1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2024-01-02 10:30

#613 動詞のキャパを増やす・減らす(結合価) from Radiotalk

北海道方言のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/701297
逆受動のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/609967

主要参考文献
『言語類型論入門:言語の普遍性と多様性』 (リンゼイ J. ウェイリー、岩波書店)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。メリーさんの羊です。
羊ってちょっと言いづらいですね。
今回は、専門的には動詞の結合価というものについてお話ししていこうと思います。
この結合価っていうのは化け学の用語だったらしいんですけど、
言語学でもそれを応用して用いられています。
簡単に言うと、動詞のキャパみたいなものですね。キャパシティみたいなもので、
普通、動詞について言われるものです。
どういうことかというと、動詞っていうものは功っていうものを持ってるっていうかな。
この功っていうのもまた専門的な言い方ですけど、要は名詞ですね。
名詞っていうものを取るというか、持つことができるその数っていうのが決まっていると。
例えば、自動詞っていうのは持つことができる名詞が1個で、これが主語に当たるわけなんですよね。
多動詞っていうのは主語と目的語を取れる、2つ名詞を取ることができる動詞であると。
これもね難しいんですよね。この功あるいは必須功とか言ったりするんですけど、
何が必須功で何が必須功ではないかっていうのは難しくって。
例えば踊るっていうのは自動詞なんですよね。
で、私が踊るみたいに、主語として出てくる名詞しか必須ではなくて、
私が舞台で踊るみたいな、舞台でみたいな場所は必須ではないと考えられています。
こういう場所みたいなものは周辺的なもの、周辺功とか不可思とか言われることがあります。
これは動詞が別に取っているわけではないんですね。動詞が取っているのはあくまで主語だけ。
で、今言ったように場所っていうのはよく不可思的なものとして、
つまり周辺的なものとして扱われることが多いんですけど、いつでもそうかというとそういうわけではなくて、
研究によっては、置くっていう動詞は3つの名詞を取ることができる。
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二重多動詞とか副多動詞とか言われることがあります。
で、この置くっていう動詞は、私が本を机に置くみたいに、
この机っていう場所が一応必須的なものと考えられてるんですよね。
置くっていうその動作には必ず物が置かれる場所っていうのが想定されるっていうことなんですけど、
まあかなりね、その辺は直感に従ってるというかね、意味に従ってるようなとこがあるので、
やや曖昧なとこはありますけど、まあ大まかに言って、
自動詞っていうのは主語だけ取れる。つまりキャパ1。
多動詞っていうのは主語と直接目的語が取れるキャパ2。
もう一つ、二重多動詞や副多動詞と言われる、
まあ置くとかね、あとは上げるとかいうものは、
名詞を3つ、主語と直接目的語と間接目的語を取れるキャパ3の動詞であるというふうに考えられています。
この動詞のキャパっていうのは、結合歌っていうのは増やしたり減らしたりすることができると考えられています。
まあこういったものを言語学で体とかボイスとか言われるんですけど、
まず増やす方から考えてみると詞役っていうのがあります。
詞役っていうのは、例えば私が行く。これは自動詞で、行くっていうのが自動詞なのでキャパ1の動詞ですけど、
これを行かせるという詞役形にすると、先生が私を行かせるというふうに名詞を2つ取れるキャパが増えるということになります。
まあ別の言い方をすれば自動詞が多動詞になっているということです。
あるいは私が魚を食べるっていうキャパ2の多動詞にせる、させるっていうのがついて、食べさせるとなると、
先生が私に魚を食べさせるというキャパ3の動詞になっています。
これは多動詞が二重多動詞になっていると考えてもいいかもしれません。
いずれにせよキャパが1個増えてますよね。
つまり詞役っていうのは、意味の面で言えば、まあ誰かに何かをさせるっていうことなんですけど、
文法的な面で言うと、動詞が持つことのできる名詞を1個増やしているというふうな言い方もできます。
で、何を増やしているかっていうと、これは主語を増やしてるんですよね。
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まあこれも考え方によるんですけど、私が行くに対し、先生が私を行かせるといった場合は、何かをさせる人、主語が追加されています。
一方、動詞のキャパを増やす、結合歌を増やすのは、主語を追加するだけじゃなくて、目的語を追加するっていうパターンもあるんですね。
で、これはアプリカティブとか適用態って言われるものなんですけど、残念ながら日本語にはなくって、
日本語風に考えるとですね、私が踊るに対し、私が舞台を踊るみたいに、
もともと目的語じゃなかったものを目的語にすることができるっていうのが適用態です。
で、これは場所が目的語になってるんですよね。
で、自動詞だったものが他動詞になってる、結合歌が1から2に増えてるっていう点では、詩益と一緒なんですけど、
さっき言ったように、主語を追加するのが詩益体、目的語を追加するのが適用態ということになります。
逆に動詞のキャパを減らすっていうものもあるんですね。
これは言い方を変えると、他動詞を自動詞にしてると言ってもいいかもしれません。
代表的なものは受動態と言われるものですね。
受け身と言われるもので、私はこの本を読むに対し、この本が読まれるみたいなものです。
この場合、読んでる人、あるいはもともと主語だったものっていうのは必須ではなくなるんですね。
ということで、読まれるっていう動詞が取ることができる名詞は主語だけということで、
キャパ、つまり結合詞が一つということになっています。
同じような表現が北海道方言なんかにあって、北海道だけじゃないんですけど、
さるらさるというものがあります。
言語学ではよく逆詩益っていう言い方をするんですけど、
このお菓子ついつい食べらさるみたいな言い方をするんですよね。
まあ標準語風に言うと、ついつい食べちゃうみたいなものなんですけど、
この食べらさるっていう動詞が取ることができる名詞は、
お菓子っていう主語だけで、誰が食べてるっていうのは出てこれないんですよね。
つまり、食べるっていうキャパ2の他動詞から食べらさるっていうのは、
キャパが一つの自動詞になっているということです。
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もう一つキャパを減らすものに逆受動っていうのがあるんですけど、
これも日本語にないんですよね。
で、説明もかなり難しいので、ぜひ関連エピソードを聞いていただきたいんですけど、
受動っていうのは主語を削除するものでした。
一方逆詩益っていうのは目的語を削除するようなプロセスということになります。
これはね、日本語で考えてもニッチもサッチもいかないんですけど、
一応、私が魚を食べるが私が食べるみたいに目的語が必須ではなくなるものを逆受動と言っています。
これだけじゃ全然説明にはなってないので、
ぜひ関連エピソードを聞いていただけたらと思います。
というわけで、どんな言語でもあると思うんですけど、
こういうふうに動詞のキャパ、結合歌を増やしたり減らしたりする、
そういった作業ができると、そういったお話でございました。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
また次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずお願いいたします。
お相手はシガー15でした。
またねー!
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