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2024-12-22 07:59

#6 柴崎友香『百年と一日』

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柴崎友香『百年と一日』について話しました。不思議な読後感の本です。

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サマリー

柴崎友香の『百年と一日』は、短編集というよりも神話的な要素を持つ不思議な作品です。この作品には様々な現代の人間関係や物語が描かれており、読みやすさと独特な雰囲気を兼ね備えています。

柴崎友香の作品紹介
tantotの時々読書、第6回でしょうか。
今日は、柴崎友香さんの『百年と一日』についてお話しできればと思っています。
こちらは単行本なんですけど、単行本は2020年に出ていて、最近ちょっと前に文庫化もされましたね。
これはもともと読んだきっかけは、吉祥寺に百年という古本屋さんがあって、百年のちょっと近くに一日という古本屋さんがあって、
同じ、経営しているところは同じ母体が経営されているという形で、
この百年と一日から名前を取っているのかな、取っていないのかなとわからないんですけど、
そこでこの本が多分置いてあったりしたのかなというので知って、
その時別にそのお店で買ったわけじゃないんですけど、たまたまちょっと別の機会に本屋で見つけて、
これが百年と一日かと思って、想定も結構素敵な想定だったので買って読んでみたという感じです。
この本はすごい短編集なのかな?すごい不思議な本で、
何というか、多分短編というよりはどちらかというと神話?
現代に書かれた神話みたいな、神話集みたいなそんな本なんじゃないかなと思います。
何かというと大体10ページとか15ページぐらいの短い短編のお話が20個ぐらいですかね。
30個ぐらい入っている本なんですけど、まずその話がどれもですね、あんまりオチがあるわけではない。
ある一人の人が主人公としていて、その人の話なのかというとそういうわけでもなくて、
ある場所の話だったりとか、たまには人の話だったりとか、人と人の関係なんかあったりとか、
こういう話でどうもつかみどころのない話がずっと並んでいます。
しかもその一つ一つの話のタイトルが本当に面白くて、タイトルなんですかねこれ。
例えば一番最初の話、1年1組1番と2組1番は長雨の夏に渡り廊下のそばの植え込みでキノコを発見し、
卒業して20年後に再開した後、10年経って20年経ってまだ会えていない話。
これ最初の話。
パッと開いた別の話というと、アパート1階の住人は暮らし始めて2年経って毎日同じ時間に路地を通る猫に気がつき、
行く先を追ってみると猫が入っていた空き家は住人が引っ越してきた頃にはまだ空き家ではなかった、みたいな。
そんな話。
例えば最初の1年1組1番みたいな話は、
たまたま高校の1年1組の1番と2組の1番の子が変なキノコを学校で見つけて、なんだろうねみたいな話をして、
その人たちが大学の時にふっと再会して、別に仲がいいよって言ってもらったわけじゃなくて、再会したり、
ネットで名前を見かけたり、あれこの人実は2組1番の人じゃんみたいな、見かけたりして、
最後、結局まだ会ってないんですけど、そういうだけで終わるっていう。
神話の特徴って、わからないですけど、
突然説明なく人の名前が勝手に出てくると、
時間軸がすごい唐突に時間が飛んだりするのと、
あとはオチがないみたいな。
その辺が神話っぽい話みたいな感じだなと思うんですけど、
別にこれ話としては現代日本っぽい。
どこの町とも、すごいどこの町っていうのがめちゃめちゃ具体的に書かれてるものもあれば、
作品の特徴と感想
どこの町ともわからないような話もあるんですけど、
現代日本っぽい話なんですけど、でもこれ神話っぽい感じだな。
何なんだろうな、これはみたいな。
すごいでも面白い。
あれにもちょっと近いかもしれないですね。
川上博美さんのこの辺りの人々みたいな。
ああいうのにもちょっと近いかもしれないです。
なんだか不思議な話。
ちょっと違う。
でもこういうなんだかよくわからない独語感の本っていうのは、
すごい敬語だし面白いなというふうに読んでます。
話も一個一個が10ページ、15ページぐらいでパラパラっと読めるし、
やっぱり柴崎園子さんの文章もとても読みやすく、すごいスッと入ってくるし、
それでいていい雰囲気があるしっていうので非常に読みやすいし、面白いし、
他にあんまり類書のないタイプの本なんで、
ちょっと変な体験をしたい人には少しおすすめでいいんじゃないかなというふうに思ってます。
ちょっと長くなってるんですけど、柴崎園子さんといえば最近、
あれですね、「すべてのことは今起きる」でしたっけ?
っていうシリーズ「ケアを生きる」のシリーズで出てるエッセイがすごい話題になっていて、
あの本の中でご自身が最近診断を受けて、
実はADHDだったっていう診断を受けて、
思い返してみると、確かにみたいな。
そのADHDとしての生きづらさを感じてたこととか、
これを診断されたことで自分のことを理解できて、
生きやすくなった面とか、でもちょっとまだ生きづらい面みたいな、
結構セキュラルにその辺を書いている非常に面白い話を最近出してましたけど、
ちょっと散落的に紐づけるのは良くないかもしれないですけど、
やっぱりそのADHDというか、そういう特性みたいなものと、
この本のすごい稀有な感じっていうのはやっぱり何かしら、
この柴崎さんの個性というかパーソナリティが色濃く反映されているのかななんてことを、
改めて思い出して、最近ちょっとまたこの100年と1日を見直してみたという感じです。
はい、こんな感じかな。100年と1日。
本当なんか不思議な本なので、不思議な本を読みたい方はちょっと読んでみていいんじゃないかなと思います。
それではありがとうございました。
07:59

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