1. ストーリーとしての思想哲学【思想染色】
  2. #20 〈魔女〉という概念の理論..
2023-06-04 07:59

#20 〈魔女〉という概念の理論的根拠

〈魔女〉などという不可思議な存在がなぜいることにされ、魔女狩りが起きてしまったのか。それは昔の人が考えなしだったからではなく、むしろ理論的根拠があるが故のことであった。


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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします
今回は、魔女についてです
イメージで言うと、魔女と言えば魔女狩り
魔女狩りと言えば中世ヨーロッパーっていう感じがします
魔女狩りって言うと、火炙りとか魔女の容疑がかけられた人を水に沈めて
浮かんできたら有罪、沈みっぱなしだったら無罪とか
かなり野蛮なことをしていたという印象が強いです
で、さっき魔女狩りと言えば中世ヨーロッパのイメージがあるって言ったんですけど
実際には魔女狩りが一番盛んだったのは、近世に入ってからです
これは魔女狩りをするにあたっても理論的根拠っていうのがあってですね
その根拠となる重要な本っていうのがいくつかあって
そのうちの一つが、まず1486年に書かれた
魔女への鉄椎っていう本
あとは1580年に書かれた悪魔教についてという本が出てきたのが大きいです
これはやっぱり人間の認知っていうのが
まず感情で魔女が怖い、だから排除したいっていうのが
これが感情として先にあって
で、感情の後に理論が後追いで補強されてくるっていうことがここからも見て取れますよね
つまり人間は別に理論的に意思決定をしているわけではなくて
実のところ先に感情が意思決定をしてしまって
で、後から理論が付け加えられてくるっていう
こういう基準になってるんだなっていうのがわかります
で、話を戻して
この1580年に書かれた悪魔教についてっていう本で
どのような理論が展開されたかから
魔女っていう概念を捉えたいと思います
まず、いつの時代でも
その特有の時代性みたいなのがあって
この辺りの時代っていうのは大雑把にいって
アメリカ新大陸を発見して
未知の新世界がある
すげえみたいな
そういうまだ発見されていない未知のもの
未知の新しい世界みたいなのがあるっていう
こういう大きな衝撃があって
これが時代精神でありました
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で、これを宗教的観点から見ると
地球の裏側に人が住んでいるっていう事実が
キリスト教の絶対性を揺さぶったんですよ
なぜなら、すべての人類っていうのが
アダムとイブの子孫なわけですから
キリスト教においては
だから、地続きの範囲にしか
人類はいけないと思われていましたから
そんな海の遥か彼方
地球の裏側に行く方法っていうのがないから
そんなところには人類が到達しているはずがない
人が住んでいるっていうことは
絶対にありえないことだっていう風に思われていました
これは神学っていう学問があって
神の学問って書いて神学
この学問の中ですでに決着済みのテーマとして扱われてたんですよ
でも実際のところ
海の遥か彼方大航海時代において
地球の裏側にも人間がいたじゃん
神学が間違ってたじゃんっていうのが
宗教的に衝撃だったんですよ
はい
この時代について
ちょっと別の言い方をしますとですね
宗教から科学へとシフトしていくべきだよねっていう時代性でした
それで今までいないと思われていた
海の遥か彼方の人々もいたわけだし
これはあれだね
今までの常識をもっと疑わないといけないかもしれんねっていう風になったわけ
つまり人間の想像を超えた事象であっても存在し得るわけだから
思い込みによる断定を避けて
もっと謙虚に事実認識していかなきゃいけないよねっていう
こういう態度が良しとされるようになりました
これがちょっと面白いんですけど
この時代においてもね魔女っていうのは実在を疑われていたんです
普通に魔女なんていないでしょうって思ってた人もかなりいたんだけど
でも大航海時代において
いや新大陸もあったし新大陸に人類もいたんだし
もしかしたら魔女だっているかもしれないじゃん
科学的に考えて
簡単に魔女の可能性を否定しちゃダメだよっていうこういう理屈が展開されました
ねぇなんか現代人から見ると
そっち?そっちに行くんだっていう風にちょっと思いますけど
魔女とはいえ
人間が数百キロを一瞬で移動したり
人間が動物に変身したりとかっていうのはあり得るわけがない現象であっても
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でも何かそういう物理法則があるのかもしれないっていうこういう論理展開がなされました
これね当時包囲磁石が北を指し示すのもそれが何でかは説明はできないけど
事実だとは思われていたし
新大陸にも人間いたよねと
この論理は
悪魔教についてっていう本の中では
秘められた自然の力っていう書き方がされますけど
要するに
俺たちがまだ知らない何かそういう物理法則がきっとあるんだよ
だから魔女だっているよっていうこういう書かれ方をしていたわけです
まとめると宗教の時代から科学の時代へと移り変わりつつあったこういう時代
宗教と科学が並存していました
宗教的な恐れ、魔女に対する恐れ
魔女が存在することで神の怒りに触れるっていうこういう恐怖がまず存在しています
それと同時に新大陸発見などにより
世界にはまだまだ未知の物理法則が存在するんだっていう
こういう謙虚な科学的態度も同時に併せ持つことで
これらが最悪の悪魔合体をしたということです
はい
という理論的根拠でもって魔女は存在するということにされたという話でした
今回はここまでです
次回もよろしくお願いします
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