1. 前川孝雄の上司が元気になるラジオ
  2. 「働きやすさ」と「働きがい」..
2024-10-07 12:24

「働きやすさ」と「働きがい」の違い

「不満」がなくても、「満足」がない職場で人は育たない!

職場への満足度を向上させるための企業施策の特徴は、「働きやすさ」を高めることによって『職場への満足』を高めようとしています。しかし、「働きやすさ」は本当に『職場への満足』を高めるのでしょうか。

「人を大切に育て活かす社会創りに貢献する」を社志に掲げるFeelWorks代表前川が、「働きやすさ」と「働きがい」の違いについて解説します。

 

・働きやすさとは?働きがいとは?

・働きやすくなってきた日本

・日本の従業員エンゲージメントは世界最下位

・ 「働きがい改革」が求められている

 

※FeelWorksグループ会社 働きがい創造研究所 

サマリー

「働きやすさ」と「働きがい」の違いについて解説します。働きやすさは環境整備を通じて改善されていますが、従業員のエンゲージメントは依然として低いという課題があります。フレデリック・ハーズバーグの二要因理論を通じて、働きがいの重要性が強調されています。働く喜びや達成感を得ることが求められています。また、企業が働きがいの改革に取り組む重要性が指摘されており、特に上司の力が従業員の働きがいを深めるために不可欠であるとのことです。

働きやすさの進展
はい、みなさんこんにちは。FeelWorks代表取締役の前川孝雄です。
今日はですね、「働きやすさ」と「働きがい」の違いについてお話ししたいなというふうに思っています。
まずそれぞれの定義なんですけど、働きやすさというのはですね、読んで字のごとくなんですけど、働くことが容易い、
やさしいというふうなことですね。これまでですね、日本ではですね、働き方改革というのが2019年からですね、法整備もされて、
非常に働きやすい環境になっていたなというふうにですね。背景にあるのは女性の活躍であったりとか、
少子高齢化によって高齢期になっても働く方が増えているとかですね。
そういうふうなことで、仕事と育児の両立とか、ご自身の病気の治療とですね、仕事の両立とか、
もしくは親の介護とですね、仕事の両立とか、こういうふうなプライベートな事情を抱えながら働く方々が非常に増えてきたというふうなことがあって、
法整備がされてですね、働きやすい環境整備というのが進んできたということだと思います。
一方でですね、働きがいとは何かというふうに考えると、働くかいがあるということですね。
僕自身はもう少し突き詰めて考えていくと、働くという漢字は「にんべん」に、「動く」。
すなわち、人のために動くということが働くということだと思うんですけど、
そういう意味でいくと、人のために動く喜びを感じることが働き甲斐じゃないかというふうに定義をしております。
さて、この働きやすさと働きがいなんですけど、そういう意味では冒頭も申しましたとおり、
日本はですね、非常に働きやすくなってきたんですね。
いろんな労働関係の調査を見ても明らかなんですけど、
今、日本ではですね、労働時間というのがどんどんどんどん短くなってきているんですね。
あと、有給休暇の取得率なんかも、調査史上ですね、過去最高の有給休暇の取得率というふうな時代になってきております。
それを背景にあるのはやっぱり法整備がなされているんですね。
働き方改革の関連の法案というのが、いくつか内容がありますけれども、
主には労働時間をいかに減らすか、あとは休暇をしっかり取れるようにということですね。
こういうことが強く法律によって企業に求められてきたがゆえにですね、働きやすくなってきたなというふうに思います。
エンゲージメントの課題
ただ一方でですね、じゃあ働きやすい環境になってきたからといって、
働く方々に充実して働きがいを持って働いているかというと、そんなことはないということですね。
いろんな調査を見れば明らかなんですけど、働く方々の従業員エンゲージメントというのがありますけれども、
この調査、ギャラップ社なんかが世界的な調査をしておりますが、
この調査を見てもですね、世界百数十カ国の中で日本は従業員エンゲージメント、
すなわち仕事や職場に対して情熱を持って取り組んでいるかどうかという状況なんですが、
働きがいといってもいいでしょう。これは世界最下位になっているわけです。
これはやっぱり不思議ですよね。非常に労働時間も短くなって、休暇も取れやすくなって、
もっと言えば働き方改革ではですね、同一労働同一賃金なんていうことも謳われましたけれども、
そこも含めて賃上げというようなことも強く求められているわけです。
それでも今日本で働いていらっしゃる方々のエンゲージメント、もっと言えば働きがいというのは、
非常に極端に低い状況になっている。これなぜなのかという考えを聞きたいんですけど、
働きがいの重要性
これを説明するのに分かりやすいのがですね、フレデリック・ハーズバーグというですね、
1900年代、20世紀に活躍したアメリカの臨床心理学者がいらっしゃいますけれども、
これがこのハーズバーグの非常に分かりやすい二要因理論というのを発表して、
これは今も受け継がれて広く使われているので、ご存じの方も多いと思うんですが、
これを僕なりにちょっと引用して整理して考えていくと、
ハーズバーグの二要因理論のうちの一つが衛生要因と言われるものですね。
これは働く環境であったりとか、福利厚生等の条件だったりとか、
職場、上司・同僚との人間関係だったりですね、給料など、この辺りが衛生要因と言われるものです。
すなわち、働き方改革によって国がですね、企業に求めてきたものってほとんどが衛生要因ですね。
労働時間短く、休暇も取れるように、賃上げしましょう、このようなことですね。
これは非常に改善されてきたわけです。
ところがですね、ハーズバーグがその昔から主張しているんですが、
衛生要因が改善されていくと何が起こるかというと、
働いていらっしゃる方々の不満足が減るんだというふうに言ったわけです。
不満足が減ればいいじゃないかと思って、それをどんどん改善していくと、
満足につながるかというと、実はつながりにくいんだというふうに主張したんですね。
僕も本当にそう思いますね。
一方でもう一つの要因、動機づけ要因というんですけど、これは何かというと、
自分が担う仕事内容そのものであったりとか、
組織、チームの中で持つ責任であったりとか、
自分の持ち味とか働きを同僚や上司やお客様等々関係者が認めてくれる承認であったりとか、
仕事を通じた達成感であったり、
このようなものが動機づけ要因だというふうにハーズバーグも言っています。
まさに整理していくと、動機づけ要因で喚起されるものが働きがいということです。
一方で衛生要因によって喚起されるものが働きやすさだということですね。
そういう意味でいくと、働きやすくなってきたんだけど、
働きがいの方はどうなんだっけというのが、今の日本の実情じゃないかというふうに思います。
実は僕たちFeelWorksは、この問題意識、人材育成に長年取り組んでいく中で、
非常に持っておりまして、働き方改革の法律ができる前からですね、
多様な方々が働くようになってきたので、
労働時間を短くしましょうとか、休暇が取りやすくしましょうという働きやすい環境整備というのが
企業に進みかけていたわけです。
そのときから、我々はすごく問題意識を持っていましてですね、
働きやすいことは、もちろん多様な方々が働くにおいては大事なんだけど、
それは目的じゃないよねと、あくまでも衛生的な要因で必要なんだと。
大事なのはやっぱり働きがいですよね。
一人ひとりが自分自身が本当に自分だから担える重要な仕事をやっていて、
しっかり周りに認められて、その仕事の成果がですね、
誰かに喜んでもらえる喜び、達成感を感じられる状態。
これこそが重要なんだということをずっと訴え続けてきたわけです。
ところがですね、法律はできてしまって、
企業は当然法令遵守によってこれを守るようになったわけです。
何が起こっているかというと、先ほど言ったような
従業員エンゲージメントは世界最下位の状況が続いているということです。
そういう意味では、やっぱり働きやすさではなくて働きがいのほうが重要で、
働きがいを目的にして、さはさりとて多様な方々が働くので、
働きやすさもヘッジしていくということが大切なんだと。
僕たち自身は本当にこの問題意識を持っていてですね、
2017年にFeelWorksのグループ会社として
働きがい創造研究所というのを立ち上げるとですね、
啓蒙活動、人材育成、人の活躍支援において重要な概念だということで、
啓蒙活動をずっと続けてきたわけです。
そういう意味においては、最近になってやっとですね、
やっぱり働きがいが大事だよね、働きやすいだけじゃだめだよね、
働きやすさから働きがいへ
エンゲージメント重要だね、このような話が出てきたなというふうに思っているわけです。
ちなみに僕自身は、一般社団法人の
ウーマンエンパワー協会というところの理事も兼任をしておるんですけど、
この活動も女性の活躍をですね、
伝わるような活動も含めて世の中に対して、
影響力、ソーシャルインパクトをもたらしましょうということで
一生懸命やっているわけですけど、
このウーマンエンパワー協会でもですね、
その昔は女性が働きやすい企業表彰というのをずっとやってきたんですが、
僕は理事の中で問題を提議させてもらいまして、
働きやすい会社表彰ってちょっとおかしいよね、そうではなくて、
働きがいを持って働く環境が整っている、
そういう企業をほめていこうじゃないか、
こういうようなことで働きやすい企業表彰から
ウーマンエンパワー企業表彰、
いかに働く女性をエンパワーするか、
また働きがいのことですね、というふうに書いたりとか、
多様な観点でこういう活動をずっと続けていくわけです。
そんな中で、いよいよ世の中では、
いやいや働きやすいだけじゃだめだ、働きがいが重要だ、
働きがい改革していこう、
こんな潮流がやっと出てきたなというふうに思っています。
ただ、難しいのはですね、
もう既に先に衛生要因が改善されてきてしまっているので、
何が起こっているかというと、
多くの企業で問題になってきているのは、
既得権益が当然所与の条件になってしまっている方々が
増えてしまっているということですね。
これは非常に悩ましい問題です。
かつ、動機づけ要因あまり目が行かなくて、
衛生要因だけに目が向いてしまうと、
会社の福利厚生とか休暇制度が充実している、
もしくは産休育休制度が充実しているので、
できるだけ目一杯休もうとかですね。
第一子、第二子が生まれたら、
それも連続で休んでしまおうとか、
というのを一生懸命権利として使おうみたいに
仕事ができたりとかしてしまう。
こんな問題も起こってきていると思います。
確かにそれは権利で言うのかもしれないけれども、
キャリアの重要なタイミングで休みをいっぱい取ってしまうことになってしまうと、
本来の意味でも充実したキャリアとか、
成長とか活躍をせばめるんじゃないか。
こういうふうに僕自身は思っているわけです。
そういう意味でいくと、
働きやすさが先行してしまったがゆえに、
今、多くの企業が働きがい改革に取り組み始めていますけれども、
働きがい改革の必要性
実はハードルがさらに高くなってしまってきている。
こんな問題があるわけですね。
じゃあ、どうやって働きがい改革に取り組んでいけばいいのかと考えていくと、
僕自身は思うんですけれども、
衛生要因は会社の人事制度の整備で何とかなるものばかりだと思うんですね。
給与体系であったりとか、休暇をどう取るかというふうな観点ですから。
あと労働時間の話もそうですね。
でも一方で働きがいのほう、動機づけ要因に関わるものは、
実は一律の人事制度だけではなかなか、
全従業員の支援につながりにくいんじゃないかと思うんです。
その意味でいくと、僕たちが大事にしている上司力ですね。
現場の上司の皆さんが一人ひとりの大切な部下と向き合って、
一人ひとりの働きがいを深めていく。
何より働きがいというのは、
一人ひとりの心の内側の問題でございますので、
これがとても重要になってきている。
はい、ということで今日は少し長めにお話してきましたが、
働きやすさと働きがいの違い。
今求められているのは働きがい改革である。
働きやすさ改革じゃなくて、働きがい改革である。
その働きがいを改革していくためには、
上司の方々の力、上司力の改革、
もしくは上司力の鍛錬というのが欠かせない、
というふうに思っているわけでございました。
今日のお話で少しでも皆さんのお役に立てればと思っております。
本日はどうもありがとうございました。
12:24

コメント

スクロール