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#25 『太宰治 尊重すべき困つた代物』-文豪は「時代遅れの炎上系プロレスラー」だった
2026-07-24 23:43

#25 『太宰治 尊重すべき困つた代物』-文豪は「時代遅れの炎上系プロレスラー」だった

【本日紹介の一冊】

『太宰治 尊重すべき困つた代物』(ミネルヴァ書房、安藤宏・著)

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【エピソード概要】

「なぜ、今さら太宰治?」——教科書でおなじみの文豪が、まさかの「時代遅れの炎上系プロレスラー」として蘇る。今回取り上げるのは、東大名誉教授で太宰研究の第一人者・安藤宏さんの『太宰治尊重すべき困つた代物』(ミネルヴァ書房)。

文壇を「道場」、作家同士のやり取りを「リングネームの流通」と読み解くこの本を手がかりに、川端康成、佐藤春夫、井伏鱒二、志賀直哉との「四試合」を勝手気ままに実況中継。負け試合を続けたレスラーが、一周まわって最先端になる——太宰文学の熱狂と切なさを語ります。

 

【チャプター】

() オープニング/なぜ今、太宰治なのか

() 太宰は「時代遅れの炎上系プロレスラー」だった

() 太宰のルーツ——雪国の大富豪・四男坊のコンプレックス

() 芥川龍之介への憧れと、文壇=リングの思い込み

() 第1試合 vs 川端康成——巻物の手紙と一人芝居

() 第2試合 vs 佐藤春夫——掟破りの場外乱闘

() 第3試合 vs 井伏鱒二——受け身の怪物と「井伏さんは悪人です」

() 「一周遅れが、先頭になった」が太宰の真骨頂

() 最終決戦 vs 志賀直哉——命懸けの噛みつき

() 檀一雄『小説太宰治』——温泉置き去りと『走れメロス』誕生

() 津島美知子『回想の太宰治』——税務署には勝てない

() クロージング


【出演】

プレゼンター :栗下 直也

ナビゲーター :首藤 淳哉


【関連書籍】

小説 太宰治

回想の太宰治


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【収録場所】

⁠HamaHouse⁠ 


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サマリー

このエピソードでは、東大名誉教授の安藤宏氏による『太宰治 尊重すべき困つた代物』を紹介し、太宰治を「時代遅れの炎上系プロレスラー」と捉えるユニークな視点を探求します。太宰の生い立ち、青森の田舎で育ちながらも裕福な家庭に生まれ、貴族と百姓という複雑なコンプレックスを抱えていたこと、そして芥川龍之介への憧れから文壇を「リング」と見なし、自己を演じる場として捉えていたことが語られます。番組では、太宰が文壇の先輩たちと繰り広げた「4試合」を、プロレスになぞらえて紹介。川端康成との「巻物の手紙と一人芝居」、佐藤春夫との「掟破りの場外乱闘」、そして師匠である井伏鱒二との「受け身の怪物」とのやり取りを通じて、太宰の熱量と空回り、そして切なさが浮き彫りにされます。特に井伏との関係では、太宰が「井伏さんは悪人です」という言葉を残した背景が、彼の強烈な甘えと恨みの裏返しとして解説されます。太宰が時代遅れとされながらも、その独自性を貫いた結果、一周遅れで最先端となり、戦後の大衆の心に響いたことが、彼の人気を博した理由として挙げられています。さらに、志賀直哉との最後の「命懸けの噛みつき」や、檀一雄の『小説太宰治』、津島美知子の『回想の太宰治』といった関連書籍のエピソードも紹介され、太宰治の多面的で人間ドラマとしての魅力を深く掘り下げています。

オープニングと太宰治再評価の意義
こんにちは、BIBLIO JAM始まりました。 本日、ナビゲーターを止めます首都純也です。
こんにちは、本日のプレゼンターの栗下直也です。
この番組は話題の新刊ノンフィクションを じっくり深掘りしていくポッドキャスト番組です。
今日も、日本橋浜町のブックカフェ 浜ハウスからお届けしております。
今日は、まさかの太宰治なんですか?
そうです。
どうしたんですか?
いやいや、あの、ちゃんとシラフで紹介するんですけど。
はい。
今回ご紹介するのは、ミネルバ書房から出ている 安藤博史さんの
「太宰治、尊重すべき困った代物。 珍しく伏線めっちゃ張ってます。」
そうですね。
あのー、太宰治って言うとね。
正直、なぜ今、太宰治なの? っていうリスナーの方、多いと思うんですよ。
だけど、散々擦られてるじゃないですか。
擦られてますね。
もう、何百と多分。
そうですよね。
何百年過ぎかもしれないけど、 表伝もいっぱい出てると。
語り尽くされてるからこそ、 ちょっと読んでみようかなということで。
この本を読むと、結構ちょろっとかもしれないですけど、
人によってはガラッと、太宰治の見方が変わる。
とてもスリリング。一冊です。
太宰治=「時代遅れの炎上系プロレスラー」という視点
へー、表伝なのにスリリング。
そうなんです。
しかも、あのー、著者はあれですよね。
東大の文学系の結構名誉教授の方ですよね。
安藤博史さん。
太宰治論という研究でですね、 日本学史印象の受賞者。
いわばその、太宰研究の第一人称なんですけども、
多分おそらく皆さんが想像するのと違って、 作品の解説とかいうものではなくてですね、
他の文豪たちとの人間関係から、 太宰の本質を浮き彫りにしよう。
そういう一冊です。
結構やっぱり学位術的にはアリュートされているみたいなんですね。
あえてそこに移動。
でも面白そうじゃないですか。
安藤さんは言ってないんですけど、
太宰というのは何なのかというと、
結局は時代遅れの炎上系プロレスラーだった。
太宰治が時代遅れの炎上系プロレスラー。
そうです。それが本のメッセージというか。
もちろん誤解のないように言っておくと、
安藤さんは直接レスラーとは言ってないんですね。
太宰がレスラーとはもちろん言ってないんですけども、
ガチの義務性ですから。
ただこの本文の中にですね、
要はビングネームだとか、
文壇を公的な道場であるとか、
ほのめかしてですね。
本当は多分安藤さんも言いたいと思うんですけど、
やっぱり東大の名誉教授なんで、
ちょっとそれ言いづらいかなっていうのをほのめかしつつ。
大丈夫ですか?アカデミズムの方を勝手に自分の言葉に引きずり込もうとします。
お前の解釈だろって言われると、
ちょっとそうなんですけども、
まあそういうことでですね、
今回のポッドキャストではですね、
太宰治のレスラーとしての4試合を紹介したいと思います。
太宰のルーツ:コンプレックスと文壇への憧れ
それは面白そうじゃないですか。
まずですね、皆さん知っている方も多いと思うんですけど、
太宰って結局どんなんだっけっていう人もいると思うので、
ちょっとルーツをまず解説してください。
本書でもですね、先ほどおっしゃったように文豪たちとの関係っていうのがメインなんですけども、
冒頭には一応ちょっと表伝っぽく書かれてて、
ご存知の方も多いと思うんですけど、
太宰っていうのは青森のものすごい田舎です。
今の五所川らしで生まれて、
当時の人口は2000人っていう。
金木っていうね。
そうです。
東京から大体800キロ分あると。
雪が深くて、鉄道も通ってないんで、
冬とかソリで街まで行くみたいな。
そういうとこですね。
かなりの行ってみれば平気地だと。
そうですね。
ですからこそちょっと中央から距離があるので、
ある意味その東京の権威に対するジョッパリって書いてあるんですけど、
津軽弁で。
イジッパリ。
強い反骨精神があったと。
もう一個ある太宰の特徴としては、
これもご存知の方多いと思うんですけど、
家がめっちゃ金持ちだったと。
そうなんですよね。
僕もどれくらい金持ちかってそこまで正確に覚えてなかったんですけど、
県で4番目の納税者という。
昔の金持ちなんで、
今の金持ちとはレベルが違う金持ちで、
貴族院院まで上り詰めたんですけど、
ルーツをたどると、
もともとは百姓なんですね。
そこから言葉を選ばなければ、
金貸しなんかで申し上がっていったという家系なので、
自分の中にも百姓と貴族という複雑なコンプレックスがあったと。
なるほど。
もともとの自分はそういう百姓の出だっていうのと、
今はでもお金持ちだから、
両方のアイデンティティがあるわけですね。
そこがちょっと複雑だった。
複雑ですね。
おまけにですね、おまけにバックなんですけど、
彼が四男坊だったと。
なので金持ちなんですけど、
家を継ぐ必要性もなく、
これも津軽の言葉なんですけど、
おずかすとして育てられた。
おずかす、漢字でどういう字を書くんですか?
おじにかすです。
おじさんのかす。
すごい言葉ですね。
すごい言葉を使うなと思うんですけど、
だからその四男坊だからこそ、
心のどこかでダメな自分を叱責してくれる。
強い兄を求めるっていう、
独特の甘えがあったと。
あー、なんかちょっと文字の多才をソフトさせるような。
反骨精神がありつつ、
強烈に甘えん坊でもあるわけですね。
ちょっと若干もうめんどくささ見えてますね。
もうすでにめんどくさいと思うんですけど、
ちょっとまだプロレスラーになってないんで。
続けつつですね。
ど田舎に行つつもお金が腐るほどあるので、
お兄さんが東京の芸大とか行ってたんで、
そっから最先端の文学雑誌なんかを持って帰ったんですね。
そこでその大田沢は、
芥川龍之介でやって、
猛烈に憧れると。
芥川の持つニヒリズムのポーズや皮肉をですね、
田舎にいながら、
なぜかめっちゃ田舎なのに、
そういうものを全身にインストールしていくと。
なるほどなるほど。
ちょっと外側からインストールしていくっていうかね、
憧れることを吸収しちゃうんですね。
ここでちょっと大事なポイントが、
田沢へのそれからを占う意味でも大事なんですけど、
ここでそういった東京の雑誌なんかを読んで、
作家っていうのは小説を書けばいいだけじゃなくて、
当時の文壇っていうものが、
自分というキャラクターを演じて、
その雑誌上で、同人誌なんかで、
他の作家と渡り合ってみせると。
だから文壇っていうのはポーズが大事だと。
ポーズとポーズがぶつかり合うリングなんだと。
そういうことをダザインは学ぶわけですよ。
なるほど。
そして満を持して大学入学を機に上京して、
文壇デビューするわけですね。
そうですね。
第1試合:川端康成との「巻物の手紙と一人芝居」
ここからがプロレスラーダザインの新骨頂で、
まずダザインは自分をさらけ出して、
他社と雑誌で激しく渡り合うと。
昔自分が読んだ、その擦り込まれたノリのまま、
東京に殴り込みをかけると。
ちょっと若手ヒール乱入してきちゃったみたいな。
俺イケてると思って行くんですけど、
話していくことに時代はすでに変わってたんですね。
空回りしちゃうんだ。
よくありますよね。ノリがちょっと違うみたいな。
これも有名な話ですけども、
第1回アクター合唱の時にダザイン候補になるんですけども、
先行委員だった川端康成ですね。
後のノービル賞もあった。
がダザインの非生活を問題視するような選挙を出すわけです。
そうするとダザインは怒りますし、
これ来たと思うわけですよ。
猛烈な抗議文を雑誌に発表して、
ブチ切れんですね。
勝手に炎上処分ですね。
ダザインは雑誌で抗議する一方で、
死神という形で川端にアクター合唱をくださいと、
ねだるようなパフォーマンスを仕掛けるわけです。
有名な巻物状の手紙がね。
1mぐらいあるダラダラとアクター合唱くれって。
これもすごいプロレスっぽくて、
だって手紙でいいじゃんって話じゃないですか。死神だし。
ダザインはこうやって強い兄を挑発して、
プロレスをしたかったんですね。
でも悲しいかな。
先ほど申したように、
時代は変わってるんで、
川端は新しいダイナー作家なんで、
新感覚裸だからね。
そうなんです。何も反応しないわけですよ。
挑発に。
で、メディアが発達し始めた時代に、
ダザインがやってることは時代錯誤で、
相手のいない独り芝居になってしまった。
悲しい。
そういう悲しき炎上系レスラーなわけですけど、
第2試合:佐藤春夫との「掟破りの場外乱闘」
誰か相手してくれた人はいたんですか?
これがね、意外にいるんですよ。
さっき言ったように、
古い人はプロレスしてたんで、
ということでダザインは次、
古い人に行くわけですよ。
川端よりも少し上の世代で、
古い軍団の覚悟を持っていたのが、
佐藤春雄。
そうかそうか。
ダザインの師匠といえる存在ですよね。
一人ですね。
だから師匠なので、甘えていいってのもあったんでしょうけど、
佐藤春雄って結構最近はあまり聞かないですけど、
一時期は谷崎なんかと並ぶような感じで、
扱われていた時期もあったんですよ。
かつては文豪っぽい扱いをされた作家ですよね。
佐藤春雄も師匠なんで、
ダザインに金500円はやがて君のものになるよ、
みたいなハガキを送るんです。
金500円。
これは芥川賞の賞金は500円だったんです。
ちょっと芥川賞間違いないみたいなことを匂わせて。
だって君のものになるって言われるわけですよ。
ところが結局ダザインは落選したんですね。
まあめんどくさい相手にそういうことをやっちゃったわけですね、佐藤春雄も。
するとダザインは、
佐藤春雄からもらった師匠のハガキを、
そのまま自分の小説の中に引用しちゃうんですよ。
で、晒しちゃうんですよ。
晒しちゃうんですね。
それはルール違反というか、プロレスの枠を若干超えちゃってますよね。
プロレスの枠を超えてるんですけど、
たださっき言ったように、
佐藤春雄も昔の人なんで、
無視すればいいのに、
よっぽど頭にきて芥川賞っていう小説を書いて、
やり返すんですよ。
曝露には曝露で返す的な。
曝露には曝露で返すみたいな。
プロレスで返しに行ったんですね。
まさにここでプロレス始まると思ったんですけど、
この二人のやり取りっていうのは、
当時どう思われていたかというと、
この著書にすごい詳しく書いてあるんですけど、
こんなものが文学なら、
文学なんか排行した方がいいって書かれたり、
文壇からは要するに、
あいつら何やってんだみたいな。
そんな時代じゃないじゃんみたいな、
冷ややかな目で見られてしまう。
二人で滑っちゃったんですね。
悲しいですね。
結果的に、
二人とも世間から大丈夫かなと思われ、
太宰と佐藤春雄も一時期疎遠になってしまう。
せっかくのプロレスの受け手を自分から潰しちゃったんですね。
そういえば太宰邸は、
第3試合:井伏鱒二との「受け身の怪物」
もう一人の師匠の伊伯瀬雅治がいますよね。
教科書に載ってる三聖後が有名で、
最近ノーベル文学賞の候補にもなってたってこともわかった人ですけど、
伊伯瀬とはプロレスしなかったんですか?
これがですね、この本のすごい読みどころで、
伊伯瀬との関係っていうのをかなり詳細に書いてあって、
かつこれはですね、
周りにいるめんどくさい奴にどう向き合えばいいかという、
恐怖にもなると思うんですけど、
結論を変えると、
太宰のプロレスをのらりくらりとひたすら交わし続けた。
伊伯瀬正治が。
さっき首都さん言ったように、
太宰って伊伯瀬の大作をしたりとか、
要するに小説の案に協力したりとかしてるんで、
めちゃくちゃ仲いいんですよ。
ですから、めちゃめちゃ実は太宰からすれば、
プロレスを最も仕掛けやすい人だったんですけど、
それなのに取り込まれなかったと。
だから、伊伯瀬正治のモンスターぶりが浮き彫りになってるわけですよ。
写真で見ると非常に温厚そうなね。
よくそれこそ三小峰にも似てるぐらいな気がするよね。
伊伯瀬正治ってね。
それはモンスターですか?
だんだん一回すれば、しっかり飛ばしてほしいのに、
肝心なところで遠ぼっけてどっか行っちゃうみたいな。
はっはー。
強い兄みたいな感じでなってくれなかった?
なってくれなかったね。なってほしいんですけど。
リングで全部避けられちゃうんですね。
それが面白かったのは、
実際太宰もそれがわかっててもどかしくて、
伊伯瀬のことを化け物だとメモリー残したんですね。
のれに腕押し状態だったってことですね。
だから太宰の熱量が空回りして。
ちょっと切ないですね。
結構これも有名ですけど、
太宰の最後2章に身内当てに、
伊伯瀬さんは悪人です。
強烈な一言を残して。
それでその一言をモチーフに、
猪瀬直樹さんがピカレスクっていうね。
あれは本当に悪人なのかみたいな。
未だに意見が分かれてるんですけど、
そこについても詳しく書いてあるので。
そこでその言葉が出てくるんですね。
結局強い兄の役割を聞き受けてくれないので、
恨みと強烈な甘えの裏返しとして、
その言葉が出たと。
なるほど。ちょっと切ないですね。
「一周遅れが先頭に」:太宰文学の真骨頂
これ面白いのは、ここまで言うと、
太宰って単に時代遅れのことをやってるだけじゃんと思われると思うんですね。
この本でもそれはなんでか。
なんでじゃあ太宰はそこから、
あれほど有名な人間になれたかっていうと、
要するに一周遅れのランダーが先頭に転じたと。
そういう方言を使って指摘してるんですね。
時代遅れって笑われてたプロレスが人気に繋がったみたいな。
だから一人芝居のプロレス続けてて、
ある意味自分の弱さだとか、
自意識過剰な部分を赤裸にさらけ出してたら、
これ誰もやってないよねみたいな感じで周囲が評価し始めて。
それがある意味ダダ言って耳切れたのが戦後だと思うんですけども、
戦後の傷ついた大衆の心に、
これわかると強烈に刺さって。
それが彼を人気作家に押し上げたと。
そうなんだ。一周遅れた結果逆にトップラーになっちゃったってことですね。
結構これってビジネスとかでもありますよね、たまに。
古いのが新しいみたいな。
人気者によっても結局、
最終決戦:志賀直哉への「命懸けの噛みつき」
そのスタイルでやり続けたんですけど、
ダダ言のプロレスの最後っていうのが、
小説の神様。
シガナオヤへのかみつけ次元ですね。
シガナオヤってどうなんでしょう?
今あんまり大物化あるんですかね?
今ピンとこないかもですね。
短編の名集ではありますけどね。
昭和初期っていうのはもう、
今のお笑いでいうと、
一昔前のダウンタウンみたいな存在で、
みんな影響を受けてる。みんな文体を真似する。
ミニシガナオヤみたいなのがいっぱいあったぐらいなんですね。
だからシガナオヤに誰も普通かみつかない。
それなのにいきなりシガナオヤが座談会で
ダダ言の作品を軽く批判したら、
そこにダダ言はかみついてしまう。
エッセイでシガナオヤ批判って展開するんですね。
でもなんで大御所のシガナオヤに対して
そこまでヒステリックにかみついたんですか?
それはダダ言なりの理由があって、
ダダ言は自分の弱さを浪漫的にさらけ出す。
読者に寄り添うスタイルなんですけども、
シガナオヤっていうのは弱さを出すっていうのが、
要するに一言で言うとキモい。
あることあるまま書くっていうのがシガナオヤのスタイル。
そんな何だ読者に寄り添って気持ち悪いと。
要するに全く愛例なわけですね。
愛例です。
だから自分の文学とか生き方を守るために
切実な抗議をしたんですね。
これが意外に死の原因という指摘もあるんですけど、
シガ批判の最中にダダ言は自殺してしまう。
ああ、そうだったんですか。
だからそういうことを含めると、
ダダ言っていうのは本気で、
どこまでが計算されたキャラ作りだったのか、
よくわからんということで、
それがおそらく今もダダ言認知に繋がっていると。
いうことを本社には結構安藤さんが。
確かにただ小説を読んでただけだと絶対に見えてこない背景ですよね。
関連書籍紹介:『小説 太宰治』と『回想の太宰治』
だから本当に生々しいやり取りっていうのを、
膨大な書簡やり取りだとか、
資料をひも解きながらこの一冊は実験中継してくれると。
最高に面白い一冊かなと思います。
もっとダザイを知りたいと思った人向けに、
いっぱい先ほど言ったようにダザイの本ってあるんですけど、
実際に関わった人の回想録がやっぱり、
本人ダザイらしさを出しているかなということで、
2冊紹介したと思います。
1冊目はダザイの親友だった作家の、
ダン・カズオを書いた小説ダザイオさん。
親友目線のダザイですよね。
親友目線のダザイオさんで、
はちゃめちゃなんですけども、想像できるように。
有名なのが温泉での置き去り事件。
ダザイが熱海の温泉屋に持って、
お金がなくなったんで、
ダンがお金を届けるんですよ。
払って帰りゃいいのに、
お金あるし遊ぼうよって言って、
2人でまたそこで散財しちゃうんですよ。
またダメな感じ。
そうなるとまた宿題なくなるじゃないですか。
そうですね。
ダザイが菊地館のところに取りに行ってくる。
菊地館のところに。
取りに行って、
ダンを宿に1人残すんですよ。
最低ですね。
人質なわけですよ。
でも、いつまで経ってもダザイ帰ってこないんですよ。
親友を借金の方に置いて逃げた。
ヤドの人には、
あいつ大丈夫かみたいな感じになるじゃないですか。
なりますね。
でも帰るに帰れないじゃないですか。
とはいえヤドの人も困ったんで、
ちょっと探してこいって言われて、
ダンが師匠であるイブセの家に行くんですね。
そうするとダザイは、
イブセと衝撃させてたんですよ。
見つかったダザイがダンに、
待つ身が辛いか、
待たせる身が辛いかと。
何言ってんだ。
どう考えたって待つ身が辛いですよね。
ただこの一見で、
名作の走りエメロスが生まれたと思う。
本当ですか?
もうエメロス走ってないですけどね。
走ってないんですか。
むしろ裏切ってるじゃないですか。
ずっと衝撃させてるだけなんで。
なわけです。
まあそういうエピソードいっぱいあるので、
これ面白いんですけど。
もう一冊がですね、
妻だった、
辻間美智子さんが書いた、
海藻のダザイの作。
意外になんか、
めちゃくちゃやってるわけに、
結構まあ元々はプロレスなんで、
家だとちょっと違う姿が見えてくるんですけど。
家庭ではどうだったか。
家庭ではどうだったかちょっと分かると。
ダザイって戦後人気作家になって、
今もみんな知ってますけど、
どんぐらい稼いだかちょっと気になりますよね。
いや気になりますね。
でも大ベストセラー作家だから、
相当稼いではいそうですよね。
いそうですよね。
この本の中に税金っていうエッセがあるんですよ。
そこにどれぐらい、
まあ税金だから分かるじゃないですか。
まあ想像できると思うんですけど、
税金対策なんて全くしてないんで、
まあ分かりやすいんですよね。
まあ一応無礼派ですね。
無礼派なんか経費とかいっぱい計上したら嫌じゃないですか。
それで、
ちょうどそのエッセに、
ダザイが亡くなる前の年の、
昭和22年の所得っていうのが、
税務署から来てるんですよ。
で、売り上げが20万ぐらいだと。
だから10万払いって言われるんですよ。
ちなみに当時の10万って、
どれぐらいですか?
当時ってインフレ激しいんで、
そうですね。
ちょっと単純に言うと難しいんですけど、
都知事の月収っていうのが、
1万円ぐらい。
それは結構。
で、10万円です。
で、都知事って今150万ぐらいなんで、
そう考えると、
まあ1500万とか10万とか。
それいきなり払えと。
払えと。
で、
そこでダザイ暴けて、
よし払ってやるとか言えばいいんですけど、
ブライファーなのに、
旅行やシルバーツリーなんて経費があるんで、
実際の稼ぎはこれぐらいですって、
申告するんですよ。
20万よりもっと安いと。絶対に稼ぎはね。
実際10万ぐらいだと。
経費抜けば。
で、分断の権威で噛みつくのに、
税金には頭下げて、
どうにかしてくださいって。
分断ではヒールだったのが、
税務署には勝てないよね。
せっかく行くことに、
税務署には妻に行かせるんですよ。
なるほど。
で、馬車を押しながら、
ミチコさんがいて、
ダザイがこの登場で弱っていたことがないと、
書き残してるんですけど。
そうなんですよね。
ですから、
このミチコさんの回想録読むと、
外向きの、
演技のダザイとは別の顔が浮かび上がってきて、
これちょっと非常にアジャイブ感がある。
外で暴れる炎上系レスラーの顔と、
家でのリアルな顔っていう。
でも両方合わせてみると、
クロージング:太宰治の立体的な姿
ダザイの立体的な姿が、
より見えてきそうですよね。
今回のビブリオジャブ、
紹介したのは、
ダザイを収む尊重すべき困った代物でした。
文学史というよりも人間ドラマとして、
めちゃくちゃエキサイティングですね。
そうですね。
最後まで時代とすれ違い続けたけれども、
あるいはその時代遅れを貫いたから、
誰にも書けなかった。
文学にたどり着いた。
負け試合を続けたレスラーが、
一瞬回って最先端になる。
そこがダザイの面白さであるな、
ということを、
この本は教えてくれるかなと思います。
なるほど。
今日の収録は、
日本橋浜町にある、
ハマハウスというブックカフェより、
お送りいたしました。
以上、石戸でした。
栗下でした。
また来週。
23:43

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