#1911. ダブリンの街角で英語が「2番手」になる理由
2026-08-23 20:17

#1911. ダブリンの街角で英語が「2番手」になる理由

【今日のひとこと】

言語景観から見るアイルランド語と英語のせめぎ合い

【ハッシュタグ】

#heldio #hel活 #ダブリン #言語景観 #2言語表記 #アイルランド語 #社会言語学

【参照URL】

https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2026-08-19-1.html


▼パーソナリティ、堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ。

- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491

▼2026年6月10日に本が出ました。発売前増刷決定。Amazon 新着ランキング「語学・辞事典・年鑑」「英語」「新書」3部門で第1位を獲得しています。

📕堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版〈NHK出版新書〉、2026年。

関連情報はワンストップで著者公式特設HPからどうぞ👇

https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/lp/nazesantangen/index.html

▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」の第20号が公開されています

- 第20号(2026年5月28日):https://note.com/helwa/n/nbcb5d662f7c3

▼2026年2月25日に、一押しの伝説的な教科書が新装復刊されます

📕市河 三喜、松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社、2026年。

- 本書の公式HPよりどうぞ:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10155519.html

▼heldio 入口プレイリスト 最新版(上位10本)

1. 「#1171. 自己紹介 --- 英語史研究者の堀田隆一です」 https://voicy.jp/channel/1950/nsefrco7tl
2. 「#444. 英語史を学ぶとこんなに良いことがある!」 https://voicy.jp/channel/1950/xh5nkkivxg
3. 「#729. なぜ英語を学ばなければならないの? --- 中学生のための英語史」 https://voicy.jp/channel/1950/hzowkzzoaq
4. 「#1. なぜ A pen なのに AN apple なの?」 https://voicy.jp/channel/1950/eg1ffa2pn2
5. 「#705. ゆる言語学ラジオにお招きいただき初めて出演することに!」 https://voicy.jp/channel/1950/fmstk5sb6g
6. 「#1474. ゆる言語学ラジオの『カタルシス英文法』で関係詞の制限用法と非制限用法が話題になり…」 https://voicy.jp/channel/1950/4w2kl8zgfl
7. 「#1607. 英語帝国主義から世界英語へ」 https://voicy.jp/channel/1950/j8ktxr4px3
8. 「#1576. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック with 小河舜さん」 https://voicy.jp/channel/1950/xg195k9qdq
9. 「#1581. 歯科医学×英語史 with 無職さん --- 『英語史ライヴ2025』より」 https://voicy.jp/channel/1950/4th1404k03
10. 「#406. 常識は非常識、非常識は常識 --- 私の海外体験の最大の成果」 https://voicy.jp/channel/1950/8q0i86tmgp

▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています

- https://voicy.jp/channel/1950/premium

▼hel活のハブ The HEL Hub のホームページが2025年10月18日よりオープンしています

- https://user.keio.ac.jp/~rhotta/helhub/
- heldio, helwa はもちろん hellog や YouTube 「いのほた言語学チャンネル」などの様々な媒体での英語史コンテンツの新着が日々集まってくるページです。毎日複数回更新されています。
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

00:00
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜの著者の堀田隆一です。
去る6月10日、NHK出版新書、英語史で解く英文法の謎、なぜ三単元のSをつけるのかが発売されました。
発売前増殺がかかりまして、今全国つつ裏裏にて第2釣りが並んでいます。大変ご好評いただいております。ありがとうございます。
英語の語源がミニツクラジオヘルディオ、英語史をお茶の間におもっとうに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は2026年8月23日日曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
8月ももう下旬となりまして、あと1週間余ということですね。日本の方はまだ残暑が続いているかと思います。
ダブリンの方は少しずつ気温が冷えてまいりまして、9月というともうすっかり秋というのがこの北西ヨーロッパですね。
ただ快適ですね。大変快適な陽気で、これ以上気温低くなるとちょっと肌寒いかなという、ここで止まってくれればいいのにと思っておりますが、
今日もですね、ダブリンのリフィ川沿いに朝のジョギングをしながらですね、その途中休憩ということで屋外で撮っております。
今日の本題はですね、今ここで収録しているダブリンのリフィ川沿いなんですけれども、ここから見える景色と関連する話題です。
ダブリンの街角で英語が2番手になる理由と題して、ダブリンの言語景観のお話をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
私は現在アイルランドのダブリンに滞在しておりまして、毎朝市内を流れるリフィ川沿いをジョギングしているんですね。
ダブリンの朝は風がとても爽やかで気持ちがいいんですけれどもね、走りながら街の景色をいろいろ眺めているわけなんですが、目に飛び込んでくるものがあるんですね。
それは街中の看板だったり道路標識だったりするんですね。そこには文字が書かれている、言葉が書かれているっていうことも多いので、
このような目に見える言葉の空間、主に文字ですけれどもね、これを言語学では言語景観というふうに呼んでいます。
03:07
linguistic landscapeと呼んでいるんですね。このヘルディオでも何度かですね、この言語景観の話題を取り上げてきたかと思うんですけれども、
今日はこのダブリンの街中で見られる言語景観、とりわけアイルランド語と英語の閉域という問題ですね。
アイルランド共和国の公式な言葉、アイルランド語と英語、この2言語があります。
圧倒的に英語優位で、一般的に人々は英語を話して暮らしていることがほとんどなんですね。
アイルランド西部のゲールタハト、ゲールというのはケルト語であり、具体的に言えばアイルランド語のことなんですけれども、
これが話されている地域というのは未だに残っていますが、それも人口比でいうと一桁台と言いますか、本当に2%、3%というところでしたかね。
ただ、この国の象徴的な、そして伝統的な言語としてのアイルランド語、アイリッシュですね。
この言語へのリスペクトと言いますか、教習の思いというものも詰め込まれていると思います。
象徴的な意味合いでアイルランド語が持ち上げられているというような状態なんですね。
社会言語学的には非常に面白い、興味深い現象なんですけれども、この2言語が公的な場では閉域されているというのがダブリンなんですね。
アイルランド一般について語りたいんですが、まだ私アイルランドをいろいろと旅して回っていないので、
とりあえず今目に見えるところ、ダブリンのリフィ川沿いの標識等の言語景観ということで、ぐっと狭めてお話ししたいと思うんですけれども、
この観察機、観察録みたいなものを皆さんとシェアしたいと思います。
言語景観ですね。社会言語学などで非常によく研究されている分野です。
ある地域や街角においてですね、看板であるとか道路標識、広告案内表示などの資格に訴える言葉、つまり文字なんですけれどもね、
がどのように配置されているのかであるとか、どの言語がどのような順序で並んでいたり、さらにフォントとか大きさとかですね、デザインみたいなもの、
これを観察分析することで、その社会、その街における言語政策であるとか、住民のアイデンティティ、そして複数の言語が関与する場合には、
06:04
その言語間の力関係を読み解くというような分野なんですね。
東京なども非常に面白い例で言語景観の研究も進んでいると思うんですが、
今私が滞在しているアイルランドの首都ダブリン、ここはですね、先ほど述べた通り二言語兵器ということが建前なんですね。
なので街中を歩いたり走ったりしているとですね、公共性の高い標識、具体的に言えば道路標識ですよね、交通標識ですけれども、
原則として徹底して二言語兵器が取られています。
その際に面白いのがですね、まず最初にアイルランド語が来るんですね。
これはケルト系の言語です。
英語と同じインド、ヨーロッパ語族に属するとはいえ、全く異なるケルト語派に属します。
英語はゲルマン語派ということで、基本的に一語も一文字もお互いに通じないぐらいに離れている言語です。
このアイルランド語がまず書かれていて、その次に英語が書かれているっていう二言語兵器なんですね。
例えば駐車禁止や一方通行などの道路標識ですよね。
もちろん絵文字といいますか、ピクトグラムで書かれることも多いのですが、あえて文字で、言葉で補うというケースには基本的にアイルランド語が先にあり、そして英語が次にあるということですね。
他に通り名ですね、ストリートの名前が書かれたプレートというのが街角にあるわけですけれども、それもこの順番での二言語兵器。
他にはバス停の運行情報とか駅の案内板という交通系は基本的に二つの言語で書かれているんですね。
面白いのが先ほど申し上げた並び順なんですよ。
第一にアイルランド語、第二に英語という順序になっているんですね。
つまり縦長の掲示板みたいなものに表記される場合、まず上にアイルランド語が置かれるんですよ。
横長の場合は左にということですね。
その下とか右側に二番手に英語が配置されるというルールが徹底されているんですね。
これよく考えると非常に興味深い現象なんですよね。
なぜかというと、現代のアイルランド、特に首都ダブリンにおいて、
街中で最も広く通用し人々の間で日常的に使われている言語は英語なわけですよ。
アイルランド語分かりませんという人が多いわけですね。
移民も多いですし、観光客も非常に多いです。
09:02
とすると明らかに情報を伝える手段としての、媒体言語としてはですね、
英語の方が圧倒的に利便性が高い。
だけれどもこれが二番手の位置になっているということなんですね。
街中の情報表示において、市民や観光客のほぼ100%が瞬時に理解できるのは英語の方なのに、
その英語を差し置いて、アイルランド共和国の象徴であり、歴史的なアイデンティティを体現している
アイルランド語の表記が最上位に置かれるということになっているわけですよね。
とするとですね、実際に私、歩行者とかランニングしている人たち、あるいは車運転するときは
ドライバーとしてですね、その看板や標識から情報を素早く読み取りたいというときには、
何をするかというとですね、これちょっと面白い現象が起こってくるんですね。
標識を見る動機っていうのは基本的な実用的な情報処理なんですよね。
ここ車止めてもいいのかなとか、何番のバスが来るのかなみたいな感じですよね。
ところが最上段を見るとアイルランド語ですぐに理解できない。
私はアイルランド語を勉強していませんので、とりわけ私はわからないので、
もう数週間住んでいるとですね、無意識のうちに2段目であるとか、
下の方に配置されることが多い英語表記の始まり、
どこからが英語表記なのかなっていう始まりを探す癖がついてくるんですね。
視線の動線にワンクッションあるんですけれども、それを探すっていう癖がついてくるんですよね。
ここにですね、国家的なその象徴性をアピールしたい公式の言語制作というものと、
素早く要件を済ませたい、実用的な情報処理との間のちょっとしたギャップがですね、
垣間見られるっていうことになるんですよね。
ただですね、街中のすべての公共物にこの2言語表記が徹底されているかというと、
実はまあそうでもないというのがですね、観察しているとわかっているので、
これ面白いところなんですね。建前上はこれ徹底したいということなんだと思うんですが、
実際そうなっていないっていうことですね。
例えばですね、ジョギングの途中で先ほども見かけましたが、
街角にですね、設置された公共のゴミ箱ですね。
ポイ捨てしないで、ここにちゃんと捨ててくださいね、みたいなことなんですが、
ここは英語のみのモノリンガル表記、つまりアイルランド語は書かれていないっていうことなんですね。
公共性は高いと思うんですよね。
12:03
なんでここでは一言語、モノ言語、モノリンガルなのかと考えると、
スペースの物理的な制約、文字を書くというのは、しかも目立つように書くにはですね、
それなりにそのものの上に文字を書き込むスペースが必要ですよね。
その物理的な制約っていうのもあるかもしれません。
それ以上にですね、地元民だけでなく観光客も含めた全ての人に確実にここにゴミを捨てさせる、
ポイ捨てさせないという極めて植物的なというか実用的な動機づけが優先された結果かもしれませんね。
さらに公共物から一歩離れて商業空間というんですかね。
商業的な看板になりますとまた景色は一変するんですね。
お店の看板、ヤゴも含めてですけれども、民間企業の広告においては、
通行人に商品やサービスを認知させて、購買行動につなげるっていうことが最重要なわけですよね。
そうすると圧倒的な通用度を誇る英語が堂々と前面に出てくるわけですよね。
アイルランド特有のお土産屋さんみたいなものだとまた状況は別かもしれませんけれども、
一般の商業空間では圧倒的に英語モノリンがあるということになりますね。
つまり公共性に対して商業性という、完全に対立する軸ではないと思います。
バッティングする軸もあるかもしれませんが、
そのあたりのバッティング度合いとか軸のどちらによりウェイトが寄せられているかによって、
この二言語表記のあり方も揺らぎがあるというところが言語景観、
ウォッチャーとしては面白いところなんですよね。
他にこれは私の推測なんですけれども、標識が設置された年代とかタイミングですね。
これもおそらく無視できないだろうと思うんですね。
公共の看板や標識というのはある時に一気に変わるということはなく、
普通は徐々に変わっていて、新旧が入り混じっているのが現実ではないかと思うんですよね。
その時代時代、例えば5年10年単位でその国、町、市の言語政策が変わってくるかもしれません。
どの程度強力に推進されているか、しかもそこに予算というのも関係してきますのでね。
標識を作ったりするのに、さらに市民の意識であるとか、観光客、外国人の動向といいますかね、
どれくらいの人々が来ているのか、多くなれば英語の方が通用しやすいだろうしとか、
いろいろとあると思うんですよ。
明らかに標識を見ると、新しいものから古いものというものがありますので、
15:03
数十年前に建てられた看板と、最近新設された案内板とでは、
表記のフォントの扱い方とか、レイアウトのバランスも含めて微妙なズレがあるということは、
これは見ればわかるわけですよね。
町の言語景観というのは、一斉に塗り替えられるものではなく、
新旧が地層のように積み重なっているからこそ味わい深い。
ただ、分析は難しくなるということだと思うんですよね。
このように、ダブリンの街角、とりわけリフィ川沿いの限られた視界で、
私が目にできる範囲内での観察を数週間続けたところなんですけれども、
まず基本原則、建前はアイルランド語を最優先として、
そして2番目に英語を置くという、これが公式の理想であるという、
そしてこれはアイデンティティを示す一つの方法として、
この二言語表記が取られているという、これが大原則なわけなんですが、
2つ目に、圧倒的に英語が優勢であるという現実に即した、
日常コミュニケーションの実態というものがありますね。
この場合、英語モノリンガル表記というのも決して少なくないわけですよね。
そして公共の看板化、商業的な広告化という、設置主体の違いと言ったらいいんですかね。
このあたりも考慮ポイントになるだろう、これが3点目。
そして4つ目は、物理的な表記スペースの問題、広さ狭さという問題であるとか、
設置年代という、これまた現実的なポイントですけれども、
そのあたりが複雑にパラメータとして絡み合いながら、
二言語表記にしたり、一言語表記にしたりということで、
バランスを取るというか、ある種の目的を達成しようとしているというところなのかなと。
この辺、完全にきれいに読み解くことはできませんけれども、
言語景観分析の面白いところかなというふうに思います。
これは本当に、首都ダブリンの限られた地域だけの話で、
今お話ししているということで、地方都市に行ったり農村部に行ったり、
さらには西部などに点在するアイルランド語が日常として話されているゲールタッハとの地域ですね。
このあたりに足を伸ばすと、また全く異なった言語景観のバランスが見えてくるのではないかな
というところでですね、訪れるのを楽しみにしています。
言語政策と言語の実態が街の景色にどのように刻まれているのか、
引き続きですね、私も足を動かしながらフィールドワーク感覚で観察を続けていきたいと思います。
18:08
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
目に飛び込んでくるこの言語景観。
これも言語学の研究対象として、今ですね、いろいろと盛り上がっているのではないかなと思いますね。
特に東京のように変わりゆく都市では言語景観も10年一昔という形でどんどん変化してきていますよね。
これを記録しておくだけでですね、20年後30年後に価値のある記録アーカイブになっていくのかもしれませんね。
皆さんぜひ言語景観関心をお寄せいただければと思います。
最後に絶賛発売中の新刊書なぜ三短言と関連しまして、なぜ三短言目撃マップ企画を展開中です。
有志の皆さんに本当にですね、ご協力いただきまして、ほぼ全国展開ですね、全国の日本地図上にですね、ピンが立っている状態です。
このピンの数をさらに増やしてですね、密度を高くするというのが目標の企画なんですけれども、
ぜひですね、皆さんお住まいの街あるいは訪れた街でですね、書店に訪れていただきまして、なぜ三短言がありましたらこのボイシーヘルディオのコメントでですね、
お知らせください。
Googleマップ上にピンを立てていき、日本地図をですね、なぜ三短言で埋め尽くす。
それによってお茶の間に英語史を広めていくという、これが企画の趣旨ということです。
またですね、この本、読了された方はぜひAmazonレビューなど各種のプラットフォームにて、本書のご感想をお寄せいただけますと幸いです。
それでは今日も皆さんにとって良い一日になりますように、英語史研究者のほったりうちがお届けしました。また明日。
20:17

コメント

スクロール