そうですね。何か写真とかでね、見てたのかもしれないですね。
そうですね。はい。チロル地方の風景を見てました。はい。
はい。
トモさんは今回がTRPG初挑戦ということで、TRPGの説明などもゆっくりしながら回していけたらと思います。
はい。よろしくお願いします。
この片城というシナリオは、作者のリズムさんがいろんな方とおしゃべりをしたいという目的で作られました。
ということで、今回はぜひ私とのおしゃべりを楽しんでいただけたら嬉しいです。
シナリオそのものはとても有名で、舞台化もされているほどですので、内容をご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
初めてご覧になる方ももしかしたらいらっしゃるかと思いますので、ネタバレになるようなコメントはご入力ください。
また、Xなどで感想をつぶやかれる場合には、フセッターなどワンクッションを置いていただけると助かります。
ご協力をよろしくお願いいたします。
そういういつもの前置きをお話ししました。
なるほど。有名なお話だとそういうことですよね。ネタバレが出ちゃうってことですね。
コメント欄でこれから来るぞとか、あれが来るぞっていうのが出てきてしまうと、初めて見る人が楽しめなくなってしまいますので。
そうですね。
全く初見なんで、本当にドキドキしています。
大丈夫です。私もドキドキしています。
では、前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ始めましょうか。
はい。
シーンを撮ります。
シンクトゥルフ神話TRPG、片城、始めていきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
あなたはですね、今手術室にいます。
咲夜さん。
はい。手術室だ。
あなたが気がつくと手術室で寝ています。
はい。
頭痛がとてもひどくて、体が思うように動きません。
はい。
チロルさんはどんなふうに起き上がるでしょうか。
寝ばらく、起き上がらないかもしれませんね。
そうですか。何を喋っていますか。
ボーッと、たぶん天井を見ています。
なるほど。
はい。
そうするとですね、鳥の男が入ってきました。
はい。
やあ、目が覚めたかい。
はい、覚めました。
私は医者だ。君は落雷にあって病院に運ばれてきた。覚えているかい。
いや、全然。
はい、ではチロルさん、アイデアを振ってみてください。
はい、アイデアですね。
はい。
14。
アイデア。
あれ、アイデア。
振れてない。
10。あれ、振れてないです。ごめんなさい。
失礼しました。きました。
アイデア14で成功。ハード成功。かなり良い数字で成功しています。
はい、よしよし。
わかんないけど。
チロルさんは強い光を浴びたような記憶があります。ですが、それ以前の記憶はありません。
はい。
常識とか社会的に生きるための記憶以外は全て、自分のことについて忘れているということに気がつきます。
はい。
お医者さんが心配して、「大丈夫かーい?」って手を振っています。
大丈夫じゃない、これは。これはやばい。
どうしたんだい?
いやいや、何も思い出せません。
思い出せない。名前はどこに住んでいたかとか。
名前は、
名前は、なんとなく思い出せます。
思い出せます。
はい。
なんていう名前なんだい?
のどかなチロルです。
のどかなチロルさん。
はい。
面白い名前だね。
きれいですね。
じゃあ、その他のことは思い出せないってことかな?
いやー、本当に。僕はどこで雷に打たれたんでしょうか?
いやー、僕も病院に運ばれてきた君を治療していただけだから、分かんないんだけど。
あー、なるほど。
倒れていた僕を見つけてくれた方はお話できますか?
いや、救急車で運ばれてきたのは君だけだった。
なるほど。
いや、何も思い出せないです。
そうか。
じゃあ、やっぱり検査が必要だね。
体も本調子ではないかもしれないが、
まあ、しばらくすれば動けるようになるとは思う。
約束はできないが、記憶もそのうち戻るだろう。
数日は様子を見た方がいいかな。
3日間ぐらいはここにいてもらう。
3日。はい。
えー、すまないことにね。
ここは手術室なんだけど、他に部屋がなくてね。
物々しくって申し訳ないが、ここで3日間過ごしてもらう。
ここで3日間。はい。
ちなみに、何か僕って手術とかはされたんですか?
いや、手術はしてないんだよ。
それがね、君の荷物はボロボロに焼け落ちてたんだけど、
君自身には怪我が何にもないんだ。
何が起きたんだろう?
なんだろうね。
3日間お世話になります。
じゃあ、僕、農芸会でさ、専門が。
はいはい。
君の記憶を取り戻すお手伝いがしたいんだけど。
はい。
おしゃべりに付き合ってくれるかな?
はい。
おしゃべりをしている間に、何か記憶を取り戻すきっかけになるかもしれないからさ。
あー、なるほど。
なるほど、なるほど。そうですね、そうですね。はい。ぜひ、ぜひ。
じゃあ、と言いながら、医者はどこからかにょろんと暴動を出してきます。
君は囚人のジレンマというゲーム理論を知っているかな?つまりは覚えているかな?
いや、知らないです。
あー、そうか。これはね、共犯を働いたとみられる2人が、黙秘、もしくは自白をするというものだ。
まあ、今回は君と僕とで何か2人で悪さをしたとしよう。
うんうん、はいはい。
まあ、悪さがばれちゃって、君と僕とは捕まった。
はい。
君と僕は違う部屋に入れられて取り調べを受けている。
はい。
例えば君が囚人A、僕が囚人Bとしよう。
うんうん。
別の部屋で黙秘をするか自白をするかを選択できる。
ただし、両方が黙秘したならば、懲役はお互い2年だ。
君が黙秘して、僕が自白をした場合、君は10年、僕は0年の懲役となる。
うん。
逆に、僕が黙秘をして、君が自白をしたら、僕が10年の懲役。
お互いが自白をした場合は、5年ずつの懲役となる。
うんうん。
待て。このルールで、君と僕とがちょっとゲームをしてみようじゃないか。
はいはい。
じゃあ、僕がせーのって言うから、一緒に答えてみよう。
自分が黙秘するか自白するか。
そうそうそう。
うんうんうん。
決まったかい?
はい。
じゃあ、いくよ。せーの。
黙秘。
君は黙秘を選んで、僕が自白を選んだ。
ということは、君が10年の懲役、僕はお役御免ということになった。
ひどい。ひどいことになった。
ひどいことになった。君はどうして黙秘を選んだんだい?
いやー、僕が黙ってて、先生も黙ってると、2年2年なんですよ。
僕は大型なんで、楽観的に一番簡単な道というか、一番楽な道を選んだんです。
おー、君は大型ってことを思い出したんだね。
あ、ほんとだ。大型思い出した。大型。
しかも多分、人は生まれながらの善人だと思ってる。生善説の人だ。
おー、すごいすごい。
先生すごいよ、これ。いっぺんに2つ思い出したよ。
すごいですね。
すごいすごい。
おー、いいねいいね。
楽観的なんだね。
楽観的です。
じゃあ、黙秘をすれば2年で済むんじゃないかと思って。
うん。
結果10年だけど。
ひどい。
ひどい目にあってる。
そうだな。
割と君は目先のことに目が行くタイプかい?
そうかもしれない。
なんか騙された感がすごいな、今。
あー、なるほど。それは騙されたになってしまうんだね。
うーん、勝手にやってるのに騙された。
そうだね。君はさっき自分が生善説の人と言った。
はい。
生善説っていうのは、人は生まれながらにして善だという説だね。
はい。
中国の話にも詳しいんだね。
すごい。どんどん記憶が持ってくるよ、先生。
うん、すごいすごい。
先生、名医なんじゃ。
ありがとう。
君はそういうところにもきっとよく知っていて、知識があって、
考え方がとても楽観的で、
一人だけ痛い目を見てる。
そういうことになっちゃうね。
10年か。10年は長いな。
僕は悪いことしちゃったから自白しようかなって思ったんだけど、
君はそこは考えなかったってことかい?
うん、その通り。そうですね。考えなかった。
むしろ自白した方が、罪を認めたんだから長く入ってもらっていいんじゃないかな。
なぜ罪を認めていない人が長くて、罪を認めた人が親子ごめんなんだろう?
あれ?これシステムがおかしいぞ。
自白をしたってことは素直に認めたってことだから、
確かにね、金婚になっててもおかしくないよね。
反省したってことなんですね。
なるほどね。
なるほどなるほど。
もしかしたら僕はあいつがやったって言ったかもしれないね。
ひどい。さらにひどい話だ。ひどいぞ。
これはダメだ。損をするタイプだ俺。いかんいかん。
先生、また一個思い出した。僕は損をするタイプだよ。
なるほどね。
思い出した。いかんな。
こんな感じでおしゃべりをして、ちょっとずつ記憶を取り戻していこうじゃないか。
はい。
そろそろ僕は外来の患者を見なければならない時間だ。
行くけど、もし何かあったらナースコールもあるからすぐに呼んでくれ。
はい。わかりました。
はい。じゃあじゃあねーと言って、ニョロンとボードを片付けて、医者は行ってしまいます。
ニョロンが気になるんだよな。
あなたは今手術室のベッドの上にいます。
体が重たいのですが、寝転がって手の届く範囲であれば、気になったものを調べることができそうです。
ということで、こことここを調べることができます。
ほうほう。はいはい。
どっちを調べてみたいですか?
左のベッドサイドモニターを調べたいです。
はい。じゃあベッドサイドモニターです。
はい。
情報読めそうですかね?
あ、はい。読んでます、今。
声に出してもらってもいいですか?
はい。ベッドサイドモニター。
ベッドのそばには患者の心拍数や血圧などの異常を教えてくれる装置がある。
このような危機が出されているということは、非常に危ない状況だったのだろうか。
97と98という数字が画面に表示されている。
その数字が何を意味するかはわからない。
はい。
もしね、調べるのにふさわしい技能に成功すると何かがわかることがあるかもしれないんですが、
アイディアとか目星とかですか?
うんうん。はいはい。
何かダイス振ってみましょうか。
では目星でお願いします。
はい。じゃあ目星振ってみてください。
はい。
お、ナイス成功。いいですね。
はい、出ました。
この機械が今あなたにつながっていないということがわかります。
うん。ベッドサイドにあるのに僕にはつながっていないと。
そうですね。現状あなたは何にもつながれていない。
うんうんうん。これ、さらに調べるっていうのはできるんですか?
さらに調べてももうこれ以上はわからなさそうですね。
あ、わからなそう。はいはい。
うんうんうん。
あとはもう一個の方ですね。
もう一個を調べたいですね。
はい。じゃあ見てみてください。
はい。
読み上げてもらっていいですか?
はい。
器具。ベッドのそばにある台の上には器具が並べられている。かものの類はない。
はい。こちらも目星。
はい。
目星かな?アイディアじゃないですね。目星に成功すると何か情報が出るかもしれません。
では目星いきます。
はい。成功。
はい。
ではですね、何があるんだろうなーってきっとねちろるさん見たと思うんですけど、
はい。
およそ手術に使えそうにない器具というよりは工具が置いてあるなって思います。
うんうんうんうん。
奥につながっていないモニターと枕元には工具が置いてある。
はい。
そして記憶がない私。
はい。
生ましたね未来。
ほう。
こりゃ僕人じゃないぞ?
ほう。
もう僕人ではないんじゃないんでしょうかこれ。
じゃあ体を見回してみますか?
しましょう。
はい。
今までのこの立ち絵を人間と言っていいものか非常に迷ってはいたんですが。
そうですね。もともと人じゃなかった。
一応人です。
人ですね。人で会いたいですね。
はい。人間です。
尻尾生えてるな。
これを私が見回してみて。
ああ人、人間だなあっていう感じはしますね。
そうですね。人ですね。
太陽もありますね。温かい感じがします。
そんなことを考えながらいろいろ自分を見回しているとですね、急に声がかかってきます。
誰かいるの?
あれ?
誰かいるの?
いますっていうか、どこにいますか?
ごめんなさい。隣の部屋にいるの。
隣の部屋。隣の部屋。はいはいはいはい。
私も入院してるんだ。
うーん、君はなんで入院してるのかな?
交通事故にあっちゃって結構大きな事故。ひどいことになっちゃってさ。
それ以外ずっとここにいるの。
ああ、それは大変だったね。
もう何日間も入院してるのかな?
えーとね、たぶん5年くらい。
5年!?
ああ、そっか。それは大変だ。
ちなみに隣の部屋っていうのはすぐ隣?
すぐ隣。
へー。
お兄さんも入院してるの?
お兄さんは今日から入院。
そうなんだ。
まあ、おじさんだけどね。
おじさんなの?
おじさん。
へー。何かあったの?
記憶がないんだけど、どうも雷に撃たれたんじゃないかっていう。
記憶がないの?
うん。記憶がない。
ってことは君もないのかい?
私は記憶あるんだけどね。
そこの部屋に入る患者さんはみんな記憶がないっていうの。
だからそういう人が入る部屋なんだって思ってた。
5年間ずっと記憶がない人ばっかり入ってるの?
おー。なんか怖いな。
ね。
うん。
お兄さんかおじさんかって呼ぶのも失礼かなと思うんだけど、お名前教えてもらってもいいですか?
名前はのどかなチロルです。
のどかなチロルさん?
はい。
君のお名前は?
あきら。
あきら。男の子だったんだね。
うん。女の子だよ。
女の子のあきらさんはいくつかな?
えーとねー、たぶん中学生ぐらい?
あーそうなんだ。そっか5年も入院してるんだもんね。
そうそうそう。もうよくわかんない。
ほうほうほうほうほう。そっかー。
え?あきらちゃんこの部屋、僕が今入院してる部屋ってみんな記憶がないの?
そうそうそう。
みんな雷打たれてきてる?
なんかそんなこと言ってた。
あらー。これは何か陰謀を感じますね。
陰謀?
うーん。
陰謀って何?長いの?
長い?
うん。あの棒でしょ?
うんうん。そうだね。棒だね。そうだねー。
どうしよう。なんかすぐ逃げ出したいけどベッドから立ち上がれないなー。
え?なんで?なんで逃げ出したいの?
え?なんかもう怖いよね。怖い怖い。
そうなの?
うん。3日間いなきゃいけないんだけど怖いなここ。
大丈夫だよ。お父さんがきっと治してくれるから。
あ、お医者さんはお父さんなのかい?
うん。えっとね、私の名前は目黒あきらって言うんだけど
どっちから行きましょうか。
はい。
えーと、もう完全に右側の資料を見たいです。
はい、資料ですね。
はい。
資料はね名前がたくさんあるんですけど、
はい。
こちらは読み上げなくても大丈夫です。
はい。
資料。少し歩いた先にある棚には以下のような患者の名簿と思わしき資料が収められている。
名前、適正率1、適正率2。
これはなあったんでしょう。
この資料にもちょっと目星を振ってみましょうか。
はい。
目星どうぞ。
はい、振ります。
はい。おー、ハード成功。素晴らしい。
はい。ハード成功は大成功ってことですね。
まあまあ成功ですね。かなりいい数字で成功しています。
パラパラパラーとめくっていると本当に何ページも何ページもこんな調子で続いているんですけど、
はい。
あるところの角っこに両方の適正を持った人間が見つからない。
引き続き患者から高い適正率を持った人間を探すという走り書きがありました。
うん。両方の適正率。
片一方と適正して、片一方と適正しないパターンが多いってことですね。
そうですね。両方低い人もいらっしゃいますけど。
そうですね。木村さん、赤点も赤点だなあ。
さつま川さんの方が酷かった。
あー。
これもう一つの方も調べてもいいんですかね。
はい、どうぞ。
ではそちら読みます。
過温装置。ベッドから少し離れた位置に温風で体温を適温に位置するための装置がある。
これもじゃあちょっと目星で調べていいですか。
はい、どうぞ。おっと失敗。
では何もわからないです。
何もわからない。
なんか風が出てるなあって感じです。
えー、今とりあえずですね、もうなんかすごい怖くて仕方がないので、もうここから逃げたいです。
えっとまだね、ドアまで歩けないんですよ。
なんかその資料のある棚のそばにある椅子に乗ってこうシューッとかいけないんですか。
ダメなんですか。
そんなこと考えてるとまた隣の部屋から声が聞こえてくる。
あーあきらちゃん、はい。
チロルさーん。
あーこんにちは。
こんにちは。調子はどう?
調子はひどいよ。
ひどいの?
とてもひどいよ。
え、大丈夫?
大丈夫なのかなあ。
ずっと視界がぼやけてるんだよね。
視界?目がおかしいってこと?
うん。なんだかこうチラチラしたり、白黒に見えたりひどいんだよ。
えー、そういうのは初めて聞いたなあ。
初めてってことは前の人は何か違うことを言ってたの?
うん。なんかね、前の人たちはね、なんか運び込まれた日は平気なんだけど、次の日になるとちょっとおかしくなる人が多かった。
おかしくっていうのはどういう感じ?
頭がぼーってするとか、お話ししてるんだけどなんか何言ってるかよくわかんないとかそういう人が多かった。
うーん。
ピンクのママスがなんたらかんたらーって。
ピンク?うーん。
あきらちゃんは何かこう外と、あ、スマートフォンは持ってないのかなあ。
ほんとね、私目が見えないからさあ。
おかあ、目が見えないんだ。
ねえ、あきらちゃん、何回も言うけど脳みそだけとかじゃないよね。
それってどういうこと?お話ししてるよー。
そうだね、そうだよね。
うーん、なんかね、おじさんなんかすごい悪い想像ばっかりしてしまうのなんだが。
この昨日も言ってたね。
うーん。じゃあ、あきらちゃん、例えば、お母さんがお祝いに来るとか。
えっとねー、お母さんは事故で死んじゃった。
ああ、ごめんよ。
ううん、大丈夫大丈夫。お父さんいるから。
そっか、そうだね。
お父さんはその時一緒にいなかったのかい?事故の時には。
お父さんはね、いなかったの。
うーん、そっか、じゃあ。
あきらちゃんは外と何かやり取りをするとかってことはなく、ずっと5年間部屋にいるんだね。
そうそう。
で、3日に1回新しい人が入院してくる。
3日に1回っていうわけではないかな。
たまに来て3日間くらいいて、たまに来て3日間くらいいて。
そうそうそうそう。
そっか。
みんな3日間でちゃんと治ったのかな?
もう、なんか次の日は大丈夫になってた。
何があるんだろうね、その1日。
わかんない。お父さんが治してんじゃないって思ってた。
そっか。
お父さんって何かこう、スポーツとか格闘技とかやってた?
えー、聞いたことない。
聞いたことない。
そっか。
いや、うん。わかったよ。ありがとう。
うーん。
でもチロルさんが変にならなくてよかった。
これ今変じゃないのかな?どうなのかな?
あ、そっか。目がおかしいんだっけ?
うーん。あとさっきお父さんから難しいこと質問されて。
あー。
こういう時は、えっと、あ、えっと、うちの父がごめんなさい。
いやいや、そんなことはないで。お父さんはすごく名医だと思うね。
本当に熱心に僕のことを思ってくれてるんだろうけど。
すごい難しい話だったなぁ。
そうなの?なんか変な話とかさ、なんとか、なんだっけ?
なんとかの船とか、なんとかの板とか。
そうそうそうそう。
そうそう、その話だったよ。なんとかの船。
うーん。
お父さん、アシュラ大好きなの。
あ、そうなんだね。
そう。
明日、退院できるんだろうか?この感じで。
多分大丈夫だよ。
多分大丈夫?
よかったよ。うーん。
そっか、アキラちゃんは目が見えないんだね。
そうなの。
うーん。
歩けるようになったとはいえ、まだ体力が戻りきっていないようだ。
泥のように眠りに落ちる直前、隣の部屋から
おやすみ、という声が聞こえたような気がする。
椅子からは戻ってますかね?
あ、戻りましょう。戻ってベッドに寝ます。
はい、じゃあ戻ったところで、記憶が…意識が失っていきます。
はい。
3日目です。
目が覚めた。あなたは相変わらず手術室にいます。
視界はクリアーになっている。
体の調子も昨日より良くなっている。
そこへ、また男の声がする。
コンコンコーン、入っていいかーい。
あ、どうぞ。
おはよ、調子はどう?
昨日よりはだいぶ良く。
あ、良かった。
いや、夜中のうちに目の検査して、ちょっと直しておいたんだけど、大丈夫?
こんなことできるんですか、先生。
うん、そうそう。僕は名医だからさ。
先生、外科が…外科が専門って…
いや、僕は脳神経外科が。
脳、あ、そうです。脳の外科ですよね。
そうそう。
いじりました?
何を?
目は触らせてもらったよ。
うーん。
先生、なんか僕に変な薬とか飲ませてません?
いや、ないないない。
なんかスッとよく眠れるんですけど。
あー、体が疲れてるってことじゃない?
そうか、そうなんですかね。
うーん。
まあ、なんか体も元気そうだし、後は記憶を戻すだけだね。
記憶は初日2日目とちょっとずつ戻ってきてる気がします。
お、それはいいことだね。
じゃあ、今日もお話してもいいかな。
お話してもいいんですけど、先生のクイズというか、あれだいぶ気持ちが落ち込むんですけど、今日もそんな感じですか?
あー、ダメ?
いや、ダメじゃないですけども、治療ですもんね。
いや、ぜひぜひお願いします。
じゃあ、そう言われるとちょっと出しづらいなーって言いながら、物騒な絵を出してきますね。
あー、うん。
はい。
話しづらいな。
君は臓器くじっていう考え方を知っているかな?つまりは覚えているかな?
いや、初めて聞きます。
これはね、ある人間を1人積極的に殺して、それより多くの人間を助けることは良いことだろうかっていう思考実験なんだ。
これは次のようなルールがある。
1、公平なくじを健康な人に引いてもらう。当たりが出たらその人は殺される。
2、殺された人の臓器をすべて取り出し、臓器移植が必要な人々に配る。
3、移植は必ず成功するものとする。
4、くじに不正行為は起きないものとする。
5、これが一番大事なんだけど、人を殺す以外に臓器を得られないものとする。
今のような臓器移植のシステムがないってことだね。
うんうんうん。
その代わりのシステムがこれってことだ。
うんうん。
これについて君はどう思う?
目的と方向性の最終地点、何を目的とするかによると思います。
というのは?
例えば国家、国が人口維持。
そしてその人口維持した結果、健全な社会生活をシステム維持するためだったら、このくじっていうのはシステムとして考えたら誰かが考えつきそうだなと思います。
でも、もし僕の親しい人がくじで殺されるってなったら
僕はその親しい人を守りたいと思ったら、そういう目的を持ったら全力で否定すると思います。
すごいエゴイズムなこと言ってますね、僕。
君がそういう考え方をする人だっていうことがよく分かった。
ああ。
君は国のシステムの話を最初にした。
うん。
ということは、君はこの臓器くじっていうシステムについて、国という大きなもので見ていけば良しであるという意志だったんだよね。
合理的に考えて、その方が多くの人が助かるっていう結論になるのかな。なるんでしょうね。
そう思ったから最初そういう言い方をした。
だけど、そこから、もしこれ殺される人が君の大切な人だった場合っていう違う角度からものを見た。
ヒューマニズムですね。
そうだね。
革命ですね。
そうだね。
もう爆弾持って走り出しますよ。
国をひっくり返そうっていうのかい?
ひっくり返しましょうね。
なるほど。
すごい非合理的だな。
君は合理と非合理が同居しているね。
そうか。先生と話していると、僕って取り戻す記憶が全然違うな。
僕そういう人だったんですね。
でも実に人間らしいと思うよ、僕は。
もうちょっとシュッと一本通っている人かと思ったら違うな。
そりゃあさ、僕だって医者だから。
たくさんの人が助かるっていうシステムはとてもありがたいものだと思う。
だがこのくじで当たったものが秋田だと思ったら、それはもうゾッとするね。
そうですね。
そこで革命を起こそうとまでは僕はちょっと思わなかったけどね。
なるほど。
先生、今日もだいぶ気持ちが落ち込む話題ですね。
すまないね。でも君は割と多角的にものを見る人だっていうことは分かったよ。
何個か確認したいんだけど、たぶん聞いちゃダメなんだと思うんだけど。
全部答えるよ。僕は自白するからね。
あー、最初に繋がってくるんだ。
その種族っていう人たちは誰なの?
世の中、というかこの地球にはね、いろんな種族が訪れてきている。宇宙からとかね。
なるほど。もう一つ聞いても、僕が機械の体のままでいたら何か不都合ってある?
いや、奴らの技術は本当に完璧だ。この体を使うことで直ちに支障が出るようなことはない。
ただ、何分初めてのことで、どうなるか保証はできないけど、僕が生きている限りは君のメンテナンスは必ずする。
元の体は確か右の膝があまり良くなかった。それも直しておいた。
航機乗るとき、金属探知でピコーンとか言われない?
そんな技術は使っていないさ。大丈夫だよ。
先生、生きている限りメンテナンスって言うけど、先生はおいくつ?
僕?43。
いいんじゃないかな?取り替えて。
いいのかい?
合理的に考えたら、それが一番いい気がするね。
意味はないでしょ?
テセオスの船の時にもそう言った。
うーん。
ああ、二つ目に繋がるんだ。
うーん。
そうだね。
うーん。
いいんじゃない?
うん。
よし、いいよ。そうしよう。それで行こう。
わかった。ありがとう。
そう言うと、医者は?何かありますか?
ちょっと下世話な話なんですけど。
本当に一切の日常生活、何もないんですもんね。
はい、そうです。
じゃあ大丈夫です。
では、医者があなたの目の前に手をかざす。
あなたの意識はスーッと遠くなっていく。
あなたが気がつくと、自分の家に戻っていました。
失われた記憶も戻っている。
病院での出来事も覚えている。
あれは夢だったのか、現実だったのか。
人、体のある一部分が、よく見ると分かることだが、
他の部分と違いろになっていることに気がつく。
果たしてその体は本物なのか、偽物なのか。
それがはっきりするのは、もう少し後のことだろう。
のどかなちろるさんの最後の一言、最後の一シーンをロールして終わりたいと思います。
あなたはどうしているでしょうか。
どうしてる。またベッドの上でぼーっとしてるんじゃないかな。
特におしゃべりとかもせず。
うーん、まあ、あきらちゃんどうなったかなーって考えてるんじゃないでしょうかね。
なるほど。
うーん。
一つ聞いてもいいです?
もちろんです。
色が変わっているところっていうのはどこなんですか。
特に限定はシナリオの中にはないのですけど、どこがいいですか。
なんか右膝直してもらって右膝の色変わってたら、
ああ、なんか直ってるんだなーって思いますよね。
右膝の膝こぞのあたりがちょびっと違うかもしれません。
うーん。
ああ、なるほど。これで、今、最後の場面なんですね。
そうです。
ああ。
いや、なんかすごい勘弁させられた。
はい。では、シンクテルフシンワティRPG、片城、これにて終幕です。お疲れ様でした。
ありがとうございました。
はい。初めてのDRPGでしたが、いかがでしたか?
えっと、僕まずさくらさんに謝りたいことがありまして。
はい、何でしょう。
あの、僕普段からそういう冗談、僕、攻殻機動隊とか好きなんで。
ええ、ええ、ええ。
あれ?脳みそだけなんじゃない?とか。
ええ。
あれ?この体本物?とかでも冗談言ってたんですけど。
はい。
まさに脳みそでごめんなさい。
まあ、いい、いい。すごいなって思ってました。
たぶんね、SF脳とオカルト脳が同居してるんで。
どうしようって思ってましたけどね。
そうですよね。僕も、これ脳みそなんじゃない?って3回聞いた後に本当に脳みそだったから、「おお!」って、マジかとなっちゃいました。
でも途中ずっと喋れてるって言うから、「ああ、そっかそっか。大丈夫、大丈夫。」って思ったら、
まさか脳みそに電話が直結されてるパターンとは。
まさかの。
まさかの。
え?これ?
はい、はい、はい。
あ、あれも。あれはなんですか?
お医者さんの手作りなので。
ああ、だからなんかこう、そこはそういう方々の技術じゃなくて、手作りで作ってるんですね。
技術を聞いて、一生懸命自分なりに頑張って秋田のために作った脳漢です。
ああ、そうなんですもん。
そういえばちょっと前にやったスマホのゲームもそんなのあったな。
そうなんですね。
その脳みそだけの彼女のために、敵を倒して部品を集めてくるってゲームがあったんですよ。
ロボット関係の敵ばっかり倒すとロボの体になって、
肉肉しい生き物を倒すとその体ができてくるんですけど。
うわー、なんかありましたね。
それともさんはどっちを集めたんですか?
僕ですね、僕は機械の方はできるだけお金に変えて、本当に肉体を集めてたんですよ。