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2020-10-03 10:19

012. ピラミッドの電気工事?

10月になりました.大学の新1年生の中には「講義内容が思っていたのと違う」「この学科で良かったのだろうか」と不安を感じ始めている人がいるかもしれません.僕自身もそうでした.そこで,大学でしぶしぶ学んだことが巡り巡って役に立ったお話をしてみました.それがピラミッドの電気工事だったんです.これはもちろん一例で,実際には,大学で学んだもののまるで役に立たなかったこともたくさんあるでしょう.ただ半年では見切りをつけるのは少しもったいないかも,というお話でした.

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いちです。こんにちは。今日は長崎県美術館というところに来ています。
実は先ほど海際で録画と録音をしていたんですけれども、ちょうど今、環潮の時刻で海の際まで寄れたんですけれども
録画中に目の前を大型船が通っていっていて、大型船だと思って、ゴトレットから帰ってきた船かなと思って見ていたら
その船の引き波がワーッと押し寄せてきて、機材が濡れちゃいました。慌てて場所を変えていきました。
満潮が今夜の20時頃、8時頃だったので余裕かなと思っていたんですが、波という要素を考えるのを忘れていました。
それで急遽場所を変えて録画録音をしています。
今日お話ししたいのは、ちょうど10月を迎えて、特に大学1年生の皆さんが
そろそろこんなはずじゃなかったと思っている頃じゃないかなと思って、その話をしたいと思っているんですね。
前期、後期に分かれている大学だとちょうど後期が始まった頃だと思いますし、4クォーターにしているところだと第3クォーター始まったところじゃないかなと思うんですけども
約半年入学してから経って、思い描いてた学問の内容と授業の内容がちょっと違うんじゃないかなと思い始めている頃じゃないかなと思うんですよ。
僕自身もそうでした。僕は工学部の電気工学科という学科の出身なんですけども、
入試で受けた時に工学部電気工学科と電子工学科と2つあったんですね。
僕は高校生の時はコンピューターを専攻したくて、電気か電子かどっちだろうなと思って、今思えば分かっておけよという話なんですけども、その時は全然分からなくて、どっちを選んでいいのか分からなかったんですね。
英語の名前も電気工学がエレクトリックエンジニアリングで、電子工学の方がエレクトロニックエンジニアリングだったんですよ。全然分からないですよね。
今思えば、我々の業界の用語では強電と弱電、強い電気弱い電気と言いまして、電気工学が強電、電子工学が弱電だったんですね。
強電というのは、簡単に言うと触ると感電する電圧、100ボルト以上、数千数万ボルトまでを扱うような範囲。
弱電というのは触っても大丈夫な電圧、20ボルト以下ですね、基本は。
コンピューターが動いているのが5ボルトとか3.3ボルトとか、場所によっては12ボルトとか、大体20ボルト以下です。
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コンピューターの研究をするのは弱電の方、電子工学の方だったんですけども、僕は50オン順で電気が上に書いてあったんですよ。
電気の方がいいのかなと思って、入試難易度もそんなに差がなかったんですよ。
確か、電気を受験して電気工学科に入りまして、入学して、どうも様子が違うぞと、いつになったらコンピューターの話出てくるんだろうと思って、
カリクラムとかも入学後に初めて見て、あれ違うと思って結構へこんだんですね。
特に最初の夏休みが終わったあたりとか、もう絶望的な気持ちでした。
ただその入学後に知ったんですけども、当時は4年生で研究室に配属されるというのは一般的で、
現在だと3年生の間、3年生後期とかに研究室配属があるケースも多いかと思うんですが、
当時4年生配属というのが一般的で、その中で電気工学科に一つだけコンピューターの研究室があったんですね。
ひょっとしたら4年生はその研究室に行けるかもと思ってたので、学科変わるよりはここでちょっと頑張ろうかなという気持ちにもなっていたんですけども、
結構渋々、教伝をやってたんですね。
ところがそれが巡り巡ってものすごく役に立つようなことがあって、それは何かっていうと、
エジプトのギザ大地にケントカウエス女王のお墓というお墓があります。
これが3大ピラミッドのすぐ隣に建っているお墓で、第4のピラミッドとも呼ばれているんですが、
そこの調査、多分エジプト工学者の河合ゆきのり先生、ゆきさんと僕とが最初に一緒に調査させてもらった遺跡なんですけども、
そこでその電気工学の知識がものすごく役に立ったんですね。
知識というか、だいたい工学部というのは当時も演習ばっかりで実験ですね。
電気を使った実験ばっかりやってたんですけども、それがものすごく役に立ったというお話なんですね。
その第4のピラミッドの中、実は観光客が入れないようになっていて、
ということはつまり内部に電気とかも来ていなくて、地下構造とかもあるんですけども、照明が何一つない。
それから我々の調査に用いる装置というのは必ず電気を使うんですけれども、
バッテリーで駆動できる機種もあるんですが、基本日本のご家庭のどこにでも壁に刺したら出てくる100Vの電気が必要だったんですね。
それが当然、ピラミッドには壁コンがないので作らなきゃいけない。
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コンセントというのは和製英語で、本当は刺す方がプラグですね。
刺される側は専門英語でレセプタクルと呼ぶんですけども、
この動画の中、このポッドキャストの中ではもう面倒くさいのでコンセントにしときます。
壁コンね。壁に刺さっているコンセントで壁コンね。
壁コンが必要だぞと。
明かりもないし、装置を動かす電源も取らないといけないし。
ということで一番側の電線から電柱から電線で電気を引っ張ることにしました。
エジプトは200ボルトなんですけども、結構変動があって安定はしてないんですけども、
できるだけ側まで200ボルトのまま引っ張っていって、変圧器で100に落とそうと。
200ボルトをとりあえず配線していこうと、第4のピラミッド、ケントカウエス女王の墓の中で配線していこうということにしました。
電線を持っていって繋いで、結構数百メートル引っ張りましたかね。
それでこのケントカウエス女王の墓の中に入っていって、電線を引っ張るだけだと日本のコンセントをさせないですからコンセントをつけていかなきゃいけない。
そうすると日本の形ってA型って言って、日本とアメリカは互換性があるんですけども、
エジプトで使われているようなコンセントとは形が違うので、日本からレセプタクルを持っていって、それを電線に一個一個ハンダ付けしていくという必要があったんですね。
ハンダ付けするには電気が必要なので、その供給されている200ボルトを使って、
その供給されているハンダゴテで供給している電線にハンダ付けをしていくという。
そうするとハンダゴテの先も電気が通しますから、コテの先がハリーポッターの杖みたいにビリビリビリとか鳴りながらもつけていったんですね。
これね、学部の時の電気工学の強電の実験でね、僕も実験下手くそだったんで何回もあちこち雷飛ばしてたんですけども、
そのおかげで何とかビリビリ行きながらも無事にコンセントをつけて回ることができました。
第4のピラミッドの中の電気工事というのをそうやってやりました。
調査を終えて、その後も何度か緊急の電気工事というのが必要になったことがあって、
実は僕が工事した後、そのまま使われている場所も大阪にあったりとかですね、結構大きなビルであったりとかですね。
あと、神戸なんかでも緊急の仮設の展示なんかでも工事させてもらったことがあったりとかして、
そんな形でどうにか知識というか身につけたものっていうのは役に立つことがあるので、
半年ぐらいでジャッジはしなくてもいいかなと思います。
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3年異路とは言いませんが、半年で見切りをつけるのはちょっと早いかなとは思います。
あと半年、大学で同じ学科にいて考えてもらったらいいかなと思います。
それからね、これユキさんもよく繰り返し言われてるんですけども、
エジプトをもし一緒に調査したいと言われている方がいらっしゃったら、
エジプトの専門である必要は全然なくて、
自分が極めたいと思っている道をまず極めてもらうのも一つの道かなと思うので、
そこら辺も考えてもらえたらいいかなと思っています。
今日はそんなメッセージでした。聞いてくださってありがとうございました。
うろうろできるだけ歩かないように気をつけてたんですけど、うろうろしちゃってごめんなさい。
それでは今日も聞いてくださってありがとうございました。
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