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はるか
ということで、今日は、発達障害とは何なのかという話をしていければなと思っております。
いいですね。 今回引用するのが、玉永公子さんの『用語「発達障害」批判』ということで、発達障害という用語をアップデートさせましょうということですね、今日は。
どうアップデートできるのかな? 前回、発達障害という言葉自体使うことどうなのかなという話もちょっと触れたんだけど、結論から言うと、発達障害という用語自体は古いんじゃないかなという主張なんだよね。
で、これどういうことかというと、発達障害という言葉は、もともとアメリカの精神医学界というのが定めた診断基準があるんだけど、DSMっていう、このDSMでもともとはディベロップメンタルディスオーダーっていうものを発達障害というふうに訳して日本で広まっていったんだけど、
これもうね、このDSMの診断書の中では、このディベロップメンタルディスオーダーっていう言葉、つまり発達障害という言葉、消えてるんよね、もう。
ひとし
もう存在してないんだ。
はるか
そうそう、もう改定されて別の言葉で使われているんだけど、日本語では英語版で消えたディベロップメンタルディスオーダー、日本語訳:発達障害という言葉を、あまり内容を明確にせず広まってるんじゃないかという主張がされてるわけだよ、この本の中では。「なるほど」と思って。
ひとし
消えたのは別の名前になったのか。
はるか
そういうことそういうこと。それは考え方が変わっているということも示唆しているんだけど、後にそれを話すとして、とにかく発達障害と聞いて、分かってるようで何のこっちゃと思うのは、こんな感じで曖昧な形で広まっているんだなということが少し見えてきた。
ひとし
なるほどね。なんかイメージさ、俺の周りだと発達障害っていうとADHDをイコールと思っちゃうような感じもあるよね。
はるか
ああ、そうなんや。
ひとし
そう、まあでもそういうわけでもないもんね。
はるか
そうね、ADHDっていうのも一つあるんだよね、診断名としては。だけど他にもあったりとかして、どんなものがあるかは知ってる?
ひとし
なんかLDっていうのはよく聞くね。
はるか
ああ、はいはいはい。LD:学習障害と呼ばれるものであったり。
ひとし
ただ症状とかはあんまり理解できてないかも。
はるか
厚生労働省のホームページから見たときに、これを発達障害として捉えた場合、どんな特性があるのかということがまとめられていて、
さっきひとしが言ってくれたADHDっていうのは、いわゆる多動:よく動くとか、衝動的に行動するっていうような特性がここには挙げられていたりとか、
LD学習障害っていうのは、読み書き計算っていうのが極端に苦手であったりとかっていうのがここには書かれている。
ひとし
うん。
はるか
あと知ってるものある?
ひとし
あと、自閉症とかもそうなんかな?
はるか
ああ、そうそうそうそう。自閉症とかもあって、これはコミュニケーションが苦手であったりとか、パターン化、こだわりとかがあったりするって。
これともう一個アスペルガーっていう風に分けられていて、これは言葉の発達の遅れはないんだけど、コミュニケーションに苦手意識持ってたりとかっていうふうなのが特性としてはここに書かれている、ホームページに。
だけど、これね、今の話を聞くとなんかすごい単純に分けられてるイメージになっちゃうじゃん。
ひとし
発達障害という言葉の中に、そういうさらに細かい分類があるみたいな印象を受けたね。
はるか
ね、なんかあるよね。あなたはADHDでよく動く多動性なんですねとか、衝動的に行動しますよね、不注意だよねみたいな感じではないのよ。
ひとし
へえ。
はるか
そんな単純なものではなくて、これ一つの診断名をつけられたとしても、他の特性とか健康状態と共存するのよ。
ひとし
あ、健康状態も。
はるか
そうそう、健康状態もかなりこれに関わってくるというところで、具体的に言うと不安障害とか鬱病とかっていうのも併発するっていうことがあって、
例えばADHDと不安障害が一緒に併発したりとかっていうのもあったり、あとはこのね、図を見たら分かると思うんだけど、ADHDと自閉症をかぶってたりとか。
ひとし
図はこれか。これは厚生労働省さんの図か。
はるか
そうそうそう。
ひとし
あ、これ概要欄に載せておくので是非図を見ながらお聞きいただければと思います。
はるか
ありがとうございます。あ、そうね、インスタサブスクの方もこの台本いつも載せさせてもらってるんですけども。
つまり、何が言いたいかというと、スパンスパンって分けられるものでもなくて、これは共存する、併発する可能性があるし、さらには強度が違うのよ。一つ一つの特性が。
ひとし
強度って、濃くその症状が出ているみたいな。
はるか
そうそうそう。その特性が濃く現れたり、逆にそんなにいわゆるグレーって言ったりするよね。白黒ではっきり分けられるんじゃなくて、そこにグラデーションがありますよっていうような強度もあるから、診断名一つ付けられたからっていうふうに単純化することは危ないよねっていうことが一つある。
はるか
で、この本の中でもぜんぜん自閉症もLDもADHDも一つ一つの状態ぜんぜん違ったやん。なのに発達障害という名前でひとまとまりにして対応すると、これはいたずらな概念の拡大とか拡散が生じてしまうということで、警鐘を鳴らしているということなんだよね。
ひとし
すでに複雑なんだなっていうのはわかってきたけど。
はるか
その感覚が大事で、インスタグラムにあなたはADHDですかチェックリストみたいな。これ3つ当てはまるからADHDだみたいな話ではないということだよね。
人っていうのはもっと複雑で、もっといろんなものが混ざっていて、簡単に単純化できるものではないんだという感覚がここでわかったらいいのかなっていうふうに思っていて。
もうちょっと沼にはめていい?
ひとし
まだいくんだ。
はるか
あと3段階ぐらい沼にはめますね。
そしてさらに言いたいのは、発達障害というふうに診断されるって言うじゃん。この診断もかなりあやふやであるという指摘もあるよね。
ひとし
そうなんだ。
はるか
これは中村賢竜さんという方のインタビュー記事であったんだけど、子供の発達障害が増えている個性を摘む早期診断治療は今すぐやめるべきというような記事があって。
これの中では、さっき言ったDSMという診断書の中では、お医者さんが患者の周りの人、例えば家族とか先生とかに聞き取り調査をして診断をするんよね。
本人が答えるとかっていうより周りの人が答える項目がたくさんあるということなんだけど、さらにね、内容もその子は多動性がありますかとか、周囲と合わせることができないこだわりがありますかとか、読み書きに困難さを抱えていますかとか、この質問を見てどう思う?理系だったひとし君。
ひとし
一番思ったのは、環境によって自分がどう見られてるか変わるけん、難しいよなと思って。
多分ね、俺のお母さんが俺をどう認識しているかと、俺の大学の友達が俺をどう認識しているかと、最近出会った人たちとかでね、相当見え方が違うとは思うよね。
はるか
めちゃくちゃ大事な要素が入ってきましたね。それも後の結論とか、主張のところにつながってくるんですけども。
ありがとう。ここではね、極めて主観的な項目だよねってことが指摘されている。
客観的、絶対的なデータとかではなくて、これはその人がどう思っているかという主観的な項目が並んでいるから、かなり曖昧だよねっていうことがここから分かってくる。
まさにひとしが言ってくれたように、環境によって変わるっていうのは誰しも感覚としてあるのかなというふうには思うよね。
だから成田奈緒子先生の『「発達障害」と間違われる子どもたち』っていう本の中でも診断がのちに変わるっていうケースも紹介されていて。
ひとし
あるよね。
はるか
だから絶対的なものではないということがここで分かるから。これけっこうな気付きじゃない?
ひとし
確かに。この時点でだいぶ気付きがあった気がした。
はるか
だいぶ気付きよね。
ひとし
そう、発達障害のこういう特性がありますって一度診断されたら、もうそれと一緒に生きていかなきゃいけないみたいなイメージけっこうあるよね。
はるか
そうね、まさにひとしがここでそんな話をしようと思ってなかったんだけど、ひとしが言ってくれたように環境とかによって困り感とかっていうのは変わってくるということだし、周りの人の見え方によってもそれが診断が変わるというケースがあるということが一つの大きな要素としてありました。
ひとし
いいねいいね、いま発達障害みたいな超変えられないものみたいな認識が変化しました。
はるか
はいはいはい、でもねちょっと難しい、まあ後に言うんだけど特性自体は変わらないとかって話します。ちょっとその複雑な要素は、困り感は変わる。
ひとし
はいはいはいはい、なるほど。
はるか
でもいい気づきよね、困り感とかその障害という言葉は変わるんだと思う。
ひとし
はいはいはい。
はるか
だけど特性っていうものは変わらない部分もあるから、ちょっといいね話したいけど。
ひとし
困り感は変わるのね。
はるか
そうそうそう困り感は変わるということでございました。さてさてここからが重要なポイントで、さっきさ発達障害って言葉消えましたよって話したじゃん。
じゃあ現在医療現場では、もしくはそのアメリカでは何と呼ばれているのかっていうことよね。
ひとし
はいはいはい。