第八十話『笑いを借りてくる』-【仙台篇】 作家 井上ひさし-
2017-03-11 13:23

第八十話『笑いを借りてくる』-【仙台篇】 作家 井上ひさし-

宮城県仙台市は、多くの文学者たちを受け入れ、包み込んできました。
魯迅(ろじん)、島崎藤村、真山青果。
仙台がそんな文学的な土壌を育んできたことを記念して建てられたのが、仙台文学館です。
この文学館の初代館長は、劇作家の井上ひさし。
彼は、中学3年から高校卒業までの最も多感な時期を、仙台で過ごしました。
「仙台で人間としての栄養をもらった」
そう語った井上ひさしにとって、仙台一高時代は、まさしく自由にしてバンカラな時代でした。
彼は家が生活苦だったので、カトリック修道会の児童養護施設に預けられていて、そこから高校に通いました。
新聞部に属して仲間をひっぱり、読書や映画にあけくれ、野球にも熱中したそうです。
そのせいで成績は落下の一途をたどり、志望大学に落ちてしまいます。
かろうじて早稲田に補欠合格を果たし、あるいは慶応にも受かりましたが、学費が払えず通うことはできませんでした。
結局、カトリック修道会の推薦で上智大学にすすみます。
井上にとって、仙台という町には、青春そのものがつまっていたのでしょう。
『青葉繁れる』という小説には当時の様子が生き生きと描かれています。
仙台文学館の館長として彼は、忙しいスケジュールの合間を縫って、精力的に文学の振興に努めました。
自らが、文章講座を主催。彼本人が赤ペンで添削しました。
最終日には参加者全員で朗読会。
優秀者には井上愛用の辞書がプレゼントされたといいます。
また、戯曲講座や、講演、座談会など、仙台市の方々とのふれあいを大切にしました。
それはまるで仙台という第二のふるさとへの恩返しにも思えます。
波乱の人生と、優れた作品群。
小説家で戯曲家、井上ひさしが、人生でつかんだ明日へのyes!とは?

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