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2021-06-23 17:06

5_2映画美術の仕事 後編(ゲスト:美術監督の部谷京子さん)


今回のゲストは美術監督の部谷京子さん。
”Shall we ダンス?”や"それでもボクはやってない"の美術監督として日本アカデミー賞最優秀美術賞を受賞し、これまで優秀美術賞も含め、合計10回の受賞された日本を代表する美術監督さん!
1週目は、これまで手掛けてきた”Shall we ダンス?”や"それでもボクはやってない"など様々な映画での美術監督目線のここだけバナシを聞いていきます!

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社交ダンスを習ってくださいって言われまして
みんな習ったんですよ。みんな踊れますよ、スタッフ。
キャストもちろんですけど、スタッフも。
監督がそもそも、ご自分がダンス教室に通った、全部日記をつけてらして
それに基づいて、あの台本を書き上げられたんです。
黒木瞳の映画ここだけバナシ
こんにちは、暇な部屋で配信始めました。
黒木瞳の映画ここだけバナシ、今回も聞いていただきありがとうございます。
そして、この間に引き続き、今回のプロフェッショナルは
数々のヒット作で映画美術を手掛ける美術監督の部谷京子さんです。
部谷京子と申します。
今回もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
美術監督として、チーフとして作品に取り組んでいらっしゃるわけですけれども
作品、例えばですね、あの超ヒット作のシャルイダンス
そのお話をちょっと伺いたいなと思うんですけれども
あんまり予算がなかった?
本当ですか?
本当になかったんですよ。で、なおかつですね
私が声をかけていただいて準備を始めた頃には、まだ配給が決まってなかった。
それぐらい、ある意味貧しい作品でした。
じゃあ、壮監督がお書きになって、それでもうとにかく見切り発車したわけですか?
そうですね。配給決まらないまま。
で、たぶんね、撮影の途中で配給が決まったような気がします。
あのダンスホールだとか、あれって海外行かれたんですか?本当に。
行きました。
あれは本当なんですね。
あれは本当です。ブラックプールは行きました。
もう本当に感激しましたね。ブラックプールというか、イギリスに行けて本当にありがたかったです。
じゃあ、話を戻すと、まず役者さんを扮する彼が電車のホームから見えるところに美しい女性がいつも窓側にいて
あの辺のロケ場所というのは、ロケーションハンティングで監督がお決めになるんでしょうけれども、
その時、ロケ行かれた時、ロケハン行かれた時はどんな感じでしたか?
あの時はですね、何がポイントかというと、まずは駅のホームからビルが見える。
で、ビルの割と上の階。だから見上げるってことをしたかった。高屋の花っていうことですよね。
で、高いところにホームから見える窓がちゃんとあるということで、それで探したんですけど、
意外とみんな離れてたりとか、駅前の広場が大きいとビルが離れてるじゃないですか。
で、エコダはほどほどに近かったんですね。駅舎からの距離が。
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で、ただ残念ながら窓が全部塞がっていて、小さな劇団の稽古場だったんです。
で、そこを沿線探して、そこしかもうないってことになって決まって、
その窓の塞いであるものを全部外していただき、で、実は天井をセットと同じ状態で作って足してるんですね。
窓も入れ替えてます。
外から見るときに。
そうです。外から見るときにロケマッチって言うんですけど、セットとそのロケが同じ場所だよっていうことを説明するために、
セットにはめた窓ガラスのサッシをそこの窓に持って行ってはめたんですけど、そのときすごく怖かったですね。
あの、その窓が外した瞬間に落ちちゃったらどうしようと思って。
つまりそういうところも美術の方々の仕事であると。
ここだったらこういうことでロケマッチできますよみたいな提案をする。
で、なおかつ具体的にその作業をするのも美術の仕事です。
今ロケマッチとおっしゃいましたけども、つまり外観をそこをお借りして、それで中はセットで、だけれどもそれと合わせなきゃいけないというお仕事なわけですよね。
なので駅のホームから役所さんが見上げたときに見える窓から見える天井はセットと同じものを作って同じ蛍光灯をつけて、窓ガラスには文字が貼ってあったりするんですけれども、それは全く同じものというか2つ用意してセットとロケで使いました。
先ほどおっしゃった予算が本当にあまりなかったというところでの工夫とかご苦労とか。
ご苦労はいっぱいありますよ。もう番組終わっちゃうぐらいありますけど、まずは一番大きいのはダンス教室とダンスホールが同じ場所なんです。セットで一つなんですよ。
それを飾り替えたんですか。
はい、飾り替えたんです。両方とも共通しているのはダンスを踊るための床、空間ということで、まず床を張って、大きな床を張って、最初はダンス教室で壁を立てて、天井も総天井で全部つけて立てをし、それが終わってから多分1週間ぐらい空けてもらってダンスホールにしたんですね。
ダンスホールって世の中にいっぱいあるんですけど、どこも貸してくださらないんですよ。なぜならば皆さん、本当に常連さんをすごく大事にされていて、戦中戦前ぐらいからやってらっしゃるようなところもあったり、戦後すぐに初めて常連さんにお世話になったっていうようなことで、皆さん常連さんを断れないって。
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いらっしゃる方は毎日来るので、ということで、ロケに1日されても貸せないっておっしゃって、セットにしないとダメだねってことになりまして、じゃあもう教室をホールにしちゃいましょうということで、門川スタジオだったんですけど、スタジオの壁に直接アルミホイルを貼って、ダンスホールにしちゃいました。だってお金ないんですもん。
でもそういうアイディアがそのように見えるから、やっぱ不思議ですよね。
本当にあの映画でアカデミー賞にノミュレートされたときは、本当にいいのかしらって本当に思いました。
監督、相馬関さんですけれども、相監督からはどんなリクエストがありましたか。
準備を始める前に、まずは社交ダンスを習ってくださいって言われまして、みんな習ったんですよ。みんな踊りますよ、スタッフ。キャストもちろんですけど、スタッフも。
監督がそもそもご自分がダンス教室に通った1日目から2日目3日目って全部日記をつけてらして、それに基づいてあの台本を書き上げられたんですよ。
その時にやっぱり自分の気持ちを共有したいと、そのためには皆さんもその体験をしてほしいんだとおっしゃって、グループレッスンを始めたんですけど、
これがですね、私は中高が女子高で、男性と手を握るとかましてや、あんな社交ダンスみたいに体を寄せ合ってみたいな、そういうことが全くダメで笑っちゃうんですね。
で、結局2,3回は無理やり行きましたけど、その後は忙しいからって言って、パスしちゃいました。だから私は実は踊りません。
でも、草刈りさんはバレリーナでいらっしゃったから。
全然違うっておっしゃってましたね。バレエってつま先で踊るから、やっぱりなんか違うんでしょうね。スタイルが全然違う。
でも踊り方がまったく、プロですから。
そういうもんですか。
美しかったですけれどもね。
でも本当にシャロイーダンス拝見したとき、私も映画館で、なんか日本の方が、つまり方が、日本の映画、これから行くんだっていう、すごく勇気をもらったんですよね。
そうですか。ありがとうございます。
なので私は、私にも忘れられないシャロイーダンスでした。
公開当時は、そんなに大きなヒットっていう感じではなかったんですけど。
そうなんですか。
すごくこの映画、皆さんに愛されて見ていただいたんだなって思ったのは、その後、いろんなところで地方に行って映画を作るときに、その地方の方々が、結構皆さんご覧になっていて、
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あ、あのシャロイーダンスねってことで、皆さんが知っててくださったっていうのが本当に嬉しくて、見ていただけたんだなって、心から思いましたね。
ところで、ここだけの話ですけど、撮影中から、宗監督と草刈さんはラブだったんですか。
いや、あのね、終わってからだと思いますよ。
多分、草刈さんが、ああいう感じ。
もちろん言いにくい質問をしてしまいましたけど。
そういう気配全く感じなかったです。私が鈍感なのかもしれないんですけど。
終わってから、キャンペーンに回られるじゃないですか。
その時にとっても仲良くされてるというのは、風の噂で聞きました。
映画を拝見していて、あんまりお芝居まだやってらっしゃらなかった草刈さんの演出が垣間見れて、すごく愛がある監督だなって。
草刈さんに対して。
愛があったんでしょうね。あったと思います。
菅野さんといえば、もう一つ、それでも僕はやっていないという、痴漢演剤の話で。
これは何か私、メイキングか何かでテレビで見たんですけど。
本当に電車の中で、どんなふうにして、痴漢を本当にやっていないんだというような実験をやられたりとか、そういう場面を見たんですけれども。
もちろん電車はお作りになった。
作りました。その時の電車は作りました。
それから裁判所もお作りになった。
裁判所の法廷を作りましたね。
その時の裁判所の法廷が、これもやっぱり、壮監督が、実際モデルとなった事件があるんですけれども。
その事件の法廷に通い詰めて書かれた台本で。
その通い詰めた法廷をそのまま再現してほしいっておっしゃったんですね。
リアルに。
なので本当に、まず見に行かないことには話にならないなと思って。
私は初めて法廷というか、東京地方裁判所というところに行きまして。
初めて法廷裁判を見た時に本当にドキドキしたんですよ。
被疑者、加害者が、私の目の前にいるんだと思うと。
で、いるんだと思うとという前にですね。
まず、奥のドアから入ってくるんですけど、そういう方が。
腰に縄をつけてるんですね。
真っ青なロープなんです。ピカピカ。
で、ロープで、2人の刑務官が挟んでそのロープを持ってるんですけど。
手には手錠してるんですよ。
で、普段ニュースで見るときそういうところってモザイクがかかってるじゃないですか。
もしくはパーカーをかぶせたりとかトレーナーかぶせたりとかして見えないところなので。
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初めて本物の腰縄と手錠を見た時に震えがきました。
これは本当なんだってリアルなんだと思って。
で、その時の緊張感っていうのが本当にもう今でも忘れられないくらいにありまして。
で、その時思ったのは、私はこの緊張感のある法廷っていう空間を作るんだ。
で、映画を見た方もほとんどの方が裁判ってご覧になったことないと思うんですよね。
で、その方たちに向けてこういう緊張感のある場所なんだよってことを伝えなければいけないっていうふうにすごく感じました。
まあそれはその空間作りというか。
そうですね。
つまり空間だけじゃなくってその空間の中に流れているその空気感。
はい、空気感です。
そこまでこだわって作られたということですね。
で、あと監督から聞いてはいたし台本にも書かれていたんですけど、裁判所の法廷って裁判長の庭田っていう言葉があるらしくて。
いろんな細かいことは裁判長の独断と偏見ではないでしょうけど、独断で決まるんですね。
例えば帽子をかぶるだとか、いろんなメモをするだとか、そういったことが全部裁判長に一任されてるみたいで。
私も実際にセットを作るために通ったんですけど、法廷内でメモをすることははばかられて。
だいたい30分ぐらい前には法廷が開くんですよ。鍵が開いてるんですね。
なので早く行って先に法廷に入って裁判官たちが入ってくる前にたまたま床がPタイル、30センチ角のタイルありますよね。
よくオフィスにある。それが敷いてあったので、やった。それが法願師のように私を助けてくれました。
それで全部広さをとったんですよ。どこに裁判官の席があり、検察側、被疑者側ということで、椅子の位置、机の位置を全部それでメモをしました。
それはリアリティを追求したということですね。緊張感を映画の中に入れるために。
そのために監督が通い詰めた、この法廷を再現するんだっていう意欲に燃えまして、何十回通いましたね。
いろいろ考えさせられる映画でしたね。
そうですね。シャロイーダンスは全然違ったね。
全然違いますね。
結構空いてますけど。
でも全く違うところが、スウォ監督の幅というか。
振り幅の広い方だなって。
思いましたね。
ただ、その時一つ助かったのは、モデルとなった事件で疑われていた方が、冤罪ではあったんですけど、流地上のことだとか非常によく覚えていらして、なおかつイラストが描ける方だったんですよ。
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流地上のイラストを描いていただいたり、ご飯こんなでしたとか、寝るときどんな感じでしたかとかって、それこそ実際に流地上の大きさをテープで貼って、布団の大きさが幅が60センチぐらいしかなかったんですね。
隣の人とどれぐらい空いてましたかとかって、実際に寝てもらって、狭いお布団を用意して、そこで確認できたっていうのが、とっても助けられました。
あ、そうやって協力していただいたんですか。
はい、そうなんです。
実際に。
その方がいなかったら、それでも僕はやってないわ、できてなかったかもしれないです。
やっぱりね、冤罪事件っていうのは、地下に限らずいろいろありますのでね、実際。
そうですね、はい。
一般的な冤罪という意味で、皆さんに見ていただけて、本当に幸せな映画になりました。
それで、壮監督とは2本おやりになった。
4個踏んじゃった。
シャルビーダンスと。
そうですね、3本ですね、3本目ですね。
どんな方ですか、壮監督って。
とにかくリサーチがすごいんですよ。
私が関わった3本は、3本とも非常に特殊な世界というか、日本であることはみんな知ってるけど、詳しくは知らないし、車高ダンスに至っては、え?っていうような世界じゃないですか。
そんなものをやってるの?みたいに言われかねない世界なんですけど、そういうものに光を当てて、皆さんに面白く見ていただくっていうような、発掘作業をしているような監督だなと思いましたね。
着眼点が面白いですよね。
そうなんですよね、はい。
まだまだお話しつきませんので、次回も引き続き美術監督の部屋京子さんにお話を伺っていきます。さようなら。
はい、よろしくお願いします。
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