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こんにちは。これまで、音楽と出版についての話をずっとしてきたんですけれど、今日はちょっと趣向を変えまして、最近読んだ漫画の話をしたいなと思っています。
なぜ漫画の話かというと、これが結構、音楽家を目指す人とか、そういう形の話にだいぶ繋がるものがあるなというのをすごく感じたので、ご紹介していきたいと思います。
同時に2つ読んだのが、本当にこういう、何か夢に向かって努力するという、そういうテーマの内容だったので、なんか偶然のうちなんですけど、すごく印象深かったので。
1つがですね、ツイッター、今Xですかね、で流れてきて思わず見てしまった、最後まで読んでしまった話なんですけれど、
Kindle Unlimitedでも読める作品なのですが、あららぎ菜名さんという作家の漫画家の方が書いた東京藝大ものがたりという話になります。
東京藝大というと、難関という話がだいぶアニメ化された漫画のブルーピリオドというものでも明らかになったと思うんですけれど、
あのブルーピリオドの主人公はストレートで芸大に向かっているんですよね。芸大の油絵ですかね。
しかも高校2年とか3年ぐらいになって藝大を目指してというので、なかなかない話なんですよね。
通常、音楽の方も結構厳しいんですけど、美術の方はさらに厳しくて、普通に三浪四浪、当たり前にいるという、そういう世界なんですね。
これは芸大だけに限らず、多摩美とか武蔵美とかでも結構いるらしいんですけれども。
序盤の方に、藝大を扱った漫画があるけれども、入試を扱った漫画があるけれども、
実際のリアルの藝大の受験について書いた漫画だって言ってないよねみたいな友達との話から、
この漫画を書いてみることにしましたということで始まる漫画なんですね。
これから先話するのは思いっきりネタバレになってしまうんですけれども、
結果的にこの主人公の方は、自伝なんですけれども、三浪でようやく入ることができるんですね。
その三浪で一浪の時に、なかなか実は良い成績だったのに、いわゆる試験の方、筆記試験の方で成績が良くなかったために、
受かることができなかったっていうのは後で分かって愕然としたんですね。
2年目はどうも振るわなくて、全く全然うまくいかず。すごいドロドロの中で一生懸命必死に頑張りながら、
ようやく自分が何を書けばいいのかっていうのが自覚的に分かるようになってきた。
それが3年目で、それでようやく受かる。結構それも確信を持って受かるという、そういう話なんですね。
実を言いますと、私、両親が美大出身で、母親の方が女子美術大学で、父親の方が多摩美術大学の出身なんですが、
母は現役で受かったみたいなんですけれど、父は一郎をして東京で予備校に通いながら勉強して、それで受かったという経歴ですね。
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それが70年代ぐらいの話なんですけれども、60年代末ぐらいですかね。
それでもかなり当時でも難関だったみたいなので、描けないでスランプになるところと、
それを克服するために予備校に通うことがお金がなくてあまりできなかったということなんですけれども、
この話の主人公はその部分がすごいリアルだなと思って。
その話を読んだ後にもう一つ読んだ別の、全く別の漫画がありまして、
カイジとかで有名な福本信行さんの漫画なんですけれども、
二階堂地獄ゴルフという、なかなかすごいドスの効いたネーミングの漫画なんですが、
これがどういう話かと言いますと、プロゴルファーを目指すという話なんですが、
その主人公が25歳とか20歳とかそれぐらいからゴルフを始めて、
初めて触ったらものすごい上手いということで、周りからすごい持ち上げられて、
プロテスト合格一歩寸前まで1年目で行くんですけれど、
その後受けてもいくら受けても全然受からずにあっという間に10年経って、
30代半ばになってしまったというところから始まる物語なんですね。
この物語を読むまで知らなかったんですけれど、
ゴルフのプロになるのってすごいお金がかかるみたいなんですね。
ゴルフ練習場とか回るお金だけではなく、
ゴルフクラブも消耗品なので買い替えなければいけなかったりとか、
地方遠征だとかそういう試験を受けるとか、そういういろいろお金がかかるらしくて、
それをゴルフ場や援助してくれる人からお金をもらって受けるということをやっていたらしくて、
主人公はある時から10年もたって受からないなら、
もういい加減どうにかしろよみたいな感じで、
結局最後には補助金みたいに打ち切られてしまうんですよね。
後輩が代わりに補助金をもらって受けて、
そのうちの一人がプロテストに合格するんですね。
後輩から当然バカにされたりとか、
常連からもバカにされたりとかそういうことがあるんですけれど、
主人公はめげずにプロテストを受け続けるという話なんですけれども、
それがまた全然受からなくて、今2巻まで言ってるんですが、
2巻の終わりぐらいでも全く受かる気配がないんですね。
でもそれでも主人公は諦めきれなくて、
人生全部かけてでもプロテストに受かるプロで優秀な成績を収めるようになってやると挑戦し続けるんですね。
芸大受験もなかなか厳しいですけれども、
もっと多分プロゴルフの世界って厳しいのかなと思うんですが、
こういう芸事というものに関して、
芸事というかゴルフはスポーツですけれども、
非常に狭いもののところに挑み続けるというのは、
結構音楽の世界にも通じるものがあるなと思っていまして、
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実際クラシックの世界だけでなくポピュラーの世界もそうですけれど、
クラシックは結構高学歴化しているんですが、
みんな結構大学院まで出てたりとかするんですけれど、
それでも海外留学して有名どころの音台を出て日本に帰ってきても、
それでも全然プロとしてコンサートピアニストとやっていくっていうのはかなり難しいとか、
そういう状況なんですよね。
しかもコロナがあって、
その前後からクラシック業界で稼げるというのはほんと少なくなってしまって、
これ結構あまり知られていない話だと思うんですが、
メジャーレーベルのごく一部の人を除いたら、
今クラシックの世界ってレコーディングのギャラがCD原物らしいんですよね。
お金一銭も出ないらしいんですよ。
印税収入とかそういうのなくて、
自分でCD売ってお金にしろよみたいな、
そういう世界らしいんですね。
エンジニアの方も本当にCD1枚分の録音でギャラが10万切るとかそんな世界らしくて、
本当に8万とか5万とかがそんな値段でグラミー賞を取ったエンジニアとかがお金をもらっているとか、
そういう状況らしいんですよね。
そうなると専業で生きていくのなかなか難しいんじゃないかというのが結構今の状況になっていて、
実は結構クラシック業界では兼業ピアニストというのが増えているんですよね。
ある意味自分で教室開いて普段は生徒を教えながら、
半年に1回とか1年に1回とか自分のコンサートを開く先生方というのも、
言ってみれば兼業のようなものかもしれないですけれど、
最近増えたのは全く別の業界、例えば銀行員であるとか弁護士であるとか、
あるいは研究職であるとかといった人がメインの仕事で収入を稼ぎながら、
間にコンサートを開いたりだとか、あるいはCDを録音したりとか、
そういうことをやっているというような状況が結構あるみたいなんですね。
ツイッターで見かけたんですけれども、音楽業界は炭坑のカナリアという表現があったのを見たんですが、
景気が悪かったりすると先に切り捨てられる業界って音楽業界とか、
そういうエンターテイメントの部分、スポーツも広い意味でエンターテイメントですよね。
そういうところなのかなと考えると、今は結構厳しい状況にあるのかなと思うんですけれど、
その中でも頑張っている人はいるわけで、そういう人のことを考えてしまう、
そういう漫画だったなと、全く関係ないところで見かけて読んだ2つの漫画が
結構同じようなテーマだったのでびっくりしました。
面白かったですという、そういう話でした。
ちなみに東京藝大ものがたりの作者さん、なんとなくなんですけれども、
うちの会社でいつも頼んでいるデザイナーさんも同じ藝大のデザインの出身なんですが、
世代的に同じだからひょっとしたら知り合いなんじゃないかなと思ったので、
ちょっと今度会うときにでも聞いてみようかなと思っています。
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今日は結構たくさんしゃべってしまいました。
それではまた。