報連相の基本
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。
この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマはこちら。
「報連相と承認欲求」
今回は、仕事において基本中の基本、報告・連絡・相談、報連相と承認欲求に関するお話です。
お伝えしている心理学ですけれども、皆様にとって日常的で身近な話題とも自然とつながっています。
その見方・活かし方を今回は少しご紹介できればと思います。
仕事では基本の報告・連絡・相談=報連相なんですけれども、今さらと思われるかもしれませんが、承認欲求という原点から見ると、よりシンプルに効果的に、活用できるようになるのではないかと思います。
そんなわけで、初回の内容ともリンクしながらお伝えしていきます。
社会人としてスタートすると、まず言われるのが、この報連相ということではないかと思うんですが、報連相する相手は誰がいいのか、あるいはこの順番ですね。
誰を先にしたらいいのか、後にしたらいいのか、しちゃいけないのか、とか、どこまで伝えるのか、あるいは伝えない方がいいのか、どこでどう伝えたらいいのか、方法は何を使ってしたらいいのか。
この辺りは一昔前でしたら、大体この、書面・対面・電話辺りだったんじゃないかと思いますが、今はこのネット環境が発達しましたので、携帯電話、スマホはもちろん、メール、チャット、オンラインの掲示板ですとか会議などもこの辺りに入ってくるんじゃないかなと思います。
その上でどの方法を使うのかというところでいくと、メールは大体この上の方、上司の方はですね、大量に届いてますから、緊急性が高い内容は大体埋もれちゃうのが心配ですよね。
それで目立つタイトルにしてみたり、送る時間に気をつけてみたり、あるいはですね、じゃあ重要だからっていうんで、これもあれも目立つタイトルにすると、結局どれも目立たなくなったりっていうような、なんて言うんでしょう、本末転倒というか、何がいいのかっていうのが、またより複雑になってくると思うんですけれども、
さらにこの電話やチャットの方がやっぱり、直接、より迅速に報連相できるので、緊急度に応じての使い分けっていうのも、皆さん、されてるんじゃないかと思います。
本当に少し考えただけでも、気にしようと思えばもうきりがないほど、気にしなきゃいけないことが出てくるかと思います。
ただ、ここはやはり承認欲求が原点、ということに集中してみたいと思います。
ストローク交換の重要性
そうすると、報連相をする人、される人、どちらも認められたいんだというところ、認められる際に出される刺激の一つ一つ。
これストロークって言うんです、っていうことを、第一回目にお伝えしてますけれども、どちらもこのストロークが欲しいんだっていうところ、ここに集中して考えてみていただければと思います。
そう考えると、報連相はやはり一方通行ではなくて、お互いのやりとり、双方向でのやりとりというのが何よりかなというところに気がつくんではないでしょうか。
よくですね、この報連相、というところでいくと、最後の最後まで、報告・連絡・相談しない方っていたりします。
これはすごく仕事がよくできる人なのか、あるいはなかなか人に情報を共有したくない人なのか、いずれにしてもこのストローク交換がうまくいっていない。
あるいはすごく数が少なかったり、一方通行だったりというのは、これが一つのヒントになります。
以前私が実際に、体験したお話をしてみたいと思いますが、担当していた、ある仕事がありまして、それを別の方と協力しながら進める、という仕事だったんですけれども、
役割としては私は営業担当で、そしてその協力するその人は、ここでは仮にAさんとしたいと思いますが、Aさんがその納品物を実際に形にして作る人でした。
それは実際にこの協力しながら形にしたものを納品する、先があったんですが、そこのお客様からある日、「大丈夫なの?」というお電話が来ました。
それもすごく真剣な、そういう声色で、「大丈夫なの?」というふうに聞かれまして、「え、何がですか?」というふうに言いましたら、
いや、もうちょっとで納品だと思うんだけれども、Aさんからあんまり質問が来ないんだけど、っていうお話が私のところにありました。
私はですね、「え、質問がないんですか?」って聞いて、そうしたらお客様がですね、「ないんだよ。」っていうことでおっしゃったので、
「あ、わかりました。確認します。」ということで一旦電話を切って、Aさんのところに確認しに行きました。
そうしたところ、それまでですね、ずっとAさん、「大丈夫ですか?」って聞くたびに、「大丈夫です。やってます。」って言ってたんですが、「本当に大丈夫なんですか。
お客様から何にも質問が来ないって言ってるんですけれども、実際に何か仕事を進めようとして、これで質問がないなんてことあるんですか?」っていうので、かなりグイグイ突っ込みました。
これはAさんから何の報告・連絡・相談、何もなかった状態だったんですけれども、これは本当にその後、大騒ぎしました。
実際に大騒ぎした方が良かったので、結果としては大騒ぎをして何とかした、ということなんですけれども、この場合ですね、私、お客様との報告・連絡・相談は、かなりマメにうまくできてたんじゃないかと思うんですが、
このAさんとの間の報告・連絡・相談という意味でいくと、やはりちょっと頻度が少ないというか、薄いというか、表面的だったんじゃないかなというふうに思います。
これは非常にストローク交換がうまくいっていなかったっていうところじゃないかと思うんですが、ストローク交換は双方向のやり取りという点で考えてみると、今から思えばなんですが、私の方からもっと、Aさんがちょっと困っていることがあれこれあったかもしれないので、それを相談しやすいように声掛けをするとか、あるいはそういう場作りをするとか、
あとですね、相談するっていうところまで、もししづらいのであれば、途中経過の確認というような形で、もっとできることがあったんじゃないのかなと、今にして思うとなんですが、考えたりします。
これAさんがやってくれると信じていた、任せていた、と言えば聞こえはいいかもしれないんですが、これ裏を返せばと言いますか、違う言い方をすると、任せっきりだった、あとですね、何と言うんでしょう、やって当然だと思っていた、と言えなくもない。というところで、ここすごく反省点ですね。
これはやはりそういう意味でいくと、自分の中のイメージを、ある意味押し付けていたとも言えるので、なかなかこれはAさんからは相談しづらかったのかもしれないなというふうに思います。言い出しづらいっていうんでしょうか。
このあたりはやはりですね、相手の存在を認めるっていうところでいくと、自分のこの勝手な思いを押し付けたりするのではなく、相手の変化とかそういったところにも自分の方から気づく、というのも大事なのかなというふうに思います。
報連相の実践例
さて、ここまで報連相はお互いの存在を認め合う、そういったストローク交換なんです。というお話をしてまいりました。そう考えるとなんですが、報連相って、部下から上司にするものって思い込んでいる方いらっしゃいませんでしょうか。
私はやはりこれ、報連相、上司から部下への報連相、っていうのも大切なんじゃないかなと思います。上司から部下に相談という意味でいきますと、相談する、頼りにするっていうようなことをですね、これ、意外と部下からするとすごくちょっと嬉しかったりします。
なんか頼られている、相談されてる、ということでちょっと嬉しくなったりするかなと思うんですけれども、また報告・連絡という意味でも、必要な情報を共有してもらえると非常に自発的に動きやすくもなりますし、すごく自分を認められているなという、そんな力にもなるかと思います。
そんなわけで、この報連相、部下から上司、上司から部下、あるいは同僚同士、お客様と担当、全てですね、どの人もお互いの存在を認め合って、円滑に業務を進める、仕事を進めるという意味でもストローク交換を積極的にしてみてはいかがかと思います。
そしてもう一つ、報連相はした後、された後、その後というのがあると思います。経緯や結果というものにつながっていくと思うんですけれども、これ皆さんどうですか。気になりませんか。
私はですね、やはり例えば相談されて、これこれこんなふうにしたらいいんじゃないですかとか、こういうことありますよなんていうことで、情報として例えばお伝えした場合、その後どうなったのかなぁと思って、結構気になっています。ずっとそればっかり考えてるわけじゃないんですけれども、どうなったのかな、あれ大丈夫だったのかなというふうに気になっています。
そうするとそこにですね、先日のこの件ですけどこんなふうに進んでますとか、こんなふうな結果になりました、ありがとうございました。なんて言われると、それだけでちょっと嬉しくなったりします。これはすごくその人にとってもポジティブなストロークということになるかと思います。
ストロークはそれを受けた行動が強化されます。ポジティブなストローク交換をし合うことで、ぜひですね、このポジティブな変化を強化し合えればというふうに思います。では今回覚えていただきたいポイントは、「報連相と承認欲求」。報連相もコミュニケーションの一つ。まずは気づくこと、そしていつもと違う変化を味わってみませんか?
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来週も火曜日の朝6時に更新されます。お相手は遠藤美保でした。ありがとうございました。