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始まりました志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
この番組をいつも聞いてくださっている方はご存知だと思うんですが、この番組は言語学の番組なんですよね。
なので、過去のトークを見返してみると、大抵言語の話をしているわけですが、
この言語とか言葉っていうのは、そもそも何を指しているのか、何を意味するのかっていうことをね、今日のトークでは考えていこうと思います。
どういうことかというとですね、例えば、人間は言葉を操るが、動物はそうではないといった時の言葉と、
日本で話されている言葉と、アメリカで話されている言葉は違う、といった時の言葉。
この2つの言葉っていうのは、意味合いが微妙に異なるし、
あるいは、今言った言葉を忘れるな、とか言った時の言葉っていうのもまた違いますよね。
一言で言えば多義的であるとか、いろんな意味を表すことがあるということなんですが、
こういった言葉っていうのを丁寧に定義するっていうのも、大事なことだと思うんですよね。
いろんな学問でそういったことって重要だと思うんですけど、
僕自身そういうのは割と好きで、何々とは何かっていうのを本質的に突き詰めて、
丁寧に記述していくっていうのは、言語学に限らず好きなことなので、
今日はそういったことを考えていこうと思います。
考えていこうと思いますっていうか、僕自身がいろんな意味合いの言葉を定義したわけではなくてですね、
ソシュールと言われる最も偉大な言語学者の一人ですね、が既に定義してるんですよね。
それをご紹介しようと思います。
先に言っておくと、ソシュールは3つの言葉っていうのを定義してるんですよね。
一つ目はランガージュと言われる言葉。
二つ目はラングと言われる言葉。
最後はパロールと言われる言葉ですね。
ソシュールはフランス語が母国語だったので、この3つのランガージュ、ラング、パロールというのもフランス語なんですよね。
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それぞれの言葉が何を意味するかっていうのを今から一つずつ見ていこうと思います。
一つ目の言葉はランガージュと言われるものです。
これはさっき言った例で言うと、人間は言葉を操るが動物はそうでもないといった時のものですね。
言ってみれば能力としての言語といった感じです。
個別的な言語ではなくて、現実世界を抽象化することができる能力、人間の普遍的な力みたいなものをランガージュと言います。
これはですね、人間というのは人種とか民族とかに関わらず、その生まれ落ちた環境、共同体、社会の言語を学ぶようになるということですよね。そういう能力があるということです。
ただ、このランガージュは確かに能力ではあるんですが、人間特有の二足歩行とかとはまた別個のものと考えないといけないんですよね。
というのは、このランガージュっていう能力としての言語っていうのは、さっき言った社会や共同体っていうのが前提としてあるので、
人間の持っている他の先天的な能力とはちょっと違うという点もあります。
ひとまず一つ目の言葉はランガージュと言われるものです。
二つ目の言葉はラングと言われるもので、これは日本語とか英語とか中国語とか言ったような時の言語、言葉ですね。
個別言語と言ってもいいかもしれません。
ランガージュが抽象的なものだとすると、それがある社会や共同体で具体化したものがラングであると言えるかもしれません。
このラングというのは体系としての言語といった感じで、一種の社会制度とみなすこともできます。
具体的に言うと文法とかあるいは発音とかね、そういったものに一定の規則がある、体系があるのがラングであるということですね。
そういった意味で社会制度であるということです。
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最後の言語はパロールと言われるものです。
これはさっきの例で言うと、今言った言葉を覚えとけみたいな時の言葉ですね。
実際に発話される言葉のことです。
先ほどラングはランガージュの具体化したもの、顕在化したものだみたいな言い方をしたんですが、
今度はパロールというのはラングの具体化したもの、顕在化したものであるということができます。
つまりランガージュとラングっていうのは抽象具体の関係にあるのと同じように、
ラングとパロールっていうのもまた抽象と具体の関係にあるということですね。
先ほどのラングは社会的なもの、社会制度っていう言い方をしましたけど、
社会的なものであったのに対し、パロールは個人的なものということができます。
このラングとパロールっていうのは相互依存的なもので、パロールっていう個人的な発話をするためには当然和社の中には社会的な決まり事であるラングっていうのがないといけないんですよね。
その潜在的なラングが実現したのがパロールということなので。
一方でラングという社会制度はパロールという個別的な発話が積み重なって作り上げられたものなんですよね。
だからまあこれは鶏と卵というか、実際に発話されたものがないと社会的なラングっていうのはできないし、
ただ逆に言うと潜在的にラングというものを持っとかないと個別的なパロールっていうのもまた出てこないということですよね。
今ちょっと同じこと言っちゃいましたけど、これは言語の持つ逆説的な側面というか、自ら作り出したものに自らが縛られているということですよね。
そしてそれは無意識的なものであるっていうのがまた面白いところでございます。
というわけで3つ目の言葉、言語はパロールと言われるものです。
今回のトークでは言葉が様々な意味を表すんですが、言語学ではランガージュ、ラング、パロールという3つの言葉が区別されるということをお話しいたしました。
この区別をしたのはソシュールと言われる言語学者で、ソシュールは他にもいっぱいい大な功績を残しているんですが、
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この3つの言葉の区別もそういった功績の一つであるということができます。
というわけで今回のトークはここまでということで、最後まで聞いていただいてありがとうございました。
また次回お会いいたしましょう。
ごきげんよう。