今日は、小説家で詩人の多和田葉子さんにインタビューをさせていただきます。多和田さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
日本とドイツ、オンラインで結ばせていただいているんですけども、差し支えなければ多和田さんというと、旅をしているイメージが結構強いんですけども、今日はドイツ、ベルリンですか?
はい、そうですね。
今、小説家で詩人ということでご紹介させていただいたんですけども、僕はもちろん小説をたくさん読ませていただいている、大変もう今回光栄なんですけども、個人的には実は、詩もすごく好きでですね、このまだ未来。
ああ、持ってらっしゃる。
そうなんですよ。これはちょっとなかなか手に入れるの大変だったんですけど、買わせていただいて、もう想定もものすごく豪華で、ちょっと開けるのももったいなかったんですけど。
いや、もう本というね、自衛としての本というに凝ってですね、それ自体が手に取るのが楽しいような本を作ってみようということで、高校時代の友達が始めた出版社なんですけども。
あ、そうなんですね。
はい、そうなんですよ。それでじっくり作ったんですよね。というか、彼女ほとんどで私はじっくりに付き合っただけですけれども、やっぱね、このオンラインの時代と言われるじゃないですか、それでも本というのはあるんだけど、
まだ存在するんだけど、でもどうせね、オンラインの時代に本を作るんだったらば、こう、しっかり本でいったなみたいな本も作ってみたいなということで、その本を作ってみました。
そうなんですね。これね、まだお手に取ってない方いたら、ぜひね、まだ未来って、このまたタイトルも田畑さんらしく、まだ未来っていうところだけで、またいろいろね、ちょっと考えさせるところがあるんですけども。
一つ一つの詩でね、見開きになっていて、紙も非常にいい紙を使っていて、個人的にはアクセサリーの汗が大事。
好きでですね、田畑さんらしいっていうのもちょっと初対面で恐縮ですけど、やっぱり言葉でね、こんないろんなことができるんだっていうのをすごくインスピレーションいただいて、本当に今田畑さんおっしゃったように、そのインターネットの時代に、言葉がいくらでも無料で無制限でテキストを簡単に発信できる時代にね、こういう現物っていう形で、またこの詩っていう形で見せていただいて、非常にすごくインスピレーションいただいたんですけども。
今日はですね、小説家で詩人というふうに。
ご紹介したんですけど、やはり直近でですね、朝日新聞で連載されていたこの八角漁師について、主に中心にですね、ちょっといろいろとお話を伺っていきたいんですけども、その前にというかですね、せっかくなんで、ベルリンから今お届けしているということですけど、ベルリン、これ収録しているのは11月ちょっと前ぐらいなんですけど、今のベルリンっていうのは、こうとかってどんな感じですか?
そうですね。
今、いかにも11月の天気みたいなので、それは曇ってて、ちょっと寒くて、雨がちらついたりして、滅多に日が出ないみたいな、そんな天気ですかね。
あ、そうなんですね。
それこそこの八角漁師の中ではね、当然そのベルリンが舞台であり、田原さんが長年やってらっしゃる大局犬、そしてそれを取り巻く、まあね、いろんな人たちが描かれててですね、ベルリンの青く晴れた空のイメージ。
みたいなものを勝手に想像してたんです。
いや、でもね、それはね、みんなは明るいんですよ。だから集まってね、いろんな人がこんな趣味の大局犬やってみたり、冬になって暗くなると、特にコンサートもすごい数行われてるし、いろんなイベントがあって人が集まってワイワイ騒いで、仕事終わってからもね、みんないろんな店に行って集まって喋ったり笑ったりで、人間はね、明るいんですけど、意外とね。
はい。
雰囲気の暗さに対抗してですね、どうにか明るい冬を越そうみたいな頑張りがありましてですね。
あ、そうなんですね。
この冬というのが、前ハンブルクに住んでたんですけど、ベルリンに来ると、また一歩ロシアに近づいたなという感じがして、大陸性の冬ですね。
なんか一度この重たい暗い冬というのが空にかぶさってしまうと、もう何週間もそれが動かなくて、重たい感じなんですよね。
日本の感覚で冬と言っていい季節が。
まあ5、6ヶ月あって、それが終わると突然ですね、爆発して、今までこう抑圧されていた植物が爆発して、バーッと花粉を撒き散らして、私は花粉症でとても苦しくて、春の時計算って全然なくてですね。
もう急にすごく暑くなって、昨日まで雪が降ってたのに、暑い暑いみたいになって、あらあらっていううちに、もう夏が来て、最近は温暖化がありますから、もう暑い、こんなに暑い、こんなに暑いんだと思っていると、
あれ、秋だ、みたいな感じで、また冬が始まってるんですよね、いつの間にか。
それでなんか、春夏秋冬というふうに、ゆっくりと季節が巡っていくというよりは、冬を中心にして戦ってるみたいなね、そういう感じなんですよね。
あ、そうなんですね。
私のことですけど、結構7、8年くらい前に数日だけベルリン、いわゆるベルリンの壁を見に行って、それこそ10月、このくらいの時期だったと思うんですけど、その時はすごく晴れててですね、
イメージしかないんですけど、割とラッキーだったってことですね。
そうですね。運良かった。でもそういうこともありますからね。もうその思い出をぜひ、大切に心にしまっておいてください。
わかりました。ありがとうございます。そんなですね、今ベルリンのちょっとお話も伺いましたが、やはり最初に今日伺いたいのはですね、やっぱり田畑さんといえば、すみません、私が勝手にですけど、
あの、ベッカーさんがね、結構好きな、クレアにクッキー進めるシーンとかも、すごく好きだったんですけど。
ベッカーさんもね、重要なの。ベッカーさんはね、どっから出てきたかというと、グリム童話のヘンゼルとグレーテルってあるじゃないですか。
やっぱりそうなんですね。
そうなんですよ。そこでなんか子供がね、あの、家に住んで森の中に、で、魔女が、あの、家にたどり着くわけですよね。
で、その女はなんていうか、お菓子の家を建てて、お菓子でできた家を建ててて、子供を誘惑して閉じ込めて食べようと。
するような、悪い魔女なんですけど。
でも、グリム童話の研究の中で、昔ね、そのように街を外れて、森の中で暮らしていた女性が実際いたみたいな研究があって。
で、その人は街の中で差別されてですね、そこに森の中でお菓子を作るしかなくなってしまって。
で、普通の人たちからは、こう、敬遠されてたんですけれども、でも実際悪い人ではなくて、で、子供のことも非常に、子供が好きで。
で、子供にお菓子をあげたりもしてたっていうような。
そういう人が、なんか、魔女としてね、この、あの、メルヘンの中に取り組まれていったんだという説があってですね。
それを見て、ああ、面白いなと思って。
ああ、そういうふうな見方をすると、森の中でお菓子屋さんやってるの、女性というのも面白いなって。
それでね、ベッカーさんっていうのは、ベッカーっていうのはね、パン屋さんとかね、お菓子も売ってる、焼いたものを売る人っていう職業の名前でもあるんですけど。
よくドイツにある感じで、そうなんです。そっからベッカーさん出てくる。
そうなんです。まあ、そういう意味では何でしょう。今、そのベッカーさんとその前のね、あの、ドストフスキーの、じゃないですけど、なんか言い方がいいか分からなくて。
いわゆるね、今までのそういう作品では魔女扱いされて、ある意味、虐げられた人たちを、この八角漁師の中ではちょっと、なんか癒してる感じがしますよね。
そうですね。女性がこう、歳をとっていくときに、非常に、なんていうか、社会からこう、はみ出してしまうというか、はみ出しはしないで、ギリギリとどまっていく。
でも、社会の片隅にこう、押しやられてしまって、いや、あなたはもう、重要性ないんだと、あなたは面白くないんだと、なんかこう、言われてやっぱり、生きていくわけですよね。
その女性たちに、ちょっと舞台に上がってもらってですね、いろいろ面白い、この舞台を展開してもらおうか、という考えもあったんですね。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。
この度スタートしたメンバーシップでは、各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで、2000人以上にインタビューしてきた僕が、
国内外の取材、そして旅の中で見つけた、人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや、秘蔵トークにもアクセスしていただけます。
随時、これは面白い、これはいいんじゃないか、というコンテンツもアップデートしていきますので、そちらも含めてどうか、今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なお、いただいた皆様からのメンバーシップのこの会費はですね、インタビューシリーズの制作費だったり、国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、
その他、取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思っています。
最後に、なぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか、少しだけお話しさせてください。
この一番の理由はですね、僕自身が人の話によって、鬱や幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より、国内外のたくさんの視聴者の方から、これまで人生が変わりました、毎日進む勇気をもらいました、救われましたという声をいただき続けてきたからに他になりません。
この声は、世界がコロナ禍に見舞われた2020年頃から、
一層増えたように思います。
これは本当にありがたいことです。
ただ、同時にそれだけ心身ともに疲弊したり、不安を抱えたりしている方が増えていることに、
かならないその裏返しであると、僕は強く感じています。
正直に言えば、各僕自身も15年以上前に起業して以来、
最大のピンチと言っても過言ではない時期を、この数年送り続けてきました。
でも、こんな時だからこそ、守りに入ることなく、
インスピレーションと学びにあふれる、まだ見ぬインタビューを送り続けることが、
インタビュアーとしての、
自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め、先の見えない時代だからこそ、
僕はインタビューの力を信じています。
これまでのように、トップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん、
今後は僕たちと同じ、姿勢の人、普通の人の声に耳を傾けたり、
やえもすると内向きになってしまう、今こそ海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
そして、彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく、
本としてもしっかりと残していきたい、そう考えています。
そんな思いに共感してくださる方が、
このメンバーシップの一員になってくださったら、
これほど心強く、そして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも、皆様とお耳にかかれるのを楽しみにしています。
以上、早川洋平でした。