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みなさん、おはようございます。
こんのゆるラジチアプップへようこそ。
この放送は、子どもも大人もゆったり過ごせるよう、
絵本とともに、朝のほんのひとときをお届けします。
はい、今日はですね、実は絵本ではなくて、
もうお話をしようと思います。
はい、というのは、今回、本で
【子どものための世界のお話】という本を見つけましたので、
そちらから何話かお伝えしようと思います。
ですので、これは続きものになります。
ただ、短編集ですので、1話完結を何話かお話しして、
では続きはまた明日という形に、
どんどん読んでいただき、読ませていただきますので、
どうぞご了承ください。
はい、こちらなんですけれども、
【子どものための世界のお話】
出版社がちょうど見えなくて困っております。
こちら概要欄に載せますね。
はい、では順次読ませていただきます。
一番最初は【どっこいしょ】というお話、
日本昔話です。
どっこいしょ
山寺に和尚さんと小坊主がおりました。
ある日、和尚さんは小坊主に隣の村のお寺へ
お使いに行くように言いました。
【だんごを持ってきましたと言うのだよ】
【はーい、わかりました】
小坊主はさっそくぼたもちの入った
風呂敷包みをぶら下げて出かけていきました。
【だんご、だんご】
小坊主は忘れてはいけないと
一生懸命言いながら歩いていきました。
隣村のお寺へ行くには
竹矢部の細い道を通らなければなりません。
昼間でも薄暗く、気味が悪い道です。
早足で歩きながら小さな声で
【だんご、だんご】と言っていましたが
寂しくなって【だんご、だんご】
大きな声で言いました。
やっと竹矢部を通り抜けました。
明るい道に出ると大きな水たまりがありました。
【どっこいしょ】と叫んで飛び越えました。
【どっこいしょ、どっこいしょ】
一生懸命歩きました。
隣村のお寺が見えてきました。
小坊主は嬉しくなって
【どっこいしょ、どっこいしょ】と石段を登って
お寺の玄関に立ちました。
そして大きな声で言いました。
【どっこいしょ、もってきましたよ】
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続いてのお話は
和尚さんのお餅、日本昔話です。
一つ、昔話をいたしましょう。
あるお寺に
一年坊、三年坊、九年坊という
三人の小僧さんがいました。
ところが、そのお寺の和尚さんは
とても食いしん坊でけちん坊でした。
和尚さんはお餅がとても好きでしたが
一つも小僧さんにはくれません。
毎晩小僧さんたちが
【和尚さん、おやすみなさい】と言って
寝床に行った後で
自分だけこっそりと
いろりでお餅を焼いて
おいしそうに食べるのでした。
【和尚さん、ひとりでずるいな】と
とうとう小僧さんたちは言い出しました。
【だって、いつもみんなが寝床に入ると
すぐおいしそうなお餅を焼くにおいが
プーンとしてくるんですもの。
誰だってたまらなくなります。】
【私たちにもくださいと言っていたら
お餅くれないかな】と一年坊が言います。
【だめだめ、小僧さんはけちんぼだから
これは年寄りには薬だが
子供には毒だなんて言うよ】
と九年坊が言います。
すると今度は三年坊が
【小僧さんのいないとき
そっと出して焼こうか】
と言いますと
【そんなことをしてわかったら大変だ。
それよりいいことがあるよ】
と九年坊が言って
二人の耳に口を寄せて
【くしゃくしゃ】と何か言いました。
小僧さんたちはどんな相談をしたでしょうか。
その明日、三人の小僧さんは
お僧さんの前へ行って
並んで座ってぴょこっとお辞儀をしました。
そうして
【お僧さん、今日は一つお願いがございます】
と言いました。
【ほう、みんなそろってなんだね】
とお僧さんは目を丸くしました。
【私たちの名前は
一年坊、三年坊、九年坊だなんて
間違いやすくて困ります。
それでもっと違った名前に変えていただきます】
【ふん、なんと変えるかね】
そこで小僧さんたちはじゅんじゅんに言いました。
一年坊はふうふうという名前に変えます。
三年坊はくたくたという名前に変えます。
九年坊はうまいうまいという名に変えます。
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【ずいぶん変な名前ばかりだな】
お僧さんは笑い出しましたが
【まあ、それもよかろう】と言いました。
その晩のことです。
小僧さんたちが【おやすみなさい】と言って引き下がると
お僧さんはいつもの通りいろりばたに座って
好きなお餅を焼き始めました。
いい具合にお餅が焼けてふくれだすと
【ふうふう】とお僧さんはそれをふきました。
すると隣の部屋の襖が開いて
一年坊がひょっくり顔を出しました。
【はい、お僧さん、ご用はなんでしょう?】
お僧さんはびっくりして
【なんだ、呼びもしないのに】と叱りました。
【え、でも、今【ふうふう】って私の名前をお呼びになりました】
と一年坊はすまして言いました。
お僧さんは仕方がないので
【あ、そうか。じゃあこれをやるからもう寝なさい】
と言ってお餅をふた切れ一年坊にやりました。
一年坊が行ってしまうと
お僧さんは早く食べてしまおうと思って
残りのお餅を鍋に入れました。
鍋の湯が沸き立って
中のお餅が【くった、くった、くった】と煮えだしました。
すると今度は三年坊が隣の部屋から出てきました。
【はい、お僧さん、ご用はなんでしょう?】
お僧さんは苦い顔をして
【なんだ呼びもしないのに入ってきて】
と怒りました。
【でも、今お僧さんは【くたくた】と私の名前をお呼びになりました】
と三年坊は平気で言いました。
お僧さんは困って
【しょうがないやつだ】と言いながら
煮えたお餅をふた切れ三年坊にもやりました。
三年坊がいなくなるとやっと安心して
お僧さんはお餅を口いっぱいほうばりました。
そして思わず【うまいうまい】と言いますと
途端にまたふすまがあいて
【はい、お僧さん、ご用は?】
【今、うまいうまいと私の名前をお呼びでしたが】
と九年坊がにこにこしながら出てきました。
お僧さんはちょっと舌をならして
【また餅をとられたか】
と悔しそうに言いましたとさ。
おしまい。
はい、いかがでしたでしょうか。
今日は子供のための世界のお話から
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最初の2つは日本のお話でしたね。
どっこいしょというお話と
お僧さんのお餅というお話をさせていただきました。
どこかで聞いたことある人もいるかもしれませんね。
それでは今日もお聞きくださりありがとうございました。
こんでした。ではまた。