1. ストーリーとしての思想哲学【思想染色】
  2. #44 芸術を否定した男、プラトン
2023-11-19 06:33

#44 芸術を否定した男、プラトン

古代ギリシアの哲学者・プラトンが芸術をバチクソ批判しているエピソードを紹介します。

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ストーリーとしての思想哲学
【思想染色】がお送りします。
ここ最近、ちょっと難しめの哲学や美学のテーマが続いたような気がしますので、
簡単めの哲学のテーマにしてみたいと思います。
古代ギリシャの哲学者プラトンが、
芸術をめっちゃ否定してるよって話を紹介します。
プラトンはね、芸術をイデアの模倣の模倣であるって表現しました。
別の言い方をすると、
芸術とは劣化コピーのさらに劣化コピーであるっていうことです。
どういうことでしょうか。
プラトンの哲学では、
現実世界はイデアと呼ばれる永遠で完全な形態の存在によって支配され、
現実世界に存在するあらゆるものはイデアのコピーであるとします。
これは、世界の外側、ことわりの外側にイデア界っていうのがあって、
そこに概念が実装されているという世界観です。
例えば、現実世界に犬がいますよね。
でも犬って一匹一匹の姿形は全然違うし、
シバ犬もいれば、チワワもいれば、
さまざまな犬種があるけど、
全然違うにもかかわらず、それらはすべて犬であるとわかります。
なぜ全然違う見た目をしているのに、
我々は犬だっていうことがわかるのか。
それは世界の外側に犬のイデアがあって、
この世界の内側にいる犬が、犬のイデアから派生した存在であるからだと言います。
この辺の世界観は現代人の我々からすると、
パソコンのプログラミングのアナロジーで理解すると理解しやすいかと思います。
僕たちが住んでいるこの世界を、
映画のマトリックスのような仮想現実世界として捉えてみてください。
僕たちはプログラミングされた仮想の電子空間の中にダイブして生活している存在です。
そうすると、僕たちの周りにあるものっていうのは、
すべてプログラミングされたものということになるよね。
で、プログラミングっていうのは、
電子空間内の存在である僕たちからは見えないんだっていうのはイメージできますか?
電子空間っていうのはプログラマーがプログラミングを組んで創造したものです。
プログラマーは世界を創造した神で、
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プログラムされた世界の中に住んでいるキャラクターにはプログラマーを見ることはできません。
もう一回ちょっと違う、似たようなアナロジーで言いますね。
僕たちはテレビゲームの世界の中に住んでいるゲームキャラクターです。
それでゲームキャラクターからは、
ゲームの外側にいるプレイヤーを見ることはできません。
このゲームの世界、電子空間の外側にあるプログラミングがプラトンで言うイデアです。
そして電子空間の中のもの、
大自然とか川とか岩とか机とか椅子などのあらゆるものとは、
プログラミングが規定したものであり、イデアから派生したもの、いわばイデアのコピーです。
はい。
そしてさらに、プラトンは芸術とは自然の模倣だと言います。
古代ギリシャの芸術をイメージしてほしいんですけど、
絵画とか彫刻は自然の対象を模倣して描写しています。
彫刻だったら人間の美しい肉体を模倣してそれを彫刻にしているし、
絵画だったら美しい自然とかをこれを模倣して絵に描いて描写しています。
同様に、詩とか文学っていうものも人間の行動とか、
その時に引き起こされている感情を描写して模倣しています。
したがって、これらの模倣は二重の模倣であるということになります。
先ほど言ったように、自然というもの自体がイデアの模倣であるから、
芸術はそのさらに模倣品であるわけだから、つまりコピーのコピーです。
コピーのコピーなんてものは、劣化コピーもいいところで、
むしろない方がいいって厳しく批判しています。
特に詩人に対して厳しくて、詩人追放論なんてものもあります。
詩なんてものは感情や欲望を操作するだけの毒であり、
人心を惑わす質の悪いコピー品だということですね。
なんかめっちゃボロクソ言ってて面白くないですか?
現代においては芸術って結構無批判に肯定されているところもあるから、
今の時代にはなかなかない視点かもしれません。
僕の個人的意見としては、
芸術とは毒であるっていうのは正しいと思います。
だって人間って体に悪いことが大好きじゃないですか、
毒だから多くの人を惹きつけるのではないかとか、
芸術とは決して道徳的に正しいものでもなければ、
善政を備えたものでもないといった観点が必要じゃないかなというふうに思います。
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というわけで今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。
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