1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-08-02 08:40

#341 うさぎが一羽、二羽、三羽 from Radiotalk

関連トーク
「名詞に「性」がある言語って?」
https://radiotalk.jp/talk/319474

参考文献
『数え方の辞典』 (飯田朝子著・町田健監修、小学館)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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みなさん、うさぎを数えるとき、どういうふうに数えるかご存知でしょうか。
うさぎは一匹、二匹、三匹ではなく、一羽、二羽、三羽と数えるんですね。数えるんですね、つって、トークタイトルがもうそのようなことになっています。
始まりました。志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
結構これは有名な話だから、ご存知の方も多いんじゃないかなと思います。
なぜ、うさぎを羽で数えるかっていうのは、諸説あるみたいですけど、
一つは、お坊さんが獣の肉を食べられないということで、無理やり鳥に見立てて、一羽、二羽、三羽と数えるようになったとか、
うさぎの耳が鳥の羽みたいだから、一羽、二羽、三羽と数えるみたいな、そういった説があるみたいですね。面白いですね。
どうですかね。うさぎを数える機会っていうのが、大人になってしまうとね、なくなっちゃうからなぁ。
うさぎ小屋とか小学校にあったような気がしますけど、その時どうだったかなぁ。ちゃんと一羽、二羽、三羽って数えてたかなぁ。
まあ、ともかく今日はこの引きとか和とか、こういう助数詞っていうものをテーマにお話ししていこうと思います。
まあ、この本題に入る前にですね、一羽、二羽、三羽。和、和ときて三の時だけ羽っていう音になるんですね。
人によっては三羽という人もいるかもしれません。
三の時に濁音が出るっていうのは、まあ時々あって、さっきの引きもそうですよね。一匹、二匹、三匹。
あるいは一階、二階、三階みたいに、まあやっぱりここでも三の時濁音が出てきています。
現代仮名遣いでは一羽、二羽って和っていう風に書きますけど、歴史的仮名遣いでは羽っていう風に書くんですね。
これは波行転呼っていう、専門的には音の現象が関わっていて、歴史的仮名遣いであはれと書いてあわれと読むとか、いふと書いていうと読むみたいなのがありましたよね。
これはもともとはひふへほっていう発音は、ファフィフフェフォっていう唇を使う音だったんですけど、
それが語中とか語尾とかで、ワイウエオっていう和行の音に変わってしまったんですね。
それが平安時代のことで、現代でも一羽、二羽と和という発音のまま残っています。
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ただ三羽の時は連濁っていう現象が起こっていたので、連濁したまま現代に伝わっているので、和と羽っていうちょっとイレギュラーな対応に見えてしまっているっていうことなんですね。
これはこれで面白い現象ではあるんですが、今回は先ほども申し上げました通り、助数詞とかあるいは類別詞みたいな言い方もされるんですけど、
そういったものについてお話ししていこうと思います。
日本語のひきとか和っていうのは、数詞についているので助数詞っていう言われ方をするんですけど、
これは名詞の意味というか、形とかサイズ感とか、生きているかどうかとか、そういったものに基づいて使われてますよね。
動物だったら、普通1匹2匹3匹、ひきというのを使うわけですけど、うさぎはちょっとイレギュラーで、鳥に使うはずの、1羽2羽3羽っていうのを使ってますよね。
ただ動物であってもサイズが大きくなれば、1頭2頭3頭っていうものを使います。
あるいは形というか形状っていうのも非常に大事で、小さかったら一粒だし、細長かったら1本だし、薄っぺらいものだったら1枚ですよね。
この助数詞っていうのは日本語だけに見られるものではなくて、
東アジア的な、東南アジアにも見られるかな。結構地理的に偏った特徴と言えるかもしれません。
日本語をはじめとする言語で見られる助数詞っていうのは、その名が示す通りですね。
数詞の後に出てくるものなんですけど、言語によっては、こういった特徴が動詞に出てくることがあります。
つまりイメージとしては、持ってくるっていう動詞に1枚2枚のマインみたいなのがつくと、薄っぺらいものを持ってくるっていう意味になったりとか、
本っていうのがつくと、細長いものを持ってくるみたいになったり、
そういうふうに持ってくるものの形状によって動詞の形がいちいち変わるっていう言語もあるんですね。
これはなかなかイメージしづらいですけど、面白いものではないかなと思います。
少し話はずれるんですけど、名詞クラスっていうものがある言語もあります。
名詞がグループ分けされているっていうことですね。
さっきの日本語の助数詞の話も、形状とかサイズによってグループ分けしてるといえばしてるんですけど、
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それとは少し性質が違うものです。
どちらかというと、ヨーロッパの言語に見られるような男性名詞とか女性名詞とか、そういったものに近いものです。
代表的なものはスワヒリ語で、スワヒリ語の名詞は必ずいずれかの名詞クラスに属すっていうことになってるんですね。
どの名詞がどの名詞クラスかっていうのは、一応形を見れば分かるというか、節統字で表されるんですね。
子供っていうのは、無等とっていうふうに言って、この名詞は節統字のmっていうのがついています。
ただ複数になると、和等とっていうふうになって、別の節統字がつくんですね。
すべての名詞の単数と複数のペアが、無っていう節統字と和っていう節統字で表されるかというとそうではなくて、
本っていう単語はキターブといってキっていう節統字がつきます。
これは言語の名前の前にも出てくる節統字で、スワヒリ語っていうのはキスワヒリみたいな言い方をするんですね。
これが複数形になると、ヴィターブっていうふうに、ヴィっていう節統字がつくんですね。
つまりスワヒリ語では、子供と本っていうのは、別の名詞クラスに属しているということになっています。
面白いのは、この名詞を形容詞が修飾する際に、形容詞も同じ節統字を取るんですね。
例えば、良いっていう形容詞はずりって言うんですけど、スワヒリ語は後ろから前に修飾するので、
良い子供、一人の良い子供っていうときは、無等と無ずり。
良い子供たちというときは、和等と和ずり。
良い本、一冊の本だったら、キターブキずり。
良い複数の本だと、ヴィターブヴィずりっていうふうになるんですね。
これはスワヒリ語だけじゃなくて、バントゥーショ語っていう言語のグループがあるんですけど、そういった言語に見られる大きな特徴です。
日本語の助数詞とはだいぶ違いますけど、何となく似通ったとこがあるっていうのがお分かりいただけたらなぁと思います。
というわけで今回のトークは、言語の類別みたいなお話でした。
また次回のトークでお会いいたしましょう。ごきげんよう。
08:40

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