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2020-08-24 28:47

第11回「ミラノ 霧の風景」須賀敦子著 ~記憶の中の人々~

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【今回の紹介本】

■『須賀敦子全集 第1巻』須賀敦子著 河出文庫

 今回第11回目でご紹介するのは須賀敦子さんの『ミラノ 霧の風景』です。河出文庫の須賀敦子全集第1巻に収録されています。

須賀文学の魅力が凝縮した、不滅のデビュー作。講談社エッセイ賞、女流文学賞受賞作です。 

【番組内で紹介したトピック】

 ■『須賀敦子全集 第1巻』須賀敦子著 河出文庫

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309621111/

【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

 硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

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 文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

 読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

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 #本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

00:04
どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、広派な文学作品を楽しもうコンセプトに、
文学と猫が好きな二人が、ゆるーく文学作品を紹介するラジオ番組です。
お相手は、私小説学機能会のダイチと、
羊を巡るカフェのミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、
東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
お互いの紹介に関しては、第0回で話しているので、そちらをお聞きください。
今回、須賀敦子さんの「ミラノ 霧の風景」ということで、
僕が、すごい須賀敦子さんのファンなんですよね。
そこで、ちょっとね、今回プッシュして取り上げたいということで、
やっとフォートの出番が。
そうですね。
日本の人だと、もう村上晴樹さん以来、二人も。
そうですね、そっか。
須賀敦子さんは、これは小説ではなくてエッセイになるので、
ラジオでは実は初めてなんですよね。
そうですね、エッセイは初めてですね。
須賀敦子さんは、川出文庫で全集が出ていまして、
それ以外でもね、すごいたくさん関連本というのが出ています。
本当にいろんな人が、須賀敦子さんという人を取り上げて、
紹介している本というのが結構ね、もう。
そうですよね。
出ていて、もう亡くなられて20年以上経つんですけども、
それはね、今でも変わらない状況で、
ファンの方が多い作家でありますし、
今でもすごく注目をされている方だなと思います。
私、今回須賀敦子さんっていうのは、
三重さんからやりたいって話を聞いて初めて知った作家だったんですけど、
古本屋とか本屋に行くと、結構目に留まりますね、須賀敦子さん。
そうですね。
結構混んでてますよね。
すごい気になるようになっちゃいました。
今回読んでみてめちゃめちゃ良かったです。
良かったです。
やっぱすごい本当にこんな魅力的な人が、
日本の作家さんでいたんだっていうところで、
紹介したいなというのを思ってます。
そうですね。
まず紹介するのは、須賀敦子さんが書かれた、
須賀敦子全集第1巻、川出文庫から出版されている本になります。
この全集の第1巻にエッセイの、今回収録作品の中で、
ミラーの霧の風景っていうのを取り上げています。
ではあらすじを大地さんから。
あらすじ私から行きましょうか。
これ全集の概要になりますが、
ミラーの霧の風景は須賀文学の魅力が凝縮した不滅のデビュー作。
講談者エッセイ賞、女流文学賞受賞、
コルシア書店の仲間たちは、
これもまず入っている別のエッセイなんですけど、
コルシア書店の仲間たちは、
60年代ミラーの小さな共同体に集う人々の希望と情熱の物語、
深い眼差しで綴られる様々な出会いとなっております。
ちょっと補足をしたいと思うんですけども、
03:02
この須賀敦子さんという作家さんに対しての補足になるんですけども、
この方のデビューがすごい遅くて、
60歳を超えてから本を出版されて、
珍しいケースの作家さんかなと思っておりまして、
もともとイタリアで過ごされていたんですけども、
20代後半から十数年間ですかね、
イタリアで過ごしていて、
そこでの日々というのをエッセイにしていて、
たくさんエッセイがあるんですけど、
その中でこのミラーの霧の風景というのがデビュー作になります。
結構最初話題になったというところでは、
イタリアでの日々を描いているというところが一つの特徴になります。
あと須賀敦子さんを、
ちなみに私がその須賀敦子さんを読むようになったきっかけというのが、
実はちょっとありまして、
ちょっと聞きたいですね。
これ実は大学生の頃に文庫でベネチアの宿というのを買って、
それ読もうとも読めなかったんですね。
挫折してしまって、どうも話が頭に入ってこなくて、
それでちょっと放置していたんですけども、
大学4年生の時に卒業まで、
たぶんあと1ヶ月切っていたぐらいで、
青春18切符で何を持ったかの熱海に行こうと思ったんですね。
熱海行って温泉入りたいと思って、
片道6時間ぐらいかけて京都から出発したんですけども、
その時に持って行った本の中にベネチアの宿が入っていて、
そのJRの中でベネチアの宿を読んでいたら、
それが本当にスッて頭に入ってきたんですね。
これは面白いので、
もしかすると移動中とかそういうのがあったのかもしれないんですけども、
そういうのありますよね。
菅篤子さんの話というのも、
やっぱり日本から未知のイタリアというところに渡っていって、
そこでの話とかって、
僕も京都から熱海に行こうというところで、
何かそこで初めてベネチアの宿が読めて、
そこで一気にファンになって、
その後就職して初任給もらうんですけども、
そこで菅篤子全集を全部開始されて、
結構関数ありますよね。
10ぐらいありますよね。
関1だから計9ですね。
そっかそっか、計9になるんですね。
やっぱりそれ以来すごい好きな作家さんということで、
常に何でしょうね、
読んでない時期とかもあったりするんですけども、
僕の中では好きな作家としていらっしゃる、
そういう位置づけの人になりますね。
なんかアタミに行った話すごい惚れたいですけど、
またアタミに。
そうですね、
実はアタミって特に何も起きなかったというのが、
オチとしてあるんで。
すごい小説的ななんか、いいですね。
なんか全然ちょっとこれとは関係ないというか、
06:00
今回やっぱ菅篤子さんっていうのを知って、
今この本屋に行った時に結構気になるようになっちゃったって、
さっき話をしたんですけど、
これって結構こういうことやってるからとか、
自分が読書家をやってるから感じることなんですけど、
誰かから全然自分の知らない作品とか、
作家とかを紹介されたりとか、
あとに本屋に行くと、
その本を見たりすると、
今回やっぱ菅篤子を見ると、
三重さんのことを思い出しちゃったし、
三重さんも多分羊を巡るカフェをやってて、
お客さんと話したりとかした後に本屋に行くと、
あの人が話した本だとか、結構あると思うんですけど。
そうですね、めっちゃわかりますね。
なんかいいですよね、こういうふうに自分の、
なんかその本屋に入った時の風景がちょっと変わるっていう、
あ、これあの人が住めたやつだみたいな感覚を持てるのは、
なんかすごく良くて、
今回菅篤子とかそれがすごくあったんで、
特にちょっと先週ぐらいかな、
フル本屋バーって巡った時期があって、
その日、どこ行ってもありましたね、やっぱ菅篤子は。
何かしらありました。
それだけね、好きな人がやっぱいるのかなって思いましたね。
あと大地さん、イタリア行ったことあるんですかね。
そうですね、ちょっとさっき話しましたけど。
そうそう、私イタリア行ったことある。
でも、今回菅篤子さんがミラノに住んでたっていうのもあるんですけど、
ミラノとかナポリアあたりが結構中心になるのかな。
なんですけど、私ミラノとナポリ行ってないんですよね。
1週間行ったんですけど、
アベネジアとローマとフィレンツェの3都市だったんで、
それもいいですよね。
ちょっとこの菅篤子のフィールドからはちょっと外れてて、
でも読んで思い出しました、
イタリアに行った時のこととか、
ミラノも行っておけばよかったなとかちょっと思ったり。
僕はイタリア行ったことないんですけども、
やっぱりこの菅篤子さんの作品読んでると、
その通じるところというかあるんですか?
どうでしょうね。
でもこの後でもちょっと話すと思うんですけど、
多分これ昔のイタリアじゃないですか。
だからその空気感っていうのはやっぱり変わっていると思うんですけど、
風景的なものは確かにちょっとなんか感じるところはあるかもしれないですね。
ちょっと霧はちょっとわかんないかったんですけど、
旅行で行っただけで現地の人と関わってはないから、
これ結構現地の人たちの生活とか、
人物が結構中心で描かれてるじゃないですか。
ベニスの話出てくるんですけど、
これ舞台の上のベニスって称号があって、
タイトルのエッセイが入ってて、
出てくる地名なんか全部頭の中でバンバンって浮かんでくるんで、
リアルド橋ってところと、
サンマルコ広場かっていうところがあるんですけど、
そこの風景、
ここって菅篤子さんも鳩に圧倒されって書かれてるんですけど、
間違いなく私も鳩に圧倒されました。
そうなんですね。
確か、思い出したけど今その朝、
結構霧が立ってたんで、
ベニスだからちょっとまた、
ミラノとまた違う種類の霧なのかもしれないですけど、
09:01
霧の中で、基本的に水上の移動が基本なんで、
霧の中、水上バスみたいなので、
ホテルからサンマルコ広場まで移動したんですけど、
その時の風景とかちょっと思い出しましたね。
霧の中の街とかってめっちゃ見てみたいですね。
そうですよね。
なんかやっぱりいい国だなと思いましたけど。
実はイタリア好きにもたまらないエッセイかな。
だと思います。
イタリア行ったことあったりとか、
イタリアに憧れてる人とかはだいぶいいと思いますけどね。
この本の感想をお伝えしていきたいと思うんですけども、
まず私は小説のように読めるエッセイだと思いまして、
でも小説のようなフィクションではなくて、
ここに書かれていることって、
菅厚子さんの人生に実際にあったことが描かれているんで、
そういったところでは登場する人物って、
無名で誰も知らないような人たちが登場してくるんですけど、
でもその一人一人が菅厚子さんにとってかけがえのない存在なんだなと、
というのを文章を読んでいると思えてきました。
人生の中で関わった人をこれだけ丁寧に、
菅厚子さんの優しさなのかなというふうに思ったし、
自分も人をしっかり、
そういうふうに丁寧に見ることができる、
そんな人間になりたいなって思いましたね。
それだけただ読んで終わりというよりかは、
自分の中にもすごい残るものがあるというか、
菅厚子さんの優しさっていうのが憧れるところもあるような、
そんな感想をいただきました。
すごいわかる、今の話。
自分が今感想で言おうとしていると、結構かぶっちゃって。
おっしゃる通りで、本当に。
ちょっと私もかぶっちゃうところがあると、
私も非常にこれ文学的だと思いました。
というのは、時間と記憶を扱っているせいだと思うんですよね。
時間が経って、菅厚子さんの中で、
人とか物に対する印象が変わっていくっていうのの
描き方がすごくうまくて、
エッセイだからすごく当たり前なんですけど、
現実感があるのは当たり前なんですけど、
リアリティがあるし、
それを文章に落とし込めている力っていうのが
すごいなって思いました。
菅厚子さんはイタリアに住んで13年くらいらしいんですけど、
その時間の中で関わった人たちに関して、
これだけ深く描けるっていうのは、
本当にすごいなって思いました。
自分には絶対できないなって思いましたね。
なんかこの距離感って何て言うのかな。
すごい。本当に読んで圧倒されますよね。
そうですよね。
エッセイで描かれているような人と人との距離感。
菅厚子さんとその登場する人たちの距離感って、
なんかもはや現代ではなし得ないような感じなんじゃないかなって思いました。
もうある程度、お互い関心を持たなくなってきているような気がするし、
12:01
この時代ならではのかもしれないけど、
知り合った人の家族構成とか結構しっかり把握してますよね。
そうですよね。
なんかそういうふうに人を捉えるってことは、
今後どんどん失われていくことなんじゃないかなと思って、
読んでました。
今読むと、全然たぶん今の感覚とは違う。
たぶんそんなに昔じゃないのに、
少しずつずれてきちゃってるところがあるんで、
感じるものは多いんじゃないかなと思います。
今のちょっと大地さんの話にもあったんですけども、
本当にエッセイを書いているのって、
須賀篤子さんにとっては昔の話なんですけど、
それをリアルに書いていて、
これがやっぱりこの小説の一つの魅力かなって思っていて、
次で須賀篤子さんの面白さというか魅力というか、
ここにちょっと触れていきたいなと思うんです。
まずすごく美しいというのがあって、
これね、どう説明するか。
文章がですね。
本当に文章力がすごいある人で、
それがもう本当に最初から最後まで全部日本語として読んでいて、
すごい気持ちのいい文章が書かれているなって個人的には思っていて、
例えて言うと、さっきちょっと大地さん言われてたんですけども、
AIには書けないんじゃないかって言われていて、
なんかこれなんて言うんですかね、
須賀篤子さんにしか書けないっていうか、
多分どんだけAIが発展し力をつけても、
この文章を書けないんじゃないかなって思います。
っていうのは、これなんかうまい例がちょっとすぐ出てこないんですけど、
例えばあの人に会った時に全く関係のないあの人のことを思い出すみたいなこととか、
あるものを見た時に全く関係ないあることを思い出すみたいなことが書かれていて、
それが有機的につながって書かれてるんですけど、
その発想って絶対個人っていうか人間の感覚でしか持ち得ないと思うんで、
これは多分、もし須賀篤子さんと同じ経験をAIに入れ込んだとしても、
多分こんな風には話の順番出し方が含めて絶対書けないと思います。
めちゃめちゃ文章、飛躍の部分っていうのはなんて言ったらいいかわからないですけど、
そういうのすごくうまい人だなって思いました。
なんて言ったらいいのか、いろんなものが絡んでるようなエッセイで、
本当に引用とかもすごいたくさんありますし、
途中で誰かの文学作品の文章が入ってきたり、詩とか俳句が入ってきたり、
と思ったら街の歴史が入ってきたりとか、過去のエピソードが入ってきたりとかで、
本当にいろんなものが絡み合って、それでできてるような作りがなされていて、
それがすごい芸術的に思えてくる。
15:00
文章を読んでるだけでも楽しめるなっていうのが思いますね。
そうですよね。なんかすごい人を書くのがうまいですよね。
人を捉えるっていうのかな。
そうですよね。今の人を捉えるっていうところにもつながってくるんですけど、
やっぱりこの菅厚子さんの魅力のもう一つとして、すごくリアリティがあるところというのがあるかなと思っています。
これはもちろん人の人物をリアルに描いているとかもそうだし、
イタリアの街を描いているのもそうだし、
あと個人的にすごいなと思うのが、結構昔の記憶のはずなんですけど、
すごく細部というのを描いていて、
例えば何十年前の夕食後のスクーターの音がうるさかった記憶とかですね。
それってもうね、昨日今日の話であったら書けると思うんですけど、
それが何十年経った後、エッセイでスクーターの音まで拾って書くとか、
それが本当にすごいなと思っていて、
あとでも触れたいなと思っている作品で、
アントニオの大聖堂という作品があるんですけども、
ここでもちょっと面白いところが、
一番最初にルッカの大聖堂という本当にすごい美しい大聖堂の描写があるんですけども、
それもでもまた年月が経って、
もう一度イタリアにやってきてそれを見た時に、
あの時見たのは本当にルッカの大聖堂だったんだろうかと、
なんかちょっと思っていたのと違ったなっていうのがあったりして。
面白かった、そこ。
面白いのが、一番昔の記憶も細部をリアルに描いていたら、
直近の記憶もリアルに描いていて、
両方とも実在しているかのような描写で描かれていて、
でも一番昔の記憶っていうのは、
確かに自分にはその通り見えて、
今でもそういうふうに記憶に残っているけど、
もう一度見ると実はそうでもなかったなとかっていうのがあったりして、
そういったところもそれが描けるっていうのがすごいなと思うんですけど、
ある意味その事実でもあるし、
本当に自分の見たものを信じて描いているっていうのはすごく感じますね。
印象の変化みたいな、
記憶違いなのかなみたいなところとか、
すごく小説っぽいっていうか文学的ですよね。
自分の感覚を軸に描かれて、
エッセイだから当たり前なんですけど、
描かれている感じっていうのが、
読んでいて文学的だなと思った箇所でもあります。
そうやって描いていることで、
当時の、その時代だったからこそのことが描けているのかなって思っていて、
やっぱり読んでいて、
今だったらこうは描かれていないんだろうなと思ったり、
人物描写っていうところがすごく良くて、
18:02
ちょっとここで僕の中で、
すごい印象に残っているエッセイっていうのがあって、
それがアントニオの大聖堂という、
それがどんな話かというと、
アントニオという見た目がパッとしないというか、
風采が上がらない、
でもすごい良い人がいるんですね。
結構アントニオって教養もあって、
サービス精神というか、
みんなを招待してご飯とかしたりとか、
菅厚子さんもいろんなところを案内してくれたりして、
ある時アントニオがいつも、
家というか招待するところがあるんですけども、
そこに5人組の女性が来ていて、
それはミラノとフレンチェの家出身の5人組なんですけども、
それが貧しい家計出身の人をちょっとバカにしていたんですね。
バカにしていたというか、見下して見ていたところなんですけども、
その貧しい家柄というのは、
アントニオは直接は言われてないんですけども、
でもカテゴリーとしてはアントニオもそこに含まれていて、
それで菅厚子さんがすごい傷つく、
そうなんですよ。
あと寂しくも感じてしまうんですよね。
自分にとっては友達と思っていた人もいたりして、
でも感覚というか物事の見方が実は全然違っていたというのがあったりして、
でもそんなこんなで、
菅厚子さんもペピーノという夫がいるんですけど、
その人と結婚してアントニオと会う機会がなくなって、
夫が結構早くに亡くなってしまって、
そうするとアントニオが境界にやってきて、
君が好きだからって言われて、
その花束を最後もらって、
それが最後の別れになるんですけど、
これすごいのがアントニオって、
菅厚子さんにとっては友人の一人では確かにあったし、
思い入れもあったと思うんですけども、
そのアントニオの人生をここまで切り取って、
短い十何ページかのエッセイなんですけど、
アントニオってこれを読むと、
すごい本当にいいキャラクターって書かれていて、
無名の人でこういう人いたんだって言うんです。
それを本当に菅厚子さんの人生の中で、
その人が関わってて、
影響というか記憶の中で生きているんだっていうのが、
本当に分かって、
最後アントニオはアルゼンチンに行って、
心臓発作で亡くなるんですけど、
でも文章を読んでいると、
すごいアントニオっていうのが生き生きして、
途中までは描かれていて、
そこの菅厚子さんのアントニオへの優しさというか、
そういうふうにアントニオを見ていたんだっていうのが伝わってきて、
これはすごい個人的には好きなエッセイですね。
21:01
でも菅厚子さんのすごいところって、
このアントニオだけじゃなくてね、
どのエッセイも同じぐらい濃密に書いていて、
例えばでアントニオを出したんですけども、
多いですよね、こういう感じで。
こういうのが人生なんだなって思わせてくれるような。
人生を描いているなって思います。
人との出会いを。
この短い文章の中で、
こんなに人との関わり方とか、
その人の背景とか。
そうですね。
その人から得たものっていうか、
感じたこととかを濃縮して書いているから、
すごいなって本当に思いますね。
本当に確かに言われる通り、
背景とかも本当にしっかり書いているし、
どういう会話があったとか、
どういうことを自分が得たかっていうのもね。
なんか正直異国に行ってこんなことできるかなって思いました。
正直顔の区別もつかないかも。
ちょっと怖くないですか、
イタリアに行ったとしたら。
僕本当そうだと思います。
こんだけいろんな人と関わるけど、
異国の地でそこまでいろんな人たち、
一人一人と深い関係を持っていけるかなっていうのは、
ちょっとすごく思いますね。
本当に。
日本人同士でもちょっと無理だなって思いますね。
そういうのやっぱり、
須賀篤子さんってやっぱり本当にすごいんだなっていうのが、
ちょっと思いますね。
じゃあどんな人に読んでもらいたいかっていうのをちょっと話して、
締めていきたいなと思うんですけど、
私の方から話させてもらうと、
ミラーの霧の風景っていうタイトルついているので、
なんか場所のイメージが先行するのかなって思うんですけど、
場所も描いてるんですけど、
そもそもそこに出会った人たちを描いてることがすごく多いので、
なんていうか、
誰にとってもやっぱりずっと自分の記憶に残る人っていると思うんですよ。
ほんのちょっとだけ関わった人とかでもいると思うんですね。
なんかそういう人たちをちゃんと言葉にしていくのがすごく、
表現していくのがすごくうまい作品だなと思っているので、
なんかそういうことを自分が今うまく言えないけど、
自分にはこういう人がいてこんなことをちょっともらったんだよな、
みたいなのが思うことがある人にはすごくおすすめだし、
ハマるんじゃないかなって思います。
そういう人には読んでもらいたいですね。
なんか出会い、いろんな人と出会った時に、
それこそ家族とか友人とかに言うほどでもないけれども、
みたいな出会い方ってあると思うんですよ。
あんな人と会ったんだよな、みたいな。
そういう人がいて、何となくそれを言葉にしたい人とかには
ハマるんじゃないかなって思うので、
ちょっとそういう人に読んでもらいたいなと思います。
すごいわかりますね。
僕はね、すごい近いことを考えていたんで。
先行っちゃったからごめんなさい。
僕はどんな人に読んでもらいたいかなっていうところでは、
24:00
ちょっと2つあって、1つが文章にこだわりを持っている人とか、
本当に美しい日本語に触れたいなと思う人には、
ぜひ読んでみてほしいなと思いますね。
菅津子さんのエッセイもそうだし、
あと詩の翻訳とかされていて、
ところどころでエッセイの中にも詩が挿入されていたりするんですけども、
そうやって菅津子さんの書いている文章を読むだけでも、
すごく楽しめるんじゃないかなと思います。
もう1つがちょっとさっきの大地さんに近いんですけども、
例えば旅が好きな人とかイタリアとか憧れる人って、
菅津子さんの書くイタリアの街とか暮らしとかに
惹かれるんじゃないかなって思ったりしますね。
私もし次イタリア行くとき、またミラノはいいかなって思ったんですよ。
ミラノ別にいいかなって。
ベニスとかフィレンツェがすごい楽しかったので、
またそっち行きたいなと思ったんですけど、
これミラノ行きたいなって思いましたもんね。
菅津子が住んでた通りとかちょっと行ってみたいなって。
イタリア好きな人にはちょっとハマるんじゃないかなって。
そうですね。ミラノ霧の風景っていうのは、
菅津子さんのたくさん出ているエッセイの中では、
助走段階かなと思うんですね。
そうなんですね。
例えばここから先で、
コロシア書店の仲間たちとか、
トリユルスナールの口とかですね。
トリエストの坂道とかですね。
そういったエッセイ集があるんですけども、
そこで例えばコロシア書店の仲間たちだったら、
そこでのコミュニティの話ですね。
より一層濃い社会というか、濃い人間関係というのを描いていて、
面白さがどんどん加速していくんじゃないかなと思いますので、
いう意味ではですね、ミラノ霧の風景で面白いなっていうところから、
さらにその先進むと、よりハマっていくんじゃないかなと思っています。
ちょっと私も、どうしよう。
すごい読みたいけど、すげえ出てるんですよね。
それはそれもね。
贅沢の悩みですけどね。
そうですね。
いかんせん、量がたくさんあるんで。
でも読んで思いましたけど、
これ時間かけて読んだほうがいいかなと思ったんで、
急がないでちょっとずつ読んで、次の全集買うみたいなペースがいいのかなってちょっと思いました。
順番に読まなくても、パラパラめぐって。
気になったところから。
そうですね、そういう読み方もありかなと思います。
もしかしたら確かにこれ全部読まなくてもいいかもしれないですもんね。
自分にその時々フィットする言葉が出るのを選んで、面白いかもしれないですね。
個人的には全集の第4巻が、本について書いているエッセイとか書評とかで、
これがめちゃめちゃ面白いというか、これ読むと本当にいろんな本読みたくなってしまうんで。
27:00
タイトルが気になりますもん、問い合わせの話とか、本に読まれてとか。
そうなんですよ、これもうめちゃめちゃおすすめです、この4巻も。
映画票も入ってからなんか映画を見たくなりそうな。
そうですね。
ありがとうございました。じゃあ今回三枝さん激推しのスガースコ全集第1巻のミラーの霧の風景をお届けしました。
楽しかったです。
私も今回これ読めて本当に良かったです。いろんな発見が自分の中にもありました。
大地さんに知ってもらえてめっちゃ嬉しかったです。
本当にありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
じゃあちょっと次回予告したいと思います。
次回からですね、ちょっと今回まで三枝さん選書のターンが続いてたんですけど、
次回からちょっとしばらく私選書のターンが続きます。
次回はですね、村上春樹さんが翻訳してるんですけど、
アメリカのポールセローの短編集なんですけど、
World's End、世界の果てをちょっと取り上げたいと思ってます。
ちょっとまだこの中から全部取り上げるのかとか、何作品取り上げるのかとかちょっとまだ決めてないんですけども、
World's Endを話してみたいなと思ってるんでお楽しみにしていただければと思います。
番組の感想やリクエストに関してはTwitterやインスタのDMやリプライでお待ちしております。
メールアドレスも番組情報欄に載せておりますのでそちらからいただいても大丈夫です。
何かいただけると非常に励みになりますし、
ご意見やご感想なんかいただけるとちょっと番組どうしていこうかなって時に参考にしたりするかもしれないので、
いただけると非常にありがたいです。
聞いていただいて気に入っていただけたら積極的に拡散していただけると助かります。
何か拡散共有していただけるときにはハッシュタグ空飛び猫たちをつけてもらえると助かります。
よろしくお願いします。
じゃあまた次回配信お楽しみにしていただければと思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
28:47

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