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2023-10-16 49:01

第133回 失われたものへの祈り「すべての、白いものたちの」ハン・ガン 著

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【今回の紹介本】 『すべての、白いものたちの』ハン・ガン 著 斎藤真理子訳 河出文庫 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309467733/

パーソナリティ二人で作品の魅力やストーリーの紹介、読後の感想など話し合っています。ぜひお聴きください! ーーーーーーー
版元サイトより
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アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。

生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。
文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。

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00:03
朝鮮半島とワルシャワの街の記憶が結びついた時、作家は祈りを込めてこの世に映る白いものの数々を紡いでいく。
ハン・ガンのすべての白いものたちのを紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするポッドキャストです。
パーソナリティーは、わたくし大地とミエの二人でお送りします。
文学とプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には作り、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、ハン・ガンさんのすべての白いものたちの、です。
斉藤麻里子さん役で川出文庫、2023年に出版されていて、刊行本は2018年に出版されたものになります。
これまで文学ラジオでは、毎年1年に1回、ハン・ガンさんの作品を紹介してきて、最初はギリシャ語の時間が始まって、回復する人間、その後引き出しに夕方をしまっておいてですね。
今回その3作に続く4作目として、すべての白いものたちを紹介したいなと思っています。
この毎年一冊なんですけど、多分意図してやってるわけではないですよね。
ギリシャ語と回復する人間は、ちょっとこれ、意図あったかもしれないけど、引き出しに夕方をしまっておいたわ、シンプルに出てもよかったから、まず紹介しようとなった。
そうですよね。新刊でアドバイスされたからっていうの、あそこに飛びついた。
今回、すべての白いものたちの、はですね、ちょっと私がやりたいって言い出したんですけど、
ちょっと最近、重めの本が続いていたので、ちょっとこの辺でですね、
自分が読んだことある、読み返したい本っていうのをちょっとそろそろ入れたいなと思ったので、
今回で半顔のすべての白いものたちの、ちょっと読みたいなと思ったので。
で、これね、2023年に文庫が出ておりまして、私もともと単行本借りて読んでいたので、文庫このタイミングで書いてちょっと嬉しかったっていう点もありますね。
そうですよね。僕はあの単行本を持っていてですね、今回、ちゃんと読んだのは今回が初めてですね。
あ、なるほど。
なんかもうパラパラって、見たものの。
そうですね。文章はすごくいいなっていうのは思っていたんですけども、
いやほんと、ちゃんと読むとすごいなっていう、それが思わず大事で、
いやほんと、買ってしばらく寝かせていた甲斐があったなって思いましたね。
これあれだもんね、ちょっとパッと見詩集っぽい作りしてるけど、
でも通して読まないとちょっと迫ってくるものがまた全然違ってくると思うんで。
僕も本当に勝手な解釈ですけど、ちょっと詩集と思っていたんですけども、やっぱりちゃんと読むと小説だっていうところもあって、
ちゃんと読んでみるのが大事だなって思いましたね。
03:01
そうですよ。もうちゃんと読む。
そうですね。それだけすごい本当に味わいっぱい作品だなって思いましたし、
確かに2度3度とちょっと読み返したくなるような作品だなって本当に思いましたね。
初読が2019年か、2019年のいつだかは覚えてないんですけど、
絶頂印ですね、メモって印象に残った文章。で、一箇所以外は今回読んで付箋してましたね。
あんまり、まあ2019年だからね。4年前ぐらい。だからあんま気持ちは変わらないんだろうな。
でもなんか懐かしいっていう記憶になったのは何箇所だけで、
ちょっとこの後話していきますけど、今の気持ちの方に強くリンクしたところは、
多分初読では見逃してましたね。こんな文章あったんだってちょっと思いましたし、
本は何度か読むとちょっとね、持ち方が変わってくるから面白いですね。
じゃあもう我々のラジオで散々紹介してますが、著者について聞きますか。
ハンガンさんはですね、1970年韓国に生まれました。
韓国の作家ですね。韓国の光州っていうのかな。
ちょっと光る州と書いて、ちょっと発音わかんないですけど、光州生まれという子です。
で、大きいのは2005年採植主義者。
こちらがですね、16年にアジア5県初のブッカー国際賞を受賞しているという、
とても大きい賞ですね。アジア5県初で受賞したというところですね。
その後ですね、小説では少年が来る、ギリシャ語の時間、回復する人間など多数ございます。
エッセッシュ、そっと静かに、刺繍、引き出しに夕方をしまっておいた、など、
そんな風に名作が多い方ですね。
じゃあ具体的に作品紹介入っていきたいと思います。
今回ですね、単行本と文庫本でちょっとあらすじが、ボリュームが違うんですが、
文庫の方がちょっと長いので、文庫の方採用させていただきたいと思います。
アジア初のブッカー国際賞、作家による奇跡の傑作が文庫化。
おくるみ、うぶぎ、雪、骨、灰、白く笑う米と飯。
朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる儚くも偉大な命への祈り。
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、
朝鮮半島の記憶が交差する文庫化にあたり、
役者の斉藤麻里子によるすべての白い者たちの絵の補足。
平野啓一郎による解説、回復と自己対応。
対応はあれですね、貸して与えると書いて対応ですね、を収録とあります。
紹介文だけでもなんかすごい、なんだろう、ちょっと詩的な感じが近づいてきますね。
うん、おくるみ、うぶぎ、雪、骨、灰、白く笑うとかね。
朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語とか。
なんかね、別にこれ煽っている感じは全くなくて、非常に端的にこの作品を表している言葉たちだなと思いますね。
06:03
ここからですね、この作品の特徴であったり魅力であったりというところを話していきたいなと思っています。
その後ですね、ストーリーの話に移っていきたいと思います。
まず、非常に魅力の思える一つ目ですね、これは美しくて詩的な文章で書かれているというのがありまして、
これはもう半岸さんの小説全般に言えることかもしれないんですけども、
すごくその文章が美しいという要素もありますし、
言葉をすごく繊細に紡いでいる作家さんだなと思っていまして、
特にこの本は、そこがですね、かなりその繊細さというのを感じるような、
言葉一つ一つに儚さも感じられるような、そのような文章で書かれていて、
そこがすごくやはり読んでくると迫ってくるものがありました。
特にですね、今回3章構成なんですけども、第2章ですね、そこでは白いものというのがもう紹介されるんですけども、
さっきもありましたけど、おくるみとか吹雪とか雪とかですね、
白いものを数々を描写している、そういう章が第2章なんですけども、
そこがすごく圧巻だなと思いました。
半岸さんの文章ですね、語り手が目にした白いものというのがすごく詩的に描写されているので、
そこの文章を読むというところですね、そこもこの本の醍醐味なのかなと思うんですけども、
それくらい読ませる文章がずっと続いていくというのが一つ特徴かなと思います。
そうですね。今言った2章というのがわりと厚いので、この本の中でも。
その中でひたすら白に絡めていろんなことが描かれていくんですけど、
2章に行くまでの流れもすごくいいんだけど、そこはちょっと構成とかストーリーのところなんですが、
文章の美しさとかで言うと、一番最初の私っていう章の1文目からですね、
白いものについて書こうと決めた。
春、その時私が最初にやったのは目録を作ることだった。
ところから始まって、おくるみ、うぶき、塩、雪、氷、月、米。
もうちょっと続くんですけど、この後の文章で、
単語を一つ書き留めるたびに不思議に胸がざわついた。この本を必ず完成させたい。
これを書く時間の中で何かを変えることができそうだと思った。
傷口に塗る白い軟膏と、そこにかぶせる白いガーズのようなものが私には必要だったのだと。
文章が続くんですけど、これだけで、めっちゃいい本だと思う。
分かってしまうところがあってね。
やっぱ漢画家さんって、今読んだところもそうなんですけど、
表現の過不足のなさっていうのが、とてもうまいなと思ってまして、
これがもう完全に読み手の心の中に入ってくるポイントの1つだなと思いますね。
だからやっぱこの文章力っていうのは、やっぱり、
ヒューのところも踏まえてですけれども、
読みやすいのにちゃんと深いところまで届くみたいな文章がすごくお上手で、
そこに私は毎回惹かれてますね。
文章量自体は決して多くないんですけども、
09:01
半顔さんの思っていることっていうのが、もうこっちに入ってくるその感覚があって、
説明の仕方っていうその辺りは、確かに半顔さんらしい独特なところもあるかなと思うんですけど、
それは本当にすごい表現力だなと思いますしね。
この本の魅力っていうところでいくと、やはり第2章で描写されている白いものの数々ですね。
そこについてちょっと補足するとですね、この白いっていうのにも定義があって、
この半顔さんが言うには、その白いっていうのは真っ白なものではなくて、
白いにゃららみたいなですね。
白さんにもいろいろな白さがあるっていうようで、
そのようなニュアンスの白いっていうものを描いている。
例えばさっきのおくるみとかうぐきとかもそうだし、窓の下とかですね。
蝶の羽とかこぶしとか雪とかですね。
水漏れとか波とかですね。
例えば波だったらわかりやすいかもしれないんですけども、
見方によって白く見えたりするような。
蝶の羽もそうかもしれないですけども。
その白く見えるものと白さを帯びているものと、そういったのを紡ぎ出していて。
ちょっと面白いのがですね、これは観光本なんですけども、
本の作りが面白くて、紙の色がですね、途中で白い紙なんですけども、
全部で何色かな。
1,2,3,4,5、5色ぐらいのグラデーションになっていて、
グラデーションというかちょっと紙の色が若干違うんですよね。
結構その観光本がこの作品の中で語っていることと
リンクするような作りになっていて面白いというのがあって、
あとはちょっとこれ白さが離れるかもしれないですけども、
観光本と文庫本だと観光本の方が余白な色なんですよね。
文庫本だと観光本の方が余白たっぷりで描かれていて、
結構ですね、余韻を味わえるところがあるかなと思いますね。
これももちろん好みの問題で、文庫本でももちろん作品そのもの十分味わえるんで、
どっちがいいか知らないですし、文庫本の方が解説とかついていて、
道徳感はあるんですけども、観光本は観光本で、
本の作りとして面白いというのがちょっと脱線しましたけども、
この作品の特徴はやっぱりこの白いものの数々、
こんなにたくさんの白いものっていうのが描かれてるっていうのは、
すごいなかなか他にはない。
多分その一つ一つがすごく良くて、
これもまた後大地さんと話題にしたいと思うんですけども、
そういう白いものをなんていうか、
ハンガーンさんが描く白いものっていうのを読んで感じれるっていうのはすごい良さかなと思います。
そうか、ちょっと観光本のことをすっかり忘れてたけど、
こういう良さがあったんだ。観光本は欲しいけど、文庫買っちゃったんで。
今の部分でいうと、文庫版でいうと、
言うの忘れたんですけど、私が言うページは全部文庫版です。
めいさんが言うのが観光本になっちゃうと思うんで、
ちょっと混乱するかもしれませんが、ご了承ください。
で、文庫のですね、176ページ。
12:02
これ作家の言葉っていう、ちょっと終わった後に入ってるものなんですけど、
私の母国語で白い色を示す言葉に、
真っ白な、これ韓国語でハヤンと読むそうなんですけど、
真っ白なと白いが、これは白いはヒンですね。
ヒンがあると。ハヤンとヒンがあると。
また雨のようにひたすら清潔な白、ハヤンとは違い、
ヒンは生と死の寂しさをごもごもたたえた色である。
私が書きたかったのはヒンについての本だ。
であって、この辺に対してちょっと白に対するスタンスのようなものが
ちょっと描かれていると説明されているんですけど、
確かに今回ですね、だいぶこの生と死のイメージっていうのが
この本から漂っていて、それが白というところに結びついて
我々に迫ってくるので、白というものを考えるだけで
不思議な感覚を味わえる技術だったので、
他にはこういう読書体験できないと思うので、面白いなと思います。
今言ったですね、ごもごもたたえた色っていうのがですね、
私初読した時に何だか全くイメージできなくて、
ごもごもたたえるみたいなのがあったんですけど、
ちょっとごもごもっていうのは交わったりというか、
ちょっとごちゃっとした内容、ごちゃっとした状態みたいなと思うので、
ちょっと混沌とした状態を保持しているみたいなイメージなのかなと思いますね。
そういう意味合いの表現というのがこの本すごく多いので、
ぜひその辺りは味わえるかなと思います。
そうですね。この本が語ろうとしているテーマと言いますか、主題と言いますか、
そういうのを抜きにして本当にこの白いもの、漫画の中に入っている
白いものをパラパラめぐって読むだけでもすごくもう何か感じるものあると思うので、
この後ちょっとこの本のテーマみたいな話をしていこうと思うんですけども、
ちょっと難しそうとか思われたらですね、決してそんなことなくて、
この第2章の頃だけパラパラめぐって読んでみるだけでもすごく味わえるものがあるっていう、
それだけではやっぱり一個一個切り取ってもすごいっていうのをちょっと言っておきたいなと。
最後の特徴のところでいくと、このテーマというんですかね、
作品で描かれていることとして喪失と再生の物語になっているというところですね。
結構ハンガンさんの小説で共通しているテーマでもあるんですけども、
今回の作品も舞台がワルシャワということで、そこがナチスドイツに破壊されている、
そういった歴史があって、その後復活を遂げたという街でもあるというのと、
朝鮮半島で亡くなったお姉さんですね。
これハンガンさんの実話をベースにしているんですけども、
実際にあった話をベースにしていて、生まれてすぐにお姉さんが亡くなったというのがあって、
そことの記憶がリンクしていくというですね。
それが失ったものと、もう一度再生していくという、そこが描かれているということですね。
この亡くなってしまった姉というのは、かなり最初から出てくる話なんですけれども、
15:04
おそらくこの姉に対してハンガンさんはずっと何か気持ちがあって、
言語化できないような気持ちがあって、感覚みたいなものもあって、
それを今回表現しようとしている。
その過程自体がこの物語になっているので、ここがすごく独自な部分でもあるし、
パーソナルなのに、やっぱり我々も共感してしまうというか、
入り込んでしまう部分もあって、不思議な話ですね。
確かに読んでいると十分で重なるところがあるというのは、文庫本の解説で平田圭一郎さんが入っていましたし、
読んでいると実際そう思うところってあると思いますし。
この本でちょっと面白いのが、最後の作家の言葉のところで、
本を書いた経緯をハンガンさんが書いていて、
この全ての白い者たちの書く前に少年が来るという、結構重ための本、小説を書かれていて、
それは80年代に韓国で実際にあった事件なんですけども、
民主化抗争があって、軍と市民の対立があったという、その事件について書いていて、
やっぱりハードな内容、本当に死なないでほしいという、願いを込めて書くようなパートもあって、
その後、ハンガンさんも休暇を取ってという時に、知り合いの面識のある翻訳者の人に、
自分の国に来ないって誘われて、それがワルシャワだったんですけども、
全く初めてワルシャワに行って、そこで生活していく中で、
ワルシャワという国とハンガンさんの記憶にあった、お姉さんが亡くなってしまったお姉さんの記憶が重なっていくという、
このお姉さんについてのお話を書かないといけないんですけど、
そういう経緯があって、この全ての白いものたちが、本当にすごい作品だと思うんですけども、
ちゃんとそこの経緯も踏まえていると、そういう経緯があったんだというのがね。
必要な本って感じですよね。
本当にハンガンさんにとって、これは書かないといけないものであったというのが、すごい伝わって、
これは最後の作家の言葉というのは、絶対あった方がよかったなと読んだ。
あと書きみたいな感じでも取れるけど、でもやっぱりこれで完成する感じはあるよね。
この原作ですかね、韓国で出たとき、最初はなかったみたいですね、この作家の言葉。
ちょっとその改訂版を出すときに、改めてあと書きみたいな形で付け加えをやると、
もう一回二度目読みたくなるような、そのような説明になっているんで。
日本では最初からついてくれていてありがたかったですね。
さらに文庫版の解説、斉藤真理子さんとか桂次郎さんの読むと、
もう一回しっかり読みたくなるようなと書かれてますんで。
でも解釈は人それぞれだから、解説とか縛られなくても大丈夫だと思います、この本に関しては。
そうですよね。
ちょっとここからですね、作品のストーリーの話に移っていこうと思うんですけども、
本当その解釈が読む人によって絶対違ってくると思いまして、
18:04
今からですね、この参照構成、こういう話っていうのは言っていくもののですね、
そこにはストーリー性とかあるんですけども、
ただ明確に物語が語られているわけではなくて、結構3文になっていて、
見方によってはなんかその詩集みたいな捉え方もできるかもしれないですし、
なんかその結構断片的な言葉がいくつも散らばっていたりするので、
何が作品の中で起きているのか、語り手が何を語ろうとしているのかというのはですね、
やっぱりその想像する部分が大きいのかなと思うので、
話はしていくんですけども、
本当に読む人によってこれはどう想像するかっていうのは、
だいぶもう本当に自由にできるんじゃないかなと。
ではですね、ちょっとストーリー、まず第1章の始まりのところですね、
これ私という章なんですけども、そこからどうですか。
まず語り手は作家さん、ワイム・ハンガンさんになるのと比べて、
旧歌である国を訪れていました。
そこはポーランドとかワルシャワとは明記はされていないんですけども、
おそらくそうだろうとなっています。
戦争で破壊されたという過去があって、
その歴史を知るとともに朝鮮半島で生まれて、
すぐに亡くなられたお姉さんのことを思い出して、
そこに思いを馳せるようになっています。
この語り手の作家さんが、
姉がもしも生き延びていたら考えるようになる。
さらにですね、もしもこの国に来ていたって、
その街ですね、ワルシャワにいたのが、
自分ではなく姉だと考えるように言います。
作家さんがお姉さんに自分の人生を授けようとするというですね、
そのような、これも思考というか祈りに近いかもしれないですけども、
ちょっとそのような願いを込めた文章をするという、
それが第一章です。
その後、第二章、彼女という章なんですけども、
彼女の視点で数々白い者たちが語られて、
それは作家さんがお姉さんにやはり人生を授けたい。
それは何というか、白いものをですね、
本当にこの世界に見える色々な白いというのもあるというのを見せたいというか、
それを耐えたい。
彼女の視点でいろんな白いものというのがここで描写されています。
それは雪であって、人の肌であって、
塩とか砂糖とかっていうものもあれば、
白い鳥とか白い鳥、白く映る月とか、
宇宙の天の川ですね、波とか、
本当に大きい白いものというのが語られてきます。
それらは、旧化で訪れている街の風景であったり、
朝鮮半島の記憶に眠る白い者たちであったり、
白い者たちっていうのがどれも儚くて消えりそうな、
僅かなものもあったりするんですけども、
ただ彼女の視点で見えるその白い者たちというのは、
やはりちょっと白い光を放って、
ちょっと体温を宿しているという、
何かそういう命を繋ぎ止めようとするかのように、
祈りを込められて語られていきます。
21:01
これが第2章で、第3章ですね、
これは全ての白い者たちという章なんですけども、
ここでまたちょっと作家が登場してきます。
作家がちょっと過去を回想するんですけども、
それはお母さんですね、
お母さんが二度葬山した過去を持っていて、
お姉さん、お兄さんですね、
でももしそのお姉さん、お兄さんが来ていたら、
自分はいたんだろう、
逆に子供の頃、もしお姉さんがいたら、
どういうお姉さんだったんだろうというのを想像したりしますね。
それは例えばですけど、
お母さんの看病を率先してくれるようなお姉さん、
宿題を教えてくれるお姉さん、
作家さんもすごく感受性豊かな方なので、
ちょっと子供の頃からという感受性が豊かというところで、
ちょっと闇の中でうずくまるようなことがあったりしたときに、
自分をハグしてくれるような存在のお姉さんなのかもしれません。
過去を回想してその後、ちょっとそのお姉さんがいたらという想像をしたり、
作家さんはこの世界に映る白い者たちとともに、
お姉さんに思いを馳せて、
自分の人生というか自分の命を再び生きようとするというですね、
そのような、これも思いというか祈りを込めた第三章ですね。
どのようなストーリーか説明するのはすごく難しいんですけど、
もうちょっとこのような一、二、三章になりますね。
そうですね。一読して迫ってくるものがすごく多いんですけれども、
個人的にはやっぱり最後、この生への意志っていうところはものすごく刺さりましたね。
最終的に迫るのはそこだったし、
やっぱり読んでいて自分も勇気づけられる部分は確実にあって、
すごく強く生きようみたいな感じではないんだけれども、
やはり生きるしかないのか、生きていこうみたいな、
そんな何か気持ちにさせてくれるところと、
ハンガンさんね、詩集読んだ時も思ったんですけど、
うまいなって思うのは、これ全ての白い者たちのはですね、
最後、あれで終わってるんですよね、確か。
第二章の終わりが米と飯で、やっぱり、
これ最後、全ての白い者たちの最後も締め方は良かったんですけど、
第二章がですね、やっぱり食べ物で終わるというところは結構やっぱりうまいなと思いましたね。
まず食へっていうのがどうしても生命を感じさせるものなので、
そういう使い方がすごくうまいなと思いますね。
その前に本当にいろんなことをさらえてるんですけど、
食べ物が持っている、なんかこの生きることへの力というか、
そんなのをほんのり感じさせてくれるような、いい締め方してますよね。
いやいやでも本当に、読むと感じるところ、
これ多分1,2,3章、どこを切り取ってもあったと思いますし、
ここでちょっと僕と大地さんで印象残ったところがたくさんあるので、
多分一部しか話し合えないんじゃないかなと思うんですけども、
ちょっとお互いそこを拾っていけたらなと思いまして、
大地さんからいきます。
私からいきましょうか。文庫の方でいくと69ページ、
みぞれというタイトルの文章が入ってるんですけど、
24:03
この文章すごく良くて、これねなんかね、
所属の時あんまり引っかからなかったんだけど、
今回一番引っかかる文章ですね。
これも全部インで読んじゃいますけど、短いし。
生は誰に対しても特段に好意的ではない。
それを知りつつ歩む時、私に降りかかってくるのはみぞれ。
額を眉を頬を優しく濡らすのはみぞれ。
全てのことは過ぎ去ると胸に刻んで歩む時、
ようやく握りしめてきた全てのものも、次には消えると知りつつ歩む時、
みぞれが空から落ちてくる。
雨でもなく、雪でもない、氷でもなく、水でもない。
目を閉じていても、開けていても、立ち止まっていても、足を早めても、
優しく私の前を濡らし、優しく頬を撫でにやってくるのはみぞれ。
っていう文章なんですけど。
ここにね、ちょっと他に季節の話というか、万年雪とか、
雪の話が少し続くんですよね、この前後ね。
その中でみぞれというものが出てくるんですけど、
これも優しいのか優しくないのかは分からないし、
どう解釈していいのかも分からないけれども、
でもなんか、性は誰に対しても好意的ではないっていうところと、
このみぞれが持っている、冷たいのか、それとも溶け出しているのかみたいなところ、
その中間の合わさみたいなのがですね、自分はこれを読んだ時にですね、
結構刺さったんですよね。
氷でも水でもない。
だけども、でもなんか自分の前を濡らして優しく頬を撫でてくれるのはみぞれてある。
いいですね。
いけるってことはグラデーションなんだと思うので、
どっちかに大きく転がることもなければ、いつも中間の場所にいるんだろうな、
そういうのも感じたし、それを彼女、これ多分姉だと思うんですけれども、
姉が感じているっていうのはすごくいいなと思ったので、
ちょっと多分この2回目で一番刺さったんだろうなと。
僕も近いかもしれないですね。
僕が印象のことはまず息というですね、これは息を吐くの息ですね。
これが文庫本だと91ページなんで、文庫だと80何ページか。
87にありますね。
これも短いので読むとですね、
寒さが兆し始めたある朝、唇から漏れ出る息が初めて白こぼったら、
それは私たちが生きているという証。
私たちの体が暖かいという証。
霊気が台風の闇の中に吸い込まれ、体温でぬくめられ、
白い息となって吐き出され、私たちの生命が確かな形をとって、
野次郎風に広がっていくという奇跡という文章なんですけども、
ちょっと読んだ時、この息というのがちょっと弱々しい息なのかなと。
寒さが兆し始めた朝ということなんで、
ちょっと寒い中ですね、何とか吐き出すような息という、
ちょっと弱い印象かなと思いつつ、
その後吐かれているのが、
その息というのは体の中、肺の中でぬくめられていて、
だから白い息として吐き出されるということは、
27:01
私たちの生命が確かな形をとっていて、
それが白く空に広がっていくという生命の広がりを感じさせてくれるし、
最後、奇跡という言葉で締めているんですけども、
それは奇跡的でもあるというふうに感じれて、
すごく生きているという生に対して肯定的というか、
それがどれだけの奇跡なのかというのを感じさせてくれるような、
この文章もすごく綺麗なんですけども、
そこで描かれていることもすごく奇跡的な美しさを持っているなと思って、
すごい自分の中でお気に入りの息ですね。
息もね、確かにこの弱いさをすごく感じる文章だしね。
呼吸が多分ね、生命が確かな形をとって、
この白く空へ広がっていく。
死が近いというイメージはここから浮かばないけど、
でも生きるのには結構エネルギーがいるような、
ちょっとそんな印象を確かに受けますね。
次いきますか。
次はですね、129ページですね。
これ長いんだけど、どうしようかな。
文庫でいうと129ページです。
薄髪の白い裏側という文章なんですけど、
でもちょっと読んじゃうと、
回復するたびに彼女はこのせいに対して冷ややかな気持ちを抱いてきた。
恨みというのには弱々しく、望みというにはいくらか毒のある感情。
夜ごと彼女に布団をかけ、額に唇をつけてくれた人が、
凍てつく都街へ再び彼女を追い出す。
そんな心の冷たさをもう一度通節に確認したような気持ち。
そんな時に鏡を見ると、これが自分の顔だということになじめなかった。
薄髪の裏側の白さのような死が、
その顔の後ろにいつも見え隠れしていることを忘れられなかったから。
自分を捨てたことのある人にもはや遠慮のない愛情を寄せることなどできないように、
彼女が人生を再び愛せるためには、
その都度長く込み入った過程を必要とした。
なぜならあなたはいつか必ず私を捨てるから。
私が一番弱く助けを必要としている時に、
取り返しのつかないほど冷たく背を向けるはずだから。
私にはそのことがありありと透けて見えるから。
それを知る以前に戻ることはできなくなっているから。
ちょっと長かったんですけど、ちょっと読ませてもらいました。
これ一番最初の時に一番ビビった。
すごい印象に残って。
信じきることができないみたいな意味合いと。
これは愛情っていうよりも、
自分を信じることができるのかできないのかみたいな。
そういうのにも私は捉えられていて、
他者というよりは対自分の文章だなって思ったんですけど、
ちょっとこれは解釈が分かれるところかなとは思いつつも。
この一連の流れの中で、もちろんこの文章出てくるんだけれども、
こういう文章を差し込むことができるのがやっぱりすごいなっていう。
本当に。
思いましたね。
このタイトルの薄紙の白い裏側っていう、
このチョイスもそうだし、
30:01
書かれている内容が、
ダイスさんが読んでくれた内容そのものですけど、
そのタイトルから自分を知ってたことのある人に、
後半に書かれていることを述べていたりとか、
この飛躍がすごいと思うんですよね。
普通はそのタイトルから、
この内容にはならないんじゃないのかって思うような。
確かにね。
やっぱり才能なのか何なのかっていうところかもしれないですけど、
こういうの多いですよね。
ハンガンさんの。
ハンガンさんは多いというか、すごいよね。
特に今回、
本当に短いものだと1ページ数行で、
長くても2、3ページぐらいで、
タイトルがあって書かれているんですけども、
そのタイトルでこの内容っていうのは、
これは本当に塩味わっているような感覚なんですけども、
いいですよね。
僕がですね、
ちょっと次紹介したいのが、
本だと111ページで、文庫も110ページ台であるかなと思います。
幾千もの銀の点々が浮遊。
すごくロマンチックな文章があってですね。
少し読むと、
そんな夜にはこれという理由もなく、
あの海のことを思い出す。
船は手も小さすこしの波にも追い揺れし、
8歳だった彼女は恐ろしさにずっと顔を丸めて、
頭と胸を低くしすぎて、
最後は船底に伏せるようにしていた。
こんなある一瞬、
幾千もの銀色の点々が海の遠くから押し寄せて、
船の下を通り過ぎていた。
彼女はたちまち怖さも忘れ、
その輝くものが力強く移動していくのをぼんやり見る。
ここからですね、
もうちょっと文章が続くんですけども、
こんなある一瞬、
幾千もの銀色の点々が海の遠くから押し寄せて、
船の下を通り過ぎていたとかですね。
すごく個人的にはもういいなと思う文章があって、
結構これも印象を残りましたので、
この幾千もの銀色の点々って何なのかというと、
イワシの群れなんですよね。
イワシの群れって書いてあるんですけども、
イワシの群れをこんなに綺麗に描写できるっていうのが、
単純にすごいなって思いますね。
でもなんかイワシの群れってこんな感じだよね。
水族館とかで見るけどさ、
あまり船とか乗らないので、
海とか出ないのでわかんないけど、
自分の乗っている船の下を、
イワシの群れが通り過ぎていたらこんな感じに見えるのか。
そうですよね。
半岸さんのこの文章を読むと、
イワシの群れとか見た時の見方も変わるような気がするんですよね。
ただ魚がいっぱいいるじゃなくて、
そこに銀の点々の美しい、
これがイワシの群れもそうだし、
宇宙の星の点々ですよね。
そういうのも同じくらい綺麗に表現されていると思うんで、
すごく世界が膨らむような感覚があって、
半岸さんのこの文章を読んでから読むと、
世の中の見方が変わるところがあるなと個人的に思っていて、
それくらいお気に入りな文章です。
33:00
あと文庫でいうと、私は45ページですね。
彼女という文章のところなんですけれども、
これ姉のことを言っているんですけど、
その子が生き延びてその父を飲んだとしたらと考える。
懸命に息をして口笛を動かし父を飲んだとしたら。
ちょっといろいろ続いていって、
死がその都度彼女を避けて迂回していたら、
または彼女が死を振り切って前へと進んでいたらと考える。
死なないで、死なないでお願い。
その言葉がお守りとなり、彼女の体に宿り、
そのおかげで私ではなく彼女がこうやってくることを考える。
不思議なほど近しく思える。
自分の生にも死にもよく似ているこの年へ。
というのがあるんですけど、
これお姉さんが死んでしまった時に、
お母さんが必死に死なないで死なないでと言っていたというのが、
ちょっと前のくだりであって、この文章があるんですけど、
この言葉がお守りとなって宿り、
そのおかげで私が生まれるのではなく、
彼女がここへやってくるという意味だと思うんですけども、
結構切実なパートだなと思っていて、
やっぱりどうしてもこういうことを思ってしまうんだろうなと思っていて、
その次の朗説でですね、またこれ言ってるのが、
今あなたに私が白いものをあげるから、
汚されても汚されてもなお白いものを、
ただ白くあるだけのものをあなたに託す。
私はもう自分に託せない。
この生をあなたに差し出して悔いはないかと、
ちょっと覚悟のようなものに繋がっていくので、
この最後の流れはめちゃめちゃいいなと思っていて、
正末のですけどね、こういうのを読んで、
何なんですかね、これ経験したことないけど、
自分の兄弟が、上に兄弟がいて、
生まれた直後死んでしまったみたいな話とかも全然ないし、
そういう存在って自分の中で全然出てこないんだけれども、
なんかすごく惹かれてしまうというか、
共感してしまう部分があるんですよね。
そうですよね。
今の大地さんが言っていたところの文章って、
すごい強さを感じていてですね、
自分の失ってしまったものとかに対して向き合おうっていう、
そのすごい力強さっていうのを、
文章自体そんな強く書いてるわけではないんですけども、
スタンスっていうか、そこに対しての強さみたいなのを感じれて、
それは確かに惹かれるものはあるなっていうのは思いますね。
これも受け取った側の勝手な思いだと思うんだけれども、
やっぱりこういう文章を読むと、
ちょっと力をもらえる部分はある気がするな。
同時にやるせないものに対する思いも馳せるから、
不思議な力を持ってるなと思いますね。
僕も最後に紹介したいなと思ったのは、
魂というタイトルのところで、
これは単行本140ページ、
なので文庫だと140ページ前後。
141字ですね。
ちょっと言うことですが、
魂があるとしたら目に見えないその動き方は、
きっとあの蝶に似ているだろうと彼女は思ったならば、
この都市の魂たちも自分が銃殺された壁の前に時々飛んできては、
蝶のようにお供なかばたきながらそこに留まっているのだろう。
36:01
だがこの都市の人々がその壁の前にロウソクを灯し、
花を手向けるのは魂たちのためだけではないと彼女は知っている。
彼らがそうするのは、
出陸されたことは恥ではないと信じているため、
相当可能な限り延長するためだというとはで、
この都市の魂、
都市というのはワルシャワのことで、
ナチスに破壊されてしまったという過去ですね。
そこで亡くなった人に対して思いを馳せているところで、
この魂というのが、
これもですね、この後もうちょっとさらに話が続いていくんですけども、
ワルシャワのそういった痛ましい記憶と、
あとお姉さんですね、
お姉さんの記憶が結びついていく文章と書かれていくんですけども、
そこにすごい切なさ感じますし、
一方で読み上げたところで、
花を手向けるのは魂たちのためだけではないと彼女は知っているとか、
出陸されたことは恥ではないと信じているため、
相当可能な限り延長するためだというですね。
あれもやはりスタンスをすごく表明していて、
すごく強さを感じる文章があって、
それはもうそんなすごい強い文章があるので、
最後の一行は、記憶している全ての死と魂のために、
自分のそれも含めとそこを灯すというのが締めくくりされているんですけども、
そこに行ったときに心を動かされるものがありました。
この中でも転換が結構あるしね。
ラスト、記憶している。そこがすごくいいよね。
だからやっぱり視野についての愛と、
最後のところがすごい好きだもんな。
だから彼女にはいくつかの仕事が残されているというところね。
嘘をやめること、目を開けばカーテンが開くこと、あとはろうそく灯すことね。
前の段階に作られなかったところには、
綺麗なカーテンをかけていってあって、
嘘なんだっていうね、誤魔化すなっていうところとリンクするからすごいいいな。
それで終わっていくから、2章もほぼ最後の方の文章なので、いいですね。
さて、なんかしばゆーが語ってしまいましたが。
いや正直今回、全ページで付箋をやりたいぐらいの、
横を切り取ってもよくて、数箇所しか紹介はできてないんですけども、
数箇所を選ぶとどうしてもやっぱり心動いたところってなると、
ちょっとしんみりするようなところが選びにくい。
割とちょっと今回の配信静かでかもしれないけど、
ちょっと噛み締めて聞いてもらえるとありがたいかなと思います。
最後にこのしんみりしたモードのまま、
この作品と自分が重なったところはあるのかみたいな話をしてみますか。
テーマトークになりますね。
さっきも話したけど明確に重なるような状況ではないのに、
なぜか他人ごとには思えなくなる瞬間がある。
この不思議な作りをしている本だなと思いましたね。
そうですよね。確かに。
なんかすごくでも不思議というか、
ちょっと思ったのが、前にラジオで紹介したマリウッポリですね。
39:04
彼女はマリウッポリからやってきたという作品は自伝的なんですけども、
お母さんのルーツを調べていくうちに、
歴史でどんなことがあったのか、
そこで自分がどのように生まれてきたのか、
自分の人生を捉え直すというような、
これも本当に身に詰まるような話があったんですけども、
今回のハンガンさんのもちょっと重なるところがあるんじゃないかなと、
自分の人生というか自分の記憶というか、
そういうのに対して改めて向き合った時の、
ちょっと表現方法はマリウッポリとは違っているんですけども、
あっちは本当にドキュメンタリーみたいに取材しまくって、
具体的な話というのを積み上げて、
ハンガンさんのはかなり想像力を膨らませて、
自分の失ったものとか自分の記憶に対して向き合っていたんじゃないかなと思ってですね。
結構重なるところとしては、
ハンガンさんの作品のエピソードが具体的に、
自分もそういう体験があったとか、
そういう重なり方というのはないかもしれないんですけども、
何かその失ってしまったものに対して、
想像力を膨らませて、
もしかするとそれはハンガンさんの場合、
祈りというような要素が強いと思うんですけども、
祈るような気持ちですね。
それを文章として表現することで、
祈りが形づけられるというか、
祈りになっていくみたいなですね、
そういうものかなと思っていて、
僕がちょっと思ったのが、
自分の中の本当に取り返しのつかない過去とか、
やっぱり子供の頃、
そういう時っていうのは少なからずあるんじゃないか。
それはハンガンさんのように人を失うという、
そこまで大きなものじゃなくても、
本当は自分の過ちとかです。
そういう取り返しのつかないものに対して、
想像力を膨らませて、
自分の中で折り合いを、
折り合いつけるというと違うかもしれない。
それはどういうことだったんだろうかというのを、
捉え直すというのは、
もしかするとそれは人生の中でやるべきことなのかもしれないと思っていて、
何かそういう気持ちにさせる頃があってですね、
今回の白い物足を読むと。
僕が重なったなと思ったところは、
そういうところかもしれないですね。
ハンガンさんが人生の中でそれに向き合わないといけないなとか、
捉え直さないといけないなという、
それは自分も少なからず。
その気持ちは実は持っていたのかもしれないというのを、
ちょっと読んで感じました。
それでいうと、ハンガンさんはきっと、
これでこの本を書くことで何か乗り越えたんだろうね。
だから、読む我々も、
もしかしたら乗り越えられることができるような、
気持ちにさせてくれているのか。
ヒロアンの芸次郎さんの解説だと、
回復というような言葉が含まれていて、
42:00
やっぱり少年学部を書いている時とか、
かなりハードな内容だったので、
傷ついたところがあった。
それも回復、もしくは乗り越える、
そういうことかもしれないし。
ここまで内面まで潜っていけるなら、
回復というか、
再び事故と向き合うみたいなイメージだけどね。
確かに今ミエさんが言ってて思ったけど、
やっぱりハンガンさんの作品で引かれてしまうのは、
祈りのような部分なのかもしれないな。
祈りって願いとまたちょっと違って、
こうなってほしいと思ってはいるけれども、
強制はしないみたいな、
手に入らなくてもいいかもしれないっていう、
諦めも混じる感覚だなと思っていて、
でも祈ることってすごく重要だなって、
自分は思っているので、
その感覚にすごくフィットするんだな。
そうですね。
僕もそうなんですけど、
ハンガンさんの文章によって書かれることで
祈りが完成するというか、
祈りがなされるみたいな、
そんな捉え方をしてますね。
確かにそれは願いとかそういうなんではない。
書くことで成立する祈りみたいな。
うんうん、ありますね。
どうですか、自分に重なったところって。
まあでも今ちょっと話で思ったけど、
やっぱり祈りの部分なんだろうな。
だから祈る気持ちが自分の中にもあるから、
本当にちっちゃいところから大きいところまで、
多分自分は祈りって感覚で生きてきているので、
多分それにすごくリンクするのかな。
これも多分、もちろん死なないでっていうのは、
すごく強い願いだと思うんだけれども、
でもどこかでやっぱり諦めが交じるはずなので、
それが、そのバランスがすごく刺さる気がする。
重なるって言うとちょっとなんか違うかもしれないけど。
そんなところですかね。
この作品は読むと本当に、
自分もハンカンさんと同じような気持ちになってしまうっていう。
そうだね。
そういう気持ちにさせるっていうところが、
すごい引き込まれるものがあると思うので、
これは本当に読んだ人は多分そういう意味では、
気持ちが引っ張られるところが、
これはオークラスの中にあるんじゃないかなって思います。
みんなに読んでもらいたいですね。
特に傷ついてる人には。
じゃあちょっとこの流れで最後いきますか。
最後、感想とどんな人に読んでもらいたいかお話しして終わりたいと思います。
私の方から。
今まで話した通りなんですけれども、
まずはハンカンさんの作品、他にも読んでいることがあって、
このテイスト好きだなって人には必ず読んでもらいたいなと思う一冊です。
他の作品と違って結構引き込まれるのも、
他も結構引き込まれるんですけど、
その度合いがですね、多分一段階か二段階ぐらい強いので、
45:01
ぜひ覚悟して読んでいただければなと思います。
やっぱりこの美しい言葉の繋がりの中にですね、
ハンカンさんが持つ人生感というか、影のようなものを指してくるので、
なかなかバランスがいいという言い方おかしいけど、
こういう世界観を味わいたい人にはぜひ読んでもらいたいなと思います。
個人的にはやっぱり何度読んでも味わえる話だと思うので、
しかもですね、これ200ページ切ってるんですけど、
結構予約も多い本なので、
本当にそんなに時間かけずに味わうことができるかなと思いますので、
もしちょっとこれ聞いて迷った人は、
この本買ってみてはいいんじゃないかなと思います。
僕はこの本紹介するの難しいなって思いましたね。
すごい衝撃度のある作品で、
このラジオ団のそういう自分が衝撃を受けた作品っていうのは、
結構テンションちょっと上げて紹介したりっていうのはできてたつもりだったんですけども、
このハンガンさんの作品を読むとですね、
なかなかそのテンションを上げて紹介しようっていう、
そういうタイプではないなと。
やっぱりちょっと実感でしょうね、
しっかり噛みしめてどういう作品だったかっていうのを考えると、
そこにはいろんな感情はあるんですけども、
やっぱりハンガンさんとの気持ちを共有しようって思うと、
やっぱりちょっとしんみりしてしまうところがあって、
紹介している中でもやっぱりしんみりしつつ、
話す気だなって思います。
とはいえですね、いろいろ話してきましたけども、
結構作品自体抽象度が高いので、
読む人によって思い描くイメージっていうのは、
だいぶ異なってくるんじゃないかなとは思います。
すごく想像力を豊かにしてくれる作品だと思うので、
興味を持たれた方はぜひ読んでみて、
自分の頭の中で、作品の中で描かれている白いものたち、
もしくは自分の中にある白いものたちっていうのを、
想像してみてほしいなと思います。
ちょっと今回はそんなテンションですが、
かなり深い作品だと思うので、やっぱり読んでもらってですね。
じゃあ次回予告して終わりたいと思います。
次回はですね、番外編をお届けしたいと思っています。
今回特にゲストとか来るわけではないんですが、
まずは文学フリマ、東京の11月11日にある東京文学フリマに出展しますので、
そのあたりの告知と、あとですね、
ちょっと収録段階ではまだ何もよくわからないんですけれども、
ノーベル文学賞がですね、10月の5日に発表の予定でして、
私もがお世話になっているノーベル文学賞見守会、
当日ちょっとライブ配信をさせていただけるような話が来ていますので、
その音源が使えたらなと思っておりますので、
そうですね、ちょっと僕も行きますので。
ちょっと三井さんと私でTwitterスペースかな?をやると思うので、
これ配信するときはもう終わっているんですけど、
ちょっとどんな感じになっているか、ぜひお楽しみに来ていただければなと思います。
48:01
では番組の最後になりますが、メルマガ会員募集しております。
こちら無料版、有料版とございまして、
無料版は毎回のエピソードで長崎の部分をカットして配布しております。
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ご確認ください。
それでは番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました、
読み返ししましたとございましたら、
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ぜひぜひそちらをご活用いただき、我々にお便りください。
そして、今お聞きになっているApple、Spotify、Amazon Musicなどのですね、
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ではまた来週。
ありがとうございました。
49:01

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