第二百六十四話『心のこもった仕事をする』-【岡山篇】作家 内田百閒-
2020-09-19 12:05

第二百六十四話『心のこもった仕事をする』-【岡山篇】作家 内田百閒-

昨年、岡山にある吉備路文学館で、ある作家の生誕130年特別展が開催されました。
その作家とは、岡山市に生まれ、岡山を愛した、内田百閒(うちだ・ひゃっけん)です。
百閒は『古里を思う 後楽園』という随筆の中で、こんなふうに書いています。
「私は古京町の生れであって、古京町には後楽園がある。子供の時から朝は丹頂の鶴のけれい、けれいと鳴きわたる声で目をさました」。
彼にとって日本三名園のひとつ、岡山の後楽園は、「一生忘れる事の出来ない夢の園」でした。
大好物だった岡山銘菓、大手饅頭は、夢に何度も出てくるほど。
あまりに岡山が好きすぎて、後年、変貌するふるさとの姿を見るのが辛くなり、かえって故郷に足を踏み入れなくなったと言われています。
夏目漱石の門下生の中でも異彩を放ち、独特のユーモアと価値観で周囲を驚かす天才。
文章のうまさは誰もが認め、小説や随筆は、多くの作家に影響を与えました。
芥川龍之介も、彼の作品を認めたひとりです。
1993年に公開した黒澤明の監督生活50周年の記念映画『まあだだよ』は、百閒とその教え子たちの心温まる交流を描いた作品です。
黒澤は、百閒の生き方、そしてひととの接し方の中に、「今、忘れている大切なもの」を見つけ、それを留めたいと願ったのです。
百閒は、教え子や孫たちに、こう語りました。
「みんな、自分の本当に好きなものを見つけてください。見つかったら、その大切なもののために、努力しなさい。きっとそれは、君たちの心のこもった立派な仕事となるでしょう」
戦前戦後を駆け抜けた名文家・内田百閒が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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