第二百八十三話『憧れの気持ちを大切にする』-【徳島篇】作曲家 三木稔-
2021-01-30 13:05

第二百八十三話『憧れの気持ちを大切にする』-【徳島篇】作曲家 三木稔-

日本の伝統的な楽器と西洋音楽の融合に心血を注いだ、徳島出身の偉大な作曲家がいます。
三木稔(みき・みのる)。
昨年生誕90年、今年没後10年を迎える三木の真骨頂は、日本文学や日本史をモチーフにしたオペラの数々です。
45歳にして初めて作曲した『オペラ春琴抄』は、ジロー・オペラ賞を受賞、国際的にも高い評価を得ました。
その後、『あだ』『じょうるり』『ワカヒメ』など連作に挑み、『源氏物語』は、さらに三木の名を世界に轟かせました。
1976年の大島渚監督作品『愛のコリーダ』では映画音楽を作曲。哀しさとせつなさに彩られた楽曲は世界中のファンを魅了しました。
『オペラ「源氏物語」ができるまで』という三木のエッセイ集は、1996年から2000年にわたって、徳島新聞に連載された随筆をまとめたものですが、彼の心の軌跡がわかる貴重な一冊です。
その本の最後には、こんな記述があります。

―― 音楽を志して以来「憧れ」は私の創作の基本であり続けて来た。
美や真理への憧れなくして創造のエネルギーは得られるはずがない ――

三木は、若いひとに、「憧れ」を持つことの大切さを説きました。
三木自身、はじめからオペラが好きだったわけではありません。
自分で作曲するまで、見たオペラは、5つほど。
正直、どれも退屈なものという認識しか持てませんでした。
日本独自の歌、日本古来の楽器で、もしオペラが創れたなら…そんな「憧れ」が彼を引っ張り、世界的に有名な作曲家に押し上げたのです。
経済が不況になると、真っ先に切られてしまうのが、芸術。
彼は、そんな日本の実情を憂い、そんな風潮が若者の芸術への「憧れ」をつぶしてしまうのではないかと危惧しました。
ふるさと徳島を愛し、日本の文化を世界に知らしめた芸術家・三木稔が、人生でつかんだ明日へのyes!とは?

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