ゲーテの多彩な経歴
皆さん、ようこそお越しくださいました。本日のながら聴きインタビュー、日本語版の司会進行を務めます栗村です。
この番組は、通勤中や課時の合間、作業中などに耳を傾けるだけで、楽しみながら心を豊かにできる教養、自己啓発チャンネルとしてお送りしています。
今日も盛りだくさんの内容でお届けしますので、どうぞ最後までお楽しみください。
えっと、まずは軽く最近の私の話なんですが、先日、毎朝の日課であるジョギングをサボってしまいましてね。
気合を入れて外に出ようとしたら、あまりの寒さに負けて二度寝をしてしまいました。
いや、もう本当に意思の弱さが身に染みましたよ。これじゃあ健康番組のゲストに怒られちゃいそうですね。
さて、本日お迎えするゲストは、世界文学史においてあまりにも大きな足跡を残された偉大な作家でございます。
若きウェルテルの悩みという作品名を耳にしたら、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
青春の葛藤や人間の感情を美しく描き、ヨーロッパ中に大反響を読んだその作者ご本人が、時空を越えてなんとこちらにお越しくださいました。
皆さん、盛大な拍手でお迎えください。
こんにちは、皆様にお会いできて嬉しく思います。
どうぞおかけください。遠路はるばるお越しいただいて感激です。では、椅子に座ってゆっくりお話を伺いましょう。
うーん、それでは失礼して座らせていただきます。
改めてご紹介いたします。本日のゲストは、ヨハンボルフガングフォンゲーテさんです。
ゲーテさん、本日はどうぞよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いできますか。
うーん、改めまして、ヨハンボルフガングフォンゲーテと申します。
1749年にドイツのフランクフルトアムマインで生まれ、詩人、小説家、劇作家、自然科学者、政治家など多方面で活動してまいりました。
多くの方々には若きウェルテルの悩みやハウストなどの作品で知られているかと思いますが、その他にも科学研究や行政にも関わるなど、様々な形で社会に関わってきました。
本日はこのような場に呼んでいただき、皆さんと直接言葉を交わせる機会をいただけることを大変嬉しく感じております。
いやー、実に多彩な経歴ですね。ところでゲーテさんといえば、皆さんも結構意外に思われるかもしれませんが、子供の頃ずいぶんいたずら好きだったという噂も聞きましたが。
まずはゲーテさんの老いたちや家族のことなどをじっくり聞かせてください。そもそもどのような家庭で育たれたのでしょうか。
ええ、私の父はヨハン・カスパールゲーテ、母はカタリーナ・エリザベート・テクストールといいまして、比較的裕福な市民の家庭でした。
父は法律を学んだだけでなく、自宅で教育を施してくれるような厳格な人でもありました。
読書や芸術、語学の勉強に重きを置き、幼少期から多角的な学びに触れる機会が多かったのです。
母は私にとって非常に愛情深く、のびやかな雰囲気を与えてくれた存在で、文学や物語にも親しませてくれました。
幼い頃から自然と物語を作ることや、言葉への興味を深めることができたのも、母の影響が大きかったと思います。
なるほど、家族がしっかりとした教育と愛情を与えてくれたのですね。
それは芸手さんの多岐に渡る才能を育む大きな土台になったんでしょうね。
幼少期に熱中した遊びや習い事などはありましたか?
熱中したものは絵を描くことや、詩を書くことなど表現活動が中心でした。
一方、父は語学に力を入れるよう強く臨み、ラテン語、ギリシャ語、フランス語、イタリア語といった欧州諸言語を学ばせてくれました。
おかげで言葉が持つニュアンスや音律の違いを肌で感じられ、それが後に文学へと発展していく上でとても役に立ったと思っています。
ただ、幼少期は同時に先生たちの厳しさに耐えられず、逃げ出したくなることも多々ありましたね。
厳しい教育環境の中にあっても、言葉と表現への興味が才能の源泉になったわけですね。
子供の頃から波外れた語学力を身につけていたとは本当にすごいです。
さて、そんな環境の中で、どのような人間関係や経験が後に大きく影響を与えていったのでしょうか?
若きウェルテルの悩みの概要
私は10代の頃にライプツヒへ移り、大学で法律を学び始めました。
ですが、そこでは文学サークルや芸術家たちとの交流が非常に刺激的でした。
特に当時の若い芸術家や思想家との議論は私の好奇心をかきたて、議論を重ねることで自分自身の世界観が豊かになっていくのを感じました。
そのように若い仲間たちと夢を語り合い、仕上げ曲を作り上げていく過程が、私にとっては宝のような思い出です。
また、恋愛などの個人的な感情の揺れ動きも創作意欲を駆り立てる大きな要素でした。
その後、法律家としての道を真面目に歩もうと決めたこともありましたが、文学的才能や情熱には逆らえず、つい創作に没頭してしまうことも多かったです。
そのように若い仲間たちや刺激ある環境が整っていたわけですね。すごく楽しそうな青春時代だったのではないでしょうか。
一方で、人生には失敗談や挫折もつきものですが、芸手さんが経験した大きな失敗談や転機となった出来事はありますか?
もちろん、私にも辛い経験はありました。
例えば、当時の恋愛関係の行き違いや、社会の中での自分の立ち位置を見失ったことなどは大きな悩みでした。
特に若い頃には周囲からの期待と自分のやりたいこととのギャップに苦しんだ時期がありました。
大学では邦楽を学ぶようにと言われ、父の期待に沿わねばという思いが強かった反面、私の心の底では文学や芸術への情熱が燃えていました。
その葛藤が作品にも投影され、若きウェルテルの悩みのような感情を前面に出す作品が生まれたのだと思います。
転機としては、やはり最初の大きな文壇での成功や公的な役職を得たことで政治や行政にも関わったことが挙げられます。
宮廷での働きや公務の経験は、社会を俯瞰する目を養う上でも重要でした。
結果的に文学だけでなく、行政面や自然科学の研究にも興味を広げる糸口になりました。
なるほど、挫折が創作のエネルギーとなり、また政治や行政の仕事を経て、さらに広い視野が開けていったわけですね。
これまで影響を受けた人物や作品としては、どのようなものが挙げられますか?
私が大きく影響を受けた人物としては、まず同時代や少し前の文学者や哲学者、それに劇作家たちが挙げられます。
例えばシェイクスピアの作品には深い感銘を受けました。
人間の感情の豊かさと複雑さを大胆に描く劇は、私の創作意欲を大いに刺激してくれました。
他にも、ホメロスや古典古代の詩人たちの序辞詩にも惹かれました。
彼らの各壮大な世界と、登場人物たちの普遍的な感情の動きは、私自身が追求していた普遍性の探求と深く結びついていたように思います。
また学問的な面では、自然哲学やスピノザの思想からも多くを学びました。
人間という存在を自然との関わりにおいて眺める姿勢は、私の作品世界にも投影されています。
影響の幅が非常に広いですね。では、どうして作家という道を選ばれたのでしょうか?
幼い頃から文学に親しんではいたと思いますが、実際に作家として本格的に活動しようと決断したきっかけは?
私はもともと法律家としての道を歩むはずでしたが、どうにも想像力や感情を表現したいという衝動が収まらなかったんです。
人間の内面に深く迫り、それを言葉で描き出すことに大きな喜びを感じていました。
また、社会や文化、さらには自然科学など多岐にわたって興味を持っていたため、文学という形でそれらを総合的に表現できるのが素晴らしいと感じたのです。
何度か現実と衝突し、放送の世界で生きていく道と作家として生きる道との間で揺れ動きましたが、最終的には自分の内なる声に従い、創作を人生の中心に据えようと思いました。
自分の思いや考えを文章でまとめ上げると、不思議と心が落ち着くところもあったのです。
ええ、内なる衝動に突き動かされてということですね。
自分の感情や思想を文章に消化させるプロセスは、表現者にとって極めて魅力的ですよね。
さて、芸手さんといえば思想面でも非常に深遠なものをお持ちですが、どのような主題や理念を中心においた思想をお持ちですか?
私の思想は人間性や自然との調和、個人の内面に存在する感情や理性のバランスに関心が深いです。
人間は自然の一部であり、その雄大な流れの中にある存在という認識を持っています。
また、理性と感情、そしてそれらを補う想像力のバランスこそが人間の可能性を最大限に引き出すと考えています。
私がよく用いた言葉として、多様性の中の統一というテーマがありますが、
これは自然の多面性や人間の多彩な感情をそれぞれ尊重しながらも、最終的には大きな調和の中で捉えようとする姿勢を示しています。
そうした姿勢が文学作品にも現れているのではないでしょうか?
大変興味深いです。まさに人間の感情や理性、自然との関係性を描いてきた大きな文脈をお持ちなんですね。
では、代表作の一つである若きウェルテルの悩みについて、詳しくお伺いしたいと思います。
まずは簡単にあらすじを教えていただけますか?
ええ。この小説は手紙形式で進む物語で、若い主人公ウェルテルが友人にあてた手紙を中心に展開されます。
ウェルテルはある地方に滞在し、そこで出会った女性シャルロッテに心惹かれていくんですが、彼女には婚約者アルベルトがいます。
ウェルテルは道ならぬ恋情に苦しみながらも彼女の純粋さや優しさに惹きつけられ、自分の感情を止められません。
彼の激しい感情の乱れや社会の常識とのギャップが描かれていき、最後には悲劇的な結末へと至る物語です。
手紙形式のため、ウェルテルの内面の変化や劇場が、読者の目の前でリアルに展開されるところが特徴です。
ええと、その結末は当時の社会に大きな衝撃を与えたと聞いています。
ウェルテルという若者が抱える悩みや絶望は、どのような時代背景やテーマと結びついていたのでしょうか?
当時のヨーロッパでは、合理主義や啓蒙主義の流れがありながらも、同時に人間の内面や感情を解放する新たな思想の潮流が生まれ始めていました。
いわゆる、シュトルム・ウントドラング・疾風怒涛と呼ばれる文学運動の時期で、若い世代の芸術家や思想家たちは、強烈な感情を躊躇せず作品にぶつけ、個人の感性を解き放つことを重要視していたんです。
ウェルテルの悩みは、その若い世代が抱えていた社会の規範と内面の衝動との矛盾を集約して描いた作品ともいえます。
恋愛という形をとりながら、実は人生の自由や自己実現という普遍的なテーマを浮き彫りにしており、当時の若者たちの熱い共感を呼び起こしました。
社会の抑圧と若者の強い感情の衝突が、あの悲劇的な結末へとつながっていくわけですね。
作品に込めたメッセージ
では、作品の見どころをもう少し掘り下げていただきたいのですが、どこに注目して読むとより面白いでしょうか?
まずは主人公ウェルテルの内面を示す手紙の文章そのものに注目していただきたいです。
手紙形式なので、ウェルテルの感情がストレートに伝わってきますし、彼の些細な言葉の変化から絶望に至るまでのプロセスが手に取るようにわかります。
また、登場人物の会話や自然描写の中にも、ウェルテルの心情や時代の思想が映し出されている点も見逃せません。
読者はウェルテルに共感するか、あるいは彼を危うく感じるか、読み手によって全く異なる感想を抱くかもしれません。
それこそがこの作品の醍醐味であり、感情の揺れ動きをダイレクトに味わえるところにあると思います。
なるほど、読む人によってウェルテルに対して抱く感情も違うでしょうから、本当に主観的な読書体験ができるわけですね。
ところで、執筆の際にはどのようなインスピレーションがあったのですか?また、どうしてこの作品を書こうと思われたのですか?
当時、私自身が体験した失恋や苦悩が大きな原動力となっています。
ある女性に恋をしたものの、彼女は他の男性と婚約しており、私の感情は行き場を失いました。
私が味わった苦しみや絶望感を作品にぶつけることで自己浄化しようとしたんですね。
同時に、周囲の友人たちが抱えていた悩みや社会との摩擦も作品に投影されていて、個人的な体験だけにとどまらず、多くの若者が感じていた葛藤を作品化したといえます。
また、インスピレーションの源としては、やはり先ほどお話したシェイクスピアや古典の悲劇作品、そこに自分自身の体験が重なり合って出来上がった部分が大きいです。
失恋や個人の体験が、あの名作を生むエネルギーとなったんですね。
では、作品で何を表現したかったのか、作者としてはどのようなメッセージを読み手に届けたいと考えたのでしょうか?
私、私が表現したかったのは、人間が抱えるままならない感情の強さと美しい理性との間で揺れ動く苦悩です。
人は理性的に生きたいと願いながらも、劇場に身を焦がす瞬間があり、そのギャップに誰もが苦しむ可能性を秘めています。
しかし、その苦しみこそが人間的であり、真の豊かな感性の表れなのだということを描きたかったのです。
ウェルテルの感情表現
特に当時は、恋愛における常念を抑圧する風潮も強かったため、こうした奔放な感情の表出が大きな議論を巻き起こしたわけです。
私はウェルテルを通じて、人間の心の奥底にある爆発的な力を認めるとともに、その激しい感情が破滅をもたらす危険性もあるという二面性を示したかったのです。
確かにウェルテルのようなキャラクターは、単に衝動的で破滅的ともいえますが、人間の本質的な部分を訴えかけてくる力があると思います。
ところで、作品の中でゲーテさん自身が特にお気に入りの場面はどこでしょうか?
個人的には、ウェルテルが初めてシャルロッテと出会い、一緒に踊ったり談笑したりする場面がとても印象深いです。
そこには若々しい喜びや期待、そして同時に切ない予感が漂っています。
読者はこれから始まる悲劇をうすうす予感しながらも、あの瞬間の輝かしい幸福に共感するはずです。
また、自然の美しい情景がウェルテルの感情の紅葉に重なり合い、そのロマンティックな雰囲気が、後の深い絶望を一層引き立てていると感じます。
ええ、あのシーンは読んでいても、まさに幸福と不安が同居する独特の雰囲気を感じ取れますよね。
逆に、執筆する上で苦労した場面などはありましたか?
最大の難所はやはり、ウェルテルの絶望が最高潮に達する場面と、それに続く悲劇的な結末でした。
自身の体験を元にした感情があまりにリアルすぎて、描いているうちに自分の心も大きく揺さぶられるのです。
読む側の衝撃も想像しながら、どの程度までセキララに描くか、何度も推考を重ねました。
結果的に当時の社会からは、若者を自殺に追い込む危険な作品だという批判も受けましたが、あえてその生々しさを抑えずに表現したのは、それこそがこの作品の存在意義だと考えたからです。
確かに当時は、ウェルテル熱という言葉が生まれるほど社会現象になり、自殺者が増えたという史実もありますね。それだけ強い影響力を持った作品だったわけです。
ところで、作品中のキャラクターに何かモデルは存在したのでしょうか?あるいは名前に特別な意味を込めていたり?
ウェルテルは私自身の投影が強いと言われることが多いですが、実際には私だけではなく、当時交流のあった数人の若者の要素が混ざっています。
恋をした相手や、その婚約者の性格なども、私の友人や知人たちの経験談が反映されている面があります。
名前については、ドイツ語で響きの良さや当時の一般的な名前を考慮しつつ少し異国情緒を漂わせるようなニュアンスを意識したところがあります。
ウェルテルという名前には、柔らかい響きとどこか憂いを感じるニュアンスを私はイメージしていました。
なるほど、そうした意図があのウェルテルという名前に宿っているわけですね。
それでは、この作品が社会的に与えた影響や意義はどのように捉えていますか?
当時、ヨーロッパ中でこの作品を読む若者が続出したと聞いていますが。
ええ、当時は本当に大きな熱狂を持って受け止められ、若者たちはウェルテルに自分を重ね合わせて、似たような服装をしたり、切ない恋を求めたりするブームまで生まれました。
同時に、一部の地域や当局からは作品の発禁措置や批判も受けました。
若者の感情を不健全に煽るとみなされた面があったからです。
ですが、この作品をきっかけに、個人の感情が文学作品の中心に据えられることの意味が大きく認識され、いわゆるロマン主義の盛り上がりにもつながったと思います。
また、社会の規範や常識に対して、一人の若者の内面が持つ純粋な力や破壊力をこれほどまでに突きつけた点も、当時としては斬新だったと言えるでしょう。
ええ、本当に時代を動かすほどの作品力を持っていたんですね。
創作のモチベーション
それでは、ここで少し休憩を挟みつつ、次のコーナーに移りたいと思います。
番組ではリスナーのみなさんからメールをいただいておりますので、ご紹介していきましょう。
最初のメールは、ペンネーム青空が好きさんからいただきました。
ありがとうございます。質問は、ゲーテさんは日々、創作のモチベーションをどのように維持していましたか?
落ち込んでしまった時の対処法などあれば知りたいです、とのことです。いかがでしょうか?
うーん、これは私自身も悩んだことなのですが、やはり自然に触れることで大いに助けられました。
森を散策したり、植物の研究をしたりするうちに、頭の中がリフレッシュされ、創作意欲が戻ってくることが多いです。
また、自分の気分が落ち込んでいる時こそ、むしろ、詩や日記を書くことで、その感情を作品に変換しようと試みます。
たとえネガティブな感情でも、表現に変えると自分の外側に出せるので、心が軽くなるのです。
なるほど、自然に触れながら心をリセットし、表現につなげるということですね。やはり人間と自然の結びつきは大きいようですね。
では、次のメールをご紹介します。
ペンネーム、パンヤノポロネーズさんから、作品を執筆する時に一番最初に決めるのはストーリーですか?それともキャラクター設定ですか?とのことです。
うーん、私はまずキャラクターの感情と葛藤を主軸に考えます。
その後で、ストーリーがどう展開するかを組み立てていくという流れが多いですね。
キャラクターが内面で抱える問題を見つめると、自然とそこからストーリーが生まれてきます。
特に若きウェルテルの悩みでは、ウェルテルの感情こそが作品の中核でしたから、彼の性格や感受性を作り込んだ上で、どういう運命を辿るのかを物語としてまとめ上げました。
キャラクターの感情が先にありきということですね。物語の要素よりも人物像をじっくり構築するのがゲーテ流、といったところでしょうか。
では、3通目、ペンネーム、歴史好きの南風さんからの質問です。
ゲーテさんの時代、出版環境は今のように整っていないと思いますが、執筆後の流通や出版はどうやって行っていたのでしょうか?ということです。
当時は印刷所や書店など、現代ほど大規模ではありませんが、やはりドイツやフランス、イギリスなどの主要都市に出版や流通の拠点がありました。
作品が一定の評価を得ると、手紙や口コミを通じて評判が広がり、地域を超えて売れるという仕組みでした。
著作権や契約の制度も今ほど整備されていなかったので、翻訳なども割と自由に行われ、気づいたら海外のどこかで自分の作品が出版されていた、なんてこともありました。
ただ、その分、多くの人に読まれる機会が増えたともいえます。
今のようにデジタルがない時代でしたが、人々の文化的好奇心は非常に高かったので、意外にも大きな市場が存在したわけです。
なるほど、口コミや手紙のやり取り、さらには翻訳を通じて広がっていったんですね。
貴重なお話、ありがとうございます。
さて、続いては会場の皆さんから直接質問を受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか?
はい、ではそちらの男性の方にご質問をいただきましょう。
今、ステージから降りてそちらへ向かいますね。
いやー、こうして直接お話しできる機会を設けるのは、なかなか臨場感がありますよね。
では少々お待ちください。
おっと、ずっこけてマイクを踏みつぶしそうになりました。
危ない、危ない。
えー、はい、こんにちは、えーと、お名前は?
なるほど、斉藤さんとおっしゃるんですね。
はいはい、それでご質問は?
ふむふむ、へー、そうなんですね。
わかりました。では早速ゲーテさんにお伝えします。
斉藤さんからのご質問は、ファウストの執筆にも多くの年数を要したと聞きますが、
一つの作品に長年取り組むモチベーションはどうやって維持していたのですか?ということです。
ゲーテさん、いかがでしょうか?
お答えいたしましょう。
ファウストは私のライフワークといえる作品で、若い頃から構想を温めつつ、
晩年に至るまで書き足し書き足しして完成に近づけていきました。
その原動力は、一度に全部を完成させようと考えるのではなく、
人生の変化に応じて作品自体も変化させていったという点にあります。
新たな思想や経験を得るたびに、自分の中でファウスト像も変わっていくのを感じ、
それを作品に反映することで常に新鮮な気持ちで取り組めたのです。
なるほど。人生の各段階で新しい発見があって、それを作品の形にアップデートしていくことで、
モチベーションを保っていたんですね。
斉藤さん、ご質問ありがとうございました。では、次に質問のある方はいらっしゃいますか?
えーと、はい。ではそちらの女性の方、今お伺いしますね。
よいしょっと、あー失礼しました。ちょっとマイクが引っかかってました。
早くワイヤレスを導入してほしいです。節実が重いです。
はい、到着しました。お名前は鈴木さんですね。はいはい。質問は?
おお、興味深い。分かりました。鈴木さんからのご質問は、
芸手さんが自然科学や植物学の研究にも熱心だったと伺いましたが、
文学以外の分野に取り組むことで得られた発見や喜びはありましたかとのことです。
大いにありました植物の形態学や色彩論の研究を進める中で、
自然界には驚くほど体系的かつ美しい秩序が存在することを見思って学びました。
文学の創作でも自然の節理に着想を得たり、
人間の感情を自然現象と重ね合わせて表現したりすることがあります。
作品の社会的影響
異なる分野を横断することで、私は自分の世界観をより広くかつ深く磨くことができたと思っています。
他方面への好奇心が作品にも反映されているのですね。
鈴木さん、ありがとうございます。では最後の質問をいただきましょうか。
どなたかいらっしゃいますか?はい、そちらの方ですね。ではステージから降りながら。
あ、またちょっとマイクコードが。すみません、本当に嫌になっちゃう。はい、よいしょ。
いやー、皆さんの視線が集まるとちょっと照れますが。そんなに私って綺麗ですか?
あ、今のは冗談ですよ、きっと。
さて、到着しました。お名前は佐藤敏夫さん。え、それって、それって、もしかするとシュガーとソルト?
佐藤敏夫さん、え、本名ではないって?
なーんだ、なるほど、少しびっくりしましたよ。
ところで、ご質問は?ほうほう、わかりました。ではゲーテさんにお伝えしますね。
ししシュガー&ソルトさんからの質問は、若きウェルテルの悩みが社会現象を起こすほどヒットした後、周囲からのプレッシャーや期待が大きくなったと思いますが、それが創作に及ぼす影響はありましたか?ということです。
確かに、若きウェルテルの悩みの大成功によって、世間の目が私に集中しました。
次の作品にも同じような劇場を描いてほしいという要望があったり、社会的批判もあったりとプレッシャーは大きかったですね。
しかし、そのプレッシャーを逆に糧にすることで、より深く多面的な作品を生み出そうと考えました。
実際、ウェルテルを発表した後の私の作品は、比練や劇場だけでなく、社会や自然、科学への視点をも盛り込み、より幅広いテーマを探求する方向へ進んでいきました。
結果として、執筆の幅が広がったと思います。
えーと、ありがとうございます。佐藤さんも納得された様子ですね。皆さん、たくさんのご質問ありがとうございました。
皆様、今日は本当に熱心にお話を聞いてくださって嬉しかったです。質問もとても興味深くて、私自身、話しながら改めて自分の歩みを振り返ることができました。
いえいえ、こちらこそありがとうございます。私自身もファンとして嬉しい限りです。さて、まだ私が個人的に気になっていることがあるんです。
実は、こうして現代に来られたゲイテさんにどうしても聞いてみたい質問がありまして。
例えば、現代のテクノロジーや文化を見て驚いたことはありますか?
インターネットという仕組みや、SNS、あるいは自動車や飛行機が当たり前にある時代をご覧になって、正直どう感じられますか?
うーん、まるで魔法の世界にいるような気分です。
一瞬で情報が世界中を駆け巡り、人々が文字だけでなく映像や音声を共有しているのを見ると、想像の翼がさらに広がった気がします。
一方で、多くの情報があふれかえる分、人間の内面が情報に支配されてしまう恐れも感じます。
現代の人々は外からの刺激が多すぎて、自分自身の感情や思想をじっくり内生する時間が失われてはいないか少し気がかりですね。
なるほど、それは確かに、豊富な情報がある一方で、内面を見つめる時間が削られる可能性があるわけですね。
もしゲイテさんが現代に生まれていたら、どのような職業や活動を選んでいたと思われますか?
私はやはり文筆活動や学問探求を続けたいと思うでしょうが、もしかすると映像やデジタル技術を使った新しい表現にも挑戦していたかもしれません。
例えば映画やゲームのシナリオで、人間の感情を深く描き出す試みなどに興味を持ったことでしょう。
対談のまとめとメッセージ
それによって、より多くの人々と共感や議論を共有できるのは魅力的ですね。
確かに、現代では物語も映像化されることが多いですし、ゲームなども新たな文学表現の場になりつつありますね。
最後に、現代の我々に何かメッセージがあればお願いします。
うーん、そうですね。どんな時代であれ、人間の心は喜びや悲しみに揺れ、そこから多くの芸術や学問が生まれてきました。
現代は情報やテクノロジーが発達し、より豊かな可能性を秘めているように見えますが、その分、精神的な疲弊も大きいでしょう。
どうか自分の感情や想像力を大切にし、自然や人との関わりを忘れないでいてください。
人間が持つ想像力こそが、新しい時代をより良くする鍵だと、私は信じています。
ありがとうございます。現代に生きる私たちにとって、とても示唆に富むメッセージだと思います。
さて、そろそろ番組のまとめに入りたいのですが、ゲーテさん、ここまでの対談を振り返って、最後に何かコメントはありますか?
本日お話しできたことは、私の反省のごく一部にすぎませんが、少しでも私の作品や思想に興味を持っていただけたら幸いです。
皆さんが、私の作品や他の文学作品を通じて、何かしらの感動や発見を得られたら、それが作家として最高の喜びです。
ありがとうございます。私たちも学びが非常に多かったです。
では皆さん、改めて大きな拍手をお願いします。ゲーテさん、ありがとうございました。
本当にありがとうございました。皆様、またお会いできる日を楽しみにしております。
さて、ゲーテさんにはご退場いただきますが、皆さんどうぞ最後まで手を振ってお見送りください。
それでは失礼いたします。お元気で。
ゲーテさん、本当にお疲れ様でした。さあ、これで本日のゲストトークは終了となります。
最後までお聞きいただいた皆さん、本当にありがとうございました。
番組をお気に召してくださった方は、ぜひチャンネルの購読や、いいね、コメントもお寄せください。
この番組はながら、聞きにも最適なポッドキャストとしてお送りしているので、もし何かに集中していて一部を聞き逃した。
なんて時は、ぜひもう一度聞き直してみてください。
私自身もよく寝落ち前のBGMとして聞き返すことがありますが、落ち着くし、勉強にもなるし、一石二鳥です。
ちなみに、英語版やフランス語版でも同じように配信していますので、外国語学習の教材代わりに使ってみるのも面白いかもしれません。
ほら、夜中にふと寂しくなって誰かの声を聞きたくなること、ありませんか?そんな時にも最適ですよ。
ええ、私も時々自分の番組を聞いて、あ、こんなトークしてたんだって思うことがあるんです。
意外と自分で自分に励まされるという、いや、悲しいやら嬉しいやら、笑。
とにもかくにも、これからもいろんなゲストをお迎えして多角的なトークを展開していきますので、ぜひ次回もお楽しみに。
では本日はこれにて失礼いたします。またお会いしましょう。