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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回の続きです。
前回は、アート作品が値上がりすることができるそもそもの仕組みの話をしました。
今回は、それで具体的にどのようなアート作品が、その中でも特に値上がりをするのかという話に続きます。
まず、これも論に入っていく前のそもそもの話なのですけど、
前提として、アート作品っていうのは作るのに時間がかかります。
絵画でも彫刻でもなんでもいいんですけど、
仮に1ヶ月に1作品を制作できるということにします。
小さい作品とかだったらもっと短時間でできますけど、
大きい作品だとやっぱりそれなりに時間がかかります。
そうすると、1年で制作できる上限は12点です。
これが1.30万円で売れれば、単純計算で年収360万円ですよね。
ただ、こっから保険料とか税金やら支払う必要がありますし、
すべての作品が売れるとも限りません。
そうするとやっぱり1.50万円くらいでは売りたい。
もうこの時点でそこそこ高いわけですけど、
こっから価格形成がスタートします。
で、どのように価格形成がなされていくかなんですけど、
これも結論から言いますと、
何かしらのその転換点になった影響力の強いアートが高値がつけられるアートということになります。
これ直感的にわかりづらいと思うんです。
でもたまたまわかりやすいアナロジーを見つけたんで、
多行詞の例っていうのをちょっと引き合いに出しつつ説明してみます。
僕が例え話としていいなと思ったのが、
テレビゲームってありますよね。
ゲームを例にするとイメージがしやすいと思うんですけど、
何かしらの転換点となったゲームというものがあります。
インベーダーゲームとか、ドラゴンクエストとかがそれです。
そのゲームが登場したことによって、それ以降のゲームにものすごく強い影響を及ぼしました。
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これはね、今、エンタメビジネス全史っていう本を見ながら喋っているのですけど、
ちょっと引用してみます。
ゲームをまた日本的漫画手法を有効に取り入れ、ジャンルを開拓してきた。
その代表がドラゴンクエストシリーズである。
コマ割りのようにセリフが入り、
シチュエーションごとにコマンドを選択するようなロールプレイングゲームの形式を作ったのはこのタイトルであった。
この発明がその後のRPG名作を続々と生み出し、
ゲームをキャラクターと物語を創出するプラットフォームに変えた。
つまり、ドラゴンクエストはロールプレイングゲームという形式を打ち立てたから価値が高く、金字塔っていうふうに呼ばれているわけです。
アートにも新しい形式を打ち立てた作品っていうのはたくさん存在していて、
こうしたアートには高い価値がつけられます。
これがゲームの場合だと、ゲームソフトっていうのは大量生産が可能ですから、
ソフト1本あたりの価格っていうのはそこまで上がりません。
たとえプレミア価格がついたとしても、1本1億円とかにはならない。
それはゲームソフトが複製が容易であり、大量に流通している同一品が市場にあるからです。
一方でアート作品は1点しかありませんから、
だからクソほど値上がりする。
セカンダリーマーケットで青天井の価格がつけられていくっていうこういう構造になってます。
これが高額なアートが出現してくる現象のメカニズムです。
はい、最後に余談ですけど、
新しい形式を打ち立てて他の人からたくさん参照されて引用されたものが価値が高いっていうのは、
論文なんかも同じです。
論文の場合だと非引用数って言うんですけど、
他の論文からたくさん引用された論文が価値が高いっていう風に見なされます。
さらに余談の余談をしますと、
この論文の非引用数っていう考え方を使って情報を整理したのがGoogleです。
Googleはこれをアルゴリズムにすることによって情報を整理して世界トップの会社になりました。
だからこういうアートが値上がりする構造っていうのは、
別にアートの世界の中だけで起こっているわけじゃなくて、
ある程度再現性のある現象なのだと思っても良さそうです。
というわけで今回はここまでです。
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また次回もよろしくお願いします。