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2020-09-13 11:00

007. レーザーレーダーの原理

世界遺産の調査に使っているレーザーレーダーという装置の原理を説明します.レーザーレーダーは言わば距離の見えるカメラで,被写体までの距離をレーザー光線を送ることによって調べています.

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こんにちは、いちです。
今日もいいお天気なので、アウトドアで録画録音を進めていきたいと思います。
今日は長崎の出島に来ています。
教科書なんか必ず載っていますよね。
江戸時代の出島は完全に海の上に浮かぶ島だったんですけれども、
現在は残念ながら周りが埋め立てられていて、一部掘り起こしがあって、
入り口だけは橋を渡って入っていくことになっています。
ただ本来海だった場所が、今道路が通っていて、路面電車なんかも走っていて、
なかなか掘り戻すことができなくて、ちょっと島の感じが出づらいですね。
ただ当時の石垣とか塀とかを復元されているので、島の形はしています。
当時江戸時代を通してオランダ人たちが住んでいた松間なんかも復元されていて、楽しめる観光地にはなっています。
出島から出土した遺品なんかも展示されていますし、
後にこの映像で見てくださっている方、ミッフィーちゃんが映っているのをお分かりいただけるかと思うんですけれども、
オランダ人たちの住居でしたから、オランダ由来のものなんかもたくさん飾ってあります。
実際江戸時代に一度、オランダが戦争でヨーロッパの本土がなくなっちゃって、
唯一のオランダ人の土地が出島だったという時期も短期間ながらあったようでして、非常に興味深い土地ですね。
オランダ語でカピタン、キャプテンの家とかも残っていますし、
それからシーボルトが住んでいた、シーボルトはドイツ人なんですけどね、オランダ人のふりして住んでたところとかもあるようです。
なかなか面白いところです。
この動画、それからポッドキャスト、これで7回目になると思うんですが、
今日は従来、エジプトの旅の話とかマイジフト以外の旅の話をしてきたんですけども、
少しコンピューターサイエンスの話もしておきたいなと思いまして、そんな話をしてみようと思っています。
前回のお話でレーザーレーダーという単語が出てきたと思うんですけども、出てこなかったかな、出てきたと思うんです。
我々、今日何をやっているかというと、エジプトの遺跡ですね、ピラミッドとかスフィンクスとか、
前回お話ししたグレコローマンの遺跡とか神殿とかですね、そういったものを放置しておくと崩れていってしまうので、
あるいは分析するために正確な形が必要で、だけど砂漠の真ん中でなかなか到達できないとかですね、
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いろんな事情があってデータをデジタルで保存したいという要望があるわけです。
ピラミッドであるとか神殿のデジタルデータ、映画なんかで見るよって言われる方いるかもしれないんですけども、
我々はですね、学術的なデータが欲しいので非常に精密なデータが欲しいわけです。
どちらかというと映画なんかで使われているデータというのは、映画で十分なクオリティがあればいいというので、
実はかなりラフなデータを使っています。
そうじゃなくて考古学者が使えるようなクオリティにするためにどういうことをしているかというと、
まず一つはレーザーレーダーという非常に緻密な3Dの3次元の形状が取れる装置を使って現地で形状の計測というものをやっています。
このレーザーレーダーというのがどんな装置かというのを手短にお話をしたいと思います。
我々サイエンティストはどうしてもいつもホワイトボードとか黒板とか使って図面で説明するのに慣れているので、
音声だけでどこまで説明できるかちょっと疑問なところはあるんですが、
こんな感じかなって雰囲気を頭に入れておいて、いずれテキストとかであるいは図面とかで説明をして、
こういうことかって理解してもらえたらと思うので、一応説明を挑戦してみます。
レーザーレーダーというのはある種のカメラなんですけども、
カメラというのは入ってくる光をレンズで屈折させて、欠像させて像を記録するものなんですけども、
レーザーレーダーというのは全く違う原理で、カメラの側からレーザー光線を打って反射して返ってくる時間を測っています。
反射してくる時間を計測するものです。
光の速さでレーザー飛んでいくので、それを非常に短い時間で、短い時間を刻むストップウォッチで測るんですね。
どのぐらいの光の速さがあるかというと、ご存知ですかね、光は1秒間に30万キロメートル進みます。
1秒間に30万キロ、どのぐらいの長さかというと地球を7周半、あるいは地球から月までの距離ぐらいです。
そんなに速いのって思われるかもしれませんが、われわれコンピューター・サイエンスティストにとっては、1秒間というのは無限の長さなんですね。
1秒あったらものすごく計算もなんでもできちゃう。
じゃあその1秒間の1千分の1の1ミリ秒だとどのぐらいの時間か。
実は1ミリ秒というのもわれわれにとっては無限の長さであることに関わりないんですけども、
それでも光は30万キロではなくて、その千分の1の30万メートル、すなわち300キロメートルしか進まない。
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しかといっても300キロありますけども、1ミリ秒も非常に長い時間ですから、われわれあまり使いません。
さらにその千分の1の1マイクロ秒、1マイクロ秒ではそこそこ長い時間かなというぐらいの感じです。
1マイクロ秒あるとどのぐらい光が進むかというと、300キロメートルのさらに千分の1の300メートル。
1マイクロ秒あると300メートル進みます。
で、われわれがよく使う単位、それは1マイクロ秒のさらに千分の1の1ナノ秒、ナノセカンドですね。
1ナノセカンドで光は300メートルのさらに千分の1の300ミリメートル進みます。
ここらへんになってくると実用的な単位だなとわれわれは感じるんですね。
300ミリメートルあるいは30センチメートル、西洋人というかアメリカ人とイギリス人だけですけどね、1フィートなんて呼び方もします。
1ライトセカンドは1フィートだなという言い方もするんですけども、
だいたい30センチメートル、300ミリメートルぐらいですね、この1ナノセカンドで。
1ナノセカンドのストップウォッチというのは非常に簡単に手に入ります。
コンピューターの世界では割と簡単に手に入ります。
ただわれわれは遺跡の計測をするのにより早いストップウォッチが必要で、
だいたいどのぐらいかというと100分の1ナノセカンドあるいは10ピコセカンド、10ピコ秒前後のカチカチカチというタイミングが切れるストップウォッチを使うことが多いです。
これでだいたい100分の1ですから300ミリメートルの100分の1、3ミリ前後で刻める。
距離を3ミリ前後で刻める。実際にはもうちょっと悪くて5ミリとか6ミリメートルぐらいになっちゃうんですけども、
そのぐらいの奥行き、距離を測る装置を使っていきます。
なぜそのぐらいブレがあるかというと、実はレーザー光線一発打って帰ってくる時間を測っている時の時計にもやっぱりゆらりがあるので、何万発か打って平均をとるんですね。
平均をとるのでだいたい奥行きの精度が5ミリ前後かなというぐらいの感じです。
これで何ができるかというと、カメラからの距離がだいたい5ミリ刻みで取れるということで、カメラからの距離がわかるからカメラ固定しておけば三次元の形がわかる。
レーザーというのは何かというと、皆さん高校物理を思い出してほしいんですけども、フォトンという光の粒です。
光の粒を打って帰ってくるピッチングマシンを思い浮かべてもらうといいんですけども、野球のボールをスポーンと飛ばして跳ね返って戻ってくる、その時間を測っているんですね。
なのでピンポイントで場所しかわからないので、そのピッチングマシンの首を振っていくわけです。
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首を振ってカメラの位置は固定しておいて首を振って面全体を捉えるというやり方をします。
実際には首振る装置であるとかミラーを使って、フォトンはミラーで反射しますからミラーを使って高速に首を振るような装置も使っています。
これが非常に正確に三次元の形をとるための仕組みです。
我々はこういったものと映画産業で使われているようなドローンに搭載したカメラであるとかビデオカメラであるとかスチルカメラとかそういったものも組み合わせて非常に広い面を可能な限り正確に計測するというようなことをやっています。
今日は技術面のお話をさせていただきました。
また機会があればブログとかYouTubeとかで説明も加えていければと思いますが、またポッドキャストでも聞いていただけると嬉しいです。
今日は聞いてくださってありがとうございました。また次回お会いしましょう。それでは。
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