第二百六十話『自分の原点を知る』-【秋田篇】舞踏家 土方巽-
2020-08-22 12:02

第二百六十話『自分の原点を知る』-【秋田篇】舞踏家 土方巽-

秋田県南部、県内屈指の豪雪地帯、雄勝郡羽後町田代に、鎌鼬(かまいたち)美術館という一風変わった建物があります。
かやぶき屋根の古民家を改造したこの美術館は、秋田出身のある芸術家の功績をたたえて造られました。
その芸術家とは、暗黒舞踏の創始者、土方巽(ひじかた・たつみ)。
1950年代後半に土方が提唱した暗黒舞踏とは、日本古来の風土や伝統と前衛的なパフォーマンスを融合させたもの。
舞踏の踏の字は、踊るではなく、踏む。
バレエなどとは一線を画したこのダンスは、白塗りに、剃髪、裸体。アングラ芸術の代名詞にもなりましたが、世界的に、アルファベットでButoh、ブトーと賞賛され、日本では、三島由紀夫や澁澤龍彦、埴谷雄高など多くの作家たちを魅了しました。
1965年、まるでカマイタチのように田代地区にやってきた土方は、住民らを驚かし、触れ合い、攪乱し、村を舞台に駆け抜けます。
子どもたちの前で飛んでみせ、田んぼを疾走する。
その様子を写真家がフィルムにおさめたのです。
写真集『鎌鼬(かまいたち)』は、日本のみならず世界に衝撃を与えました。
土着と芸術。
その融合がこれほど見事になされた写真がなかったからです。
田代地区は、土方の父の実家があった場所。
彼にとっての原風景が、画面からあふれています。
同じ東北出身の寺山修司と同時代を生きた土方もまた、自分の出自を見つめ続けたのです。
日本人が日本人である証は、いったい何処にあるのか?
誰かから与えられ押し付けられた美しさだけを、求めていないか?
土方の問いかけは、今の私たちに響いてきます。
戦後を代表する舞踏家・土方巽が人生でつかんだ明日へのyes!とは?

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