2025-12-17 44:44

#67

職場の環境や制度に「おかしいな」と感じた経験を持つ方は、決して少なくないのではないでしょうか。

けれど、その違和感を行動に変えようとする人は絞られ、さらに裁判という選択肢をとる人、ましてや「これは自分だけの問題ではなく、みんなの問題だ」と公共訴訟の形で声を上げる人は、ごくわずかです。

本シリーズでは、そうした「特別な存在」に見えがちな原告の方を、私たちと同じように迷い、働き、生活してきた一人の人として迎え、「公共訴訟の原告になるとはどういう経験なのか」を、丁寧に聴いていきます。

シリーズ第一弾のゲストは、千葉県の児童相談所・一時保護所で働き、労働環境の改善を求めて裁判を起こした飯島さん。
インタビュー前半では、裁判の話に入る前に、飯島さんがどんなきっかけで子どもと向き合う仕事を選び、どんな現場で、どんな声を聴いてきたのかをたどります。

学生時代に続けていた子ども電話相談のボランティア。
電話の向こうの子どもが自分で考えを整理し、電話を切っていく瞬間。
そして、一時保護所で、家庭を離れた子どもたちと寝食を共にする日々。


それらの経験は、「勇気ある誰かの物語」であると同時に、社会の条件が少し違っていたら、私たち自身が立っていたかもしれない場所を映し出します。

前回のエピソード(#66)では、哲学者リチャード・ローティの思想を手がかりに、「誰が当事者になるかは偶然であり、だからこそ他者の語りに耳を傾けることが連帯につながる」という視点を紹介しました。
今回はその考えを、抽象論ではなく、一人の人生の具体的な経験を通して確かめていく回です。

忙しい日々の中の、ほんの少しの時間。
この回だけでも、ぜひ耳を傾けてみてください。


()  オープニング/ゲスト紹介/「原告」として語る前に 

・CALL4フェスやシンポジウムで語る場を経験して感じたこと 

・経験を共有することの意味

()  「裁判の当事者」になる前の自分

・大学時代の子ども電話相談ボランティア

・相談の難しさとやりがい 

・言葉を返さなくても起きる変化

()  一時保護所という場所 

・どんな子どもたちが、どんな状況で過ごしているのか 

・職員の役割と過酷な労働実態

() 理想と現実のあいだで 

・「子どもの最善の利益」を図るはずの現場で感じた違和感

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