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2023-10-02 17:57

『火の賜物−ヒトは料理で進化した』NTT出版(2023/2010) /Catching Fire : How Cooking Made Us Human(2009)

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サマリー

『火の賜物−ヒトは料理で進化した』は、リチャード・ランガムによる書籍で、火の使用と調理が脳の進化に与える影響について述べられています。火を使って料理をすることで、消化器官の負担が軽減され、エネルギーを脳に賦与することができるようになり、効率的にエネルギーを摂取することができるようになりました。そのため、人類は料理によって進化しています。

火の使用と脳の進化
この番組では 本を 取り上げます。
これが 7冊目です。
書評を するわけでは ありません。
本の内容を 詳しく 紹介するわけ でもありません。
Listen to the voice of books という コンセプトで、
その本が 何を 言いたかったのか。
どんなことが 言いたくて この本を 書いたのか。
ということを 伝えたいということで 始めた 番組です。
今日は 火の賜物−ヒトは料理で進化した リチャード・ランガムという人の書いた本ですね。
これは 結構 前に 出た本です。
元の タイトルは キャッチング・ファイヤー 火をつかまえた です。
人類が 火を手に 入れたことで 何が 起こったのか。
How cooking made us human. いかに 料理が われわれを 人間に したのか。
という 本なんですね。
人類の進化 特に 脳が 巨大化したという時に 肉食が 始まったと、
それまで 霊長類は 草食が 基本だったんですよね。
木の実を 食べたりとかね。 それが肉食に 変わったことで 脳が 大きくなったという説が
有力だったんですが、
ランガムさんは そうではなくて、火の使用と そして料理、調理ですね、
火を使った 料理が 始まったことで 脳が 進化したんだということを言ったわけね。
ランガムさんは ハーバード大学の 生物人類学の 先生で 国際霊長類学会の 名誉会長で 霊長類の 権威なんですよね。
2009年に 最初に 本が出て
日本語に 翻訳されたのが 2010年。
最近、実は 2023年になってから 新装版が 出たんですね。
今年の 3月に 新装版が 出たんですね。
ある意味 再版ですよね。
それはなんでかというと、
その人が 2020年に 「善と悪のパラドクス 〜人の進化と自己家畜化の歴史」という 本を 出したんですね。
この本は 2019年に 元々の本が アメリカで 出ました。
その後 日本語版が 2020年に 出たのが 「善と悪のパラドクス」です。
これが 出たことで 火の賜物は 手に入りにくくなっていたので 新装版という形で 出たんですね。
この本は 実は すごい 画期的な本だったんです。
今は むしろ ホモサピエンスの脳が 巨大化して 進化した時に 肉食という説ではなくて
自己家畜化の仮説
ランガムの 料理仮説は ほぼ通説に なってるわけなんですが。
しかし 当時は そうではなかったんですね。
この人は なかなか すごい人だと 思います。
ランガムが 実は 2019年に 出した 「ザ・グッドネスパラドクス」 善のパラドクス 良いことのパラドクスというんですけどね。
善と悪は パラドクスの関係に あると。
人間 人類の進化における バーチュー、徳と暴力との間の 奇妙な関係、善悪のパラドクス という本を 書きました。
この本は 実は 自己家畜化仮説に基づいて それを全面展開した本です。
私は まだ 善と悪のパラドクスは 結構 高い本なので お金がないので 買えません、 というのは 冗談ですが。
そんなことで 読んでいないのですが
実は この自己家畜化という言葉は 前に このリッスントゥブックスの5冊目に紹介した 「人は家畜化して進化した 私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか」 という本を紹介したのですが
実は ランガムさんは この 「人は家畜化して進化した」を書いた人の ハーバード大学の大学院時代の先生、 指導教授だったんですよね。
実は その自己家畜化のアイデアは この前に紹介した ブライアン・ヘアーさんと バネッサ・ウッズさん
主にブライアン・ヘアーですが その方がそういうような考え方を言って それに自己家畜化という言葉を名付けていったのが むしろランガムさんなんですね。
リチャード・ランガムが、 これ本に書いてあるんですね、
「人は家畜化して進化した」の方に。 リチャード もうリチャードって書いてあるんですけど ランガム
もうファーストネームで読んでいるわけね 優しい先生なんでしょう
「リチャードが人の自己家畜化仮説と呼び始めた 私たちの仮説には」 という言い方があって つまりこのヘアーさんとウッズさんたちが
人の自己家畜化仮説というか、 そういう考え方を言って それに名付けたのがこのリチャード・ランガムさん。
今このランガムさんは 善と悪のパラドックスという本を出して この自己家畜化仮説をさらに展開するわけですね
その時にボノボとかチンパンジーとか 霊長類学をずっとランガムさん研究してきた人なんですけど
もう一つ注目したのが 友好的なキツネっていう これは結構有名なロシアの
実験なんですよね ベリャーエフさんの実験というやつで
優しい友好的なキツネをどんどん掛け合わせていって もう何十年もずっと掛け合わせていったわけですね
そうしたらキツネが家畜化していったと いうことなんですね
で、遺伝子的な変化が生まれたと。 特に面白いのが
例えば 犬も昔はみんな狼だったのに 今はいろんな
種類がいるじゃないですか
これは実は家畜化の結果なんだっていうんですよね。 他にも家畜化の特徴っていろいろあって
家畜化を研究した人はまだ他にもいて 例えばイノシシが豚になるとかね
いうのもそうですし いろいろ他にも家畜化された動物いるんですけれども
家畜化するとやっぱり性格がマイルドになる。 他にもそれだけじゃなくて
例えば犬だったら
いろんな毛色が出てきたりとか ブチのある犬が出てきたりとか
しますよね これがその例の友好的なキツネでもそういう 形質の変化っていうのが生まれてくるって言うんですよね
いっぱいあるんですけども他にも大きな特徴としては幼児化する ネオテニーって言うんですけど
いつまでも子供っぽいという 特徴も出てくる
他にも目の色が黒目 基本黒目なんですよね動物っていうのは
白目だと闇で目立っちゃうから だと言われているんですがそれが白目が出てくる
これは友好的になる証拠なんだとかね いろんなことが出てくるんです
この自己家畜化仮説っていうのは本当に説得力があって面白いんですけども
いろんなボノボやチンパンジーなどの霊長類研究の成果にも基づいているし 今言った友好的なキツネの実験とか
にも基づいててかなり進展しているんです これは結構時間のかかる実験になるんですけども
今この自己家畜化仮説っていうのはやっぱり 非常に有力な仮説、 いろんなことを説明する仮説になっているわけです
それで5冊目でちょっと紹介したんですが実はその大元に その本が生み出されるにあたっても
このランガムさんの存在ってやっぱり大きかった この「火の賜物〜人は料理で進化した」っていう
これタイトルが悪いから タイトルが悪いから言っちゃいけないけども ちょっと分かりにくいんですよね
だけどこれはもう人類の進化の謎の一つを解決した
すごい本なんですよね 火を使い料理を始めたことで進化した
私は逆に言うのは、いま人は火が扱えなくなっているわけね、 ライターとかマッチすったことがないとか火が怖いとかね
しかも最近はもう料理もしない みんなコンビニで買っちゃう お惣菜をスーパーで買っちゃう 料理ができない
火を使い料理をすることで消化器官の負担が減り、脳へのエネルギー供給が向上
火を使わずに使えなくなり料理もできなくなると人類はどうなるんだろうって まあそれは半分冗談のように言ってるんですが
それは冗談としても結局大事なことは、エネルギーなんですよね つまり火を加えることで消化が
容易になって。 消化に実はエネルギーがかかるんです
その例えば ゴリラとかオランウータンとかチンパンジーとかね
いった霊長類は結局生のまま食べるから 消化にエネルギーを使って脳にエネルギーが回せない
でも消化器官にエネルギーをあまりかけなくて良くなった。 火を使い料理をすることで消化器官の負担が減ったことでその分の
エネルギーを脳に回すことができた そして火を使って調理をすることで栄養価を吸収する
より効率的にエネルギーを摂取することができるようになった だから脳が進化したんだってね
まあそう言われてみればその通りなんだけど でもそういうことを言う人は実はいなかったんですよねそれまでね
でも今これはもう定説にほぼなってるわけなんですけれども まあそういう意味でこのリチャード・ランガムさんは、前々回
5冊目で紹介した「ヒトは家畜化して進化した」と合わせてね やっぱちょっと紹介したかったなということでお話ししているわけです
この自己家畜化仮説ちょっとわかりにくいんですけれども 人間の進化を考える上では非常に重要な有力な
説得的な仮説だし しかもこの自己家畜化の問題を理解すると人間の友好性と敵対性
あるいは暴力と寛容、トレランスですね、 の関係についても非常に考えさせられるわけですよね
だから現代においてもホモ・サピエンスが暴力的になったり寛容になったりするのはなぜか
あるいはホモ・サピエンスが敵対性を持ったり友好性を持ったりする
自己家畜化仮説と人間の進化、善と悪のパラドックス
ちょっと要するにパラドックスがあるわけです そこには善と悪のね この善と悪のパラドックスを含み込んだというか抱え込んだ存在としてのホモ・サピエンス
その本質的な部分 その謎は実はこの自己家畜化ということで色々見えてくるっていうね
そんな話になっているんで。 人間の理解をするときに
いろんな人間理解の学問はあるわけですけれども
人文学から 心理学から
哲学からねいろんな人間理解のための学問あるんだけれども今はやっぱり
遺伝子ですね
それから霊長類学
やっぱこういったものを根拠にしながら 人間の本質というのを考えていくことに非常に意味があるし
説得力もある と思うんでねもうこれは
やっぱり
何でしょうねもっともっと 知られていいし読まれていいという
ふうに思うし特に社会科学やる人 哲学やる人
心理学やる人 経済学やる人
いろんな社会科学的な学問 人文学的な学問をやる場合にやっぱり霊長類学
それからDNA研究 そして脳科学、神経科学
でもう一つは言葉、言語の本質に関わる 議論そして機械学習
AIですね人工知能 このあたりをやっぱり前提にしないと
人間のことそして社会のことは語れないんじゃないかと
まあ私は真面目に思っているので。それで私は政治学専門ですけれども
なんか最近はそんな本ばっかり読んでいるということでその一つの 人類のホモサピエンスの脳の進化
を可能にした 一つの前提としての火の使用
人は料理で進化した だから火の賜物っていうね
いいタイトルなんだけどちょっと一般には理解されにくい
日本語のタイトルかなって気がするんですが、そんな意味も含めて このNTT出版。結構高いですね3080円
もうちょっと安く売ってほしいね日本の本は高すぎるね ペーパーバッグかなんかで新書かなんかで作れば1000円ぐらいで作れるはずなのに。
文字数はそんな多くないんですよね まあそんなこと言ってもしょうがないですけれども
まあ今更読まなくてももう常識になっているので読まなくてもいいですが。 こんな本もあったんだよということで
だいたいこう仮説が 塗り替えられる時ってのはこういう感じで
かなりこう、なんだろうな
細かい論証というよりも いわゆる切り口というかねこういう切り口で
アプローチしたらどうだ。で、自己価値化仮説も同じなんだよね でこのやっぱりランガムさんってやっぱり切り口とか発想とかっていうのにすごく優れた人
なんだろうなぁと いうふうには思ったりしますね
まあ結構長くしゃべりましたリチャードランガム 「火の賜物〜人は料理で進化した」
の紹介でした ではまた
17:57

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