00:02
内科医たけおの心身健康ラジオ。皆さんおはようございます。たけおと申します。この放送では医療にマッサージをちょっと役に立つ小話を毎朝5時50分に10分程度で配信しています。
また毎朝5時半からライブをやっていて公開生収録や皆さんからのご質問やリクエストに直接お答えしたりしています。
アフタートークも人気です。ぜひご参加ください。ということで、先週から始まりましたシリーズ認知症ですけれども、
今日は5回目です。毎週日曜日は医師国家試験にチャレンジ医師国家試験クイズをやっているんですけれども、
今日は認知症に関連する問題をピックアップしてみましたので、ぜひ一緒にチャレンジしていただけたらと思います。
今回取り上げるのは第115回の医師国家試験の問題の57というやつですね。これを一緒にやっていきたいと思います。
じゃあ問題読み上げます。
63歳の女性、倦怠感、だるさを主僧に、夫とともに来院した。
夫から見ると以前と比べてぼーっとしているとのことであった。36歳と57歳でうつ病と診断されている。
2回とも抗うつ薬を服用し、6ヶ月程度で回復し、1年ほど投薬を続けた。その後は抑鬱感を認めていない。
うつ病の時期を除いて仕事は順調で、職場では事務能力を高く評価されていた。
仕事は順調であったが、3ヶ月前、自分に合わない上司に変わったことを嘆いていた。
2ヶ月前から体がだるい、疲れやすい、頭痛がすると訴えたため、自宅近くの診療所を受診し、抗不安薬と睡眠薬を処方された。
薬物を増量しながら仕事を続けていたが、1ヶ月前から仕事の捗りが一流しく悪くなり、周囲から見てもぼーっとしている時間が長くなった。
3週間前から仕事に行っても仕事にならないため、自宅で休養していると言う。
本日受診時、ぼーっとした表情であり、少し暗い感じであった。
かいて、長谷川式簡易値の評価スケール、これが長谷川式ってやつですけど、通称。
9点、30点満点。
回答には非常に時間がかかった。
この時点で最も可能性の低い疾患はどれかということで、低い疾患ですからね。
可能性高いやつを考えていって、最後に残るのはどれですかっていう、そんな感じですね。
A、うつ病。
03:00
B、慢性甲膜科結腫。
C、甲状腺機能低下症。
D、アルツハイマー型認知症。
E、精神作用物質使用による精神及び行動の障害。
ちょっとEが難しいですけども。
ということで、いかがでしょうか。答えてください。
選択肢言いますと、Aがうつ病。
B、慢性甲膜科結腫。
C、甲状腺機能低下症。
D、アルツハイマー型認知症。
E、精神作用物質使用による精神及び行動の障害ということになっております。
これね、正直ね、僕も難しいなと思いますね。
これ、いかがでしょうか。
やっぱり割れてますね。
Bでお願いします。
Bは、慢性甲膜科結腫ですね。
答えは一つです。
B、B、B、D、Aにしますが、Eが引っかかります。
E、B、D、B、B。
そうですね。
これは難しいかなと思います。
これは正直あんまり良い問題ではないんですけれども。
これちょっと僕が心配になってきましたね。
もう一回正解確認していいですか。
ちょっとあまりの割れもんで、僕も心配になってきましたが、
そうですね、正解はDですね。
Dのアルツハイマー型認知症が最も可能性が低いというのが公式回答になっております。
ということで、どうですかね。
これね、ちょっと難しいというか。
詳しくは明日、認知症の診断の部分をお話ししようかなと思うんですけれども。
これね、ぱっと見ですね。
特に医療者はですね、この長谷川式って多分一回見たことあると思うんで、
これ30点中9点しか取れてなかったら相当な認知症なんで、
アルツハイマー型認知症というのにちょっと飛びついてしまいたくなると思うんですよね。
なおかつ、いろんな症状、ぼーっとしているとかですね、
06:00
あと何ですか、だるさとか頭痛とかですね、
こういった身体症状もアルツハイマー型に限らず認知症に伴って出てくることもあるんで、
これD選びたくなると思うんですけれども、
ただちょっと順番に検討すると、まずAの鬱病ですね。
これはあり得ますよね。
これ今まで2回でしたっけ、鬱病で治療を受けていて、
それがもう1回起きているっていう、
特に上司が変わった鬱病というか適応障害、
適応障害もちょっと難しい病名なんですけれども、
かどうかちょっとあれですけれども、
前2回がどういう要因で鬱なのかわからないんですけど、
鬱病って診断されてるんで、
それの再発っていうのは十分にあり得るかなっていうのですね。
Aはあり得ると。
Bが一番多分悩ましいと思うんですけれども、
これ一般の方はあんまり知らない病気かもしれないですけれども、
万生甲膜下血種っていうので、
特に高齢者に多い病気なんですけれども、
頭の脳と頭蓋骨の間に甲膜っていう膜があるんですけどね、
甲膜、胸膜、卵膜っていう膜があるんですけれども、
その膜の下に血種、要は血だまりができるっていうような病気で、
それが大きくなってくると脳を圧迫して、
こういう認知症っぽい症状が出てくるっていうのがあるんですよね。
これだから、明日お話ししますけれども、
トリートブルディメンチャーっていって、
治療可能な認知症の一つとしてよく知られてるものなんですけれども、
ただこれ基本的には、
高齢者でよく転倒を繰り返す方とかに多い病気なんで、
これ、この病歴から、
これで転倒むちゃくちゃしてるとかですね、
あとは抗血小板薬っていう血のサラサラ薬とかですね、
飲んでいてとかっていうのだったら、
より可能性高いかなと思うんですけれども、
この病歴からだけではなんともっていう感じで、
保留っていう感じですかね。
Cもですね、
C、甲状腺機能低下症。
これもですね、この病歴からだけではなんとも言えないんですけど、
これ例えば、何でもいいですけど、
便秘が最近多いとかですね、
そういう追加情報があったら、
より甲状腺機能低下症っぽい感じなんですけれども、
その辺の情報はあんまりないんですけれども、
でも、これも慢性甲膜下血と同様で、
見逃してはいけない、
治せる認知症というか、
治せる認知機能障害の一つとして非常に重要ですし、
これ採決したら一発でわかりますからね。
だからこれは考慮に入れないといけないっていう感じかなというふうに思いますね。
Dは先ほど言った通りで、
Eですね。
Eはむしろこの方に関してはEを一番考えるかなっていう感じで、
精神、作用、物質、腫瘍による精神及び行動の障害、
ちょっと長ったらしい名前になってますけど、
要は薬剤性っていうことですよね。
この方は診療所で抗不安薬、
いわゆる安定剤と睡眠薬を処方されていて、
09:00
なおかつ薬を増やしていっているということで、
でも全然改善しないばかりから余計に事態が悪くなっているということで、
抗不安薬とか睡眠薬の盛りすぎ、
合ってない薬をどんどん増やしていって、
ぼーっとしているいわゆる経民傾向というふうに言いますけれども、
そういうので長谷川指揮をやっても全然点数取れないみたいなことって、
これ臨床上もたまにあるんですよね。
だからこういうのはまずはお薬を減らして整理するというところから始まるんですけれども、
Eは十分にあり得るかなという感じですね。
だからまとめるとAとEはこの病歴とかからも十分にあり得て、
BCは見逃してはいけない認知機能障害ということで可能性を考慮しようということで、
あとは典型的な認知症のいわゆる中核症状がないということで、
多分Dが正解というか可能性低いということになっているんだろうというふうに思います。
ということで、これはかなりの難問ですし、
実際の国種の正答率も30何パーとかだったかなというかなりの難問だったかなというふうに思いますけれども、
こんな感じで認知症の診断って実は結構難しいんですよね。
少なくともこの長谷川式って一番日本でよく使われている認知症のスクリーニングというのの検査なんですけれども、
これの点数が低いということだけで、認知症とかアルサハイマーとかそういうことを言えないということを知っておいていただけたかなというふうに思いまして、
取り上げさせていただきました。
ということで、今日も幸せな一日でありますように、
お会いできていただきありがとうございました。
興味津々。