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2023-09-19 04:12

イタラジ#13 埴谷雄高について(単性生殖、無神論、ロマン主義との比較、モラル)

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今回は、埴谷雄高の文学について、お話ししています。

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イタラジ、今回は、埴谷雄高について、その文学について語っていきたいと思います。
書物はそれぞれの運命を持っているが、この作品は帝王石灰術によってこの世に現れた胎児のごとき運命を追っていて、
その出現の母体の創造は、宵闇と闇の引き続くごとくに完全することなく契機した南宗鳩見八犬伝の伏瀬姫ではないですけれども、
母なる大地は自ら開くことで生み出します。それを明確にはっきり拒否したのが埴谷雄高でありまして、司令は日本的な生み出しの方を否定します。
彼は阿弥陀に戻って精神の単性生殖から出発し、そこから資源を遡って増殖原理そのものを断外していく。
彼はフェミニストでもヒューマニストでもございませんが、徹底してエイシスト、無神論者であります。
神話は起源を語ることで、だからこうあるのだ、だからここにいていいのだ、という現在地への既属の根拠を示します。
司令で試みられたのは、神を巡る言説や神話を反逆的にコラージュし、最終的に存在が現在地に実地脚する根拠や根拠を根晒しにすることでありました。
よって、核あるべきではない、よってここにいるべきではない、という暗中の慈悲なき否定こそ、司令という節省石が甘いとした毒素であり、我々をして存在を革命せしめる次元爆弾であります。
ハニアがこれを執行する原動力こそ、彼の仁義礼智心中肯定はセミの肌から生まれたというモラル創生のメカニズムへの反発であり、そこから発展して世界創生深夜を否定的に彫刻しようとするハニアユタカは、自分は大地の痛みから生み出されたものであり、
なおかつ自分が自分である限り他者の痛みは引き受けられず、人間精神のその痛みを想像しようともしない怠慢に愚劣と見放ち、はっきり不快を示したという点で徹底した、挑戦したモラリストなのであります。
また、一般的な小説、特にロマン主義においては、主人公の様々な行動の後に反省がきますけれども、司令においては、徴用人物の行動の前に施策がなされます。その施策の内容は、未来宇宙の領域、観点からそれまでの宇宙の歴史、人類の痛みに対する反省が含まれております。
巨体が現れるのは、その反省が徹底的に行われ、様々な我々の先入観と考えの型が否定され尽くした後であると予告されております。これはロマン主義であくまで個人から出発し個人に集約される形式なのに対し、司令は個人の存在の革命こそ、自由な連帯を導くという理念に貫かれております。
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ロマン主義の強みとしては、手頃な認識から出発して個人の自由というものを追求できます。弱みとしては結局個人の自由が精一杯の目標であり、存在の革命というところまで持っていきません。司令及び不可能性の文学においては、強みとして根本的な意識の変革、存在の革命を狙っていますから、個の存在の自由を模索することと全体の自由を思考することが矛盾しないで並存しております。
弱みといたしましては、想像が非常に難しいことで、決して人を安心させるものではありません。そして、一かゼロといった爆死めいたところがあるのでございます。このように、ハニー・アルタグの文学は非常に得意な観点から創造されており、その文学世界において、ますますの検討がなされていく必要があると考えております。ご静聴いただき、ありがとうございました。
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