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みなさん、おはようございます。
こんのゆるラジチアプップへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに朝のほんのひとときをお届けします。
はい、今日のお話は、
【ゆきのよるに】というお話です。
日本むかしばなしですね。
こちら、出版金の保守者、文・絵、妹陽子。
それでは、お話ししていきますね。
【ゆきのよるに】
ある村に、玄道先生というお医者さんがいました。
玄道先生は、誰にも優しくて、
村人たちは、何か困ったことがあると、
玄道先生のところへやってきます。
寒い冬の晩、玄道先生が寝床についていると、
玄関の扉をドン、ドンと叩く音がしました。
先生、先生、助けてください。助けてください。
先生が扉を開けると、
先生、おらの女房がおさんで苦しんでいます。
助けてください。助けてください。
と、若者が必死で頼んできました。
若者は、玄道先生の手を引いて、
山の中を風のように走ります。
はて、こんな山奥に家があったかな、
と、玄道先生は思いました。
若者の家に着くと、
女房が苦しそうに横たわっていました。
玄道先生が言いました。
おお、こりゃいかん。
なぜもっと早く知らせんかったのじゃ。
このままだと死んでしまうぞ。
早くお湯を沸かすんじゃ。
急いで急いで沸かすんじゃ。
若者は急いで火を起こしました。
隣の部屋から、女房の苦しそうな声が聞こえます。
谷川から何度も何度も水を運びます。
夜が明けかけたころ、
おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー、
と、元気な赤ん坊の声が響き渡りました。
若者が駆けつけると、
玄道先生がニコニコして言いました。
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元気な赤ん坊じゃ。
それに五人も生まれるとは、
めでたいの、よかったの。
若者は玄道先生に何度もお礼を言いました。
先生、お題はどのように、と言いかけると、
玄道先生は、
そんなことは気にせんでいい。
それより、おかみさんを十分休ませて、
栄養をたくさん取らせるようにしなさい、
と言って帰っていきました。
次の朝、目を覚ました玄道先生は、
おお、よく寝たの。
それにしても不思議な夢を見たもんだ。
山奥の家で五人の赤ん坊を取り上げた夢じゃ。
五つ子なんて生まれるはずないものな。
それにしてもめでたい夢を見たものだ、
と嬉しそうに笑いました。
寒い冬がすき、ポカポカの春がやってきました。
玄道先生は村人の家に往診に出かけました。
すると山の方から、
二匹の親狐とかわいい子狐が五匹、
飛び跳ねながら現れ、
玄道先生の前でぴったりと止まりました。
そして狐たちはみんなそろって丁寧にお辞儀をしました。
玄道先生はあの夜のことを思い出しました。
おお、お前たちだったのか。
そうか、そうか、そうだったのか。
大きくなったの。
よかった、よかった。
狐の親子は何度も何度もお辞儀をして、
山の方へ消えていきました。
おしまい。
はい、いかがでしたでしょうか。
こんなね、素敵な先生がいると嬉しいですね。
そんなお話でした。
それでは、きょうもお聞きくださりありがとうございました。
ではまた。