、このつづりを意味するスペリング、この単語自体に焦点が当たりまして、コメントご質問を寄せていただきました。
H74さんからこのようなコメントをいただいています。
スペルが名詞で使われるときには呪文という意味になりますが、つづることと大いに関係がありそうですね。
呪いの言葉をつづるから派生して呪文、呪いたい相手の名前をつづるから派生して呪文など、この点についてもご教示いただければ幸いです。
ということで、さらに関連してユキさんからもスペルという単語について質問いただいています。
スペルという単語には天気予報などで使われるひとつづきの期間という意味もありますよね。
辞書を見ると3つの意味はそれぞれ語源が違うようなのですが、どのような経緯で同じスペリングになったのか教えていただけたら嬉しいです。
というように、このスペルという単語について質問をいただいたということで、今日はこれに関する話題をお届けします。
まずですね、この単語はスペルという今の形とほぼ変わらない形で、古英語からありました。
そしてその時の意味はですね、話とか言葉という意味なんですね。
さらに古い歴史ははっきりとはしないんですけれども、インドヨーロッパ祖母の述べる、口に出して言う、唱えるほどの動詞の語感が大元にあったのではないかと考えられています。
古英語ではいずれにせよ話、言葉という意味で通常の名詞として使われていたんですね。
ストーリーぐらいのものです。お話っていうことです。
話、言葉という意味で古英語で始まり、その次の中英語にもこの意味が続きました。
そして中英語になるとですね、これがいわば品詞転換ですね。ほぼ同じ形で動詞形として使われるようになります。
厳密に言いますと中英語では動詞形にはenという語尾をつけたのでスペルレンという形ですね。
ただこのenという動詞語尾はですね、そもそも落ちることも多かったために、結局名詞と同じような形でそのまま動詞化した単語が現れました。
普通に考えれば名詞形が話、言葉ということなので話す、口に出して述べるぐらいの意味になりそうなものなんですけれども、
この動詞化した、品詞転換した意味はですね、一字一字拾い読みするという意味になったんですね。
つまり文字を口に出すということです。そこから綴るという意味も派生的に現れてきました。
これが今の動詞スペルですね。綴るという動詞につながっています。
こうして綴るという動詞の意味が定着しますと、当然それにing形をつけていわば動名詞ですよね。
動名詞を作って綴ることという意味になり、転じて綴り方、そして綴りという今のスペリングの意味に発展してきたということなんですね。
ただこの今のスペリングという意味はですね、あくまで近代英語記になってからのことでですね、割と新しいものだというところがポイントですね。
今までのところよろしいでしょうかね。もともと小英語でスペルはお話、言葉という意味があった。これが中英語まで続いた。
一方中英語記にはこれがそのまま動詞へ品種転換したスペレンという単語、綴るという意味が発生しました。
「spell」の「呪文」と「一定期間」の意味
そしてこの綴るという動詞をもとにスペリングという単語が生まれ、近代英語記には綴り、スペリングという意味に発展したと。こんな流れですね。
さて、一方でもともとの話、言葉を意味していた小英語のスペルなんですけれども、ずっと後の近代英語記になってこれが呪文という新しい意味を獲得します。
これもですね、本当にずっと時間が空いて、どういうわけかですね、16世紀に呪文という意味を獲得するんです。
いわばマジックスペルの意味ですね。魔力のあるお話、言葉ということです。文句ということで、このマジックの意味がいわば付加されるということになったわけです。
この意味での初出はエドマンド・スペンサーとなっています。1579年です。
急に現れたようには見えるんですけれども、ただですね、ここにつながる流れといいますかね、伏跡みたいなものは、実は14世紀後半の調査にですね、確認することができるんです。
カンタベリ物語という調査の代表作の中のですね、コナヤのお話というお話がありますね。ミラーステイル。この中でナイトスペルという表現があるんですね。夜に唱える文句、これがまさに呪文的な風味で、その文脈で使われてるんですね。
この話の中で天文学者のニコラスがですね、曲がりしている家の主人ダイクなんですけれども、この人を鎌倉化そうとしていろいろと策を講じるんですけれども、このダイクがですね、ニコラスのことを気が触れてしまったのではないかと心配して、いわばお守りの呪文を唱えるというシーンがあるんですね。
ダイクが夜のスペルですね、文句を唱えるというシーンがあるんですが、これは明らかに文脈上呪文っぽいわけですね。この辺り、ナイトスペルという言い方は既にあったということで、このナイトの部分がなくなってもスペルを唱えるというシーンがあるんですね。
このナイトスペルはそれ自体で呪文、マジックスペルを意味することになったということだと思います。
さて、このように話、言葉に由来するスペルがある一方で、もう一つですね、全く別語源のSPELL、現代でも同じ綴りなんですけれども、ひとつづきという意味のスペルがあります。
全く異なる語源です。コメントいただいたように、天気について使われることが多いですかね、a longspell of cold weatherのような言い方、あるいはですね、a spell ofcoughing、咳がひとつづき続くという際の表現で、a spell of coughingみたいな言い方もありますけれども、ひとつづきという意味があるんですね。
これはおそらくですね、はっきりしないんですが、古英語にあったスパラという単語、あるいはイエスペリアという単語ですね、これと関係があるのではないかと考えられています。
「gospel」の語源
これらの単語は、交代要因、変わるべきもの、代用品ということなんですけれども、この辺りが起源となって、交代するもののひとつづき、順繰りに交代して一連のあるプロセスになるというような、そんな意味合いが発達したのではないかというふうに考えられています。
いずれにせよ、話、言葉のあのスペルとは全くの別系列であるものが、後に発音上、そしてつづり次上を一致してしまって、いずれもスペルとなったと考えられます。
リスナーへの呼びかけとエンディング
最後にひとつおまけなんですけれども、ゴスペルという単語がありますね。ゴスペルという単語ですけれども、これ福音書、聖書の福音、福音書という意味になりますけれども、これはですね、実は古英語のゴードスペルにさかのぼるんです。
複合語なんです。good spell、つまりgood story、良いお話ほどの意味に過ぎないんですね。これがどんどん短くなってゴスペルになってしまったということです。本当は複合語、意味は単純に良いお話、神から贈られた良いお話というそれほどの意味なんですね。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日の話題は、リスナーさんからコメント、そして質問いただいた上でですね、これを取り上げようというふうにお題を選んだということで、皆さんの寄せていただくご意見等を通じてですね、日々のお題を考えるということは決して少なくありませんので、ぜひ普段からですね、どしどしコメントを寄せていただければと思います。
この1、2ヶ月で本当にコメント欄が大変盛り上がってきておりまして、皆さんにぜひコメント寄せてくださいというふうにこちらからもですね、呼びかけしているということもありますけれども、本当にですね、みんなで盛り上がってきている感じがしますので、ぜひまだですね、コメントしたことがないという方もですね、勇気を出して一言、面白かったためになったというところからで始めていただいて構いません。
なので、ぜひコメントを通じて参加していただく。ただ聞いているだけではなくてですね、参加していただけると絶対に楽しいはずです。
もしかするとですね、とりわけ比較的最近になってこのチャンネルを聞き始めた方の中には、コメントの機能がですね、VoicyにあるVoicyの画面ですね、流れてくるということ自体にもしかしたら気づいていない方もいるかもしれませんが、なかなかこれはですね、面白い交流の機会となっていますので、ぜひ毎日チェックしていただければと思います。
今日のこの放送会につきましても、ぜひコメント、ご意見をお寄せいただければ幸いです。そしてTwitter等でのシェアもお願いいたします。
それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、ほったりうちがお届けしました。また明日。