00:00
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道ス黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は、生徒の学力が上がったと思った瞬間についてお話ししたいと思います。
ずっと昔のことを考えると、かなりいろいろあると思うのですが、古すぎて覚えていないこともあるので、ここ10年間で学力が上がったと思った瞬間を思いつくまま話していきたいと思います。
なかなか国語科というのは、数学とか英語みたいに客観的に測れる物差しが絶対的に存在することが少ないから、学力が上がったとか上がらないというのは、測りにくいのです。
授業で教えたからといって、すぐに模擬試験の偏差値が爆上がりすることはほぼありません。
なので、なかなかその辺を測ることは難しいのですが、私が体感的に、この瞬間に生徒の学力が、言葉の力が上がったのではないかと思うエピソードについて話してみます。
まず最初は、全人校で作文とか文を綴るとか、言葉が出るというのがなかなか難しい男子生徒がいまして、何か書けと言ってもすぐに言葉が思いつかないわけです。
その生徒と1年間いろいろ観察し続けて取り組んできまして、書くのが苦手な子はいっぱいいるのですが、
学校設定科目で、ずっとその子たちが夢中になれるような課題を、どんどん単元添加していったわけです。
その子も本当に最初は全然書くことないとかいう感じで、投げやりな態度をとっていたのですが、ICTの扱いがだんだんテキパキできるようになって慣れてきて、
自分が調べたりとか、それからタイピングしたりというのがだんだん慣れてきて、
その単元構成自体が自分が主体的に取り組めて、そしてワクワクするような課題が多かったので、その子も本当に真面目に取り組み始めまして、
スライドのデザインとかに凝ったりとか、自分が思ったこと以上にスライドの出来がだんだん良くなっていくのでのめり込みまして、
夢中になってパフォーマンス課題作りに取り組み始めるようになりました。
とても良く熱心に取り組むようになったので、ある日聞いてみました。
なんかこれさささっとねスライド作ってるようなんだけど、今までそうじゃなかったじゃない?どうしてそういうふうなことができるようになった?
っていうふうに聞いたんですね。
そしたらその男子生徒は、今までは何か書こうと思っても頭の中に全然言葉が浮かばなかった。
それに文章を読んでも何が書いてあるかもよくわからなかった。
だけど繰り返し繰り返し読んだり書いたりしているうちに、だんだんと書いてある文章が前後の意味が取れるようになってきた。
03:07
わからない言葉があってもそこを飛ばしても前後の意味が取れるようになってきた。
それから表現する時も、今までだったら言葉が思い浮かばなかったんだけれど、なぜかわからないけどパッと言葉が思い浮かぶようになってきた。
っていうふうなことを言ったんですよ。
すごいことだと思うんだけど、すごいですよねこれって。
繰り返し読んだり書いたりすることをずっと頑張ってくると、そういうふうになるんだと思って。
でもやっぱり一番仕掛けを作らないといけない部分は、その子の興味関心にあった題材で、
その子にしか書けない内容、その子が誇りを持って取り組めるような課題で、
しかもICTの拡張性に助けられて、自分の力をサポートしてくれるものでやったことが一番良かったんじゃないかなと思うんですよね。
そういうふうに生徒が夢中になって集中して取り組む中で、言葉の力はついていくというふうな、
そういう確信を得たその子のお話でした。
それから2番目にこれは学力ついたなと思うのは、
これは前々人口で、功夫と流法をやったんですけれど、結構ガチな大単元をやって、
前もお話ししたような気がするんですけど、功夫と流法の大単元で、
いろんな古典教材と組み合わせてナンバー2に学ぶっていうのをやったんですよ。
そういう大きな単元をやって、最終的にナンバー2っていうのはどういう存在なのかっていう作文を書かせるときに、
もう夢中になって書いてるわけですね。言葉知るように書く。
そのナンバー2に学ぶっていう最後の締めくくりの作文が、本当に一人一人それぞれ深く考えた内容が出てきて、ありきたりのものがすごく少なかったんです。
自分の生活に結びつけて、自分は今までトップリーダーっていうものに全然なれなかったけれど、
チームを動かすのはトップばかりではない。むしろチームをフォローするようなサブリーダーとか、
トップをフォローするような副キャプテンとか、そういった人こそがチームを動かす力を持っている。
私は誇りを持ってサブリーダーを務めたいっていうようなことを書いてるようなね。
もう本当に自分の立ち位置を自ら考えて、認識が深まって、それを一生懸命文章に綴っているような素晴らしい文章が出来上がった瞬間に、
力がついたなって思いましたね。これもやっぱり自分ごとにしていく教材を与えて、
そして深くいろんな複数教材と組み合わせながら考えが深まっていったからだと思うので、
06:00
このポイントはやっぱり複数教材との組み合わせと現在の自分の問題意識とぴったり合った瞬間に、
素晴らしいものが書けるっていう状態になるんだなっていうふうに思いましたね。
それから別の取り組みでは、これまた竹取物語を読むっていう単元をやりまして、
生徒と8時間ぐらい竹取物語を読んだわけなんですけれど、最後のまとめの授業は研究授業だったんですね。
その時に竹取物語は何を描いた作品かっていうのをグループでいろいろ情報交換して共有して、
そして最終的には一人一人が授業の最後で発表をね、指名されてするっていうそういうふうな授業だったんですけど、
まあ普段ね、あんまり発言もただただしかったり、それから片言っていうか短い言葉で喋ったりっていう生徒も、
様々な共有、隣同士と共有、4人グループで共有、ぐるぐる回りながら共有、
そして書いたり直したり、また考えを深めたりっていうインプットとアウトプットをものすごく回していったんですよね。
その結果最後に自分にとって考えた竹取物語っていうのはこういう物語だっていうのを発表してもらうときは、
堂々と言葉豊かに発表するようになりまして、しかも根拠付きでね。
そういうワークシートを与えたっていうのも良かったんだけど、やっぱりいろんな人と情報を交換して、
そして自分はじゃあこの情報とこの情報、この情報から自分はこう考えるんだっていう、
そういう拡散と収束がうまくいった授業だったんですね。
そういったところでやっぱりいろんな人と多面的に意見交換することによって意見が醸成されていくと、
こういうふうなことで国語力が上がっていくんだなというふうに感じた授業がありました。
こんなふうにここ10年間くらいかな、国語の力が、言葉の力が爆上がりしたんじゃないっていうことについて語ってみました。
こうするとキーワードとしては、やっぱり興味関心があって自ら主体的に取り組む授業、
自分にとって必要だ、考えたいと思うような課題を与えて、そして繰り返しインプットとアウトプットを回すこと、
そして仲間と情報交換して拡散と収束を繰り返すこと、
でICTっていうアシストをもらうこと、こういったことで生徒の国語の力が上がっていくんじゃないかなっていうふうにまとめられるのではないでしょうか。
ということで、なんか思いつくままに配信したんだけど、結構いい感じにまとまりましたね。
これを一つの私のきっかけというか、こういうふうなことで学力が上がるんじゃないかなということがまとまりましたので、
また次へのステップ台にして考えていきたいと思います。
09:02
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。