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2022-12-26 47:35

第104回 死後に人生を語るとしたら「野原」ローベルト・ゼーターラー著

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【今回の紹介本】

■『野原』ローベルト・ゼーターラー著 浅井晶子訳 新潮クレストブックス

あるオーストリアの田舎町にある墓地。そこには死者の声に耳を傾ける老人がいた。

29人の死者たちが紡ぐ、町の物語。彼らの尊い人生が、静かに読み手に残る。

是非お聞きください!

【番組内で紹介したトピック】

■『野原』ローベルト・ゼーターラー著 浅井晶子訳 新潮クレストブックス

https://www.shinchosha.co.jp/book/590184/

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【文学ラジオ空飛び猫たちを初めて聞く人向けのnote記事】

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【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ

文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

毎週月曜日朝7時に配信しています。

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

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文学ラジオ空飛び猫たち。小さな町に生きて死んだ名もなき人々の声に耳をすます。人生の一瞬の輝き、喜びと失意、人の尊厳に迫る性質な物語。オーストリアを代表する作家、ローベルト・ゼーターラーの野原を紹介します。
どうもみなさんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな2人がゆるーくトークするポッドキャストです。お相手は、私小説が好きなおかえりのダイチと執事を巡るカフェのミエの2人でお送りします。
文学のプロではない2人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。本編入る前にですね、ちょっとお願いとお知らせがございます。今年もですね、ジャパンポッドキャストアワーズが始まっておりまして、リスナーズチョイスというリスナーが投票して決まるショーもございます。こちらですね、ぜひ我々気に入っていただけているならば、文学ラジオ空飛び猫たちに一票いただきたいなと思っております。
投票期間は1月20日までとなっております。番組概要欄にもこちらの情報を載せておきますので、ぜひぜひ一票いただけるとありがたいです。じゃあ行きますか。
今回紹介するのは、ローベルト・ゼーターラーの野原になります。アサイ・ショーコさん役で、新潮クレストブックスから2022年10月に発売された本になります。
これがですね、2022年最後の配信になっているはずです。まさにそれにふさわしい作品が来たなと思っておりまして、思えばですね、2021年の年末もアサイ・ショーコさん役のね、ドイツの行ってしまった紹介したと思うんですけれども、このタイミングで来るアサイ・ショーコさん役めっちゃいいなっていう、私の中ではちょっと出来上がりつつあるんですけど。
偉い名作がね、本当に来たなっていう感じで。アサイ・ショーコさんの役ってね、確かにすごい名作ばっかりっていう、そんな印象がありますよね。
去年も同じ気持ちを抱いた感覚があるんで、すごくちょっと懐かしくなりました。やっぱりこのゼーターラー、前にもね、このラジオでも紹介しましたけれども、このゼーターラーの新作なんですけれども、
なんか29人の使者が自分の人生を語るっていう小説なんですけども、読む前からですね、期待感超高かったんですよ。もう間違いなくいいものだろうみたいな感覚があって。
で、ちょっとやっぱり期待しすぎちゃってるかなって、ちょっと怖くなってた部分あったんですけど、そしたらですね、もう100ページ読まないうちにですね、この俺の期待を超えてくる作品だったんで、なかなかヤバい作品だったなと思って。
間違いなく今年読んだ中でもトップクラスに良い本、間違いのない本だなと思ってまして、今年読んだ本で一番良かった本何ですかって聞かれたら、これはあげてしまうかもしれないと思ってるぐらい、内容も濃くて本当にすごい小説だなと思いました。
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僕もね、ゼーターラーすごい好きで、特にキオスクをラジオで配信したこともあるし、ラジオではね、まだ取り上げてないんですけど、ある一生という作品もすごい良かったんですね。
ゼーターラーのファンなんで、あれですよね、ゼーターラーの新刊が出て、こんなちょっとテンションが上がって配信するポッドキャストって、多分日本の中でこの空飛びの人たちぐらいじゃないですかね。
そうだね、おかしなテンションだよね、確かに。
みえさんあれだもんね、なんか出た瞬間、すぐ出た瞬間、刊行が決まった瞬間か忘れちゃったけど、すぐなんか連絡くれたよね。
あ、そうですね。
出ますよって。
ゼーターラーがね、ついに新役が出るっていうので。
俺その時、あ、出るんだぐらいだった。
あ、そうだった。
やっぱりちょっと怖さはあったんですよね、ある一生がすごい、キオスクもすごい良いんですけど、ある一生がね、やっぱすごいもう名作だなと思っていたんで、
だから今回のは、ゼーターラーなんでね、今回もすごい作品なんだろうなとは思いつつ、ちょっと読むのに怖さもあったりしてたんですけども、やっぱり今回もっとさすがゼーターラーという内容になっていて。
個人的にはもう、キオスクとある一生を越えてきている感じはバリバリしますね。私の中では。
ある一生もすごいんですけど、そことはちょっと違ったまたテイストの作品をね、出してきたなという印象はありましたね。
ベクトルが違うからね、どっちが良いっていうのは正直なんていうのかな、言えないとこはあるんだけど、決められないとこはあるんだけど、この野原はすごく良い。
もうこの方向性で読んだ中では多分かなりトップクラスな気がする、俺はね。
それは本当にわかりますね。
だからなんか徐々に自分の中では上がっていった感じ。ゼーターラーの進化アンデルの風雲ぐらいから、設定読んでなんかめっちゃ面白そうだなみたいな。
で、期待があって、読み出したらもうその期待をガガッと超えていくっていう、とんでもない階段を登った気がしますね、今回。
なんですね、著者のローベルト・ゼーターラーなんですけども、1966年ウィン生まれで、元々は俳優として活動していて、舞台や映像作品に出ていたという方になります。
ただ2006年ですね、40歳の時に作家デビューをして、そこからですね、キオスクでベストセラー作家になって、ある一章でドイツ合拳とかですね、世界的なブッカー賞の最終候補になったりとかですね、
世界的な名声を得ていく作家になります。で、今回の野原は2018年に原書が出版されたんですけども、これもですね、やっぱりいろんな賞を取って話題になっていたという、オーストリアを代表する作家さんの一人となります。
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ちょっと面白いのが、元々俳優やってたんで、キオスクが映画化されてるんですけども、映画化した時に実はですね、著役で出ていたというですね、僕映画を見たんですけども、ゼーターラーらしき人物全然わかんなくてですね、どこにいたんだろうって、謎のまま残ってしまったというですね、そういう作家さんですね。
映画館じゃなくて家で見返さないと見つからないからね。ゼーターラーさ、これある一瞬の時の著者の写真とまた違ってる気、同じかな、どっちだろう。ちょっとなんか、このあれだけどイケメンだよね。かっこいいよね。
渋いかっこよさがありますね。 年齢的にはもうイケオン人なのかもしれないけど。じゃあここからですね、ちょっと熱くなりすぎてる感はあるんですけど、ちゃんと具体的に作品紹介を始めていきたいと思います。まずあらすじを引用させていただきます。
労働の喜び、戦争、汚職、ならず者の悲哀。失意に終わる人生の中にも一瞬の輝き、損なわれることのない人間の尊厳がある。胸を打つ物語。悲しみとは生の躍動。人の尊厳に迫る、この上泣く静かな長編小説となっております。
というのがあらすじなんですけど、ちょっと補足しますと、まずオーストラリアにある町の墓地に眠る29人の人生をその人たちが語るという形式で描いていて、この29本の章というか人物の語りなんですけれども、短いもので1ページというか一言で終わっているものもあれば、長いと10ページ程度に渡るものもそれぞれあって、長編となっているんですけど、
すごいショートショート、連作ショートショートを読んでいるような感覚になりますね。ここで、でもある町、小さい町なんですけれども、それで緩く繋がっているので、この一つの町を墓地で語っているみたいな、そんな話になっておりますね。
面白い作りですよね。特定の主人公とかはいないんですけども、 29人の全然違う人たちが主役となって出てくるという。それなのに、ショートショートみたいなもんですけど、長編小説にもなっているという、なかなか面白い設定の小説です。
ここから全体的な魅力の話をしていきたいと思います。その後、ストーリーにも触れていこうと思っています。まず一つ目なんですけども、普通の人々の話なんですけど、普通ではないという点ですね。
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これがどういうことかというと、登場するのは町に住んでいる人たち、29人なんですけども、至って普通の人々ではあるんですけども、ただ彼ら彼女らの人生の歩みや出来事というのを読んでいくと、中には人生における特別な瞬間とかですね、人生の本当に無限を曲折が描かれていたりですね。
あとその心の内ですね、すごく孤独感を感じていたりとかですね、幸せを感じていたり、憎しみだったりとかですね、そういうものを読んでいくとですね、果たして普通の人々って何だろうって思えてくるようなですね、そんな感覚がありました。
これについてですね、ちょっと思うところがあって、本の帯の裏にですね、ゼイターラーのインタビューのコメントが書かれていて、そこにはですね、素朴な人間とは一体何でしょうというですね、問いかけがあったんですけども、その前後も含めてちょっと引用するとですね、最も強い感情はしばしば単純な感情です。
人生に起きる最も大きな出来事は常に単純な出来事です。深みは単純であり、愛は単純であり、素朴な人間とは一体何でしょう。誰だって病気や死や、あるいは幸せがかかっているとなれば、結局は単純な存在になるのではないですか。人の心は常に単純なのです。とあってですね。
結構その単純という言葉で述べられていて、で、もしかすると作中もですね、あの単純な感情とかですね、描かれているのかなとは思うんですけども、ただそれってでもすごく特別なことなんじゃないかなというふうに思えてきてですね。ということでですね。
登場してるのはね、いたって普通の人たちなんですけど、それがね普通にはちょっと思えてこないところもあって特別感があるなあっていうですね。そこは魅力かなと思いましたね。
これでもその本当なんかこの29人の視点ってのは、確かにこの普通だけで普通じゃないっていうか、ありふれてる人たちだと思うんだけれども、やっぱその人たちの中にも個性がちゃんとあってっていう当たり前の話なんですけど、その当たり前をこうちゃんと提示できてるっていうのがこの小説のほんとすごいところだなと思っていて。
自分たちも生きてると接してる人たくさんいるけれども、その人たちの中で急にその人たちの人生のことを知ってしまうとすごく身近に感じたりすると思うんですね。なんかそれと似てるなと思っていて。
本当、街の人々っていう認識しか持たないような方々と思うんですよ。通常は。でもやっぱりその彼らの語りを聞くとすごくなんか浮き立ってくるっていうか、すごいなって思いましたね。
なんかね、こう思わせてくれるっていうのはある一生の時もそうで、主人公の男っていうのは、なんか本当にね、世間からすると名もない存在で取るに足らない人間に普通であれば思われるところなんですけど、ただその人物の生きてきた道のりっていうのをその読者として1から10まで追いかけるとですね、本当にすごく偉大な人物に見えてくるっていうですね。
ある一生はその一人の男にスポット当てたんですけど、今回はですね、それをよりたくさんの人物の人生にスポット当てたっていう点で、結構そこは共通している部分かなと思いましたね。
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今回はちょっと断片みたいな感じではあるけれどもね。でも間違いなくある一生の時に感じたあの奥深さみたいなのは損なわれてないっていうか、感じたので本当すごいなと思いましたね。
そうですね。こういう書き方ができるっていうのが、ゼーターラーやっぱりすごいなと思ったところで、それが一冊詰めて。
もう端的に言ってすごく贅沢な一冊だと思う。これは本当に。
あとこの街の人々っていうか、この語りの部分で言うとちょっとやっぱり面白いなと思ったのは、29人以外の人物もこの一冊の語りの中から共通して登場する人たちがいて、
あれこの人の話前も出てきたよなみたいな。ちょっとずつ浮き彫りになる人もいたりして、これが結構面白いですよね。
この人からはこの人こういうふうに見えてたんだっていうのは、何人かからちょっと語られる人物とか。
その29人の中でも他の人からの語りから語られるっていう場面もあるんですけど、いやこれすごい構成だなと思いましたね。
前にラジオで紹介した消失の星という作品とはちょっと近いところがあると思いますよね。
いろんな人物が語ることで、その街の姿であったり、街にいる人たち、どういう人がいるのかっていうのがだんだん浮き彫りになってくるっていう。
でもあの消失の星は1年通しである月から時系列順に語られるけど、これはもう年代とかも全くわかんないじゃん。
これ今どの時点の話なんだろうみたいなのを全くわかんないまま並べられてるから、そのあたりのカオス感もすごい俺は好きだったな。
だからこれはマジで何度読み返してもですね、必ず気づいてない部分が見つかってですね、俺これ気づかなかったって絶対。
2回3回読んでるのになんでここ気づけなかったんだよみたいなこと絶対あると思う。
それはもう絶対。
逆にね、1回で全部は入ってこないかもしれないですよね。
いや入ってこない。
それは。
ちなみに三重さんめっちゃメモ取る人じゃん。
はいはい。
どういうメモ今回取ったんですか。
いや今回はもう。
すごい気になってた。
全く細かく取ってなくて、気になったとこにほんと付箋貼ってなんか一言。
なるほど。
なんかその登場人物の名前で章が29個出てくるんですけど、なんかその人物の後ろになんか寂しい話とか、なんか感動したとか、一言ぐらいですね今回は。
あ、そうなんだ。
いやメモ取ってるのがちょっと見てえなと思ってたんだけど。
いや登場人物多すぎるからさ。
ちょっと俺も全く整理できないまま読んじゃったから。
うんうんうん。
あ、そうですそうです。
まあでもそれも全然楽しかったんだけど。
魅力の二つ目なんですけども、死者が語りをするということで、結末がわかっている状態で読む悲しさっていうのはですね、あると思いましたね。
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これをあえて魅力としてですね、言いたいなと思うんですけども、ほんとに出てくる人たちって生き生きしている人が多くてですね、語りの上手さもあると思うんですけど、やっぱり魅力的なんですね。
で、中にはすごくドラマチックなものを見せてくれる人もいて、やっぱり読んでるとその躍動感っていうんですかね。
なんかほんとに生きてるなっていうですね。
だからそんな感情をですね、もたらしてくれるんですけど、ただね、その語ってる人っていうのはもうすでに死んでいる人であるので、だからね、この先どうなるかっていうのはですね、もう最初からわかっている状態ではあるので、
それを思うとですね、ちょっとやっぱり魅力的な人物であればあるほどですね、読んでる最中とかですね、やっぱりちょっと先のことを考えてね、ちょっと泣きそうになったりとかですね、そういうのはありましたね。
自分はね、あんまそういう感じ実は持たなくて、多分根底にはいつか誰でもが死ぬじゃんみたいな気持ちがあるからだとは思うんだけど、
どちらかっていうとその時、これって多分死んだ後にどうしても残ってしまった感情みたいのが浮き上がってきてる感じだから、思い出が浮き上がってきてる感じだから、
やっぱり何か語りたいことが人それぞれ行き切った後にはあるんだなっていう、感動みたいなのがちょっと強くて、
あとこの冒頭の7ページね、死者の語りが始まる前の死者の語りに耳を傾けてる老人の心の声なんだけど、すごい良い文章があって、
人はもしかして死を経験した後でなければ己のせいについて決定的な判断を下すことができないのではないかと男は思ったっていう言葉があって、
いや、これなんかすごくいい、この小説をまず導入としてすごくいい言葉だなと思うと同時に読んでいくと、やっぱりどういう死に方をしたのかにもよると思うんですよ。
急に亡くなっちゃったとか、いや俺は行き切って安らかにとか、いろんな状況があるとは思うんですけれども、
死んだ瞬間、死んだ後、自分の人生が終わったなと思った時に、でもやっぱり決定的な評価を下せないっていう人もいるのかなってちょっと思って、
この冒頭の言葉とはちょっと反するんだけれども、それを見受けられる29人の中には見受けられる人もいて、複雑だけどこのリアリティのあるものを載せてきてるなっていう感じはすごくしましたね。
やっぱり一言では答えが出ないような小説だなと思います。
死者の声っていうのが、生きてる状態と死んでる状態で何か語ることって変わるんだろうかとはちょっと思いましたね。
中には確かに、後でたぶん紹介するんですけど、お父さんが子供に語る言葉とかは、あれはたぶん死者だから語った内容だと思うんですけども、
でも人によってはですね、全然いい話なんてしなくて、生きてる時とそんな変わらないんじゃないかなという。
確かにこの辺は一概には言えなさそうっていうのはちょっと思ったりしましたね。
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魅力の最後の3点目なんですけども、感想なんですけど魅力的な語りというですね、語りであったり文体についてですね、ここが非常に魅力的だと思ってまして、
やっぱりゼーターラーの描写力というのがすごく正確で無駄がないというのが特徴としてあると思ってまして、
ただとはいえですね、やっぱり小説なんで想像力をかきたててくれるような描写をしてくれていてですね、
それは今までキオスクであったりある一生であったり読んでいると同じように思ってたんですけども、今回特に惹かれたのは語りの部分ですね。
19人の登場人物の中にはやっぱり結構一人称で自分語りをする人たちって多いんですけども、そのですね、人物の喋りが非常に上手いというか魅力的にそれを描いていて、
描き方が上手いのかな。短いページ数の中で語っているところだけでどういう人物なのかっていうのが浮かんでくるですね。
こういうことってできるんだってすごい感心してしまったんですけども、人物描写とか特にしてないのに喋りだけで人物をですね、逆に描いてみせるというですね、そういうのをやってるなと思いましたし。
あとはですね、全体的に静かなトーンの小説ではあるんですけど、やっぱりしっかり面白くて、それは非常にこの文体とか語りの力があると思っていて、
これもオビに書いてあったんですけども、実質豪賢なドイツのライムギーパンを思わせるというですね、そんな言葉があったんですが、
そこにぴったりで、そうだなって思うような、派手さは決してないんですけど味はすごくあるっていうですね、そういう文章を読めるっていうですね。
すごいわかりますね。本当、ある一章の時も本当に思ったんですけど、文章が上手いなって思っていて、
ちゃんとしっかりした文章なんですよ。固いというか土台がしっかりしてるというか、そんな感じなんですけど、
なのに短いけれども読み手に広がりを持たすことができる描写力みたいなのがゼータアラーはあって、これは本当上手いなと思いましたね。
だからやっぱゼータアラーを読みたいと思わせるのは多分こういうとこなんですよね、絶対。
この文体とか文章力、描写力でやっぱりこれをある一章の時も思ったんですけど、やっぱり浅井翔子さんがしっかり翻訳してくれてるから届くんだなと思って。
今回それこそ29人の語りって文体が結構それぞれ変わったりしていて、これがどれだけ原作に忠実なのか、原作に寄せて浅井翔子さんがアレンジしていったものなのかちょっとわからないんですけど、
これは結構すごいなと思いますね。この文体というか文章を味わうだけでも全然元が取れるというか、すごい読書体験としてはすごくいいと思いましたね。
ゼータアラーが書いてるものであれば、何でも読んでみたいなって本当に思えるくらい。
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ね、思っちゃうよね。
やっぱりこのゼータアラーの文章ってすごい良いですしね。
すごい良い小説だわ。大絶賛すぎるかな。
こんなに好きな作家ってなかなかいないんですしね。
いや、うん、だよね。分かるわ。俺もアンソニードーはこのレベルになっていくってことです。
そんなゼータアラーの話ばかりしてましたけども、ちょっとここでですね。
では作品の方に戻って、次はストーリーですね。この本書のどういう話なのかっていうのを触れていきたいと思います。
今回は具体的に登場人物一人一人のストーリーを語るというよりかはですね、
ちょっと全体的な構造の部分であったり、全体的な話をですね、中心にざっくりとしたいなと思います。
まず、舞台はオーストリアの架空の町、パウルシタットというところです。
この町に野原と呼ばれる墓地の一角があって、ある老人がですね、毎日野原を訪れて、
そこのベンチに腰掛けて死者の声に耳をすますというですね、死者の語りを聞こうとするですね。
そういう老人がいるというところから話が始まってきます。
この死者たちっていうのはパウルシタットの町にかつていた素朴な市民たちであります。
どういう人たちかというと、例えば町の学校に長く勤めていた教師であったり、町の教会にずっといた神父さんであったり、
町で成果展を営んでいる移民未成の男であって、
あとギャンブルで破産した男とか、周囲に反対されながらもその男と結婚した女とかですね。
中にはですね、町で長いこと親子で二代で市長を務めていた男とかですね、
他にももっとたくさんいて、本当に様々な立場の人たち、中には子どももいるんですけども、が語りつつとして登場してきます。
この死者たちが語る物語ですね、それを聞いていくと次第にですね、このパウルシタットの市民たちにつながりというのがですね、見られるようになっていきます。
中には薄いつながりもあれば比較的強いつながりもあったりするんですけど、どういう町でどういう人たちが住んでいるのかというですね、
その町の姿というのも浮かび上がっていきます。
平凡な町だとは思うんですけども、そこで歴史の中で神父によって教会が崩壊された事件があったりとかですね、市長が気も入りで作ったレクリエーションセンターというですね、
ショッピングセンターみたいなものかな、そこの崩壊する事故が起きたりとかですね、市民の間で語り継がれる事件というのも歴史の中にはあったと。
その29人の死者が自らの人生の一つの場面であったり、人生そのものを回想したり、あるいは世の中に抱いている感情というのを吐き出したりするというですね、
そこにはですね、穏やかなものもあれば切羽詰まったものまであって、町で生きてきた人々の人々の人間ドラマというのを見せてくれるんですけど、
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それがですね、深みであったり広がりっていうのを次第にですね、見せてきてくれるというですね、そんなストーリーになっています。
今お話しあった通り、いろんな人の人生が語られる中で町全体像が浮かび上がってくるみたいな部分もちょっとあって、小さな町か、イメージだけどちょっと寂しげな。
ちょっとね、田舎町で。
僕ちょっと思ったのが、外部との何か交流っていうのがあんまなかったなっていうのを感じました。
だからね、こういう小説、もし自分が書いてたらですね、なんかちょっと大物が来たとかですね、他の国とかと何かがあったとかですね、ちょっと派手なことをね、書きたくなるなとは思ったんですけど、そんなことは全然起きなかったんですからね。
そうですね、確かに。
で、そんな町に住む一人一人のエピソードっていうのが小説で描かれてるんですけど、僕は結構あれですね、いきなり序盤、ハナハイムっていう女性教師なんですけども、一人目で登場して、なんかいきなりその人の話で心を揺さぶられましたね。
すごい短いけどね、これもね。
6ページの話なんですけども、ハナハイムさんが本当に若い時ですね、新米教師だった時に赴任してきて、この人手に障害があるんですけど、その手どうしたのって先輩の学校に行った男性教師に言われて、そこからその男性教師っていうのが実はすごいユニークな人物で、とにかく明るくて、
で、そんな先輩教師とこのハナハイムさんが結婚していて、年齢を重ねていくっていう話なんですけども、なんかね、すごい幸せな話だなと思ってて。
ね、そもそもね。
やっぱりすごい良かったんです、やっぱり。こういうペーターラーすごい良いこと書くなって。で、ただやっぱり最後がですね、やっぱりもう結末わかってるっていうところなんですけども、やっぱり最後はその死ぬところで終わるんですけども、いきなりちょっと泣きそうになりましたね。
そんな6ページでね、心を揺さぶられるとは思わなかった。
いや、6ページでなんかすごいね、本当に豊かな話をしてくれていて、最初はめちゃめちゃ良かったです。
完全に俺これ、いや急にギア入った。なんかおおーってなったのが。
いや僕は本当にびっくりしましたよ、これは。
こんなトップスピードでいきなり来るのかよって思って、ちょっとなんかすごかったね。
っていうのがハイムさん1人目で、でその後ですね、2人目がゲルト・インガーラントっていうですね、これはお父さんが銀行員の人で、その息子さんで結構良い立場の人かなと思うんですね。
恵まれている立場というか、家庭環境もそうだし、あと学校の中での立ち位置とかもね。
ただね、そんなインガーラントが高校の時にですね、なんかちょっと喧嘩を打った相手に逆にもうボコボコにされて、でその喧嘩を打った相手っていうのはちょっとね周りからバカにされてるっていうかですね、
引き狼的な扱いをされていた人物にちょっとちょっかい出したら逆にね、ボコボコにされてしまって。
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で問題はその後ですね、大学卒業してサラリーマンになって同僚の女性に恋をするんですけど、
その恋した女性が高校時代ボコボコにされた相手と付き合っていたっていうのがですね、分かって。
なんともね、これ読むとすごく寂しい話だなと思うんですけども、でもちょっとなんか分かるところもあるなとも思ってですね。
インガーラントって結構恵まれていた立場の人だと思うんですけども、じゃあそのシャープなって人生回想した時に、
自分の中の本当に悔しさというか、好きになった人がまさかあの男と付き合っていたとはっていうところで、
なんとも言えない感情っていうのが語りとして伸びられていくっていうところに何かちょっと寂しい切ないっていうところを感じましたね。
そうだよね、いや分かる。俺もちょっとこの見てしまった時のゾーニャとヨハネスカが抱き合っている時を見てしまった時のこの描写は結構忘れられないですね。
ちなみにこのインガーランドの次にあのゾーニャの話が差し込まれるんですけど、でもそのやっぱこれも面白いのはゾーニャの視点から見ると、
このインガーランドもヨハネスも死んだ後語ってないんだよね。
おじいちゃんとチェスしている時の話が差し込まれるんだけど、なんかその流れもすごく良くて、すごい良かったな。
これなんか本当面白いですね。人がどこを切り取るのか何を語るのかってね、本当にバラバラなんだなって思わせてくれますし。
まだまだですね、ちょっと印象的な人いっぱいいるんですけども。
次はですね、ヘルムライ・リッケっていう人ですね。お父さんなんですけども、息子にですね語りかけているっていうですね、そういう話で。
とにかくこのお父さんから息子への語りがすごい良くて。
ポイントがですね、1がピッタリの女を見つけようなんて努力するなとかですね。
2が多分神はいないとか。
3はもし神がいたらピッタリの女を見つけられる可能性もあるかもしれないとかですね。
ちょっとね、冗談めかしたことを踏まえてですね、ポイントが全部で15個息子に対してアドバイスというか忠告みたいな感じでされるんですけども。
最初はね、冗談多いんですけども、後半の方になってくるぐさっと来るような忠告があったりして。
特に9番の戦争があるかもしれない。戦争がいつでもどこかでやってるからなと。
で、ここで戦争が起きても不思議ではないということを言っていて。
ただですね、そういう戦争があったとして脅迫されたり何か怒鳴られたりしたとしても、それはお前の戦争じゃないと。
お前がこの世に生きているのは最後に腹を裂かれてどこかの泥沼に倒れて終わるためじゃないんだ。
お前の戦争じゃないというようなことを言っていて。
こことかね、すごい泣きそうになりながら読んでたところですね。
うんうんうん。
分かる。これもう序盤の俺のピークですね。
エブライディケア。
もうここで泣きそうになった、本当に。
俺、どっちかっていうともう最後の方だね。
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14番、15番だね。
お袋の男に言ってほっぺたに手を当ててやれ。しばらくそうしてろ。
俺は一度もしてやらなかった。間違いだったよ。
言ってみろ。愛してるって。
分かってる。お前の耳には馬鹿みたいに嘘くさく響くだろうな。
でも相手の耳には響かないんだ。
俺は一度も言ったことがない。どうしたか分からない。
言えなかったんだ。いろんな人に言ってくれって頼まれたよ。
期待された。要求された。何度も何度も。
でも俺は言えなかった。
このね、お父さんの後悔と自分と同じ間違いをしてもらいたくないっていう息子への思いと息子への愛がもう要所要所にあふれてる。
この短い中で。
ちょっとこれなんか訳も分からず泣きそうになっちゃった。
本当に。すごい。
いやいや、すごい良いこと言ってるんですよね。
こういうのがね、突然前の人物に続いてね、いきなりこういうね、パッてね来るからね。
やっぱり引きこもりましたね、ここは。
次ちょっとね、面白いなと思ったのはカップルの話なんですけど。
マルタアビニューっていう女性とローベルトアビニューっていう男性、夫婦がそれぞれ連続で出てくるんですけど。
まずマルタアビニューっていう奥さんの方ですね。
奥さんっていうのが街で靴屋さんを自分で作って、それでその靴屋さんが成功した人ではあるんですけども。
最初のローベルトと結婚するまで、結婚してからか。結婚するまで結婚してからぐらいがすごいんです。
なんていうか、幸せそうな夫婦で。
で、この先どうしようかというので、靴屋やれば成功するんじゃないかと。
このマルタがひらめいて。
そうやってね、成功していくんですけども、ただ街にもなんかそのちょっと資本主義が入ってきたというか。
やっぱお金持ってる人がちょっとよそから来て、大きな靴屋さん作って、みんなそこで買うようになって。
マルタの店がですね、ちょっともうこれ以上やっていくのが厳しくなっていくというですね。
まあそういうステップ集まった展開になるんですけど、最後の展開ですね。
そうやってマルタが一回、今日はもうお店営業せずにローベルトとドライブに街にできたレクリエーションセンターというですね。
そこに入っていくんですけど、そこでですね、ある大きな出来事が起きるというですね。
そういう展開で。で、ただこのマルタっていう人が結構自立心が強い人で。
ローベルトとはだいぶ性格が違って、ローベルトはどっちかというと大人しくて、家にこもるタイプというんですかね。
で、マルタは自立心が強くて、女性ですけど自分でね、お店を立ち上げたりしたし。
で、セリフの中ではそのお店が立ち行かなくなっていった時に、なんかね、その大きなお店を出したそこの人にちょっと言いがかりをつけに行ったりして。
で、その後ですね、家に帰ってきてローベルトに、なんかええやってやったわよ。なんならもっとやってやる。
女の人生にはもっともっとやるべきことがあるはず。そう思わないというふうに言っていて。
かなり意志が強いというですね。そういう人物というのがすごく描かれているというふうに思いましたし。
その後ですね、ローベルトの話ですね。語られるんですけど、ローベルトがそもそもなぜマルタと結婚したのか。
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で、マルタとの生活どうだったかというところが語られていて。
で、最後、マルタの一番最後がレクリエーションセンターに行く話だったんですけど、
で、ローベルトの最後もマルタとレクリエーションセンターに行って、で、マルタからレクリエーションセンター一緒に行かないって言われるんですけど、
一緒に行かないっていうかね、一緒に、マルタは一緒に行くもんと思ってたけど、ローベルトはね、いやもう一人で行っておいでと。
僕は行きたくないって言って。で、まあ残るんですけどね。
その後のローベルトの行動とかも、なんかちょっと思っても見ないもので。
だからね、この辺が2人のね、行き違いなんだろう。もう見え方の違いとかってね、結構鮮明にあって印象的でしたね。
完全にマルタとローベルトで見てるものが違うっていうか、マルタ側から入っていくんですけど、話としては。
で、ローベルトはこういう人間だってマルタは思っていたけれども、実は全然違くて。
ローベルト側からすると自分はこういう人間でみたいなことがあって。
で、やっぱりマルタとローベルトは結局は憎しみあっていたっていう部分では共通しているんですけれども、
お互いどう思っていたかっていうのは結構そこがあって、ここが本当に面白かったなと思いますね。
このカップル話は結構面白いよね。
そうですよ。他にもカップル出てきましたもんね。
レニーとルイーゼ。これは男性のレニー側から語られて、これはこの2人は結婚はできなかったんだよね。
その前に別れちゃったんだけど、でもこの2人がやっぱりこの死者として思い返した時にお互いのことを話しているっていうのは結構私は熱いなと思いましたね。
ちょっとなかなか問題のあるカップルだったけど。
そうですね。このレニーというのがだいぶ問題地ではあったんですけども。
でもいい話でしたよ。
あれこそね、やっぱり生きている間じゃなくて死んでから語るからそういう見えたっていうのは絶対あるでしょうね。
うん、そうだね。
次はちょっと面白い人物がいて、ハネス・ディクソンという人なんですけども、この人が新聞記者をやっている人で、
やっぱり新聞記者なので、やっぱり真実を伝えるというところにすごい価値を重きを置いていた人で、
最初は少年時代から始まってジャーナリストになっていってという話があるんですけども、
これが印象に残ったのは終わりですね。最後どう終わっていくかというと、
やっぱりお母さんが死んだというところを述べていて、お母さんのために続けていたんだと言って、
お母さんに対して言っていて、
お母さんが僕のことを誇りに思ってくれたら良かったのにと思うよと、悪く思わないでと。
最後に真実、何が真実だという話をするんですけど、
このハネス・ディクソンという人の最初のジャーナリストというところの印象とちょっと違って、
もっとそのうちにはお母さんへの思いというか、そこの家庭環境のところから、
そこがすごく根っこにはあったんだなという、これもいろいろと考えさせられる話にも思いましたね。
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これ、俺すごく好きなんだけど、たぶんこれハネスが子供の時から大人になって、しかも年老いていく、
割と年老いた段階から話が始まったりするんだけど、自分の人生の時系列もぐちゃぐちゃにしながら自分のことを語るみたいな構成になっていて、
すごくこの小説っぽいなと思って、ほんと後半の後半に入ってくるんだけど、この小説のいいところがぎゅっと詰まった語りだったなと思っていて、
すごく良かったですね。短い文章の中でいくつもの時間を語るっていうのはすごくいいなと思った。
次が最後です。ハリー・ステイフェンスという人ですね。男性なんですけども、
最初読んだ時は普通のおじいちゃんだと思って読んでいくわけですけども、
読んでいくとですね、ちょっとある重大なところに気づくっていうですね。なんかそんなすごい面白い話で。
みえさん、いつ気づいた?
やっぱもう最後の一行です。もう本当に。
これあれなんですよ。たぶんね、みえさんスルーしてる可能性あるなと思って。
これさ、そもそもこれハリー・ステイフェンスとリハルト・レニエって、
リハルト・レニエって結構用心用心出てくる人物で、リハルト時代の語りはないんだけど、
この29人の語りの中では出てくる人で、結構ね、俺のイメージ結構いい奴なんだけど。
こいつと二人で街の飲み屋でビールを飲んでいて、でちょっと歩いてっていう時で、
あの人のこと気に入ってるんだろうっていうセリフ出てくるじゃん。レニエがこのハリーに聞くところ。
このあの人誰だかわかる?
いや、わかんないです。
いやこれね、答えあるんだよ。
俺ね、だからこれ一番全部読んだら、一番最初の29人の声が始まる序章の声を読み返そうと思ってて、
読み返したら出てきた。
あの人じゃない?
この声の中の。
そう、花屋の。
あ、そう。そうそうそう。グレゴリーナ。
そうだそうだ。ほんとだ。
よくよく読んでいくと、あの手を見てみるといい。すごく細くて真っ白なんだ。
爪は違う。淵が黒ずんでいる。園芸の土で。みたいな話が出て。
ほんとです。
グレゴリーナだってなって。
最初俺、この老人がさ、グレゴリーナが死んだ時に泣くじゃん。
すでにここで感動したんだけど。
このね、ほんと一言二言しか交わしたことがないあの女性。
一度代金を支払う際に手が触れ合って以来、男はあの目立たない女性との間に奇妙なミスぶつきを感じていたので。
で、彼女が死んだ時に、ほぼ涙が伝ったって。ほんと一番最初のページの方にあった。
それがね、ここに生きてくるって。
なるほど。
もうちょっと俺、ちょっと興奮してしまった。
すごい、すごいですよ。よく気づきましたね。
なるほど。確かにまあ、言うことね。最初は言うテスト、確かに。
うん。わかるよね。
ちょっとビビっちゃった。
だからやっぱり、この最後絶対老人出てくるなと思ったの。
あの最初の語りが始まる前の、下の声に耳を澄ましている老人は、
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最後絶対出てくるだろうなと思ってたから、ここは結構予想通りの展開なんだけど。
まあ、この作り方とか、このレニエの使い方とか含めて、
やっぱめちゃめちゃ上手いなと思って。
っていうのはちょっとね、やっぱ最後それで超興奮してしまった。
いや、そうですよね。最後ね、この最後の閉じられ方って本当に上手いですよね、これは。
でもほんと誰もが、最初の老人と最後の語りの人物が同じになるようになってます。
最後の最後の一部でわかるようになってるもんね。
そうですね、ちゃんとベンチあるかと。白樺の木は。
それがね、答えかなと思ったんですが、その前にちゃんと答えがあったっていう。
上手いなと思った。
やっぱり、複数回読まないとわかんないですね。
絶対ね、気づかないといけない。
絶対ある。相当散りばめてる。
じゃあ最後、テーマトークいきますか。
テーマトークはこれちょっともう、ゼータアラーは三重さんの方に考えてもらいましたが、
自分たちが死んだら何を語るか。
これしかないかっていうところではあるけど。
これ難しいね。
この小説4話では、自分がもし死んだ時とか、
もし死ぬ直前に自分の人生を振り返った時に何が出てくるだろうなって思った時は、
自分の人生のハイライトって、すごく喜びに満ちた瞬間かなと思ってたんだけど、
やっぱり人生それだけじゃないなっていうのをこの小説を読んで感じたから、
なんかやっぱり悲しかったこととか、叶えられなかったこととかが出てきそう。
それ分かりますね。
成し遂げたかったけど成し遂げられなかったみたいな。
これね、タイミングが結構重要かなと思いましたね。
やっぱりある程度若い時にもし死んでしまうと、
やっぱり成し遂げられなかったこととか、夢の途中とかですね。
そこにちょっと悔しさを感じるんじゃないかなって思うし、
ちょっと年取っていくともしかすると幸せな部分とか、そこに注目が行くかもしれないですし。
最初のハナハイムみたいに幸せな部分に結構包括する可能性もあればね、
でもわからないね、生き方によっては師匠のように自分がどう見られていたかみたいな。
気になってしまっていてそこが出てくることもあるかもしれないしね。
個人的にはあれだな、多分わかんないけど60、70、もっと生きるのかもしれないから、
その時の自分の人生の厚みがどうなっているかわかんないからあれだけど、
なんとなくだけど自分は何かを諦めたことを思い出しそうな気がする。
小説家になりたかったけどなれなかったみたいな。
わかんないけどね、この後俺なるかもしれないしね。
僕の場合は今の状態だと、どこか一つのシーンというよりかは結構人生全体を思い浮かべて、
自分の中には結構10年スパンでやっぱり人生の転機があるなとは思っていて、
10代はこういうことがあって、20代こういうことがあって、30代こういうことがあったっていう、
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その転機転機で自分はこういうふうに変わっていったみたいな。
そうですよね、人ってちょっとずつ変わっていって今があるんだなみたいな。
そんな話をしてしまいそうな気がします。
確かにね。
あんま感情とかはね、語るイメージっていうのがあんまり浮かんでこないですね、自分の中では。
あー、そっか。俺でも感情になっちゃいそうだな。
あの時抱いた感情を思い出しそう。話しちゃいそう。
感情というか、その時で大切だったものとかっていうのを思い出しそうな気がしますね。
あと関係で言ったら、今飼っている猫のことを話してしまうかもしれないな。
どんなにiPhoneが進化しても、撮影機器とかが進化しても、記録に残せないものって絶対あって、
それって猫が一番強い気がする。
家族とかね、結構写真とか撮ったりとかして、写真に対してちゃんと反応してみんな撮るじゃないですか。
やっぱ猫とかって写真とかに意識してくれないからさ。
記録に残さないことすごい多いなってたまに思う。
だから何か時たまこの時のことはちょっと覚えておこうとか思うこと多いから猫と過ごしてると。
結構ね、やっぱり今回出てくる29人の話が、今の自分たちに置き換えると予想外なところもあったと思うんです。
なんかその、就職して仕事に対しての悩みとかってあんまりなかったなと思いますし、
それ以上に生きる死ぬ恋愛とか、
そういう、ゼータラーも語ってる中、結構大きなものがかかってる状態をやっぱり話してる人がいるのかなと思うんで。
やっぱあれかな、死なないと判断下せないっていう最初の文章の通り。
この瞬間死ぬかもしれないじゃん。この瞬間死んだら絶対何か残る感情違うし、残るもの違うだろうし。
あとさらに30年生きたら全く変わってくだろうし。
そうですよね。
なんかね、いろいろ考えてしまうっていうのがもしかすると間違ってるのかもしれないですね。
なんかこう、もっとシンプルに単純に描く、これだっていうのがですね。
浮かび上がってくるんだろうね。
自分ではね、10年ごとの人生とか言っときながら、全然関係ないなんか、親の話をしたりとかね。
猫の話をしたりとかね。そういう可能性ありますから。
じゃあ最後ですね、感想をどんな人に読んでもらいたいか、お伝えして終わりたいと思います。
私なんですけれども、読み始めてすぐに名作だと思ったんで、ほんと外れなかったなと思いました。
時間をかけてゆっくりとぜひとも読んでもらいたい一冊なので、
29も入ってると結構時間かかるかなって思うんですけども、
45:00
その一つ一つ味わえる作品なので、これ時間かけて読んでいい本だと思ってます。
構成とか表現も含めてですね、最高の一冊だったので、ぜひいろんな人に読んでもらいたいなと思います。
読むと必ずいろんな感情が巻き起こると思うので、そしてですね、自分の人生を振り返ってしまうと思うので、
ぜひとも年末、これ多分年末かな?年末に発信するはずなので、年末年始で時間ある人は読んでいただけたらなと思います。
確かに年末年始いいかもしれないですね、この本は。
ちょうどいいよね、これね。
そうですね、本当に思います。
俺たちちょっと早いタイミングで読んじゃったけど。
やっぱり今回もある一章の時と読んだ時と同じ感覚で、やっぱりゼルターラってすごいなって本当に思いまして、
孤独を感じさせるような話を結構書いていたりするんですけど、
でも人の素晴らしさとか豊かさとかっていうのを感じることができて、
この感覚を味わえるってなかなかないなと。
ゼルターラの小説っていうのはやっぱり味があるし、なかなか他の作家の作品とは違った感覚をもたらしてくれるなっていうのをすごく感じました。
唯一無二の作家かなと個人的には思っていて、
最新刊が読めたっていうところで、やっぱりその嬉しさっていうのもちょっと加味はされているんですけども。
本当にこの本、年末年始読むのにいいかもしれないなと思いまして、
静かに熱狂できるタイプの小説かなと思うので、年末年始に限らず落ち着いて読書できる時期なら試しに読んでみてもらえたらなと思います。
次回予告して終わりたいと思います。
次回はですね、年始最初の回となっておりまして、番外編をお届けしようと思っております。
お楽しみに。
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番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました。
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ではまた来週。
ありがとうございました。
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