1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2023-04-15 09:49

#538 属性と事象:叙述類型論 from Radiotalk

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「のだ」のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/707316

主要参考文献
『叙述類型論』 (益岡隆志、くろしお出版)
「「って」提題文の表す属性と使用の広がり」 (岩男孝哲、『叙述類型論』所収)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:07
始まりました、志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
ウーピー・ゴールドバーグです。
言語っていうのは、この世のあらゆる物事を、
なんていうんですか、
言葉にすることができるっていうか、
説明することができます。
それが言語のすべての機能ではないんですけど、
分かりやすいですよね。
誰かに伝えるために、
世界で起こっているいろんな物事を、
言葉に言い表しているわけですけど、
その表し方に、
2種類あるっていうような主張があるんですね。
で、今回中心にね、
考えていくのは、
叙述類型論という考え方で、
これは増岡隆先生という先生の提案している考え方です。
叙述する、述べるっていうことですけど、
その言葉に表す述べ方に、
2種類あるっていうのが増岡先生の主張で、
1つは属性助術、
もう1つは自称助術と言われるものです。
こういう分け方は、増岡先生以前にもあったみたいですけど、
今回はこの増岡先生の研究に則ってお話ししていきます。
ちょっと堅苦しいような気もしますけど、
そのまんまといえばそのまんまなんですよね。
属性助術っていうのは、
そのものとか人とか、
それが持っている属性を述べるものであるということで、
典型的にはAはBだみたいなトピックコメント、
主題解説という形で表されて、
名詞文や形容詞文っていうのが多いようです。
例えば、日本は島国だ。
これは日本という国について言えば島国という属性を持っている。
あるいはあの人は優しい。
これも同様ですよね。
こういうふうにそのものが持っている特徴、属性を述べるのが属性助術というもので、
ある意味、本来的っていうことは時間的な制約っていうのがないんですよね。
03:02
いつでも島国であるし、いつでも優しい。
それに対して自称助術というのはどういうものかというと、
子供がにっこり笑ったみたいなもので、
典型的には動詞文で表されます。
で、にっこり笑ったみたいに、
ここだと過去ですけど、笑っているみたいに進行を表したりとか、
属性助術に比べると時間的な要素っていうのが非常に絡んでくるものです。
属性助術っていうのがある意味で向上的なことを表すタイプだったのに対して、
自称助術っていうのは特定の出来事、あるいは1回限りの出来事を表すタイプなんですね。
こういうふうに物事の述べ方には属性を表すタイプ、属性助術と出来事を表すタイプ、
自称助術という2種類があって、
前者は典型的には名詞文、後者は典型的には動詞文ということで、
こういった助術のタイプを2つに分けるっていうのは日本語だけじゃなくて、いろんな言語に応用できるようです。
この属性助術と自称助術の違いがどういったところで現れるかというと、
例えば日本語のはと〜てのての使い分けに反映されているそうなんですね。
はとてっていうのは両方使える場面っていうのも確かにあるんですよね。
例えばこの本は面白いですねっていうのと、この本って面白いですねっていうのは意味にそんなに違いはないです。
このはにしろてにしろ細かく見ていくといろいろ用法があるんですけど、ちょっと今はその細かい話は置いておいて、
この本は面白いですね、この本って面白いですね。
これはさっきの話で考えると属性助術ですよね。
つまり属性助術であればはもても問題なく使えるんですが、
自称助術になるとてっていうのは相性が悪くなります。
つまり動詞文で具体的なその出来事を表す場合はてっていうのはちょっと言いづらくなって、
鈴木さんはアメリカに行ったよ。
まあこれはアメリカに行ったっていう具体的な出来事を表している自称助術で、
06:05
今言ったみたいに、鈴木さんはアメリカに行ったよ。
はだったら自称助術にも使えるんですけど、
鈴木さんってアメリカに行ったよっていうのは非常に言いづらいんですね。
まあこのことからはっていうのは属性助術にも自称助術にも出てくるんですけど、
てっていうのは属性助術じゃないと使いづらいということが言えるそうです。
ただ手を使った場合でも鈴木さんってアメリカに行ったんだよみたいに
んだみたいなものをつけると許容されるようになるんですね。
このんだあるいはのだっていうのをそのままのだ文ということがあります。
こののだっていうのはのっていうのはもともと形式名詞なので、
昨日買ってきたのみたいにのっていうのがある意味名詞化として使われているわけですけど、
のだっていうのも名詞由来っていうことは、
鈴木さんってアメリカに行ったんだよっていうのも、
ある種の名詞文であるということができます。
まあこういった点で属性助術に近いんですよね。
そういうことで鈴木さんってアメリカに行ったんだよみたいな言い方は、
てを使っても言いやすいということになります。
このように属性助術か自称助術かによって、
わーとての文法的な違いが出てくるんですね。
今お話ししたわーとての違いは、
岩尾隆盛先生のご研究で、
さっきお話しした松岡隆先生編の黒潮出版から出ている
助術類定論っていう本に入っているものです。
このてっていうのはね、さっきちょろっと言いましたけど、
細かく見ていくともっと面白いんですけど、
詳しいお話はね、また別の機会に譲ろうと思います。
以上、今回のお話は属性助術と自称助術っていう風に、
大まかに2つ表し方っていうのがあるっていう話だったんですけど、
この属性助術っていうのもまた細かく分けられるんですよね。
属性助術は向上的なものだって言いましたけど、
その向上性の中にも段階みたいなのがあって、
あの人は優しいって言った場合は、
まあかなり向上的と言っていいんですけど、
あの人は多忙だと言った場合、
優しいっていうのと比べるとかなり時間的なね、制約があるものだと思います。
09:05
こういう風に属性助術もその中身を細かく見ていくとまた面白いんですけど、
今回はね、ざっくりと属性助術と自称助術というのがあって、
前者は向上的な属性を表して、
後者はどちらかというと具体的な出来事を表してっていうようなね、
そういったお話をいたしました。
それではまた次回のトークでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はしがあじゅうごでした。
またね。
09:49

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