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2024-11-25 1:20:51

部活動188 『カタシロ』Case.とも

Podcastで繋がった仲間たちとクトゥルフ神話TPRGを遊んでみました! シナリオ:カタシロ シナリオ制作者:ディズム様 https://booth.pm/ja/items/2274429 キーパー↓ 朔夜(https://twitter.com/sakuya_naniwadu) プレイヤー↓ とも ( https://twitter.com/gyP20sUKZtOgRfY ) キャラクター:喉金 チロル(のどかな ちろる) https://iachara.com/view/10124286 (敬称略) 背景絵 さっぱ様 (https://twitter.com/sappa_trpg) 表紙画像 canva様 (https://www.canva.com/) NPC立ち絵 だう様 (https://twitter.com/namelessyue) BGM DOVA-SYNDROME様(https://dova-s.jp) ■■■注意■■■ ・上記のシナリオのネタバレを含みますので、プレイ予定の方などはご視聴をお控えください。 ・視聴いただいた皆様で感想等をTwitterなどでつぶやいていただく場合は、ふせったーなどを使用してネタバレ防止対策をしていただくようお願いいたします。 ・ハウスルール有 ※本チャンネルは収益化を行っていないため、金銭は発生しません。 本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。 Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」 メールアドレス podcast.trpg@gmail.com Twitter: https://twitter.com/PodcastTrpg​

サマリー

TRPG「カタシロ」のセッションが始まり、キャラクターののどかなチロルが記憶喪失の状態で手術室に目を覚ます。物語は医者との会話を通じてチロルの過去や自己を取り戻す過程が描かれ、共犯としての囚人のジレンマのゲームが展開される。このエピソードでは、記憶を失った患者たちが入院する病院の謎に迫る。主人公のあきらと隣の部屋のチロルとの会話を通じて、雷に打たれた事故の影響や記憶喪失の症状が明らかになり、彼らの不安な状況が描かれる。部活動188『カタシロ』では、テセウスの船というパラドックスを通じて、自己のアイデンティティと意識の関係を探求する。登場人物は記憶の回復を試みながら、さまざまな哲学的な議論を交わし、自分自身について深く考える。部活動188『カタシロ』では、主に医療や倫理に関連するテーマが取り上げられ、臓器移植や記憶の回復といった重要なトピックが話される。登場人物たちは、自身の状況や思考過程を通じて、命の選択や社会のシステムについて深く考えている。このエピソードで、アキラとチロルの間の会話を通じて、アキラの体が危機的な状況にあることが明らかになり、彼の脳が特別な機械の体に移される可能性が描かれる。そして、体を譲るお願いと新しい体を受け入れることの葛藤が物語の中心となる。このエピソードでは、ゲームにおける倫理的なジレンマとその舞台化について語られる。

のどかなチロルの覚醒
配信が開始されました。こんばんは。
こんばんは。
本日、遊ぶシナリオは、シンクトル不神話TRPGのカタシロです。
今回のお客様は、初めましてです、ともさんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。えー、ともです。
ポッドキャストをやってます。以上です。
はい。ポッドキャストの宣伝しなくていいですか?
あーと、なんかいろいろやってます。はい。いろいろで大丈夫です。はい。
はい。ではですね、早速、キャラクターの紹介もしていただきたいんですけれども、よろしいですか?
よろしくお願いします。えーと、今日のキャラクターはですね、のどかなチロルです。
オーストリア出身の40歳の男性で、小柄で目鼻立ちがくっきりとしている方なんですけれども、割とくどい顔をしています。
イデオロギーはですね、義善も善です。
よく笑い、よく泣いて、高所恐怖症のオカルトマニアで、右膝に古傷と言いますか、ちょっとたまに痛めます。
はい。そんな人です。
はい。えーと、日本語はお話しできるんですよね?
はい。オーストリアには2ヶ月ぐらいしかいなかったので、生後2ヶ月で日本に来たので、日本語しか喋れません。
わかりました。
はい。
意外と、まあいいか。はい。
え?
いえいえ、ごめんなさい。
いえいえ、大丈夫です。大丈夫です。何せ初心者なんで教えてください。
そうなんです。はい。
はい。えーと、ね、こんな方がお客さんとしてね、いらっしゃるんですけど、今からこの方にね、記憶喪失になっていただくんです。
はい。
私が片城っていうこのシナリオを回す時には、片城舞台版に準拠しまして、何か一つだけ覚えていてもいいということにしています。
はい。
はい。チロルさんは何を覚えているのでしょうか?
えー、のどかなオーストリアのチロル風景を…。
勘違いましたね。チロルの風景を覚えていることにします。
はい。わかりました。
2ヶ月しかいなかったけど。
記憶の探求
そうですね。何か写真とかでね、見てたのかもしれないですね。
そうですね。はい。チロル地方の風景を見てました。はい。
はい。
トモさんは今回がTRPG初挑戦ということで、TRPGの説明などもゆっくりしながら回していけたらと思います。
はい。よろしくお願いします。
この片城というシナリオは、作者のリズムさんがいろんな方とおしゃべりをしたいという目的で作られました。
ということで、今回はぜひ私とのおしゃべりを楽しんでいただけたら嬉しいです。
シナリオそのものはとても有名で、舞台化もされているほどですので、内容をご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
初めてご覧になる方ももしかしたらいらっしゃるかと思いますので、ネタバレになるようなコメントはご入力ください。
また、Xなどで感想をつぶやかれる場合には、フセッターなどワンクッションを置いていただけると助かります。
ご協力をよろしくお願いいたします。
そういういつもの前置きをお話ししました。
なるほど。有名なお話だとそういうことですよね。ネタバレが出ちゃうってことですね。
コメント欄でこれから来るぞとか、あれが来るぞっていうのが出てきてしまうと、初めて見る人が楽しめなくなってしまいますので。
そうですね。
全く初見なんで、本当にドキドキしています。
大丈夫です。私もドキドキしています。
では、前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ始めましょうか。
はい。
シーンを撮ります。
シンクトゥルフ神話TRPG、片城、始めていきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
あなたはですね、今手術室にいます。
咲夜さん。
はい。手術室だ。
あなたが気がつくと手術室で寝ています。
はい。
頭痛がとてもひどくて、体が思うように動きません。
はい。
チロルさんはどんなふうに起き上がるでしょうか。
寝ばらく、起き上がらないかもしれませんね。
そうですか。何を喋っていますか。
ボーッと、たぶん天井を見ています。
なるほど。
はい。
そうするとですね、鳥の男が入ってきました。
はい。
やあ、目が覚めたかい。
はい、覚めました。
私は医者だ。君は落雷にあって病院に運ばれてきた。覚えているかい。
いや、全然。
はい、ではチロルさん、アイデアを振ってみてください。
はい、アイデアですね。
はい。
14。
アイデア。
あれ、アイデア。
振れてない。
10。あれ、振れてないです。ごめんなさい。
失礼しました。きました。
アイデア14で成功。ハード成功。かなり良い数字で成功しています。
はい、よしよし。
わかんないけど。
チロルさんは強い光を浴びたような記憶があります。ですが、それ以前の記憶はありません。
はい。
常識とか社会的に生きるための記憶以外は全て、自分のことについて忘れているということに気がつきます。
はい。
お医者さんが心配して、「大丈夫かーい?」って手を振っています。
大丈夫じゃない、これは。これはやばい。
どうしたんだい?
いやいや、何も思い出せません。
思い出せない。名前はどこに住んでいたかとか。
名前は、
名前は、なんとなく思い出せます。
思い出せます。
はい。
なんていう名前なんだい?
のどかなチロルです。
のどかなチロルさん。
はい。
面白い名前だね。
きれいですね。
じゃあ、その他のことは思い出せないってことかな?
いやー、本当に。僕はどこで雷に打たれたんでしょうか?
いやー、僕も病院に運ばれてきた君を治療していただけだから、分かんないんだけど。
あー、なるほど。
倒れていた僕を見つけてくれた方はお話できますか?
いや、救急車で運ばれてきたのは君だけだった。
なるほど。
いや、何も思い出せないです。
そうか。
じゃあ、やっぱり検査が必要だね。
体も本調子ではないかもしれないが、
まあ、しばらくすれば動けるようになるとは思う。
約束はできないが、記憶もそのうち戻るだろう。
数日は様子を見た方がいいかな。
3日間ぐらいはここにいてもらう。
3日。はい。
えー、すまないことにね。
ここは手術室なんだけど、他に部屋がなくてね。
物々しくって申し訳ないが、ここで3日間過ごしてもらう。
ここで3日間。はい。
ちなみに、何か僕って手術とかはされたんですか?
いや、手術はしてないんだよ。
それがね、君の荷物はボロボロに焼け落ちてたんだけど、
君自身には怪我が何にもないんだ。
何が起きたんだろう?
なんだろうね。
3日間お世話になります。
じゃあ、僕、農芸会でさ、専門が。
はいはい。
君の記憶を取り戻すお手伝いがしたいんだけど。
はい。
おしゃべりに付き合ってくれるかな?
はい。
おしゃべりをしている間に、何か記憶を取り戻すきっかけになるかもしれないからさ。
囚人のジレンマ
あー、なるほど。
なるほど、なるほど。そうですね、そうですね。はい。ぜひ、ぜひ。
じゃあ、と言いながら、医者はどこからかにょろんと暴動を出してきます。
君は囚人のジレンマというゲーム理論を知っているかな?つまりは覚えているかな?
いや、知らないです。
あー、そうか。これはね、共犯を働いたとみられる2人が、黙秘、もしくは自白をするというものだ。
まあ、今回は君と僕とで何か2人で悪さをしたとしよう。
うんうん、はいはい。
まあ、悪さがばれちゃって、君と僕とは捕まった。
はい。
君と僕は違う部屋に入れられて取り調べを受けている。
はい。
例えば君が囚人A、僕が囚人Bとしよう。
うんうん。
別の部屋で黙秘をするか自白をするかを選択できる。
ただし、両方が黙秘したならば、懲役はお互い2年だ。
君が黙秘して、僕が自白をした場合、君は10年、僕は0年の懲役となる。
うん。
逆に、僕が黙秘をして、君が自白をしたら、僕が10年の懲役。
お互いが自白をした場合は、5年ずつの懲役となる。
うんうん。
待て。このルールで、君と僕とがちょっとゲームをしてみようじゃないか。
はいはい。
じゃあ、僕がせーのって言うから、一緒に答えてみよう。
自分が黙秘するか自白するか。
そうそうそう。
うんうんうん。
決まったかい?
はい。
じゃあ、いくよ。せーの。
黙秘。
君は黙秘を選んで、僕が自白を選んだ。
ということは、君が10年の懲役、僕はお役御免ということになった。
ひどい。ひどいことになった。
ひどいことになった。君はどうして黙秘を選んだんだい?
いやー、僕が黙ってて、先生も黙ってると、2年2年なんですよ。
僕は大型なんで、楽観的に一番簡単な道というか、一番楽な道を選んだんです。
おー、君は大型ってことを思い出したんだね。
あ、ほんとだ。大型思い出した。大型。
しかも多分、人は生まれながらの善人だと思ってる。生善説の人だ。
おー、すごいすごい。
先生すごいよ、これ。いっぺんに2つ思い出したよ。
すごいですね。
すごいすごい。
おー、いいねいいね。
楽観的なんだね。
楽観的です。
じゃあ、黙秘をすれば2年で済むんじゃないかと思って。
うん。
結果10年だけど。
ひどい。
ひどい目にあってる。
そうだな。
割と君は目先のことに目が行くタイプかい?
そうかもしれない。
なんか騙された感がすごいな、今。
あー、なるほど。それは騙されたになってしまうんだね。
うーん、勝手にやってるのに騙された。
そうだね。君はさっき自分が生善説の人と言った。
はい。
生善説っていうのは、人は生まれながらにして善だという説だね。
はい。
中国の話にも詳しいんだね。
すごい。どんどん記憶が持ってくるよ、先生。
うん、すごいすごい。
先生、名医なんじゃ。
ありがとう。
君はそういうところにもきっとよく知っていて、知識があって、
考え方がとても楽観的で、
一人だけ痛い目を見てる。
そういうことになっちゃうね。
10年か。10年は長いな。
僕は悪いことしちゃったから自白しようかなって思ったんだけど、
君はそこは考えなかったってことかい?
うん、その通り。そうですね。考えなかった。
むしろ自白した方が、罪を認めたんだから長く入ってもらっていいんじゃないかな。
なぜ罪を認めていない人が長くて、罪を認めた人が親子ごめんなんだろう?
あれ?これシステムがおかしいぞ。
自白をしたってことは素直に認めたってことだから、
入院の状況
確かにね、金婚になっててもおかしくないよね。
反省したってことなんですね。
なるほどね。
なるほどなるほど。
もしかしたら僕はあいつがやったって言ったかもしれないね。
ひどい。さらにひどい話だ。ひどいぞ。
これはダメだ。損をするタイプだ俺。いかんいかん。
先生、また一個思い出した。僕は損をするタイプだよ。
なるほどね。
思い出した。いかんな。
こんな感じでおしゃべりをして、ちょっとずつ記憶を取り戻していこうじゃないか。
はい。
そろそろ僕は外来の患者を見なければならない時間だ。
行くけど、もし何かあったらナースコールもあるからすぐに呼んでくれ。
はい。わかりました。
はい。じゃあじゃあねーと言って、ニョロンとボードを片付けて、医者は行ってしまいます。
ニョロンが気になるんだよな。
あなたは今手術室のベッドの上にいます。
体が重たいのですが、寝転がって手の届く範囲であれば、気になったものを調べることができそうです。
ということで、こことここを調べることができます。
ほうほう。はいはい。
どっちを調べてみたいですか?
左のベッドサイドモニターを調べたいです。
はい。じゃあベッドサイドモニターです。
はい。
情報読めそうですかね?
あ、はい。読んでます、今。
声に出してもらってもいいですか?
はい。ベッドサイドモニター。
ベッドのそばには患者の心拍数や血圧などの異常を教えてくれる装置がある。
このような危機が出されているということは、非常に危ない状況だったのだろうか。
97と98という数字が画面に表示されている。
その数字が何を意味するかはわからない。
はい。
もしね、調べるのにふさわしい技能に成功すると何かがわかることがあるかもしれないんですが、
アイディアとか目星とかですか?
うんうん。はいはい。
何かダイス振ってみましょうか。
では目星でお願いします。
はい。じゃあ目星振ってみてください。
はい。
お、ナイス成功。いいですね。
はい、出ました。
この機械が今あなたにつながっていないということがわかります。
うん。ベッドサイドにあるのに僕にはつながっていないと。
そうですね。現状あなたは何にもつながれていない。
うんうんうん。これ、さらに調べるっていうのはできるんですか?
さらに調べてももうこれ以上はわからなさそうですね。
あ、わからなそう。はいはい。
うんうんうん。
あとはもう一個の方ですね。
もう一個を調べたいですね。
はい。じゃあ見てみてください。
はい。
読み上げてもらっていいですか?
はい。
器具。ベッドのそばにある台の上には器具が並べられている。かものの類はない。
はい。こちらも目星。
はい。
目星かな?アイディアじゃないですね。目星に成功すると何か情報が出るかもしれません。
では目星いきます。
はい。成功。
はい。
ではですね、何があるんだろうなーってきっとねちろるさん見たと思うんですけど、
はい。
およそ手術に使えそうにない器具というよりは工具が置いてあるなって思います。
うんうんうんうん。
奥につながっていないモニターと枕元には工具が置いてある。
はい。
そして記憶がない私。
はい。
生ましたね未来。
ほう。
こりゃ僕人じゃないぞ?
ほう。
もう僕人ではないんじゃないんでしょうかこれ。
じゃあ体を見回してみますか?
しましょう。
はい。
今までのこの立ち絵を人間と言っていいものか非常に迷ってはいたんですが。
そうですね。もともと人じゃなかった。
一応人です。
人ですね。人で会いたいですね。
はい。人間です。
尻尾生えてるな。
これを私が見回してみて。
ああ人、人間だなあっていう感じはしますね。
そうですね。人ですね。
太陽もありますね。温かい感じがします。
そんなことを考えながらいろいろ自分を見回しているとですね、急に声がかかってきます。
誰かいるの?
あれ?
誰かいるの?
いますっていうか、どこにいますか?
ごめんなさい。隣の部屋にいるの。
隣の部屋。隣の部屋。はいはいはいはい。
私も入院してるんだ。
うーん、君はなんで入院してるのかな?
交通事故にあっちゃって結構大きな事故。ひどいことになっちゃってさ。
それ以外ずっとここにいるの。
ああ、それは大変だったね。
もう何日間も入院してるのかな?
えーとね、たぶん5年くらい。
5年!?
ああ、そっか。それは大変だ。
ちなみに隣の部屋っていうのはすぐ隣?
すぐ隣。
へー。
お兄さんも入院してるの?
お兄さんは今日から入院。
そうなんだ。
まあ、おじさんだけどね。
おじさんなの?
おじさん。
へー。何かあったの?
記憶がないんだけど、どうも雷に撃たれたんじゃないかっていう。
記憶がないの?
うん。記憶がない。
ってことは君もないのかい?
私は記憶あるんだけどね。
そこの部屋に入る患者さんはみんな記憶がないっていうの。
だからそういう人が入る部屋なんだって思ってた。
5年間ずっと記憶がない人ばっかり入ってるの?
おー。なんか怖いな。
ね。
うん。
お兄さんかおじさんかって呼ぶのも失礼かなと思うんだけど、お名前教えてもらってもいいですか?
名前はのどかなチロルです。
のどかなチロルさん?
はい。
君のお名前は?
あきら。
あきら。男の子だったんだね。
うん。女の子だよ。
女の子のあきらさんはいくつかな?
えーとねー、たぶん中学生ぐらい?
あーそうなんだ。そっか5年も入院してるんだもんね。
そうそうそう。もうよくわかんない。
ほうほうほうほうほう。そっかー。
え?あきらちゃんこの部屋、僕が今入院してる部屋ってみんな記憶がないの?
そうそうそう。
みんな雷打たれてきてる?
なんかそんなこと言ってた。
あらー。これは何か陰謀を感じますね。
陰謀?
うーん。
陰謀って何?長いの?
長い?
うん。あの棒でしょ?
うんうん。そうだね。棒だね。そうだねー。
どうしよう。なんかすぐ逃げ出したいけどベッドから立ち上がれないなー。
え?なんで?なんで逃げ出したいの?
え?なんかもう怖いよね。怖い怖い。
そうなの?
うん。3日間いなきゃいけないんだけど怖いなここ。
大丈夫だよ。お父さんがきっと治してくれるから。
あ、お医者さんはお父さんなのかい?
うん。えっとね、私の名前は目黒あきらって言うんだけど
隣の部屋の患者
はいはいはい。
お父さんはね、目黒先生って多分呼ばれてると思うよ。
うーん。目黒先生。さっきの眼鏡の先生だね。
あ、眼鏡かけてるチャラいおじさん。
なるほど。チャラいんだあのおじさんは。
お、目黒先生。
いや、ちょっとまだ聞かんとこ。
いや、あれだね。あきらちゃん僕暇だから何かあったらおしゃべりしてよ。
こちらこそお願いしたいの。ずっと暇でさ。
うんうん。暇なんだ。そっかそっか。
あきらちゃんはあれかい?毎日ずっと寝てるのかい?
うーんとね、私もね、体が動かないの。
あーそうなんだ。それは5年経ってもまだ体動かないんだ。
そう。
あきらちゃんちなみに隣の部屋って言ってたけど
脳みそだけとかそういうことじゃないよね?
はい?
うん。なんでもない。気にしないで。
いかんな。オカルト好きだからオカルト脳がすごいな。
オカルト好きなの?
オカルトがすごい好きなんだよね。
怖い話好き?
怖い話好きっていうことを今こうやってお話したら思い出したよ。
えーすごい!
どんどん記憶が戻ってくるね。オカルト好きを思い出したよ。
そっか。
すごいな。
私もお父さんみたいな名医になれるかな?
なれるんじゃないかな?すごいよ。
すごい安心して落ち着いて話せるしね。
あーよかった。私で体が治ったらお父さんみたいなお医者さんになりたいの。
たくさんの人助けたいんだ。
あーいいことだね。それはいいことだと思うよ。
体調の変化
みんな記憶がないんだ。
ちなみにみんな記憶がない人たちは退院してたのかな?
うん。だいたい3日ぐらいで退院していくかな?
うーん。他にも仲良くなった人っていた?
うん。いっぱいいたよ。
いっぱいいた?
うん。
そういう人は3日間で記憶を取り戻していった?
記憶を取り戻したかまではよく知らない。
あーそっかー。
なんだろう?
怖いぞ?
そうなの?
うーん。
怖いなーって思っていると強烈な眠気があなたを襲います。
まだ体力が戻りきっていないようだ。
泥のように眠りに落ちる直前、隣の部屋から
おやすみ!という声が聞こえた気がする。
では2日目です。
目が覚めた。
あなたは相変わらず手術室にいる。
だが様子がおかしい。
視界が白黒になったりちらついたりと正常ではない。
一体どうなっているんだ?と心配をしていると
医者がやってきます。
コンコンコン、入っていいかーい。
あーどうぞ。
ガチャ。
やあ、調子はどう?
とても気分が悪いです。
気分が悪い?どうしたの?
ずーっと視界がぼやけるというか
ちらつくというか
動く気分が悪いです。
それは大変だ。
もしあんまり気分が悪いようだったら
目はつぶっててもいいからね。
はい。
目の調子がおかしいのかな。
検査はするんだけどさ、
今外来で器具を使っちゃってて
そっちが終わったら器具を持ってきてすぐに検査するからね。
はい。
まあ心配しなくてもすぐに良くなるよ。
きっと記憶を取り戻そうとして脳が混乱しているのかな。
先生、ちなみに僕
普通に歩けるというか
活動ができるようになるまでにはどれくらいかかりますかね。
そうだね、たぶん今日はちょっとぐらいだったら歩けるんじゃないかな。
ふんふんふんふん。
ちょっと出歩いてもいいですか?
いいよ、起き上がれる?
起き上がります、はい。
起き上がってちょっとまだクラクラーってしますけど
意識と自己の探求
ベッドの周りに立ってちょっと歩くぐらいならできます。
うん。
それはドアまで行けますか?
行く前にこの視界でグラグラしますね。
じゃあベッドの周りを
少し探るというか
うろうろしたいです。
医者がちょっと見守ってくれてます。
はい。
大丈夫かい?歩けそうかい?
少しぐらいなら。
あんまり無理するとまた倒れちゃうからさ。
そうですね、ちょっともうやめて
またベッドに腰掛けます。
じゃあ今日も記憶を取り戻そうよ。
おしゃべりをしようじゃないか。
はい。
大丈夫かい?
大丈夫です、はい。
じゃあね、君はテセウスの船というパラドックスの話を知っているかな?
つまりは覚えているかな?
テセウスの船聞いたことある気がするけど
よく思い出せません。
じゃあこの絵をちょっとチラッとでいいから見てくれるかい?
はい。
続いてまた日本と報道を出します。
はい。
テセウスっていうのはギリシャ神話の英雄でね
この船に乗ってあちこちに冒険に行っていた。
彼が乗っていた船はどんどんいろんな冒険をしたから
ちょっとずつ壊れていく。
古いパーツや壊れたパーツを徐々に置き換えていった。
結果、全てのパーツが置き換えられた時
その船は同じテセウスの船と言えるのかどうか
というパラドックスだ。
ふんふんふん。
君はどう思うかい?
全てのパーツが置き換わった船。
そうそう。
方が倒れたら新しい方を立てて
ふんふんふんふん。
船の先のところが壊れちゃったら
新しい先をくっつけて
でも同じ形にはしてあるんだよ。
同じものじゃないのかな。
同じテセウスの船かい?
同じテセウスの船なんじゃないかな。
それはどうして?
僕たち人間も毎日細胞が入れ替わって
すぐに元の細胞じゃないものに全部入れ替わっても
記憶の回復
僕は僕だと思うんだよな。
君は昨日は中国の古事とか話にも詳しかったけど
生物学的なところも詳しいんだね。
そういうことを思い出したんですね。
すごい。
先生やっぱり名医ですね。
そうだろう。
ふんふんふん。
そうか。
細胞が書き換わっても君は君だ。
それはどうしてだろうね。
オーストがここにあるからじゃないかな。
オースト。
なんだろう。
なんか今すごい怖い話をしてる気がしてきた。
え、怖いかい?
うん。
君が言うオースト、あ、魂のことかい。
魂が、魂が、意思があると
同じなんじゃないかな。
じゃあ船の魂ってどこだろうね。
テセウス船長なんじゃないかな。
テセウスが乗ってる限りテセウスの船なんじゃないかな。
なるほど。
英雄テセウスが死んでしまったら。
英雄テセウスが死んでしまったら
これはテセウスの船じゃないのかも。
なるほどね。
うん。
じゃあ君が言う最初に言ったゴーストや魂っていうのは
所有者のことかい。
意識かな。意識、意志。
あ、なんだろう先生すごい頭痛いよこの話。
ごめんね。
なんだろうすごい頭が痛いな。
意識とか意志とかそういう部分になっちゃうんじゃないのかな。
意志とか所有者、物であれば所有者があれば
パーツが大きく変わろうが細胞が変わろうが
その人だ。そのものだ。
先生やっぱり僕なんかもう細胞化してる?
なんで?なんで?だって君だって細胞が変わるんだろ?
あーなんか怖い話になってきたぞ。
先生僕、僕、僕かな?
君は君なんじゃないの?
僕が僕なのかい先生。
そうだけど先生昨日から怖い話ばっかりしてるよ大丈夫?
ごめんごめん。
怖いなー。
いやーこういう話ばっかりするから娘にも嫌がられちゃってねー。
あー隣のあきらちゃん。
あーそうそうよく知ってるね。
ほんとあきらちゃん脳みそだけとかじゃないよね。
どういうことそれ。
なんでもないです。なんでもないです。
あーそっかー。
いやーそんな感じだと思います。
船は全部変わってもやっぱり意識というか意思というか船長というかが一緒だったら同じ船なんじゃないかなー。
なるほどねー。
あんまり怖がらせても悪いし外来の時間も近づいてきてるから僕は行くけど目の検査はね終わったらやるから。
はいわかりました。
じゃあねーと言ってひらひらっと手を振って我は行ってしまいます。
あなたは今手術室のベッドの上にいます。
相変わらず体は重いのですがさっきのように少しは歩けそうです。
気になったものを調べに行くことができるでしょう。
ということで今日はちょっと離れた2箇所を調べることができます。
はい。
哲学的議論
どっちから行きましょうか。
はい。
えーと、もう完全に右側の資料を見たいです。
はい、資料ですね。
はい。
資料はね名前がたくさんあるんですけど、
はい。
こちらは読み上げなくても大丈夫です。
はい。
資料。少し歩いた先にある棚には以下のような患者の名簿と思わしき資料が収められている。
名前、適正率1、適正率2。
これはなあったんでしょう。
この資料にもちょっと目星を振ってみましょうか。
はい。
目星どうぞ。
はい、振ります。
はい。おー、ハード成功。素晴らしい。
はい。ハード成功は大成功ってことですね。
まあまあ成功ですね。かなりいい数字で成功しています。
パラパラパラーとめくっていると本当に何ページも何ページもこんな調子で続いているんですけど、
はい。
あるところの角っこに両方の適正を持った人間が見つからない。
引き続き患者から高い適正率を持った人間を探すという走り書きがありました。
うん。両方の適正率。
片一方と適正して、片一方と適正しないパターンが多いってことですね。
そうですね。両方低い人もいらっしゃいますけど。
そうですね。木村さん、赤点も赤点だなあ。
さつま川さんの方が酷かった。
あー。
これもう一つの方も調べてもいいんですかね。
はい、どうぞ。
ではそちら読みます。
過温装置。ベッドから少し離れた位置に温風で体温を適温に位置するための装置がある。
これもじゃあちょっと目星で調べていいですか。
はい、どうぞ。おっと失敗。
では何もわからないです。
何もわからない。
なんか風が出てるなあって感じです。
えー、今とりあえずですね、もうなんかすごい怖くて仕方がないので、もうここから逃げたいです。
えっとまだね、ドアまで歩けないんですよ。
なんかその資料のある棚のそばにある椅子に乗ってこうシューッとかいけないんですか。
ダメなんですか。
そんなこと考えてるとまた隣の部屋から声が聞こえてくる。
あーあきらちゃん、はい。
チロルさーん。
あーこんにちは。
こんにちは。調子はどう?
調子はひどいよ。
ひどいの?
とてもひどいよ。
え、大丈夫?
大丈夫なのかなあ。
ずっと視界がぼやけてるんだよね。
視界?目がおかしいってこと?
うん。なんだかこうチラチラしたり、白黒に見えたりひどいんだよ。
えー、そういうのは初めて聞いたなあ。
初めてってことは前の人は何か違うことを言ってたの?
うん。なんかね、前の人たちはね、なんか運び込まれた日は平気なんだけど、次の日になるとちょっとおかしくなる人が多かった。
おかしくっていうのはどういう感じ?
頭がぼーってするとか、お話ししてるんだけどなんか何言ってるかよくわかんないとかそういう人が多かった。
うーん。
ピンクのママスがなんたらかんたらーって。
ピンク?うーん。
あきらちゃんは何かこう外と、あ、スマートフォンは持ってないのかなあ。
ほんとね、私目が見えないからさあ。
おかあ、目が見えないんだ。
ねえ、あきらちゃん、何回も言うけど脳みそだけとかじゃないよね。
それってどういうこと?お話ししてるよー。
そうだね、そうだよね。
うーん、なんかね、おじさんなんかすごい悪い想像ばっかりしてしまうのなんだが。
この昨日も言ってたね。
うーん。じゃあ、あきらちゃん、例えば、お母さんがお祝いに来るとか。
えっとねー、お母さんは事故で死んじゃった。
ああ、ごめんよ。
ううん、大丈夫大丈夫。お父さんいるから。
そっか、そうだね。
お父さんはその時一緒にいなかったのかい?事故の時には。
お父さんはね、いなかったの。
うーん、そっか、じゃあ。
あきらちゃんは外と何かやり取りをするとかってことはなく、ずっと5年間部屋にいるんだね。
そうそう。
で、3日に1回新しい人が入院してくる。
3日に1回っていうわけではないかな。
たまに来て3日間くらいいて、たまに来て3日間くらいいて。
そうそうそうそう。
そっか。
みんな3日間でちゃんと治ったのかな?
もう、なんか次の日は大丈夫になってた。
何があるんだろうね、その1日。
わかんない。お父さんが治してんじゃないって思ってた。
そっか。
お父さんって何かこう、スポーツとか格闘技とかやってた?
えー、聞いたことない。
聞いたことない。
そっか。
いや、うん。わかったよ。ありがとう。
うーん。
でもチロルさんが変にならなくてよかった。
これ今変じゃないのかな?どうなのかな?
あ、そっか。目がおかしいんだっけ?
うーん。あとさっきお父さんから難しいこと質問されて。
あー。
こういう時は、えっと、あ、えっと、うちの父がごめんなさい。
いやいや、そんなことはないで。お父さんはすごく名医だと思うね。
本当に熱心に僕のことを思ってくれてるんだろうけど。
すごい難しい話だったなぁ。
そうなの?なんか変な話とかさ、なんとか、なんだっけ?
なんとかの船とか、なんとかの板とか。
そうそうそうそう。
そうそう、その話だったよ。なんとかの船。
うーん。
お父さん、アシュラ大好きなの。
あ、そうなんだね。
そう。
明日、退院できるんだろうか?この感じで。
多分大丈夫だよ。
多分大丈夫?
よかったよ。うーん。
そっか、アキラちゃんは目が見えないんだね。
そうなの。
うーん。
患者の状態と希望
おじさん、そこまで歩いていけたらちょっと顔を出したいんだけどね。
まだね、歩いていけないんだよ。
だからさっき病室にある椅子に乗ってシューって行こうと思ったんだけどさ、
それはなんかダメらしいんだよね。
できたら楽しそう。
楽しそうかもしれないけど、明日にはいけるかな?
こっち来てくれる?
明日顔見に行くよ。
やったー!
でも、私、いつも自分では顔をわかんないし、体も動かせないから、
お父さんがすごいいい加減にボサボサーにしてるかもしれない。
あー、そっか。そうだね、また女性だものね。
じゃああれだね、ここでお話してるのが一番いいかもね。
えー、でもチロルさん会いたい。
うーん。
ねえ、尻尾が生えてるよ。
尻尾?
僕は尻尾が生えてるからね。
そうなの?
そうだよ。
すごいかっこいい。
かっこいいんだ。
なかなか独特だね。
だってさ、会ったら便利じゃない?
便利かな?
そうだね、便利だね。
ハエとかを叩くよ。
そういう細い尻尾なの?
そういう細い尻尾だよ。
先っぽはフサフサだよ。
へー。
そのフサフサで誰かをコショコショーってしたりもできる?
あー、できるよ。コショコショーもできるけどね。
ちょっと、なんだろう。
そんなにフワフワじゃなくて、ちょっと細くて、
なんて言ったらいいのかな。
あんまり動物的なフワフワではなくて、
なんかトウゴロコシのヒゲみたいなのがついてるっていうやつだから、
あんまり喜ばれないかな?
そうなんだ。
じゃあお父さんが意地悪したら、それでピターンってすればいい。
そうだね。ハエみたいにピターンってすることにするよ。
うん。
そっか、あきらちゃんありがとうね。
後で先生、
後で先生、目の検査来てくれるって言ったけど、いつ頃来るのかなと思って。
あー、わかんない。
お父さん時々来るけど、いつ来るかってよくわかんない。
そうだね。
チロルさんさ、退院して、
私も退院できたらさ、お外で一緒に遊んでくれる?
あー、いいね。そうだね。どこか何か遊びに行こう。
尻尾見てみたい。
そうだね、尻尾。
うん。
尻尾。
尻尾?
生えてるって言っちゃってよかったのかな?
え?
さっき、尻尾生えてる生えてる生えてるよ。
生えてる生えてる。
生えてる設定で行こう。生えてるよ。
かっこいいね。
ありがとう。
そうだね、どこか楽しいとこに行こう。
うん、行こう行こう。約束だよ。
うん、約束。
ちゃんと退院できたらね。
では、その気持ちをしていると、また強烈な眠気があなたを襲います。
医師との対話
歩けるようになったとはいえ、まだ体力が戻りきっていないようだ。
泥のように眠りに落ちる直前、隣の部屋から
おやすみ、という声が聞こえたような気がする。
椅子からは戻ってますかね?
あ、戻りましょう。戻ってベッドに寝ます。
はい、じゃあ戻ったところで、記憶が…意識が失っていきます。
はい。
3日目です。
目が覚めた。あなたは相変わらず手術室にいます。
視界はクリアーになっている。
体の調子も昨日より良くなっている。
そこへ、また男の声がする。
コンコンコーン、入っていいかーい。
あ、どうぞ。
おはよ、調子はどう?
昨日よりはだいぶ良く。
あ、良かった。
いや、夜中のうちに目の検査して、ちょっと直しておいたんだけど、大丈夫?
こんなことできるんですか、先生。
うん、そうそう。僕は名医だからさ。
先生、外科が…外科が専門って…
いや、僕は脳神経外科が。
脳、あ、そうです。脳の外科ですよね。
そうそう。
いじりました?
何を?
目は触らせてもらったよ。
うーん。
先生、なんか僕に変な薬とか飲ませてません?
いや、ないないない。
なんかスッとよく眠れるんですけど。
あー、体が疲れてるってことじゃない?
そうか、そうなんですかね。
うーん。
まあ、なんか体も元気そうだし、後は記憶を戻すだけだね。
記憶は初日2日目とちょっとずつ戻ってきてる気がします。
お、それはいいことだね。
じゃあ、今日もお話してもいいかな。
お話してもいいんですけど、先生のクイズというか、あれだいぶ気持ちが落ち込むんですけど、今日もそんな感じですか?
あー、ダメ?
いや、ダメじゃないですけども、治療ですもんね。
いや、ぜひぜひお願いします。
じゃあ、そう言われるとちょっと出しづらいなーって言いながら、物騒な絵を出してきますね。
あー、うん。
はい。
話しづらいな。
君は臓器くじっていう考え方を知っているかな?つまりは覚えているかな?
いや、初めて聞きます。
これはね、ある人間を1人積極的に殺して、それより多くの人間を助けることは良いことだろうかっていう思考実験なんだ。
これは次のようなルールがある。
1、公平なくじを健康な人に引いてもらう。当たりが出たらその人は殺される。
2、殺された人の臓器をすべて取り出し、臓器移植が必要な人々に配る。
3、移植は必ず成功するものとする。
4、くじに不正行為は起きないものとする。
5、これが一番大事なんだけど、人を殺す以外に臓器を得られないものとする。
今のような臓器移植のシステムがないってことだね。
うんうんうん。
その代わりのシステムがこれってことだ。
うんうん。
これについて君はどう思う?
目的と方向性の最終地点、何を目的とするかによると思います。
というのは?
例えば国家、国が人口維持。
そしてその人口維持した結果、健全な社会生活をシステム維持するためだったら、このくじっていうのはシステムとして考えたら誰かが考えつきそうだなと思います。
でも、もし僕の親しい人がくじで殺されるってなったら
僕はその親しい人を守りたいと思ったら、そういう目的を持ったら全力で否定すると思います。
すごいエゴイズムなこと言ってますね、僕。
君がそういう考え方をする人だっていうことがよく分かった。
ああ。
君は国のシステムの話を最初にした。
うん。
ということは、君はこの臓器くじっていうシステムについて、国という大きなもので見ていけば良しであるという意志だったんだよね。
合理的に考えて、その方が多くの人が助かるっていう結論になるのかな。なるんでしょうね。
そう思ったから最初そういう言い方をした。
だけど、そこから、もしこれ殺される人が君の大切な人だった場合っていう違う角度からものを見た。
ヒューマニズムですね。
そうだね。
革命ですね。
そうだね。
もう爆弾持って走り出しますよ。
国をひっくり返そうっていうのかい?
ひっくり返しましょうね。
なるほど。
すごい非合理的だな。
君は合理と非合理が同居しているね。
そうか。先生と話していると、僕って取り戻す記憶が全然違うな。
僕そういう人だったんですね。
でも実に人間らしいと思うよ、僕は。
もうちょっとシュッと一本通っている人かと思ったら違うな。
そりゃあさ、僕だって医者だから。
たくさんの人が助かるっていうシステムはとてもありがたいものだと思う。
だがこのくじで当たったものが秋田だと思ったら、それはもうゾッとするね。
そうですね。
そこで革命を起こそうとまでは僕はちょっと思わなかったけどね。
なるほど。
先生、今日もだいぶ気持ちが落ち込む話題ですね。
すまないね。でも君は割と多角的にものを見る人だっていうことは分かったよ。
自己の認識
なんかおいしいハンバーグの話とかしましょうよ。
そうだね。
じゃあもうこれは引っ込めておこうかな。
はい、そうしてもらって。
じゃあ君はハンバーグ好きなんだい?
ハンバーグね、ハンバーグ好きですね。
いつまでも子供時代なんで。
あ、ハンバーグ好きってことを思い出しましたよ。
先生、名医ですね。
そうだろう。
先生、そんな名医の先生に相談なんですけど、
私は今日3日目で退院できるんですか?
そうだね、もう一回一通り体の検査をして、
それが良ければ夕方もしくは明日の朝ぐらいには退院かな。
うーん。
その検査っていうのは何時ごろからどれくらいの何をするんですかね。
そうだね、夕方ちょっと体調とか体の動かし方とか、歩いても倒れないかとか、
こういう血液検査とかをして、お帰りいただくって感じかな。
先生、僕そろそろ手術室から一回出てみたいんですけど。
そうだね、じゃあその検査が終わったら許可を出すよ。
終わったら。
わかりました。
じゃあ僕は急いで君のためにね、急いで外来を見てくるよ。
はい、わかりました。じゃあまた後で。
はい、じゃあまた後で。
そして医者はひらひらと手を振って出ていきます。
今日はあなたはかなり調子がいいです。
ここを調べることができるでしょう。
扉まで行けちゃうんですね。
はい。
扉。隣の部屋についている扉。
今の体の調子ならあの子に会いに行ける。
行きましょう。
行きますか?でもガチャッと開けちゃいます?
なんか脳みそだけな気がするんだよなぁ。
大丈夫かなぁ。
やめときます?
ノックしてもいいですか?
はい、どうぞ。
じゃあノックをします。
はーい。
こんにちは。
あ、ペロルさんだ。こんにちは。
調子どう?
今日はすごく調子が良くて。
扉を開けてそっちまで行けそうなんだけど
行ってみてもいいかな?
もちろんもちろん。
ぼさぼさでも笑わないって約束してくれたらいいよ。
笑わないし、最終確認なんだけど
脳みそだけとかじゃないよね。
だからおしゃべりしてるじゃーん。
そうか。
じゃあ行ってみましょうか。
はい。
ではガチャリと扉を開ける。
はい。
隣の部屋は薄暗い。
部屋の中央がぼんやりと光っている。
そこにはベッドがあった。
そしてそのベッドに横たわっていたのは
あなた自身だった。
もちろんあなたはベッドのそばに立っている。
立って横たわる自分を眺めている。
ではベッドで寝ている自分は誰なんだろうか。
どうして自分が二人いるのだろうか。
アキラの危機
異様な光景にあなたは正気度を失います。
チャットパレットの一番上、正気度ロールというのを振ってください。
はい。
失敗です。とても動揺したようです。
はい。
1D10。10面ダイスを1個振ってその出た分だけの正気度を失います。
はい。
チャットパレットの下にダイスの形がいくつかあると思うんですけど。
はい。ありますね。
真ん中がD10って出てくると思います。
はい。D10が出ました。
それを1回押してください。
はい。
そして送信を押してください。
はい。
10面ダイスを振ったらD10が出ました。
はい。
ということであなたは3値正気度をD10失います。
すごく動揺してびっくりしました。
はい。してますね。
はい。
そんな、「え?え?」ってなっているチロルさんに
あれ?大丈夫?もう来た?
という声がかかります。
はい。
ただその声は自分の寝ている体からは聞こえません。
はい。
おーい、チロルさーん。
ん?どこにいるんだい?
え?どこ?ここここ。
ここ。
こっちだよ。
暗くてよく見えないんだけど、どこにいるのかな?
暗いの?この部屋。
うん。真っ暗だよ。
ごめんね。私が目が見えないからお父さん電気消してるのかも。
うんうん。
こっちだよ、こっちだよって呼びます。
声のする方に行ってみます。
はい。ではそちらに向かうと。
はい。
ベッドの脇に置いてある機械が付随したシリンダーから声が聞こえてきている。
そのシリンダーは緑の液体で満たされており、中には脳みそが浮かんでいた。
アキラの声はそのシリンダーに付随していた機械から聞こえてきている。
え?なんか悲鳴聞こえた?え?私そんなボサボサ?
いや、大丈夫。
大丈夫?あ、よかった。
うん。
なんか、チロロさん変だよ。
うん。いや、そんなことはないよ。
そうか。
あー、目が見えないんだね。
うん。
もうずっとそこにいるんだね。
そう、そうなの。体は動かなくって。
そっか。
うん。
お父さんはいつ頃治るって言ってるんだい?
うーんとね、お父さんずっと治る方法を探してるって言ってる。
一生懸命やってくれてるの。
治る方法を探してる。
うん。
そうか。
自分の話をしてると後ろから声がかかります。
体の移植の提案
もうそんなに動けるようになったの?
もうちょっとかかると思ったけど。
あー、先生。
うん、先生あの。
あー、君には全部話をしないとね。
いや、先生、大丈夫。
あの、僕何も見てないし何も聞かなかったから
そろそろ帰ろうかな。
そう?
うん。
今一つお話とお願いがある。
ちょっとだけ待っててくれる?
あきら。
何?お父さん。
僕今からこのチロルさんとお話があるからさ
ちょっとね、出てくれない?
え?お父さんずるい?
私がチロルさんと先にお話してたのに
なんでいつもお父さんば。
うん。
すまないね。
あきらちゃんはずっとこういう状態で。
そう、そうなんだ。
あきらはね、体の原型がとどめられないほどの重症を事故で負ってしまった。
なんとか脳だけは保存できたんだ。
幸い私は交流があった。
そういったことができる種族との交流がね。
種族?
うん。
種族と交流があった。
そう。
そしてね、ベッドにいるのは君自身の元の体だ。
ああ。
今の君の体は作り物だ。
尻尾生えてるしね。
尻尾はもともと生えてたよ。
そうか。
人形にね、君の脳みそを映し替えさせてもらった。
いやあ、君が細胞具って言った時には驚いた。
うん。なんか、ずっと冗談半分で言ってたんだけど。
うん、ショックだなあ。
最初はね、息子を人形に接続しようとしたんだ。
でもうまくいかなかった。
機械に映し替えるには時間が経ちすぎていたらしい。
うまく順応してくれないんだ。
でも、君の体なら。
適正率98%の君の体なら、きっとこの子に馴染んでくれる。
そしてその人形の体も君に馴染んでいるだろう。
ちょっとした調整は必要だったけど、適正率は97%だったからね。
98と97。
ああ。
治療の最初の名前のない適正率が息子さん?
いや。
それは違うんだ。
彼と彼女として、体をくれる人が害に馴染むかどうか。この適正率。
なるほど。先生は僕に。
名前がなかったのはね、僕の欄だ。
先生は今、どういう状態なの?
僕は普通の人間だよ。僕の体もアキラには合わなかった。そういうことさ。
それを試して、元に戻れてるんだ。
そう。
やつの技術は完璧だ。
その体を使うことで直ちに支障が出ることはない。
ただ、君が嫌だと言えば100%失敗せずに君の体に君の脳を戻すことができる。
嫌だと言わなかったら?
そこでお願いだ。アキラのために君の体が欲しい。君にはその機械の体をあげよう。お願いだ。君の体を譲ってはくれないか。
選択の結果
何個か確認したいんだけど、たぶん聞いちゃダメなんだと思うんだけど。
全部答えるよ。僕は自白するからね。
あー、最初に繋がってくるんだ。
その種族っていう人たちは誰なの?
世の中、というかこの地球にはね、いろんな種族が訪れてきている。宇宙からとかね。
なるほど。もう一つ聞いても、僕が機械の体のままでいたら何か不都合ってある?
いや、奴らの技術は本当に完璧だ。この体を使うことで直ちに支障が出るようなことはない。
ただ、何分初めてのことで、どうなるか保証はできないけど、僕が生きている限りは君のメンテナンスは必ずする。
元の体は確か右の膝があまり良くなかった。それも直しておいた。
航機乗るとき、金属探知でピコーンとか言われない?
そんな技術は使っていないさ。大丈夫だよ。
先生、生きている限りメンテナンスって言うけど、先生はおいくつ?
僕?43。
いいんじゃないかな?取り替えて。
いいのかい?
合理的に考えたら、それが一番いい気がするね。
意味はないでしょ?
テセオスの船の時にもそう言った。
うーん。
ああ、二つ目に繋がるんだ。
うーん。
そうだね。
うーん。
いいんじゃない?
うん。
よし、いいよ。そうしよう。それで行こう。
わかった。ありがとう。
そう言うと、医者は?何かありますか?
ちょっと下世話な話なんですけど。
本当に一切の日常生活、何もないんですもんね。
はい、そうです。
じゃあ大丈夫です。
では、医者があなたの目の前に手をかざす。
あなたの意識はスーッと遠くなっていく。
あなたが気がつくと、自分の家に戻っていました。
失われた記憶も戻っている。
病院での出来事も覚えている。
あれは夢だったのか、現実だったのか。
人、体のある一部分が、よく見ると分かることだが、
他の部分と違いろになっていることに気がつく。
果たしてその体は本物なのか、偽物なのか。
それがはっきりするのは、もう少し後のことだろう。
のどかなちろるさんの最後の一言、最後の一シーンをロールして終わりたいと思います。
あなたはどうしているでしょうか。
どうしてる。またベッドの上でぼーっとしてるんじゃないかな。
特におしゃべりとかもせず。
うーん、まあ、あきらちゃんどうなったかなーって考えてるんじゃないでしょうかね。
なるほど。
うーん。
一つ聞いてもいいです?
もちろんです。
色が変わっているところっていうのはどこなんですか。
特に限定はシナリオの中にはないのですけど、どこがいいですか。
なんか右膝直してもらって右膝の色変わってたら、
ああ、なんか直ってるんだなーって思いますよね。
右膝の膝こぞのあたりがちょびっと違うかもしれません。
うーん。
ああ、なるほど。これで、今、最後の場面なんですね。
そうです。
ああ。
いや、なんかすごい勘弁させられた。
はい。では、シンクテルフシンワティRPG、片城、これにて終幕です。お疲れ様でした。
ありがとうございました。
はい。初めてのDRPGでしたが、いかがでしたか?
えっと、僕まずさくらさんに謝りたいことがありまして。
はい、何でしょう。
あの、僕普段からそういう冗談、僕、攻殻機動隊とか好きなんで。
ええ、ええ、ええ。
あれ?脳みそだけなんじゃない?とか。
ええ。
あれ?この体本物?とかでも冗談言ってたんですけど。
はい。
まさに脳みそでごめんなさい。
まあ、いい、いい。すごいなって思ってました。
たぶんね、SF脳とオカルト脳が同居してるんで。
どうしようって思ってましたけどね。
そうですよね。僕も、これ脳みそなんじゃない?って3回聞いた後に本当に脳みそだったから、「おお!」って、マジかとなっちゃいました。
でも途中ずっと喋れてるって言うから、「ああ、そっかそっか。大丈夫、大丈夫。」って思ったら、
まさか脳みそに電話が直結されてるパターンとは。
まさかの。
まさかの。
え?これ?
はい、はい、はい。
あ、あれも。あれはなんですか?
お医者さんの手作りなので。
ああ、だからなんかこう、そこはそういう方々の技術じゃなくて、手作りで作ってるんですね。
技術を聞いて、一生懸命自分なりに頑張って秋田のために作った脳漢です。
ああ、そうなんですもん。
そういえばちょっと前にやったスマホのゲームもそんなのあったな。
そうなんですね。
その脳みそだけの彼女のために、敵を倒して部品を集めてくるってゲームがあったんですよ。
ロボット関係の敵ばっかり倒すとロボの体になって、
肉肉しい生き物を倒すとその体ができてくるんですけど。
うわー、なんかありましたね。
それともさんはどっちを集めたんですか?
僕ですね、僕は機械の方はできるだけお金に変えて、本当に肉体を集めてたんですよ。
ゲームの倫理的ジレンマ
でもこのゲーム面白いというか、人を殺したり動物を殺したりして肉体を集めると、
彼女が途中から、この肉体の素材はどこから手に入れたの?と。
そうですよね。
あなたはまさか人なんて殺してないわよね?って言うんです。
そうなんですよ。言うんですよ。
でも僕は彼女のために思って一生懸命人を殺しながら嘘をつきながら、殺してないよって。
そういう嘘をつきながら集めるんですけど、
最終的に、たぶんこのゲームする人いないと思うので言っちゃいますけど、
最終的に彼女に気づかれて、彼女が自殺しちゃうんですよね。
何のためにやってきたのかっていうゲームだったんですけど、
そんなゲームをしてるとね、オカルトのようになりますよね。
そうですね。それもまたちょっと片代的な考えさせられるゲームですね。
これ舞台化されたっていうことは、舞台で今のお話を。
舞台化のプロセス
ちなみに、舞台上の最後の主人公の決断はどっちなんですか?
シナリオはないんです。
いろんなお客さんにシナリオを渡さずにこれをやるんです。舞台で。
舞台でもそうなんですか?
はい、そうです。
たくやさんはこれ何回いろんな人とやったんですか?
私がやったのは5人目。
僕で5人目。
ということはじゃあ多数決が出ますね。どっちの方が多いんですか?
そうですね。その辺の話は一応配信を切ってからにしましょうか。
そうですね。なるほど。そうですね。
分かりました。楽しかったなぁ。
またありがとうございます。ぜひまた遊びに。いろんな話があるので、遊びに来ていただけると嬉しいです。
すごい楽しかったです。自分が演じてるっていう部分もどこかにありながら、
自分というかこのキャラクターとはどう考えるだろうって思って、すごい頭をぶつかったんで。
ちなみにこういうストーリー不神話的じゃなくて、明るいというか雰囲気のお話もあるんですか?
いっぱいいっぱいあります。ただのギャグでもあります。
じゃあぜひまた呼んでください。
はい。じゃあぜひお願いします。
ありがとうございます。ぜひ。
ではこれで配信を切りたいと思います。お疲れ様でした。
はい。ありがとうございました。お疲れ様でした。ありがとうございました。
01:20:51

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