2024-12-28 39:43

#78 ホンダ&日産の経営統合へ協議のニュースについて

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今年の振り返りをしようかと思っていたところに飛び込んだ、田中さんの思い入れの強いホンダと日産が経営統合へ、という大きなニュース。田中さんに熱く語っていただきました。

今年もゴールデントライアングルをお聞きいただき、ありがとうございました!来年は日本時間 1 月 11 日から更新予定です。どうぞよろしくお願いいたします!

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仕事でコミュニケーションを扱う 3 人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何か?を一緒に考えていくポッドキャストです。

出演者🎙️

田中 愼一 (Blog)

高木 恵子 (Facebook / LinkedIn)

中川 浩孝(twitter / Facebook / LinkedIn / note)

ご意見・ご感想、3 人に話してほしいトピック、3 人へのご質問などありましたら、以下のフォームからお送りください。https://forms.gle/ZGKtUCBn3m25Nr6J6

サマリー

ホンダと日産が経営統合の協議に入っているというニュースが話題となっています。両社は異なる企業文化を持っているため、統合の成功について懸念が指摘されています。特に、ホンダが主導権を握る可能性がある中で、両社の関係構築が重要な課題とされています。経営統合に関する議論が進む中、自動車産業における技術革新や競争力の変化がテーマとして浮上しています。ホンダと日産の統合に向けた議論が進行中であり、この動きが日本の自動車産業全体に与える影響が注目されています。両社は技術的な違いや文化の違いを尊重しながら、ウィンウィンの関係を築くことが成功の鍵となることが強調されています。また、両社はそれぞれの独自性を保ちながら、今後の市場での競争力を高めることを目指しています。自動車産業における巨額投資や企業戦略の変化についても取り上げられています。

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中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。 仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
みなさん、こんにちは。 コミュニケーションを極めると自分が見えてくる、世界が見えてくる。
コミュニケーションの世界に携わって40年以上、コミュニケーション、命。 田中愼一こと、シン・田中です。よろしくお願いします。
高木 恵子
SEからPRコミュニケーション業界に転職して、はや四半世紀以上、高木恵子です。
中川 浩孝
外資系企業でマーケティングを経験してきたアメリカ在住中川浩孝です。
高木 恵子
今日は田中さんが話したいことをね。いっぱいありますね。
中川 浩孝
年末だから1年を振り返ろうと思ったんですけど、ちょっと熱いニュースがね。
田中 愼一
もうね、冷えたニュースが伝わってきましたよ。
経営統合のニュース
田中 愼一
とにかくホンダと日産が経営統合するっていう話がある。
しかもパッと目が覚めて、ベッドで、さっと携帯を見たらそのニュースが一番出る感じがする。
自分に知らせるためにこういうシーンが設定されたのかと思うぐらいに、
ドンピシャのタイミングで、パッと目が覚めたら目の前にその記事が出てた。
それで基本的にはですね、かなりショックというか、僕も長年ね、ホンダには16年ぐらいいたのかな。
あそこがやっぱりいろいろ今の自分を鍛えてくれて、徹底してたんで。
やっぱりあそこの会社の強さっていうのは独自性っていうか、
本田宗一郎さんっていうすごい創業者がいて、彼の考え方、発想、それから覚悟っていうのかな。
そういうのがですね、少なくとも僕がいた当時はですね、非常に根強くて。
僕はホンダを中心にアメリカでやってたんですけども、
基本的にはやはりその当時、80年代90年代ですかね、
ホンダっていうのはやっぱりアメリカが新天地で、アメリカがまさにフロンティアで、成長で、
実際的には日本より大きいマーケットだったんで、
そういうことでアメリカで7年ぐらいやってたんですけど、
その間にいろいろホンダフィロソフィーっていうのを体験しながら、
そのフィロソフィーがホンダを辞めた後も、やっぱりずっと引き続きかかって、
今やってる仕事もですね、やっぱりそこにルーツがあるなってものの考え方だね。
だから逆にホンダと日産というまるっきり文化の違う会社が一緒になるっていうのはすごく大きなショックで。
とにかく昨日起きてから周りにボンボン話をして、
やるせないというかなんかよくわかんないこの気持ちを払拭してるということなんですね。
企業文化の違い
田中 愼一
基本的に文化ってすごく重要だと思うんですね。どんな組織であれ。
日本の自動車産業を代表する3社はもちろんトヨタがトップで、
あとホンダと日産があるわけですけども、
トヨタや日産はそれなりに歴史がある日本の自動車産業を作ってきた人たちで、
ホンダはどっちかというと新種というか外来で、いわゆるオートバイから入って、
それから四輪に入ってっていう企業で、そのカルチャーは全然違うんですが、
どっちかというとホンダのカルチャーに似てるっていうか、
ある程度共通性があるなっていうのはトヨタですね。
トヨタとホンダって案外そこのものの発想が現場主義的で、
現場で何が起こってるかを中心に物事を考えてやっていくっていう現場主義的な発想がすごく強い。
だから何か問題あると現場どうなってるってこういう感じになってくる。
だからある意味似たもの同士で、不思議なもんで似たもの同士って結構うまくいかないっていうのがある。
だから間違いなくトヨタとホンダが統合したらうまくいくはずがないね。
というふうに僕は今偏見を持って言ってるんです。
でももう一方、じゃあ日産とホンダってどうかっていうと、これは似て非なるもの同士なんですね。
もうまるっきり違う発想で、どっちがいいか悪いかって別です。発想が違うんですよ。
やっぱりホンダが現場でもっと泥臭いところに関して、向こうはどっちかっていうとかっこよさというか、
スマートというか、なんかそういうところがあって。
トヨタが持ってる泥臭さとはホンダの泥臭さはちょっと違うんだけども、
でもいずれにしても泥臭いっていうところと、向こうはハイカラっていう感じ。古い言葉だけど。
だから通常パッと見たときに、ホンダと日産は水と油で絶対合わないよなっていう。
これが昨日からずっと、いやそうじゃないんだ、これはちょっと別次元の視点から見なきゃいけないんだって言うんだけど、
一生懸命昨日から努力してるんですよ、これ。なるべく客観的にこの事実を捉えようとして。
やっぱり人間は主観の動物ですね。
要するにね、特に主観っていうのはロジックとは違う。客観っていうのはロジックでことするんですよ。
ロジカルじゃないと客観にならないし、普遍性が出てこないから。
でも主観っていうのは実はロジックでは片がつかない。落とし前がつかない。
そういうのがあるんで、今まさに年末を控えてね、振り返りをゆっくりしようと思っていたんだけど、
昨日そういう事件が起こってですね、心が動揺して、この心の動揺というものをどう落とし前をつければいいかっていうのがですね、
なかなか手がない。だから僕はもう、会う人会う人この話をしてる。
その中で、やっぱり前からも言ったようにコミュニケーションっていうのは受信、発想、発信っていうね、この輪をどんどん回していく。
そうすると人間は元気になっていくんですよ。
だから今一生懸命皆さんとそのね、プロセス受信、発想、発信でどんどん発信して、どんどん受信して、どんどん発想して、発信して、
これを今やって少しでも元気って言うんですけど、なかなかねボルテージ上がらないんですよね。
中川 浩孝
逆に言うとどういう反応が返ってくるんですか?その話をした時に多くの人からこういう反応があるとかって。
田中 愼一
みんなびっくりするんですよ、やっぱり。
大体僕と同じ気持ちはシェアしますね。だって違うよね、あそこと二人でシェアと思うっていう。
だからこの違うもの同士を混ぜるっていうのはまずうまくいかないと思いますね。
昨日いくつかの報道全て見たんだけど、
報道はホールディンカンパニーをどう構築するかで決まってくるかなと。
少し今ね自分の心を客観的に見つめるようにしてるんですけども、
そういう目から見るとですね、まだ本人は確信してないんだけど、
やっぱりホールディンカンパニーで絶対混ぜない仕掛けを作ることでしょうね。
それからあと、それがまず一つ、混ぜないっていう。
それから二つ目のホールディンカンパニーの機能っていうのは、変なトップダウンをやらないこと。
つまり現場で判断し、現場で責任を持ち、現場で覚悟するっていう、
つまりホンダはホンダ、日産は日産っていうことをクリアにし、
そこにあんまりホールディンカンパニーとして口出ししない。
する分野としちゃいけない分野を明確に分けないと、
両者のいいところっていうのがどんどん、
だって日産がホンダになったって、まあなれるわけないんだけど、
日産がホンダになったって全然1たす1は3にはなりませんし、
ホンダが日産になったって1たす1は3には全然ならない。
両方とも2にさえもならない、そういうことをやったら。
そうするともう1たす1がゼロって話になっちゃうんで。
だから混ぜるっていうのが1番、混ぜるっていうことと、
それからそのコントロールしようという発想がホールディンカンパニーにあると、
うまくいかないケースが多いんじゃないかなっていうのが、
やっとここまで客観的な視点を、
あれをもう少し客観的に理解しようとはしてるんですけどもね。
今後の課題
中川 浩孝
まあでも日産はね、ルノーとの三菱自動車と日産の3社関係みたいなのも、
なんかうまくいかなかったっていう経験があると思うので、
それでもこういうところに手を出してくるっていうところは、
やっぱりそれだけ経営がちょっとヤバい。
田中 愼一
今ね、日産は本当にヤバいし、あと下手すると企業買収にありますよね。
中川 浩孝
そういうですよね。今、ホンハイに買われるんじゃないかという話がありますもんね。
田中 愼一
だからそうなると慌て出すのが経産省じゃないかな。
あと日本もそうですけどね。
だってあれ買収されたら結構日本の国益に影響するって、
まず経産省は考えるんじゃないかな。
だってルノーでさえも、
ある意味僕は外から見てるとアンチだったって気がしますよね。
やっぱり国益っていうもので、
やっぱりルノーという外資に自動車メーカーである日産が傘下に入るっていうのはなかなかできなかったし、
今回はエフェクトがあって、そこをある意味薄くする。
ルノーの支配をね。
っていうことはどっちかというと国益っていうふうに考える視点はあると思うんですけどね。
だから逆に外国企業に買われるんだったら、
ホンダと統合しちゃうって話になると思うし、
今その2社が統合したらどっちが主導権を取っちゃうかって言ったらホンダのほうが取りますよね。
だって今ハイブリッドが一番売れてるわけですよ。
ハイブリッドって言ったらもうトヨタとホンダしかないわけで。
ある意味支配しちゃってるわけで、ダントツで。
だからそういう意味からしても今稼げる体質を持ってるのはホンダのほうなんで、
そうすると日産のほうとやっぱり、たとえ対等であってもホンダがやっぱり主導権を取るでしょうからね。
そうすると果たしてそれが本当に日産にとっていいのかどうかっていう。
それからホンダにとってもいいかどうかっていうか。
中川 浩孝
ですよね。
田中 愼一
だからよほど気をつけてホールディングカンパニーの機能っていうのを決めないと、
あと経営陣ですよね、ホールディングカンパニーのメンバーどういうメンバーにするのかっていうのがないと、
とにかく混ぜちゃいけない。
中川 浩孝
混ぜるな危険ですね。
田中 愼一
それで物申さない、なるべく。各会社に対して。
だからそういう意味でまた三菱が入ってくる可能性もあるわけでしょ。
中川 浩孝
そうですね。
高木 恵子
でもさすがにホンダも何かメリットを感じなければこの話に乗らなかったわけだから。
日産は外から見ててやっぱり業績が悪いからいたしかたないというか、こういう戦略を取るのは理解しやすいんだけど、分かりやすいんですけど、
ホンダのメリットって日産と来ることで何ですか。
田中 愼一
投資の削減でしょうね。
今一番怖いのはEVなんですよ。
経営統合の背景
田中 愼一
今売れてるのはハイブリッドなんで、基本的には別に今は心配する必要はないんだけど、
実は他の地域見てる、例えばタイのマーケットっていうのは実はほとんど日本勢が抑えてたところから、
今や全部がほぼ中国勢になってた。
しかもEVの中国の持ってる強さはコスト競争力ですね。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
だからEVに限らず、あと自動運転。
それからAIが入ってくる中で、いろいろな形をコネクテッド・モビリティっていうか、
その中で言い方を簡単にすると、いわゆる携帯化するんですよ、車が。
車っていうのは携帯と違って、携帯は自分の手を持ってるぐらいの接触度しかないけど、
車って体全体がすっぽり入っちゃうんですね。
それと何が起こるかというと、一つのデータ発生源になるんですよ、車が。
だから車の動いているデータ、さらにはその中に乗っている人間のデータっていうのが、
全部データ化して共有されて、それが新たなサービスにつながっていくっていう。
自動化もそうだし、いろいろな技術がこれから、いわゆる従来の車の産業の構図っていうのが、
この要素技術がガラっと変わっちゃうわけですよ、電気になると。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
いわゆる自動車のAI化って呼んでもいいし、スマホ化って呼んでもいいし、
今まで孤立空間だった車、つながる空間になっちゃったんだよね。
そうするととてつもない基礎投資、基礎技術に対する投資が需要になってきて、
一社じゃもうできないですね。
しかもこれはEVだけにシフトすればいいかって言うとそうでもなくて、
これから水素エンジンとか、いわゆるクリーンエネルギーって呼ばれている、
もしかしたら従来のエンジン技術を使ってエミッションゼロを達成するような燃料、新たな燃料、
っていうの開発も一歩進んでますから、
だから基本的には360度であらゆる技術革新っていうものを抑えていくっていうか、
フォローしていかなきゃいけないとなると、これは今日本の企業ではトヨタしかできないでしょうね。
トヨタはそれをやってるんですよ、実際に。
ただトヨタでさえも今や大手外資と提携しようという動きがあるんで、
だからもうこれは一つの流れだから、
多分日本の中で言うとトヨタはまだ単独でいけるとは言っても、
ホンダと日産はやっぱり、日産の方が今弱ってるから非常に、
しかも日産というのはEVっていうのを一番初めに進めたのに、
結局主導権取れずに持っていかれちゃったわけですよね。
だから彼らは、ゴーンさんのときなんだけども、
ハイブリッドへの投資を怠ったんですよ。
全部EVにシフトしちゃって。
だからハイブリッドがないって言ってもいい状況で、
それが今の苦境を招いてるっていうことで、
だからEVだけに今シフトするっていうのもまた危険な話で。
だからそういうことを考えると、
これからの自動車産業って本当に激変っていうか、
100年に一度じゃなくて、
500年に一度か1000年に一度ぐらいになったとおかしくないぐらいの激変です。
それの第一発が日本の中で言うと、
やっぱりホンダと日産の統合っていう激変ですね。
テレビもすごい取り上げてたんですよね。
高木 恵子
そうですよ。
電池技術の重要性
田中 愼一
やっぱり消費者ブランドだから、コンシューマーブランドだから、
トヨタも日産もホンダも、だからやっぱりみんなすぐ結びつくんでしょうね。
中川 浩孝
そうですね。
でも今の話を聞いてると、日産にはEVを作ってもらって、
ホンダはハイブリッドな車を作っていくみたいな、
棲み分けみたいなことを考えているかもしれないですね。
田中 愼一
基本的にはですね、
たぶんホンダにとっての日産の、
もし日産と統合することのメリットって考えると、
電池なんですね、EVを。
今ホンダは電池専門で、
自分たち独自の電池を開発してるわけですよ。
で、売れ筋が決まってると、量産効果が出てコストが下げられるんですよ。
そうすると、日産の車に全部乗せられるわけですよ。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
だから今、電池なんですね、基本的には。
中国がなぜ強いかっていうと、めちゃくちゃ安い電池を作る。
高木 恵子
そうか。
田中 愼一
で、電池っていうのはすごい高度技術で、
だからそこに対する投資っていうのは莫大になるし、
だから投資は莫大になるけど、
だから逆に言うと、ホンダとしてもすごい投資してるわけですよ、すでに。
それを回収するためには量をはかなきゃいけないから。
そうすると800万台っていう、
生産台数で言うと、ホンダは6位なんですね、世界で。
日産が8位ぐらいですかね。
だからその両方を合わせて、さらに三菱も加えると、
800万台以上になる。
そうすると世界第3位の販売台数になる。
その台数に、例えばホンダのそういう電池をどんどん、
EVが全部なるとは思わないけども、やっていくと早く回収できますからね。
中川 浩孝
そうですね。
田中 愼一
投資を。だからやっぱり量っていうのは、量産っていうのはすごく重要で、
どれだけ早く量産できるか。
量産するためには販売されなきゃいけないから。
ある程度の販売台数っていうものを手元に持っていないと、
なかなかこれからは勝てない。
そうすると、少なくても世界3位に位置づけておけば、
基本的にはそこに対するいろいろなさらなる技術投資、
電池とかその他EV、あるいは水素エンジンとか、
いろいろな技術がこれから可能になってくるんで、
そこに対して投資していくって、
それを早く回収していくためには、
ある程度マスの台数を売っているって実績がないと、
事実がないと、かなり難しくなってくる。
自動車産業の未来
田中 愼一
こんな感じでしょうね。
中川 浩孝
なるほどね。
田中 愼一
だから本当に変わりますね。
中川 浩孝
そうか。でもトヨタとホンダの差ってそんなにやっぱり大きかったんですね。
田中 愼一
大きいですね。
やっぱり日本が圧倒的にでかいんですよね。
アメリカでは互角にやってても、
基本的には日本で差がついちゃうんですね。
やっぱり日本はもう圧倒的にトヨタですからね、今。
だからそこで大きく差がつくのと、
あと中国は3社とも苦戦してるんであんまり差がつかない。
ヨーロッパも似たようにあそこはメーカーが多いんで、
なかなか日本社は入っていけない。
そうすると結局主要となると、
基本的にはアメリカがカナダっていう北米市場が最大のマーケットになるわけですよね。
そこでは基本的にはトヨタ、ホンダが双璧みたいな形でやっていて、
日産が出遅れてるっていう感じで。
日産は北米がダメなんです、今ね。
だからそういうのを考えていくとそうなんですね。
トヨタはやっぱりさすがにでかい。
高木 恵子
そうか。
中川 浩孝
そうですね。
田中 愼一
こうやって今自分を慰めてるんですよ。
客観的に思いして。
ただ自分の主観からはまだ許せないみたいです。
これで年越すのがね、本当にって感じですね。
高木 恵子
でももう別に年末で決定的に大きく動けることはなかなかなさそうだからね。
やっぱり年明けで一気に進みそうですよね。
田中 愼一
そうですね。
わかりませんけどね、交渉ごとっていうのは。
ホンダもGMとずっと電気自動車のEVのをやってたのに、
今の社長、ホンダの社長の三部っていうのがやってたのに、
交渉やってそこが成功してたと思ってたら解消したっていう形で。
だから結構こういう企業統合っていうのはなかなかうまくいかないです。
今回はね、日本の企業同士なんで。
でもこれもね、いろいろあって、日本の企業同士だからこそ割れるっていうのもあるわけですよ。
中川 浩孝
そうですね。
田中 愼一
さっき言ったそのまるっきり違う考え方とか、あるいは似た者同士とかね。
逆に日本語でやるからツーカーというか阿吽というか、
これはいい意味で今使ったんだけど、逆に言うと不確実性とか誤解とか曲解とかが起こるのがあるんで。
甘えがあるからね、お互い日本人だと思って。
だからどっちに転ぶかわかんないですよね。
高木 恵子
銀行がそうじゃないですか、日本って。
結局今大手、三菱UFJと、みずほと住友で、
結局あそこも全部みんなくっついてくっついて大きくなって、今残ってる感じですよね。
田中 愼一
大体日本の経済規模に合ったっていうのは別にね、だって自動車って7社くらいあるんじゃないですか。
系列は作ってるけども、基本的にはそこが2つか3つか2つ。
政府としては2つっていうのを昔掲げてた。あ、3つか。
いずれにしても、やっぱり多すぎるんですよね、日本ってね。企業数がね。
自動車は本当にすごい数ありますよね。
中川 浩孝
そうですね。
田中 愼一
トラックメーカーまで入れたら本当に。
高木 恵子
おお、そうなんだ。
田中 愼一
いずれ集約されることはわかるけども、
技術革新に追いついていくための投資をどれだけ早く回収できていけるかっていう、
サイクルをどれだけ早く回していけるかっていうのが重要で、
それには絶対的に台数が必要だっていうのが今の時代なんでしょうね。
中川 浩孝
それは間違いないですよね。
田中 愼一
全然ね、自動車にとって変わるような、
例えば空中自動車、要するに空飛ぶ自動車とかね、
そこあたりはたぶんホンダとか、トヨタやってるかどうか知らないけど、ホンダはやってますよね。
それから、ホンダはジェットをやってますからね。
そう、ホンダジェットがありますもんね。
ジェットをやったり、だからそういう意味で車とは違ったところのトランスポテーションとかモビリティっていうか、
ロボットなんかもモビリティになるんですよ。
例えば介護、ロボットなんかは、動けない人を動かしてあげるとかね。
だからモビリティっていうのは車だけじゃなくて、もともと本田宗一郎さんがそう言ってたんですけど、
要はAからBまでにどれだけ人間を運ぶっていう。
効率的に、効果的に。
人間っていうのは鍵なんですね。
だからホンダは昔、タクシーとかああいうとこには車売ってなかったんですね。
なぜかというと、ドライバーのための車を作ってる。
今から思うとちょっとね、頑ななんだけど、昔はそんな感じで、
ホンダと日産の統合の背景
田中 愼一
あんまりレンタカーとかそういうところにホンダの車出さなかったんだけども、
ドライバーのための車っていう発想が当時強かったんだよね。
今はそういうことないですけどね。
だから人間を運ぶっていうことがすごく重要なポイント。
人間を運ぶっていう。
そのモビリティに特化するっていうことは、
オートバイがまさにスタートポイントで、
そこから車に発展し、それから今度ジェットに発展するっていう。
ある意味一つの進化法則っていうのがあって、
すべてモビリティ。人間のモビリティ。
そうなると介護ロボットとか、そういう人間のモビリティをサポートするっていう範疇で、
自動車で捉えずに、そういうふうに大きなビジネスドメインで捉えるっていうね。
こういうのっていうのがすごく重要で、
特にジェットって開発するまで30年かかった。
一人きちがいがいて、
もうひたすらジェットだジェットだって生きて、
30年間研究所で孤立しながらバカバカと呼ばれるながらも耐えてやったと。
ただそれを許したカルチャーがあるわけですよ。
でも今回統合したときに、ホールディングカンパニーがそういうものを許さなくなるっていうのは、
あらゆる事例で出てるんですね。ホールディングカンパニーの。
個別企業と参加にある企業とホールディングカンパニーの圧力っていうんですか。
やっぱりホールディングカンパニーになると、
制御、コントロールしたがる。現場にいないだけに。
参加にある企業は現場でも回してるから、
ある程度いろいろ将来見ながら、たとえば30年かかってもお前やっとけというぐらいの判断はするんだけど、
ホールディングカンパニーからすると、いやそれは違うだろうとかね。
しかもホールディングカンパニーがホンダ出身じゃない人間がなったときっていうのは、
たぶんそういうところの、現場での雰囲気っていうか。
ジェットは今成功してて、あのクラスでマーケットシェアもうナンバーワン取っちゃってるんだけども。
あれはその30年間やらせてたイノベーションが今日に生きてるっていうケースだから、
ある程度基礎技術の開発っていうのは、
広い目で、長い目で、広く長い目で見ていかなきゃいけないっていう応用さっていうのを、
どこでキープするかっていうのはトップマネジメントの重要なところだと思うんですよね。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
それカルチャーに一番関係してくるんですよね。
高木 恵子
まあそうですね。
中川 浩孝
確かにそんな気がしますよね。
田中 愼一
イエスマンのカルチャーって絶対イノベーションって起こってこないんですよ。
あるいはトップダウンだけでやってるような組織って絶対ダメです。
僕がいた頃はもうアップトップ。
もう下からどんどん突き上げていくっていう感じで。
とにかく上は動かすものっていうんで。
とにかく口八丁、手八丁、なんでもいいからいって乗せて動いてもらうっていうね。
そういうことで僕は嫌われてたのかな、上司に。
高木 恵子
でも田中さんがよく言うピンチはチャンスっていう言葉通りに行くのであれば、
結局今そういう意味で言うと日産もホンダもピンチとするのであれば。
田中 愼一
ピンチとして考える。
トヨタも含めてピンチだと思います。
高木 恵子
そうですよね。
田中 愼一
日本の自動車産業そのものが今ピンチなんですよ。
今言いながらなるほどって。
高木 恵子
そうですよね。ピンチをチャンスっていう風に。
そうですよ。
ってなればお互いやっぱりピンチなんだから何とかしようっていうので、
新しいものがね生まれてきたらそれはそれで日本のそれこそ自動車産業ももう一度息を吹き返すというか。
田中 愼一
これをチャンスにできるかどうかですよね。
ここは真剣勝負なんで勝ち負けは出てくると思うんだけども、
でも依然してもピンチをチャンスにするっていうことを追求していくっていうことが重要だと思います。
高木 恵子
そうですよね。
中川 浩孝
私は三洋とパナソニックの合併の時のことをすごい考えちゃったんですけど、
やっぱりあれってその三洋のブランドをうまくパナソニックに移せたものもあるんですけれども、
ほとんどのものは消えてしまって三洋のブランドは消えてしまって、
結局三洋のブランド自体は中国の会社にある意味売るみたいな形だったっていうことを考えると、
これってやっぱり会社数が多すぎるって先ほど田中さんがおっしゃってたのは、
いつも私もそれは日本の問題だなと思っていて、
その日本のマーケットがそれなりに大きかったためにそれなりにたくさんの会社があってうまくやってきたんだけれど、
やっぱり開発投資とかにどんどんお金がかかるようになってきて、
日本だけではダメだと。
世界を見るとなるとやっぱりちょっと会社の力が足りないと。
で、やっぱり一緒になっていかないと。
っていうところでパナソニックと三洋というのもまさにそれが起こったんだと思ってるんですけど、
ついにそれが車に来たかって思ったのと同時に、
やっぱり三洋の時みたいなその日産のおいしいところだけを、
というかホンダの欲しいところだけをうまく拾って、
あとはどっかに売っちゃうのかな、
そういうのがあったらすごい嫌だなって思って、
一応私は今のところ見ているんですけど、
うまくいくというか、あれもうまくいったと言えるのかどうかちょっと今の段階ではまだわからないですけど。
田中 愼一
それはね、お互い両二つの会社ともやっぱり違いはちゃんとあるんでね。
それは技術的な違いもあるけど商品ラインナップの違いもあるんでね。
経営統合の課題
中川 浩孝
そうですよね。
田中 愼一
やっぱりそこをそれぞれ強みを生かすっていうのが基本で、
ウィンウィンにしないとこの統合って失敗しますよね。
どっちかどっちを食うっていう形になっちゃったら。
中川 浩孝
確かに。
田中 愼一
そこは難しいし、
それが起きないようにフェアでやっていくっていうのはあるんだけど、
お互い二社とも違う現場を持ってるわけだから、
ホールディングカンパニーにいる人たちがその現場っていうのはわかりませんからね。
中川 浩孝
そうですね。
田中 愼一
だからどれだけ現場に任せられるかっていうか任すかっていうところが、
非常に多分ね、
僕もいろんなホールディングカンパニーと向き合ってますけど、
難しいです。
中川 浩孝
こういうカルチャーが全く違うような会社を抱えているホールディングカンパニーって、
うまくいってる例ってパッと思い浮かぶところってあったりします?
田中 愼一
コミュニケーションの世界ではたくさんありますよ。
例えばWPPグループとか、
あとオムニコム。
オムニコムグループとか、
あとインターパブリックとか、
いわゆる、日本で言うならば電通。
中川 浩孝
まあそうですね。
田中 愼一
ただ電通と違うところは、
コミュニケーションということで、
コミュニケーションに関与するありとあらゆる会社を、
だから数百社以上あるわけですよ、みんなそれぞれのグループに。
だからそのホールディングカンパニーの下に、
今はトヨタは2社、日産は2社なんだけど、
そういうコミュニケーションのコングロマリットって呼んでいいのかどうかわからないけど、
グループの下には数百社、
いろいろなコミュニケーションに携わって、
だからパブリックレーションっていうのはその一つであり、
僕が関与しているね。
それからもう一つは広告宣伝とか、
それからいろいろなのがあって、
それでこうやってる感じですよ。
だから個々の現場ってまるっきり違うんですよ。
中川 浩孝
違いますね、そうですよね。
田中 愼一
仕事も違うし、
それを組み合わせるっていうことはある程度できるんだけども、
でも基本的にそうなったら、
ホールディングカンパニーとしては、
いわゆるグローバルで最大化するっていうことなんですよ。
ところがグローバルで最適、最大化っていうのが、
必ずしもローカルで最適かというと、
実は違うんですね。
2社だったらまだいいかもしれないけど、
数百社だったらそんなの分かんない。
そうするとどこでコントロールするかというと、
いわゆる財務でコントロールするわけですよ。
数字で。
そうすると数字だけでコントロールすると、
現場の事情っていうのは数字には反映しにくくて、
そうするとその数字で判断されちゃうと現場も知らない。
だって数百社だったら現場なんて分かんないですよね。
そうすると数字だけで物事が固まってきて、
基本的には徐々に硬直化して、
イノベーションが生まれてこなくなるっていう、
ネガティブな面。
じゃあポジティブな面ってのはどうかというと、
グローバルで最適化するための組み合わせをうまくね、
ホールディングカンパニーが作れるんだったらいいんだけど、
そこも各現場を知らないと、
その組み合わせってのは出てこないんですよね。
だから数百社も参加にあるグループっていうのは、
ホールディングカンパニーの構造というか、
作用というか、機能次第でダメになったり、
良くなったり、ただ良くなっても、
短期的に良くなるんだけど長期的にはダメになる。
だからホールディングカンパニーの匙加減は、
ものすごくこのコミュニケーションの、
そういうコングロマリットでは難しいと思います。
成功してる例っていうのは僕は分かんない。
成功に向けた鍵
田中 愼一
みんな吸収合併、吸収合併で大きくなってきちゃったって感じで。
確かにそうですよね。
最近もインターパブリックでしたっけ。
オムニコムが買収する形になったって。
ますます社数が増えて、ここをどうコントロールするか。
ということになると、やっぱり財務っていうところ、
つまり数字で抑えるっていうのはどんどん強くなってくると、
それが各リージョンにも影を落としてきて、
各リージョンの動きがなかなか取れにくくなってくる。
だから市場の動向に従ってそれぞれが動くっていうのが、
だんだんやりにくくなってくるっていうのはありますね。
ただ今回のホンダとは2社なんで、
そこはやはりうまく工夫するっていうことは、
僕はできるとは思うんですよね。
ホンダと日産の経営統合
田中 愼一
と今なかなか自分の主観を抑えながら言ったんですけど。
できるというふうに今自己暗示かけてるんですけど、できる。
だからそういうふうに見ると、やっぱりホールディングカンパニーを
どう構築していくのかっていうのは鍵じゃないですかね。
成功のね。
高木 恵子
頑張ってもらわないと、日本のためにも。
田中 愼一
で、でかいことがいいことだっていう一方で、
世の中でもなくなってきてるんですよね。
自動車はさっき言った巨額投資があるんで、
大きくないとダメだっていうことで、今そっちにシフトしてるんですけども。
だから逆に言うと、でかくないほうがいいことだっていう世界もあるわけで、
それを個別の会社にやらせることでしょうね。
だからホンダはホンダらしく、もともとナンバーワンになろうとかそういう野心じゃなくて、
とにかく独自のものを、とにかく人より早く出していくっていう、
その精神でやってるから、それはそれで、
それなりのマーケットをしっかりと作っていけばいいんだと思うんですよね。
だからまあ。
高木 恵子
温かく、ポジティブに見守りましょうよ、田中さん。
田中 愼一
あのね、こうやって皆さんと話してるときはね、いいんですよ、なんとなくこう。
ところがこれで終わるでしょ。
で、ずっと一人になると話さなくなるでしょ。
ちょっとまたこう、主観が黙々と出てきて。
高木 恵子
しばらくコナンを見てください、コナンを。
コナンを見ながら浄化をさせて。
田中 愼一
現実逃避ですね。現実逃避ね。
いやでもね、コナン見てると車が出てくるでしょ。
高木 恵子
あ、そうか。
思い出しちゃうんだ、がーっと。
田中 愼一
ちょっとしばらくは自分の主観をどう落とし前につけるかで苦労するしかない。
これもピンチとチャンスって考えなきゃいけない。
高木 恵子
そう、何か新たな自分のリカバリー方法を見つけるかもしれない、田中さん。
田中 愼一
でもね、昨日から思ったけど、自動車とは関係ないけど、
主観と客観っていう、これはね、ある意味コミュニケーションの本質だなと思ったのは、
コミュニケーションってまずは客観から入るんですよ。
つまり、周りからどう見られているか。
クライアントにアレするときも、まずどう世間から見られてるかってとこから出発するから、
自分のコミュニケーションでまず自分今どう見られてるかなっていうとこから客観から入るんですよ。
客観から入っていくと徐々に穏やかじゃない主観が出てくるんですよ。
そこの主観が動揺するんですよね。
極端に言うと、相手の視点に立てば立つほど、自己視点が動揺するんですよ。
そうすると心が穏やかじゃなくなってきて、
結局主観が勝つと相手の視点に立つってことを忘れるんですね。
客観が勝つと相手の視点に立つってことができる。
そこあたりからコミュニケーションの本質っていうのは、だんだんコミュニケーションの深いところに引きずり込まれていくっていうね。
結構コミュニケーションの本質ってドロドロしてますよね。
自分との葛藤ですよね。
今はその葛藤を僕は味わってるんで、自分が日頃から語ってることを今また自分で経験してるのかって、嫌になっちゃいます。
すいません、大変助かりました。
高木 恵子
良かったです、良かったです。
中川 浩孝
年末もこんな押し迫ってきた時にこんなニュースがあるとはね。
自動車産業の投資と戦略
田中 愼一
あとはどうですか?
皆さんの振り返りは?
高木 恵子
振り返り、今年か。
今年はどうなんだろうか。
中川 浩孝
この続きはまた次回お送りします。
今年もゴールデン・トライアングルを聞きいただきありがとうございました。
来年は日本時間1月11日より更新をスタートします。
どうぞお楽しみに。
皆さん、良いお年をお迎えください。
39:43

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