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二十歳の原点を読むことで、自分の考えは、どんな考えであっても、誰かの助けになるんだな、っていうのをすごく体感できた、マジで魂が震えた一冊でしたね。
こんにちは、よかちです。今日もマイ・ベスト・ブックスでは、ゲストのストーリーと共に一冊の本を紹介します。
今回の一冊は、二十歳の原点 1960年代を生きたとある女子大生の日記です。
ゲストは、数々の有名メディアで執筆されている、日本を代表するライターの嘉島唯さん。
社会と自分の関わりを描いたエッセイも人気の彼女と、現代社会を見る解像度が高くなる三冊をご紹介します。
今回の本を、自分の原点だとも語る嘉島さん。 この本の魅力についてお伺いしました。
まずは、この本のあらすじから教えていただきます。
マイ・ベスト・ブックス
この二十歳の原点という本は、1960年代の立命館大学に通う女子大生が書いた日記で、
1960年代の大学生、つまり時代は学生運動の中にいるわけで、その学生運動は、今目の前にある社会に対して若者たちが、これでいいのかというような問題提起をして、
様々なストーを起こしたり、反抗していくというような社会情勢の中で、筆者の学生運動と目指す社会に関して、自分も考えているつもりだし、考えたいんだけれども、目の前のつまらない男とかに翻弄されたりして、
そんなに社会の理想とか考えてるけど、私はすごく強く一人で生きていきたいし、社会も良くしていきたいと思ってるけれども、どうして孤独が癒されないんだろう、みたいなことをずっとつらつら書いているというような本の内容です。
この日記は、最後書いた高野さんという女子大生は、この日記を書いた後に自殺をしてしまっていて、だから実質遺書みたいな文章なんですよね。それがまた面白くて、何度も読むし、何度も書き写しました。
この本を開けば、まず圧倒されるのは美しい文章だと思います。二十歳とは思えない、大人びた視点から描かれる一節一節に引き込まれざるを得ません。
すごい綺麗な文章で、ついつい読める。最初の成人の日に書いた、一人であること、未熟であること、これが私の二十歳の原点であるという、一人で生きていきたいという自立心がすごく強い方で、
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こびないとか、強く生きていきたいという気持ちが強い女性だったんだなっていうのもすごいわかって、それゆえの寂しさとか孤独感とかが見事に書かれてますね。
そうだなって思ったのは、世間を知るという言葉の中には、その体制に順応してぬくぬくと生きていくという意味が一面だがある。幼い、バカだ、世間知らずだ。私はよくこういう、しかしえつこよ。
何を否定することはないのだ。自分を大切にせよ。お前は不器用だが物事に真面目に真剣に取り組む。というようなところとか、確かに世間知るっていうことは、ぬくぬくと生きてて、そういうぬくぬくと生きてる風な人たちのことをめっちゃバカにしてる節があるんですよ、今でも。
そういうこととかを書いている。そんなこと言っていいんだって。彼女、抜きだから自分のために書いてるから、きっと誰かに言ってるとかはないけれども。私はならされる人間ではなく、想像する人間になりたいって、一文とかってなかなか自分一人じゃ導き出せない言葉で、あまりに明快に書かれてたので非常にびっくりしましたね。
そうなりたかった、私もって思った。
この本の中で、美しい文章で描かれているものの多くは、希望ではありません。しかし、その悲しさや、さらけ出して書かれたあまりにも露骨な感情は、当時のユイさんの気持ちを楽にしたと言います。
綺麗事じゃないこと、あと多分自己理想がすごい高い感じの、でも自分はできないっていうところとか、本当にネガティブなこと、何にもない、何にも感じないっていうようなことも書かれていて、何にもないって言ってしまうって、この社会であんまり許されないことだと思うんだよね。
ネガティブなこと言ってると、そんなこと言っちゃダメだよとか言われる。幸せに生きていくよとか言われるけど、何を言っているんだと。言わせてくれよっていうことがやっぱりすごい書かれている。
いや何もないんだよ、辛いんだよ、一人なんだよ、孤独なんだよ、私は未熟だな、孤独だなっていうのがすごい随所に書かれている。
この一文も好きです。人間は誰でも一人で生きなければならないと同時に、みんなと生きなければならない。私はみんなと生きるということがよくわからない。みんなが何を考えているのかを考えながら人と接しよう。って書かれていて、すごい愛おしいなって思いましたね。
誰かと生きていくってすごく難しくて、そのことを20代の間はずっとずっと考えてましたね。
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そしてこの日記に救われた体験は鹿島さんの創作活動の原動力へと変わっていきます。
私あんまりエッセイ書かせてもらったりしてるんですけど、エッセイそれまで全然興味なくて、社会問題とかあとは実学っぽいものとかの方が全然好きだったし、エッセイって意味ないな。
なぜなら自分語りなんてしたところで、何の価値があるんだろう。ただ陶酔してるだけじゃんって思ってたんですが、この20歳の原点を読むことで、自分の考えはどんな考えであっても誰かの助けになるんだなっていうのをすごく体感できた。
マジで魂が震えた一冊でしたね。こんなこと思っていいんだとか、まさにこれ私じゃんみたいな風に私は彼女の日記を読んで思って、結局彼女は死んじゃってるから何の救いもないけれども、
マイナス思考な悲観的な考えが世界のどこかにあるっていうだけで、その当時の私は孤独を癒されたので、すごく意味があることなんだなってわかりました。
基本的にエッセイ書くとき、いつもすごい気持ち重くて、私の話なんて書いても意味ないなって思って書いてるんですけど、その時にいやいやいやいや、高野さんに失礼やっていう気持ちで自分は鼓舞してますね。
今回紹介している20歳の原点は日記を出版したもの。日記を日々残しておく重要性も鹿島さんにお伺いしました。
昔大江千里さんっていうアーティストにインタビューしたことがあって、大江千里さんってラブソングのヒットチューンを昔作っていた方なんですけど、かっこ悪い振られ方とか、
そういう代表曲がある人で、そんな人が今はジャズミュージシャンとしてアメリカで暮らしていて、ラブソングの帝王からジャズに転向しているんだけど、言ってたのが若い時の歓声に至るまでどんどん飛距離が必要になってきてしまって、歳を重ねると。
自分の年齢だと恋愛の曲を書けなくなってしまったなぁみたいなことをおっしゃっていて、確かにと思って、若い時の歓声とかその時の悩みとかってその時しかないから、
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ちゃんと瞬間例としておいてあげると、やっぱりその当時の日記、尻滅裂であっても一言であっても読むと、今の自分では到底導き出さない言葉遣いとかをしていたり、
その時の気持ちとかすごい思い出すから、すごく財産になってますね。結構一言とか死にたいばっかりなんだけど、めっちゃ残ってて、いいなぁって思いますね。
10代の時とかの日記とかもたまに読み返したりするけど、マジでちっちゃい子で悩んでるし、マジでちっちゃい子で死にてぇなって言ってて、超面白いんだけど。
その時の自分に向けて多分エッセイ書いてます。少女の私に向けてずっとエッセイ書いてる。
現在様々なメディアでエッセイも書かれている鹿島さん。そこには、昔の自分に届けたいことというポリシーがあるといいます。
このポリシーには、この本から得られた実体験も深く関連していました。
カタクナで、孤独で、マイナス思考で、どこにも居場所がないって世の中をがった目で見ていて、死にたいなって思っている私はかなり厳しい目を持ってるんですよ。
若かりし自分は、エッセイ読まなかったのも、エッセイ書くって人ってすごいもう選ばれた人だから、人気者じゃんみたいな、満たされてんじゃんみたいな、っていうすごくシャットアウトする気持ちがすごく強くて、
そういう一人ぼっちな自分が、その時読みたかったもの。その20歳の原点を読んだ時に、これだって思ったんだよね。
たった一人ぼっちの私に唯一寄り添ってくれた文章っていうか、別に彼女は私に寄り添うなんて全然思ってないけれども、
誰もわかってくれない私の気持ちを唯一代弁してくれたのがこの20歳の原点だったから、
私も少女の私が当時、読んでいたら心が軽くなってたのになっていうようなものをずっと作ってます。
だから、いいんですけどね、こう思っていいんだ、こんなこと思っていいんだっていう風に思ってもらえたらなって思ってます。
自分の20歳の原点を読んだ現代圏のように。
最後に、この本を読む人におすすめポイントをお伺いしました。
自分のことをわかってくれる人なんて誰もいないんだろうなとか、どうして真面目に生きてるのに報わらないんだろうとか、
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そういうモヤモヤした孤独を癒してくれるネガティブな子供たちがたくさん書かれています。
みんなポジティブでいようよとか、ネガティブなことを否定しがちだけれども、
この気持ちがきっと誰かを救うかもしれないから、
なんかツイッターでこうネガティブなことつぶやくとよくないよとか言うけど、うるせえなっていう感じなので、
全然書いてOK、なんか誹謗中傷とかさすがによくないと思うけど、
自分がつらいっていう感情は、実は発信するとそれを見た人は必ずしも不快な気持ちにはならないので、
自信を持ってネガティブでいてください。
今回は、数々の有名メディアで執筆されている日本を代表するライターの鹿島優衣さんをお迎えして、
20歳の原点をご紹介しました。
マイベストブックスは、ひまわり屋で先行配信をしています。
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お相手は、りょかちでした。