夜の帳が降りるころ
夜の帳が降りるころ
静まに瞬く星のささやき
光年の孤独の叫びを 夜風が柔らかく溶かす
今宵ひっそりと夜更かし
群読のある夜
きょうという日
室生犀星
時計でも
十二時を打つとき
おしまいの鐘をよく聞くと
とても大きく打つ
きょうのお別れにね
きょうがもう帰ってこないために
帰ってこないために
きょうが地球上にもうなくなり
他のなくなった日に紛れ込んで
紛れ込んで
なんでもない日になっていくからだ
ぼうぼう何千年の歳月に
ぼうぼう何千年の歳月に
連れ込まれるのだ
きょうという日
そんな日があったかしらと
どんなにきょうが華やかな日であっても
きょうが華やかな日であっても
人々はそう言って忘れていく
忘れていく
きょうの去るのを止めることができない
きょう一日だけでも
よく生きなければならない