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#27 『道徳を競う帝国 』アメリカは「正義」の国なのか?
2026-07-30 18:33

#27 『道徳を競う帝国 』アメリカは「正義」の国なのか?

【本日紹介の一冊】

『道徳を競う帝国 マイノリティの権利がどこからきたのか』(前田 健太郎著・NHKブックス)

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【エピソード概要】

アメリカって正義の国だと思いますか?

きっと世界の警察であり、正義であるという印象を持っていた人も多いと思います。でも、昨今のトランプとかを見てると違う気もしてきますよね。

今日紹介する、『道徳を競う帝国 マイノリティの権利はどこからきたのか』という本によると、アメリカが「本当の」正義の国であったということはないそうです。

では、マイノリティが権利を拡大してきたのは、実際はだれがどうやったのか――この本を読み解くキーワードは「脱植民地」。この本から、新しい歴史の視点について知りましょう!


() オープニング/アメリカが正義の国であったということは一回もない――『道徳を競う帝国』

() 帝国主義の思想が、まわりまわって現在のマイノリティの権利を前進させた?

() 実は戦争は、マイノリティの権利を拡大させてきた

() 韓国の独立運動が帝国日本を揺るがせた

() なんで第2次世界大戦後に、急にみんな植民地支配やめたの?

() エンディング


【出演】

プレゼンター :中野 亜海

ナビゲーター :首藤 淳哉


【関連書籍】

市民的抵抗:非暴力が社会を変える

エリカ・チェノウェス (著), 小林 綾子 (訳) 白水社

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【収録場所】

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感想

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サマリー

アメリカは「正義の国」というイメージが強いが、実際はそうではなかったと『道徳を競う帝国』は指摘する。本書は、帝国主義の思想が回り回ってマイノリティの権利拡大に繋がり、また戦争がマイノリティの地位向上に貢献した側面もあることを解説。さらに、脱植民地化の動きが世界的に広がり、アメリカの人権外交もその文脈で捉え直すことで、新たな歴史的視点を提供する。

オープニング:アメリカは正義の国か?
首都さん、アメリカって正義の国だと思いますか?
なんか真面目な質問ですけど、えぇ、でもかつてはね、なんか世界の警察っていうか、民主主義を広めるんだ、みたいなね。
そういう役割を自ら担っている感はありましたけど、まぁでも最近はちょっと、トランプの振る舞いとか見てると、どうなんだって感じしますよね。
そうですね、アメリカって私たち子供の頃は結構自由と平等の国だ、みたいな、教えられてきましたよね。
なんか教科書に載ってるのを覚えてて、なんか人種のサラダボールみたいな、絵付きで習ったみたいなのをちょっと覚えてるんですけど。
そうですね、あとはまぁこう、努力すれば報われるアメリカンドリームみたいなね。 そう、そうですよね。
機械平等の国みたいな、そういうね、感じがしますね。 そう、そういう印象ありますよね。
今日はですね、こちらの道徳を競う帝国っていう本を紹介したいと思うんですけれども、これによるとアメリカが正義の国だったことは一回もないっていうことが書かれてあるんですね。
過去一回もない? それ面白そうですね。
改めまして、こんにちは。リベリオジャム始まりました。本日プレゼンターの中野亜美です。
こんにちは。本日のナビゲーターの首都純也です。この番組は話題の新刊ノンフィクションをじっくり深掘りしていくポッドキャスト番組です。
今日も日本橋浜町のブックカフェ、ハマハウスからお届けしております。
はい、あの冒頭でも言いましたが改めて紹介しますね。今日持ってきたのは道徳を競う帝国、マイノリティの権利はどこから来たのかです。
前田健太郎さんという方が書いたNHKブックスですね。
前田健太郎さんは、前に岩波新書で女性のいないみ主義という本が出て、結構その時書評なんかにも取り上げられた方ですよね。
そうですよね。すごい話題になりましたよね。
東京大学の教授で、行政学、政治学を専門にされている方です。
帝国主義と道徳、そしてマイノリティの権利
冒頭でアメリカが正義の国であったということは一回もないと中野さんはおっしゃっていましたが、どういうことですか?
正確に言うと、アメリカをはじめとする大国が絶対に人権とか国民とか、ましてやマイノリティのために何かするっていうことはないっていうことなんですね。
絶対にない?
絶対にない。
でも冒頭でアメリカって、私たち子供の頃から正義の国っていう印象が強いっていう話をしましたよね。
アメリカは人権外交という1970年代ぐらいにカーター政権が開始したんですよ。
でもそれも冷戦に勝つための一つの手段というか、武器としてイメージ戦略をしたっていうのが正しい。
なるほど。
この本のテーマはですね、道徳って西洋発祥、西洋の思想で大国が無学な世界の国々に広めたみたいな印象があるけれども、
でも実はそれとは全然違う文脈で、脱植民地化っていうのが起こったから道徳っていうのはむしろ広がったんじゃないかっていうことが書かれてるんですね。
発展した先進国から後進国へ広がっていくみたいな文脈じゃなくて、脱植民地化が起こったから。
脱植民地化っていうと、かつての植民地がそこから独立して抜け出すみたいなことですよね。
そうです。そもそも植民地っていうのはヨーロッパをはじめとする国が他の国を支配したっていうことですよね。
世界大戦とかでは日本もそれに加わっていて、例えば日本が植民地化したのはわかりやすいところで言うと、韓国、台湾ですね。
首都さんって、魚の上の雲って読みました?
柴田代太郎の?読んでますよ。愛媛出身の松山出身の軍人秋山兄弟徳子、正岡敷が中心的な人物ですけど、中野さんの地元が舞台ですもんね。
私の出身高校は秋山義夫が4代目だか5代目だかの校長先生なんですよ。
あ、そうなんだ。
校庭に銅像とかが出てる。
やっぱりそういう感じなんですね。地元だから。
そう、地元だから。
魚の上の雲のテーマの一つって、日本は日露戦争に勝って、白人支配を苦しむアジアの国を勇気づけたみたいなのも一つでしたよね。
正岡でこの作品好きな人は割と多いんですけど、たぶんそういうとこが来てるんじゃないかなと思いますよね。
そうですね。
実はこちらの本を読み解くキーワードの一つ。
他国を支配するには、みんなが納得する道徳を大国は示さなければならないというものがあるんですね。
つまり、自分たちとは違う人種とか民族を支配するためには、軍事力とか経済力とかじゃなくて、みんなが納得するような道徳性、支配するための道徳性みたいなことを示さなければならないということが書かれています。
要は首根っこを捕まえて無理やり従わせてるんじゃなくて、私たちは正しいことをやってるから従いなさいみたいな、そういう文脈を作るっていうことですかね。
しゃらくさいみたいな感じなんですけど。
日本も、かつてアジア主義とか言われてましたけど、アジア地域を西洋の列強から守るために連帯しようっていうね、そういう理屈で戦争に突き進みましたよね。
大東亜協議権の中はまさにそうですもんね。
まさにその思想ですね。
戦争と思想ってセットなんですよ。
この方の面白いところがですね、この思想は帝国側ではなく、後々見るとマイノリティ側の権利の方を前進させたんじゃないかって言ってるところなんですね。
帝国側じゃなくて、マイノリティ側。
そう、強いてあげられる側の方の権利を実は回り回って前進させたんじゃないかっていうことですね。
面白いですね。
戦争とマイノリティの地位向上
アメリカがですね、正義の国であるという裏付けとして、誠しやかな話としてよく言われるのが、アメリカは第二次世界大戦のドイツのホロコーストにすごい衝撃を受けて、そこから一貫して人権を世界に広げてきたって思われていると思います。
そうですよね。でもここまでの話を踏まえるとそれは多分違うんでしょ?
そうです。アメリカの人種差別の歴史を見ていくと、まず大きいのは、黒人の差別撤廃運動ですね。
そうですね、公民権運動、キング牧師ですよね、内容的な人物はね。
それが戦後の1950年代に始まって、キング牧師の公民権運動のおかげで、アメリカでの人種差別が正式に法的に禁止されます。
I have a dreamって言うんですね。
私には夢があるって言うんですね。
キング牧師たち、黒人が権利を勝ち取ったのは確かなんですけど、実はこの頃すでに白人による支配の力っていうのは、世界的に弱まっていったって言われるんですね。
そうなんですか。
実は戦争ってですね、マイノリティにとってはチャンスっていう面もあるんですよ。
例えば、第一次世界大戦には黒人が兵士としていっぱい出てきましたよね。
それによって、やっぱりその地位を上げてきた。軍人内での権利とか地位を上げてきた。
日本でも女性の地位が第一次世界大戦の時に上がったって言われてますね。
まあ、地位が上がるのは良いことなんだけど、背景にあるのが銃を守るみたいな。
母親の国の立派な戦力になれっていうところで、国が上げていったっていうことがありますね。
なるほどね。確かにわざわざ大国がこれまでの支配をやめて、マイノリティのために何かやる理由ってないですよね、普通に考えるとね。
そう考えればしっかりきますね。
しっかりきますよね。会社とかのこと考えてもしっかりきますよね。
別に社員のことを考えてじゃなかったり。
植民地運動が帝国を揺るがす
ちょっと時間を巻き戻してですね。
日本も戦争中、韓国や台湾や満州などを植民地支配しましたよね。
実は植民地は逆に帝国支配する側の方も揺るがせる力があったのでは?っていうことをこの本は指摘しています。
面白い視点ですね。
まあでも、いまだに日本がこの問題を引きずってるということを考えると、そういうこともあるのかなって思いますね。
まさにそうなんですよ。
まず、帝国時代、日本の戦争中に、朝鮮の三一独立運動がありましたね。
日本に対する大規模な独立運動が、1919年にやりました。
もう第一次大戦終わってるんですかね。
終わってすぐぐらいですね。
そもそも中国も韓国も長い歴史がある立派な国ですよね。
それをそもそも植民地にするのは無理があるんですよ。
そうですね。
この本にも、このような地域の植民地化は、イギリスとかフランスに比べて脱植民地化運動に直面しやすかったと書かれています。
この独立運動というのは、朝鮮の全人口の1割以上が参加した反政府運動だったんです。
首都さん、こういう反政府運動が成功するのって、人口の何パーセントが参加すると成功するって知ってます?
これはね、僕ね、斉藤公平さんの人申請の資本論に出てきてたから、後半の一番最後に出てくるんですけど。
多分皆さんが思っているよりも、いくつどうぞ少ないですよね。
そうなんですよ。実はですね、3.5パーセントなんですけど。
これはですね、私が読んだ本は、エリカチ・スノウさんという人が書いた、「市民的抵抗」という本があって、
これ、女子大学で国際紛争を研究している小林先生という先生が訳している本なんですけど、めっちゃ面白い本なんですけど、これに3.5パーセント。
それからさっきのね、朝鮮の人口の1割以上が参加したって、ものすごい数ってことですよね。
すごいですよね。
絶対変わらざるを得ないっていうね。
やっぱりこれをきっかけに、当時の日本の内閣は、植民地を内地と同等に扱う内地延長主義っていうのが唱えて出てきて、
あと言論とか出版の自由も緩和したりしたそうなんですね。
独立は結果できなかったけども、影響は確実に与えたってことですよね。
そうなんですよ。
しかも、私たちの住んでいる極東ですね。
極東って、西洋が研究している脱植民地化の歴史からちょっと取り込まされてるっていうか、
あんまりヨーロッパとかの研究者からは見られてないらしいんですけど。
連中から見ると世界の端っこみたいな格好だと思いますよ、本当。
遠いですよね。
でも、とりわけ朝鮮半島こそ、世界に見ても植民地ナショナリズムが最も強力に噴出した土地だった。
それわかるな。
わかりますよね。
だって、今回のサッカーのワールドカップで負けた後の韓国国内世論とか見せても、もうすごいですもんね。
すごい。
ナショナリズムがね。
そうなんですよ。
やっぱり韓国のナショナリズムっていうか、独立心の強さもそうですけど、
本当に世界が研究すべきなんじゃないかなみたいなのはちょっと思います。
それこそあれじゃないですか、中野さんが編集した地政学の本。
あれで、韓国と日本の違いのところで、日本は自然災害が多いからいろんなこと忘れっぽいんだけど、
韓国の人たちは基本的に人災だから、やっぱり忘れないっていう、ちょっとそういう話も出てきたし。
そうなんですよ。
世界を解き明かす地政学っていう本にね。
面白いもんですよね。
そうなんですよ。国民性の違いも書かれています。
実はですね、私高校生ぐらいの時から歴史の授業でずっと不思議に思ってることがあったんですよ。
第二次世界大戦後の植民地解放
何ですか?
せっかく第二次世界大戦やったのに、勝ったはずのイギリス、すごい衰退しちゃったなみたいな。
なんか思いませんでした?
あれだけの犠牲をね、払って戦争しちゃってっていうね。
でも確かにその後何のためだったのかっていうのはもちろんね、ありますよね。
そうなんですよ。なんかね、戦争をやり始めたっておかしいですけど、ヨーロッパ中心だったはずじゃないですか、始まったのは。
なんですけどヨーロッパがやっぱ戦後すごい衰退しちゃってるのって何でなんだろうみたいな思ってて。
確かに。
で、他の戦争、しかも勝った国が植民地を手放していくじゃないですか。
でもみんな帝国を拡大しようとしてやってたんじゃないっけなみたいな。何でなんだろうって思ってたんですよ。
確かに不思議ですよね。
みんな急に植民地の自治権を認め出したりして、いい人になっちゃったみたいな。
でもこの本を読んでて、ちょっと疑問が解けたというか、
第一次世界大戦後はやっぱり戦争国は脱植民地化を予定してなかったみたいなんですよ。
で、負けた日本は東南アジアの植民地を手放すんですけど、
それは戦前の総主国に戻すことが予定されてたらしいんですよね。
それは何で独立することになっちゃったんですか?
それがですね、やっぱり既に日本とか他の帝国たちが戦争中に色んな植民地に酷いことをしていたわけですよね。
だからそれぞれの国のナショナリストは独立に向けて動いている機運が既にあって、
だからビルマはアムサが独立を要求。
あとインドにももちろんガンジーがいますよね。
インドシナでも独立に向けてインドシナ戦争が始まった。
連帯のネットワークだったわけじゃないけど、
結局それぞれの国で同時期に独立するんだって頑張ってたってことですよね。
ちなみに連帯のネットワークもちょっとあったらしいんですよね。
色んな方が絡み合ってるから、ちょっと複雑なんですけど。
帝国が何かしたわけじゃなくて、植民地の人たちが頑張ったっていうことはすごく大きくあるんですよね。
大国の視点で見ると放棄したとか、大国の視点側から見られがちなんですけど、
視点を変えると支配をやめたわけじゃなくて、支配が簡単に言うとできなくなったっていうのが正しいみたいですね。
なので、やっぱり周り回ってマイノリティが世界を変える機運がここにあったんですよね。
道徳性、影響力、そして日本のマイノリティ
でもそうすると、最初の話に戻りますと、なんで僕たちはアメリカを正義の国だって思ってたんでしょうね。
冒頭でカータ政権が人権外交のために立って、それが冷静に勝つためだと言いましたよね。
道徳性を示すことは他国への支配力、大きいパワーになるというキーワードがあります。
ちょっと分かってきました。要するに帝国主義が終わっても道徳性ってことは影響力を発揮するんですね、し続けるんですね。
そう、ずっと終わっても。ベトナム戦争でやっぱりアメリカは道徳的な優位性を失うんですよ。
これを取り戻すために、やっぱり外交の道具として人権を活用してきたっていうことですね。
アメリカってそう考えると浪快っていうかね、思想も転換するっていう。ある意味すごい国ですよね。
実はですね、アメリカが正義の国だって自分の国のことを言い出したことで、実はその時の日本のマイノリティの権利の拡大も起こります。
ちなみに日本の代表的なマイノリティって誰でしょうか?
これも在日朝鮮人ですよね。
あとは女性です。
この2つが2大マイノリティということで、実は1975年のベトナム戦争より前って日本は朝鮮戦争からの難民って受け入れてなかったんですよ。
でもその頃日本とアメリカの関係って悪かったんです。
貿易摩擦の始まりの頃ですよね。
アメリカの人権外交と補充を合わせた方がいいって日本の政府は思って、その貿易摩擦があることにより難民条約に加盟して、1979年に国際人権規約っていうのを批准したんですよね。
だからそれも対米関係の配慮というか、在日韓国人に対したりとか、あとは女性についてアメリカと補充を合わせるべく、男女平等であり、人権的にもちゃんと推進に舵を切ったっていうことですね。
なるほど。まさにそういうパワーがあるわけですね、その道徳っていうことにね。
やっぱり正論はパワー。道徳的に正しいってことは他国に強い影響を持つということですね。
面白い話ですね。
エンディング:本書のさらなる魅力
今回のビビデオジャムをご紹介したのは道徳を競う帝国でした。
今日は結構面白かったです。歴史の面白い話をありがとうございます。
ありがとうございます。この本は他にもすごい面白い部分がいっぱいあって、本当にここでご紹介しきれないぐらいなんですけど、
なんで日本の植民地支配の責任問題が結構戦後じゃなくて時差が起こってあったじゃないですか。
そうですね。
それはなんでなのかとか、あと日本のフェミニズムは韓国の女性との連帯で起こったとかあって、
私ここね、ちょっとこういう本なのに泣いちゃったりとかして。すごい本。
結構今韓国文学が熱いじゃないですか。
はい。
やっぱりそのフェミニズムの視点が入ったのもいっぱいあるし、
斉藤麻里子さんとかね、そういう文学家の方がすごい活躍してますよね。
そうですね。斉藤麻里子さんにもいっぱい出されてますよね。
いいですね。
今日の収録は日本橋浜町にあるハマースというグループの方よりお送りいたしました。
以上、首藤でした。
中野でした。また来週。
18:33

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