~スラックライン講師 ちえこさんのお話〜 始めは純粋な「遊び」として仲間たちと楽しんでいたスラックラインが、体験会を開くまでに広がり、気がつけば一回のイベントに数百人が集まるほどに。ところが、次第にその活動が「義務的」になり、彼女が大切にしていた「遊び」としての楽しさが薄れていった理由とは。
サマリー
今回のエピソードでは、スラックライン講師の知恵子さんが遊びと仕事の境界線について語っています。彼女は、活動が純粋な楽しさから義務感へと変化する過程を探っており、彼女の体験を通じて、遊びと仕事のバランスを取ることの重要性が示されています。
遊びの始まりと成長
さあ、始まりました。タダの箱庭ラジヲ。本屋では買えず、増冊もされない、読み手から読み手へとギフトされる、1万冊の箱庭本についてお話ししていきたいと思います。
ということで、今回のテーマは、「遊びと仕事の境界線」というエピソード。
スラックライン講師、知恵子さんの体験談を通じて、遊びと仕事のバランスについて一緒に考えてみましょう。
知恵子さんは、スラックラインのインストラクターとしての資格を持っています。
スラックラインで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、
簡単に言うと、何センチですかね、10センチくらいかな、の幅の狭いベルト状のラインというか、バンドというかですね、
上をバランスを取りながら歩いたり、飛び跳ねたり、そんな新しいスポーツになります。
始めた当初は、ただの小さなコミュニティ活動だったそうです。
小さい子どもを連れて公園でみんなで楽しむ、そんな遊びだったんですね。
でも、いつの間にか状況が変わっていきました。
知恵子さんのもとにですね、体験会をやってくれませんかと声をかけられたり、
スラックライン協会というところから協力の申し出があったり、
気がつけば検定会も開いたりとか体験会を開催するようになり、
なんと1回のイベントに100人とか200人もの人が集まる大きなグループになっていたそうです。
つまり遊びで小さく始めたことがどんどん大きくなってしまっていったんですね。
それには知恵子さんも驚いたそうです。
笑いながら規模が大きくなっちゃいましたってニコニコお話ししていただきましたけど、
でも知恵子さんが面白いのは、彼女はこの活動を仕事にしたいわけじゃないということなんです。
実際には他の仕事も持っていて、さらに子育てもあったり、
スラックラインはそんな合間の楽しみの一つとして続けていたわけです。
利益を求めるわけでもなく、ただみんなが集まって楽しむ時間を大切にしていたんですね。
ところが体験会が大きくなるにつれて、いつしか義務感みたいなものが生まれてしまったそうです。
本来そうじゃなかったよねと知恵子さんは振り返ります。
ただただ友達と遊びで始めたものが仕事のようになってしまい、その純粋な楽しさが少しずつ薄れていく感覚。
境界線の葛藤
これは多くの人が共感できる部分かもしれませんね。
何かを楽しむために始めたのに、それが義務や尊徳感情によって少しずつ変わっていってしまう。
それで知恵子さんは今年は体験会をやめることにしたそうです。
遊びには目的なんてないと知恵子さんは言います。
確かに何かを楽しんでいるとき、遊んでいるときってその背後には利益や成果を考えたりとかもしないですよね。
逆にそういうのを考え始めてしまうと何のためにやっているのかわからなくなることがあります。
彼女も体験会自体が楽しくないわけではないんだけど、それ以外では何か集まれなくなってしまったと感じたそうです。
つまり体験会だとお金をもらってスラックラインをやれる時間になると。
でも体験会ではないとお金が入らないので、それだったらやめとくかなみたいな感覚なんでしょうかね。
彼女がそういったコミュニティの中の質感みたいなものなんですかね。
その本質が少しずつ変わってしまったみたいな、そんな感じなんだと思います。
これも千恵子さんに限らずお金が絡んでくると純粋な楽しみが変質してしまうという瞬間って皆さんも感じたことがあると思います。
千恵子さんも暮らしの一部として体を動かしていたり仲間と楽しい時間を過ごしたいという感覚を大切にしていたかったと。
でも遊びの延長で始めた活動が次第に仕事ぽくなってしまう。それが彼女にとっての葛藤でもありました。
子供の頃遊びは遊びとして存在していて何の気兼ねもなく遊んでいたのに、大人になると何かしら目的や存続が絡んできてしまう。
千恵子さんもそれを感じていたようです。
仕事として正規の単価をもらってやることも大事だけど、遊びとして純粋に楽しむことも大切、そんなように彼女は言っていました。
そしてそのバランスをどうとるかが難しいところなんですけどね。
千恵子さんは5年後10年後この活動をどうしていくべきかとも考えているそうです。
もしかしたら若いスタッフが入ってくるかもしれないし、新しい形での発展が必要になるかもしれない。
だけど今は今で楽しいし仲間も集まってくる。
利害関係がない純粋な楽しみの場をどうやって維持したらいいのか、そのバランスを大事にしながらこれからも続けていきたいと語ってくれました。
僕も親から遊ぶことが子供の仕事だと教えられて、そのまま40歳になってしまっているんですけれども、遊ぶことと仕事の境界線ってやっぱり難しいですよね。
友人でもミュージシャンの方で、もちろん歌を歌って仕事をされているのでしょうがないというか、ただで歌うということは基本ないわけで。
ただ歌を作ったり歌って聴いてもらうということはですね、仕事になる前は本当にそれをしていることが純粋にただただ楽しかったと。
ただそれがお金をもらってプロとしてミュージシャン、音楽家として活動していくうちにですね、仕事になっていってしまったわけです。歌を歌うことが。
その結果、お金のために自分が歌いたいと思えない歌を歌わされたりとか、仕事として求められる関係性のやり取りに疲れてしまい、もうマイクの前で歌えなくなってしまったという、そんな体験をミュージシャンの友達も言っていて。
同じことなのにね、遊びとしてやっているときと仕事としてやっているときでは全く別物に変わってしまうということもあって。
したいことが仕事になったらいいよねっていう声もよく聞くんですけど、あえてね、この千恵子さんのように、これはもう遊びとしてやりたいんだっていうね、仕事にはさせないっていう、そういう選択もあるのかもしれないですね。
そんな千恵子さんのエピソードから学べることは、遊びと仕事の境界線をどこで引くか、どうバランスをとるかということなんだと思います。
お金や仕事が絡んでくると、純粋に楽しんでいたことが少しずつ変わってしまう。
でもその中でどうバランスをとって、自分が本当に大切にしているものを守っていくのか、それが彼女にとって課題であり楽しさであるのかもしれませんね。
そんな今日のエピソードは、遊びと仕事の境界線というテーマでスラックライン講師の千恵子さんのお話をお届けしました。
次回も皆さんに響くお話をお届けしたいと思います。
それではまたお会いしましょう。ありがとうございました。
09:25
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