どうも、しぶちょーです。 ものづくりのラジオは、産業機械の現役エンジニアである私しぶちょーが、ものづくりに関するトピックをザックバランに語るポッドキャストです。
今日は、ものづくりの歴史のお話をしたいと思います。 過去にもメートルって単位ってどうやって決めたの?とか、キログラムって単位どうやって決めたの?
みたいなね、歴史の話してきましたけど、今日のテーマは、ものづくりと標準化の歴史です。
標準化って言って、パッてなんかイメージ湧きます? なかなかこう聞きなじみがない言葉だなって人もいるかと思いますけど、標準化っていうのは言うならば
こういう形にしましょうねっていうね、共通のルールです。 規格とも言いますね。
例えば皆さん、紙ってあるじゃないですか。 ペーパーね。
我々が普段印刷とかに使う紙、 あのサイズって
どうすか? 紙を作るメーカーごとにバラバラですか?違いますよね。
どの会社が作っても、 規定のサイズで作られてますよね。
A3とかA4とかB4、B5 こういうサイズの企画ってね、誰もが聞いたことあると思います。
これは紙ってこのサイズにしましょうねと、縦この長さで横この長さのこのサイズで運用しましょうってルールがあって、
みんなそれに従って運用しているわけです。 そうすることで何がいいかっていうと、
例えば印刷に使うプリンターとかも、その紙の企画のサイズに合わせて作ればいいし、 資料を収めるファイルとかも
そのね、紙の企画のサイズに合わせて作れば、紙がしっかり収まるファイルになるし、 カバンもまたしっかりですね。
A4サイズの紙が収まるカバンです!みたいなね、あるじゃないですか。 僕も来年ですね、子供が小学校に上がるんで、
さっきランドセル選びしてるんですけど、A4サイズがすっぽり入ります!みたいなね、歌い文句どこのランドセルにもあるんです。
そういう感じで企画が決まると、いろいろと他のもののサイズとか決めることができるんで便利なんですね。
逆に誰かが、いや俺はオリジナルのこのサイズがいいんだって言って、 例えば正方形の紙とかを使い出したりすると、
印刷機もそれ用のものが必要だったり、 ちょっとねファイルに微妙に収まらないと、非常に我々困ってしまうわけです。
これはあくまでも一例なんですけど、このような共通のルール、企画の上で我々の生活っていうのは成り立っているんです。
今でこそ数多くの企画が世の中にあるんですけど、 当然ね、昔は全くそういうものがありませんでした。
もうね、カオスです。 ネジ1本取っても全く同じものは一つとして存在しない。
すべてが一定ものの時代です。 それを血の滲むような努力で統一してきた人たちがいるんです。
血が滲むっていうのは本当にね、皮膚じゃなくて実際に血が流れています。
ものづくりの発展は標準化の歴史だといっても過言ではありません。 今日はそんなものづくりの標準化の話を楽しくわかりやすくサクッと解説していきたいと思います。
というわけで今日のテーマはこちら。 ネジの形は誰が決めた?
ものづくりと標準化の歴史です。それでは早速いきましょう。 まず初めに
昔のものづくりってそもそもどういうものだったんでしょうか? 昔って言うとねかなりざっくりなんですけど、標準化の考え方の種というか
元が生まれたのがだいたい1700年代の中期なんですね。 なんで昔というのはこの時代のことを指すとしてですね
この時代のものづくりっていうのはどういうものだったのか? ざっくり言うと互換性っていうものがなかったんですよ。
つまりは同じものが一つとして存在しなかったんですね。 例えば全く同じ種類の機械が2台あったとしましょう。
作られた工場も作った人も同じ。 そうだとしてもその2台の機械の部品には互換性ってのがないんですよ。
つまり同じ箇所の部品だとしても微妙に形が違うんですね。 微妙というかかなり形が違う。
取り付け穴のサイズとかピッチがもう違うんです。 全ての部品がその1個の機械オリジナルのサイズで作られていて
同じ機械同士でも部品を交換するとかできないんですね。 そういうものづくりの時代なんです。
今の常識で言うと全然逆に想像つかないですよね。 なんで同じものを作っているはずなのに部品の形が作るたびに変わっちゃうんだと思いますよね。
なんでそれでものづくりが成り立っているんだと。 その答えはですね図面にあるんですね。
この時代のものづくりには図面というものがないんですよ。 設計図が存在しません。
あるのは部品の大体の形を記した覚書程度の絵。
大体こんな感じの部品がここら辺についてこういう機能するよみたいな資料があって それを見て
職人がものを作っていくわけです。 ここに穴が開いててここに通す棒があってみたいな形がわかるんですね。
じゃあ穴のサイズとか棒のサイズよりもちゃんと棒に穴が通るかっていうところが大事で 職人は現物を見ながらヤスリで削って
穴入るかなーっていうのを一点一点調整して組み立ててたんです だからこそ同じ機能を持つ機械であったとしても部品のサイズとか形状っていうのが
作るたび異なってしまっていてすべてがオリジナルの部品だったんですね これだと何が一番困るかっていうと
修理なんですよ 1点1点部品の形が違うからさ
交換部品とかね準備しようがないわけ だから修理したいんだったら1点1点その機械に合わせた部品をもう1回作って
ヤスリでこう磨いて何とか擦り合わせして直すということをしてたんですよ 当時の職人の技術をもってすれば直すことはできたんですが当然修理にはですね
すごく時間がかかります 時間かかっても直ればいいやんと思うんですけどそんな悠長なことを言ってられないシーン
っていうのがあるんですよね それが何かといえば戦場です
戦争で使う武器 これいちいちね壊れた時に戦場でヤスリで削って
エッチラオッチラ直してたらもうその間に攻撃されてしまいますよね だから武器こそ互換性というものが必要なんですよ
スペアのパーツに交換してすぐ攻撃できるこれが大事なんですよね その互換性の必要性に一番最初に気がついて
銃や大砲に互換性を持たせようと乗り出した国があります それがどこかといったらオフランスなんですよ
当時のフランスは隣国との戦争で若干おされ気味だったんですね 特にフランスが持っている大砲の設計が良くなくて
末置きでしか使えない 移動が難しいどでかい大砲ばっか作ってたんですよ
そうすると威力はあるんだけどなかなか素早く攻めれないし さらに敵国に攻められた時に撤退しようと思った時にその大砲をね
持って帰れなくて全て放棄しなければならなくて 結構いろんな作戦のボトルネックになってたんですね
そこで小型の移動式の大砲を開発しようぜっていう話になったんですが これもまた問題があって
小型の大砲ねー 小さいから撃った時に反動でめっちゃ大砲自体が動いちゃうんですよ
今まではどでかい大砲しか作ってこなかったからそのでかい大砲は自分の自重でね 支えてあったんで打った時も別に反動で動かなかったんですよ
重くてでも今度ちっちゃいものを作ったらやっぱ大砲の重さだけじゃなくて 土台でしっかり力を受ける必要があるということがわかったんです
でもそんなねやっぱ大砲の衝撃たるやものすごい力なので 当時の土台がねそんなものに耐えれるはずもなくやっぱりね
すぐ壊れてしまうんですよ でどうしようかなと技師たちが頭をひねって考えた手段が
互換性部品を作ってメンテナンス性を向上させるということです つまりもう大砲の土台壊れるのはしょうがないと
だから壊れた時に早く直せるように土台の部分の部品っていうのに互換性を持たせて つまり全部同じ形で作ってスペアの部品持ってきた時にスパッと交換できるように
しようと そうすればこの小型の大砲が成り立つということを考えたんですね
これが世界で初めて同じ形の部品を複数作ろうと考えられた記念すべき習慣なんですよ じゃあどうやってそれを成し遂げるのか
取られた対策は 型を用意するということです
まずお手本の形っていうのを用意してそれに沿ってものを作れば同じ形になるじゃん というね非常にシンプルな発想です
でもねこれ関心するのは 当時この型を使った製法を行うときに型を一つだけじゃなくて2つ作ったんですよ
一つは実際に製造で使用する方 でもう一つはマスターと呼ばれるですね補完をしておく方です
こうやって方を分けることでもしこう使っている方の方が使っていくうちに消耗 していったとしたらだんだん作るものの形って変わっちゃうでしょ
だから製造で使用しないマスターっていうのを置いておいて定期的に製造で使うかつを 比較をするんですね
でもし方がすり減って形が変わってきてたら新しいものに交換すると こうやって管理することで安定して方に沿って同じ形のものが作れる
つまり部品に互換性が生まれるということをね実現しようとしたわけです 今でこそ高測定器の構成といってですね測定器自身が正しいかっていうのを確認する
っていうのは当たり前なんですけど この互換性のものづくりっていうのはなかった時代にすでにこういう管理方法を考えて実現してた人が
いるんですよね これすごい頭いいですよね
あーもうこの時代からこういう構成っていうのがされてたんだってねちょっとこの事実を 知った時にですね感動しました
フランスではもう本当にこういう生産方式をいち早く取り入れ始めたんですね すると思わぬ副産物が顔を出します
何が起きたかというとめっちゃ早くものを作れるようになったんですよね 方を使って形を作るっていうのはね
従来の製造方法よりもだいぶ時間がかかる行為だったんですよ 当時もすごいねそれをやったら制作コストが上がるだろうっていうことになってたんですけど
でも実際やってみたら型を使うことで製品の寸法が安定して 最後の調整のヤスリがけっていうのはね劇的に減ったんですよ
その頃のものづくりはさっきも言った通りすべてが一点ものなんです つまり製造工程のほとんどは職人によるヤスリがけだったんですよね
ずーっとヤスリをかけてなんとか擦り合わせるっていうのがほぼほぼものづくりのすべての 時間だったんですそれが
ほぼなくなったことで生産効率っていうのは爆上がりしたんですね おおこれは画期的な生産方法を実現できたぞと喜びつつあったフランスだったんですが
実はねこのフランスの互換性作戦 失敗に終わります
何があったかといえば職人や商人との対立があったんですね その頃の職人ってものづくりの製造ノウハウとか
ものづくりに使う道具自体は自分の財産だという考え方が非常に強かったんです だから政府側がこうやって型を作ったものづくり考えたから
こういう手法でもの作ってくれとお願いしてもですね 手法自体を明示られるってことはすごくプライドを傷つける行為だったんです
だから全く言うことを聞いてくれなかったわけ なんか賢い奴らがわけわからないこと言い始めたわ
はははぐらいの感じなんですよもうやり方を指し進んだ素人がという感じですね 全然言うことを聞いてくれないと
もう業を煮やしたですねフランス政府は 今度は職人を職人として採用するんじゃなくて
軍人として採用するっていうねあの強行手段をやったりしたんですよ そうすることで職人じゃなくて軍人なんで
上官の言うことは絶対だから言うこと聞かざるを得ないみたいなね そういう体制を整えてみたりとか
職人があんまりにも言うこと聞かないからじゃあもういいや 一般人を大量に雇用して方でものを作らせたりとか
いろいろやったんですけど結局ねどれもうまくいかずに フランスのものづくりっていうのは残念ながら
元の一点ものの互換性のないものづくりの時代に逆行していってしまうんですよ そして部品の互換性を持ったものづくりっていうのは遠のいていきます
大失敗に終わっちゃうんですよねすごくいい取り組みなんですけど ただこの歴史の面白いのは
この互換性のものづくりのバトンっていうのは 他の国に引き渡されることになりますそれがねアメリカなんですよ
フランスで生まれた互換性の考え方 これをアメリカの技術員が学びに来てたんですね
フランスは結局失敗してしまうんですけど まだ見に来てた技術員はその考え方をアメリカに持って帰って時を同じくしてですね
アメリカでも互換性を持たしたものづくりっていうのが発展していくんですよ ただこれもやっぱりね一筋縄ではいかないんです
海を渡ってアメリカに伝わった互換性の考え方は またフランスとは違った形で発展を遂げていくんですね
型を使って同じ形のものを作ろうぜというね ところまでは一緒なんですけどアメリカの場合はそれを職人ではなくて
専用の工作機械を作ってやらせようというアプローチをね 取ったんです
そういう工作機械を今では習い版とかって言いますけど 木で作った型をセットしておけばその形に習いながら同じ形のもとを作り出してくれるっていうタイプの工作機械です
アメリカでは同じ形のものを製造するために いろんなタイプのね専用の習い版っていうのを大量に作っていきます
それで互換性の持った部品を専用の工作機械を使いながら生産するという方式をですね 確立していくんですね
この方式はアメリカンシステムって呼ばれて世の中に広がっていきます ただ当然ですね
このアメリカンシステムもね一筋縄では行かなかったんです それはなぜかこれもねフランスと全く同じなんですけど職人との間の障壁です
工作機械によって様々なものがね自動で作れるようになると それまでヤスリがけで生計を立ててきた職人っていうのは生活がね
一変にして変わっていってしまうんです もともとアメリカでの職人の地位っていうのはね非常に高くて
ある種高尾車であったと言われています それはね当然何を作るにしても職人たちの力っていうのが必要で職人たちがイエスって
言わなければものっていうのが作ってもらえなかったわけですから 国もねそういった技術を持った職人に従わざるを得なかったわけ
しかしですね習い版と言われる工作機械がほぼ半自動でものを作れるようになっていくと そうするとこの職人の地位っていうのはねだんだんガラッと変わっていくんですよ
それまで職人は割とねゆったりと自分のペースで仕事ができていたんですよね 好きな時間働いて余った時間はゆっくり過ごすとか
やる気のない日はやらんとかね昼間からお酒飲みながら働くとか そういうスタイルの働き方をしてたんですがこのアメリカンシステムというものが普及することによって
だんだんとですね職人にも近代的な勤務体系というものが求められるようになってきます つまり1日きっちり8時間働く
出来高で評価される そういう職員人というよりは後院というかね作業者的な立ち位置に変わっていってしまうわけですね
しかし職人からしてみれば こういう形に働き方変わるのってさ自分たちの自由が奪われるように感じて全然面白くないわけ
でその火種がどういう形で紛失するかっていうとですね とある工場では殺人事件が起きてしまうんですね
で殺されてしまったのは工場長殺したのはそこの工場の元職人です その工場では近代的な勤務体系にすべくすごく厳しい規律を立てて
歯向かう職人っていうのは容赦なく首にしていったんですね そこで恨みを買ってしまった工場長が首にされた職人に殺害されてしまうんです
当然殺人を行った職人も処刑されてしまうんですけど これ世間からはですね彼は殺人犯ではなくてある種の英雄として
称えられるような流れができてしまうほどに 当時の職人の反発っていうのはすごかったんですよ
その出来事に対して危機感を持った政府っていうのが 強制的な介入っていうのを行っていきます
なんとかその職人たちの古い価値観を断ち切って近代的な生産方式を 施工していくべくなんと工場にね軍人を送り込んで
工場全体に軍隊的な規律を強制的に施工していったわけです もうほとんど力による制圧です
ご利用しなんですけどここまでしないとそういう文化っていうのはね変わらなかったんですよ このように互換性を持ったものづくりっていうのは全然一筋縄ではいかなくて
実際に殺人事件にまで発展してしまうようなことにもなったわけです ただそこはなんとかパワーで抑えてですね
アメリカではアメリカンシステムっていうものをしっかり確立していきます でアメリカで確立されたアメリカンシステムはですね
海を渡って再びヨーロッパに逆輸入されます フランスで生まれてアメリカで育ってそしてまたヨーロッパに戻ると
フランス生まれアメリカ育ちイエーイっていう感じでイギリスの方にね このアメリカンシステム行くんですよ
そしてこのイギリスの中でまた新たな進化広がりを遂げていくことになります ただイギリスでもおなじみのもうここまで言ったらねわかると思いますけど騒動が起こるんです
そうですね職人や商人との争いです もうですねものづくりの発展と職人との障壁ってね切り離せないんですね
でもともとイギリスはこのアメリカンシステムを軍事目的の武器の生産とかに使おうと してたんですけどこれに対してイギリスの重職人たちが猛反発して結局ね
おっしゃるんですよ だからアメリカシステムをイギリスは入れられなかったんです
ただこれもまた思わぬ方向に転がっていきます 職人との圧力によってですね銃の製造とか武器の製造にはアメリカンシステムっていうのを
使えなかったんですけど 銃に使えないならと民製品に使われるようになります
例えばミシンの生産であったり自転車の生産であったり そして自動車の生産であったり
いろいろな民製品に互換性を持たしたものづくりをしようということで工作機械と 型を使ったものづくりっていうのがどんどん広まっていきます
そしていろいろな民製品に使われることで工作機械のバリエーションっていうのもどんどん 増えていってですね
思わぬ相乗効果というものが生まれます それが工作機械の技術修練という現象です
ちょっとね小難しい響きなんですけどこれ何かっていうと 工作機械を通じて技術が広まっていくよという現象なんですね
例えばミシンを作る上で生まれた工作機械の技術とか加工の技術っていうのが 自動車の生産でも応用されるようになるみたいな感じで
それぞれの分野で発展してこう開発された難しいものを加工する技術っていうのが 工作機械をハブにして国全体のものづくりに広がって繋がっていくような状態です
これを技術修練って言うんですけどめちゃくちゃ性のループなんですね こうなったらもう価値覚です
全然関係のない分野で発展した技術っていうのがすぐに工作機械を通じて 自分の分野でも使えるようになってしまうと
これによりですねもう工業がすごく一気に発展して 互換性を持つ部品が作れるっていうのが当たり前の時代
フランスが目指したものづくりっていうのがイギリスとかヨーロッパ全土で突然ですね 実現できるようになるんです
それが当たり前の時代になるんですね 職人との圧力でポシャっちゃうんですけどそれが思わぬ形で発展すると
これもなかなかね運命のいたずらというか なんかものづくりの神秘性というものを感じますよね
そんな感じで発展したので いよいよですね
互換性を持つというところから標準化を行うという時代に移り変わっていきます つまり
世界のみんなで同じ形の部品使おうぜという時代が来るんですね 部品の互換性というものが達成されたことで同じ種類のものであれば
部品を容易に交換することができるようになりました これによって生産性も上がるしメンテナンスも容易になると本当にいいことづくめです
ただそれでもなお不便なことがあったんですね それは何かというと
どの機械にも使うような汎用的な部品の形状がバラバラだということです 代表的なもので言えばネジですね
Aという製品があったら Aで使われているネジは同じなんですけど
でもこれはAという製品でしか使えないネジなんですよ まだねAという製品の中でのオリジナルになっちゃってるんですね
だから理想を言えば別にネジだったら どの機械であっても同じネジのサイズであれば使えますよ
みたいなことが理想なわけです そこで生まれる考え方が標準化というものです
ネジのサイズと形はこれだと定めてみんなで同じ形を使っていこうねとすることですね これが実現されると
世界に何種類もいや何万何億種類もその時点では多分ネジってあったと思うんですけど
ほぼ無限に近い数のネジがあったと思うんですが それが全部統一されて
とんでもない利便性を生み出すと期待されてたんですね そしてそんなネジの企画化に向けてまず動いたのがイギリスでした
1841年イギリスはネジの企画っていうのを制定します この企画の決め方がね
めっちゃ面白いんですよ最高にダサくてかっこいいんですよね 当時ですねこのネジの企画を決めるっていうのは非常に苦労するんですよ
もうすでにイギリス国内ではもう何種類ものネジが流通してて それを一つに統一しなければならないわけです
一つって言ってもいろんなサイズがあるんですけどこのサイズのネジだったらこういう 形だよねっていうねサイズごとにこうルールを制定するという感じですね
で具体的に決めるのはネジ山の角度 つまりこうギザギザしてるじゃないですかネジってあの部分の角度とあとピッチですね
ピッチというのは山と山との距離ねギザギザしてるとこの幅みたいなもんですね こういうものを定めてあげないといけないんです
ただここにも政治的な問題があってさ この企画を決めたことによって
誰かが大きな得をしてしまうと揉めるわけ 例えば一番世の中に流通しているネジこれなんでこれを基準としますってやっちゃうと
その会社がすごい得して他の会社が損するんで他の会社ってのは黙ってないわけですよ 誰も得せずに
誰もが納得する指標っていうのを準備しないとネジの標準化ってできないんです じゃあ一体イギリスはどうしたか
その答えが 平均なんですよ
イギリス国内で流通しているネジを一通り全部測って あとは足し合わせてその数で割るだけです
平均を計算したと平均的な寸法をとってそれを企画にしたんですね そこにはネジの工学的な意味合いも何もない
ただ流通しているネジの平均を取っただけだと それによって誰も得しないようなすごく平均的なサイズになって
しかもこれ平均なんでって言ったらね 誰もその平均を出したってことに文句がつけようがないんですよね
ああ平均かじゃあ仕方がないかとなるわけですよ この企画制定を行った技術者ウィットワースという方がいるんですけど
この欠点について そのウィットワース自身もある種の妥協だと言い切ってます
つまりネジの一番最初の企画っていうのは妥協で決められたんですね ただいっぱいこうサンプル取ってきて測って平均に計算して
これにするかって決めただけっていうめちゃくちゃシンプル でもこれによってネジの標準化の元となる基準っていうのが作られたんですよ
いやーこの話を知った時にねめちゃくちゃ感心しました 今回話してきた互換性の話もそうなんだけどさ
結局この技術の発展って技術的なというかで科学的な戦いというより 人との戦いっていうのが結構ネックになるんですよね
この標準化の話もそうねネジの標準化を平均で妥協するっていうのは誰も納得させる ために必要なノウハウなんですよ
当然この後いろいろと企画は改定されて それが今のね今日のネジのサイズとか形に繋がるわけですけどこういったですね
科学的なアプローチというよりは心理的なアプローチで人を説得させた人の努力が あるおかげで今のネジのサイズっていうのがあるんですよ
そして同じネジのサイズであればどこにでも取り付くという今の世界があるわけです これね本当に面白いと思うんですよね
やっぱ技術なんですけど技術で突破してきたわけじゃないんですよ そこには政治的な反発があったり
今回ねよく話したような職人の反発があったりとか 経済的な話があったりとかいろいろした中でいろんな人が努力して
擦り合わせしてとか頭を下げていって作り上げてきたのが今なんですね っていうのをこの話からねぜひと皆さんに感じてもらえればなと思うんです
話をちょっと1回戻しますけどネジのサイズが決まったことでその後からはですね 様々な分野で標準化というものが進んでいきます
我々の身の回りにはね本当に様々な標準化というものがあふれています まあそういう視点で身の回りのものとかサイズとか
いろいろとねこう見てみるとものづくりの歴史というものに思いを馳せることができる かもしれませんよ
自分が普段使っているものサイズとかねまあそういうものが一体何から決まっているのか という視点でねものをぜひとも見ていただきたいなと思います
という感じでなんとなく綺麗にまとまったところではあるんですけど 最後に世の中にはびこる
イケてない標準化の悪口を言って終わりにしたいと思います 企画になっているのにも関わらずなんともイケてない企画
そもそも統一できてないという企画 実はね世の中にいっぱいあるんです
そんなねなんでやねん企画の文句をちょっと言わせてください まず最初はですねインチネジ
貴様じゃ 国際体験っていうのはねメートルなんですよ
いつまでもインチを使っているんじゃないですよ しかもねこのインチネジっていうのはねまた我々普段使っている普通のネジ
まあメートルネジと言いますけどこれとほぼ同じような寸法をしているわけですよ 見てわからんのでも微妙に違うんです
だからメートルネジの穴に間違ってインチネジを締め込んじゃうなんてね事故も起こるわけ 微妙に入っちゃうのよ
でこう締めていくとちょっと硬いかなと思うけどねじ込もうと思ったらねじ込めちゃうわけ でも万が一これねじ込んでしまったが最後
もうネジ山が潰れてお釈迦ですおしまいです もうね新人の通貨切れですよ
もう高いねまあ工作機械っていう機械を僕は作ってますけどパレットってのがあるのね すごい精度が出た平たい板なんだけどそこにねじ切ってあんの
それを持ち上げるためにアイボルトって言ってこう フックをかけるようなね丸いボルトがあるんだけどそれを刺さなきゃいけない時に
パレットが例えばねアメリカ向けの機械とかだと そのパレットの上面のネジだけインチで切ってあるんですよ
だからそのインチネジに普段使ってるメートルネジのアイボルトを刺したらおしまいです そのパレット1枚30万とか40万する奴がはいおしまいと
さてね顔を青くしてね青ざめて青を吹きそうになっている新人を毎年見てます もちろん猫インチネジですよっていう感じですごいアピールはしてるんだけど
でも新人さインチネジとかメートルネジわかんない子もいるから そういう事故がね起きてるわけですよ
まあ別に怪我をするような事故じゃないんだけど30万40万ポンと吹っ飛んじゃうよという話です もうね世の中のネジをメートルに統一してほしいんですよ
インチネジじゃなきゃダメな理由なんてないですから 別にねそれだから強度が良いとかなんかメリットがあるわけじゃなくてたまたま2つ企画あるだけ
別にねネジだけじゃないですよ ヤードポンの方やめましょう
長さのタイヤメートルなんですもうインチヤードフィントじゃない アメリカさんも世界に歩み寄ってください
というね僕の意見をちょっと言わせていただきました まだありますよ次
アップルライトニングケーブル ありますよねあの iphone にだけ刺さる謎の平たい端子
最近ようやくねアップルも usb タイプ c に統一する流れになってきたんだけど そもそもライトニングケーブル引っ張りすぎよ
タイプ c なんてもっと早く出てたわけだからもうさっさと移行してほしかったですね おかげで僕の家にはもうライトニングケーブルが散乱しています
しかもこうで片側ライトニング片側タイプ c とか 片側タイプ a ライトニングとかね
マイクロ usb タイプ b 片側ライトニングみたいなもう パターンが多すぎてもうわけわかんないケーブルがごちゃごちゃになってるんですよ
整理整頓しろって話なんですけど そもそも組み合わせのバリエーションが多すぎて自分が一体何のケーブルを持っているのか把握できて
ないです もうね世の中は
usb タイプ c に統一しましょう タイプ a はまだいいですよまだ許します僕の一言で許します
もうね usb のマイクロタイプ b もそろそろ滅んでほしいですよね こうねせっかく僕ガジェット好きなんで結構ガジェット買うんですけど
新しいガジェット買ってさあ興奮してハー言いながら開封してさ その端子がもうマイクロ usb のタイプ b だと激悩するんですよ
最新のガジェットでもさあ未だにタイプ b の時あるからね あれ何なんだろうね本当によくわかんない
もう c にしてくださいマイクロ usb のタイプ b は廃止しましょう あとライトニングも廃止しましょう
我々は usb タイプ c の世界を生きていきましょう というのはね一つの文句でございますそして最後の文句
車のタイヤの取り付けハブボルト
俺がね一番意味わからんすよあんまりで車好きじゃない人は気にしないかもしれない んですけど
その車のタイヤってさあボルトで止まってるじゃないですか あれさあ何個のボルトで止まってるか知ってますか
あれね実は種類あるんですよ4つだったり5つだったりするんですね まあそういうのを4欠5欠とかって言うんですけど
ナットが4つか5つかそれすら統一されてないんですよ しかもさらにそのナットをつけるところにハブボルトっていうのはねボルトが出てるんです
けどそこの間隔 まあそれのピッチ園直径って言うんですけどそのピッチ園直径も100ミリと
114.3ミリっていう2種類があるんです つまり4箇所で止める4欠5欠とピッチ園の100ミリ114.3ミリっていうのはあるので
これらを組み合わせるとホイールを止める部分の形状だけで全4種類 あるんですよねめちゃくちゃややこしい
だから例えばタイヤのサイズが同じで別のメーカーからタイヤを持って持ってきて よっしゃ俺の車につけようと思っても
これがあってないと取り付かないんですよ 基本的にメーカーごとで違うわけですこのメーカーはこのピッチと4欠5欠って
だいたい決まってて車の種類によって若干またね変わるみたいな感じなんですけど 統一しましょうよ
ねえなんでこんな細かく分けてるんだと 何ならもう5欠の114.3で統一すればなんか一番猫幅広く取り付けられるからいいと思うん
ですけど1日こうなんかねー いろんなパターンを用意するので合理的じゃないと思うんですよね
もうずっとね僕はタイヤを取り付けては外してっていうのを繰り返しながらですね 統一してほしいなぁと思ってました
さらに ちょっと気になる数字ありましたよね
ピッチ園直径114.3ミリ半端すぎない問題なんですけど こういう数字の影にはだいたいインチが隠れてるんですね
114.3ミリというのは4.5インチのことです つまりこのサイズというのはアメリカから来た流れなんですよ
でピッチ園の100ミリっていうのはヨーロッパから来た流れなんですね ちょっと話し飛ぶけど自転車の空気入れとのバルブの部分とかも
形状統一されてなくてさイギリス式フランス式アメリカ式って混在してますよね こうやって各国から入ってきたつってね結構その派遣が握り切れずにいろんな国の
パターンがこう混在するってことがよくあるんですよ これがね企画の音なかなかうまくいかないところで車のそのタイヤの締結部分
っていうのもまあそういう感じでいっぱい処理があるんですね 俺はねこれをねもうずっと見てて
あーなんか気持ち悪いな気持ち悪いなーって思いながら見てます まあバイクでも同じようなことあるんですけど全然統一されてないんですね
標準化できてますと言いつつもまだまだ発展途上なんです そしておそらく一生統一ができないとそれは政治的な問題があるからです
技術の問題ではないです という感じでいけてない企画の文句を垂れ流しましたけれども
世の中にはまだまだ色々といけてない企画あると思うんでね ぜひともその怒りがある人はこのポッドキャストものづくりのラジオのご意見とか感想の
フォームありますんでそこにね意見ぜひとも送ってください そしたらこの番組内でまた紹介させていただきます
そのリンクはポッドキャストの説明欄にありますのでぜひぜひあなたの企画に対する 怒りを教えていただけると嬉しいです
というわけで今回ちょっと長くなったんだけどねまあクロージング特でございます 今日の話でだいぶねポッドキャスト用に内容は端折ってしゃべってるんですね
だから詳しく知りたい人は今回の話参考にした本があって ものづくりの科学誌って本があるんですけどこれをねぜひとも読んでみてください
あのもともとポッドキャストのネタというかね種本としてこう読んでみたんですけど 思った以上に面白い本でした
リンクはねこの説明欄に貼っておきます こういう標準化の歴史を見るとやっぱものづくりを発展させてきたのは技術だけじゃないんだ
なということがよくわかりますよね 障壁になっているのは政治であったりとか人であったり技術以外の要因というものが