ビバップのようにですね、思いつきでその巧みに音符を重ねていくというよりは、
聴き手がそのメロディーに意味を澄ませていけるような、
ちょっと落ち着いた感じの、言い方を変えるとちょっと渋めのジャズになっています。
ただね、スローな曲が非常に多いんですけれども、
ブルースなんかの黒人音楽の色合いも非常に濃くなっていて、
クールジャズと違ってですね、もう少し重厚感があるというか、
この情熱的な部分がその音に現れています。
フリーザの第二形態もですね、この初期の時のおとなしい口調、
一見ですね、すごく丁寧な感じにも聞こえるような不気味な印象から打って変わって、
体は大きくなってですね、気象が荒々しくなって、
自分でも抑えが効かないなんていうふうに言うほどですね、
今まで私なんて言ってたのが、俺っていうね、一人称に変わるというところで、
揺り戻しがここで起こっています。
ちなみにフリーザの第一形態の戦闘力が53万、
第二形態は100万とも言われておりますので、
ここでかなりの戦闘力のアップが行われています。
さて、マイルス・デイビスの音楽、戦闘力はいかほど上がっているでしょうか。
マイルス・デイビス、ハードバップ期の目盤、
ラウンド・アバウト・ミッドナイトよりバイバイ・ブラックバード。
だいたい揺り戻しっていうのが起こるんですね。
ハードバップで少しね、黒人音楽の重たい感じというか、
情熱的な感じを取り戻したと思っていたマイルス・デイビスですけれども、
次はですね、全く音楽スタイルが変わってきます。
見た目からして全然違う。
見た目というかね、理論的な部分が違うんですけど、
何かと言いますと、これちょっと音楽の知識がある方は分かっていただけるかなと思いますが、
正直ですね、私のように音楽知識がない一般人にとってはですね、
非常に難しい話になるので、ざっくりした紹介になります。
その方が分かりやすいと思います。
次にマイルスが目指したジャズのスタイルというのが、モードジャズ。
このモードというのが、いわゆるね、ジャズを聴き始めた人にとって、
いわゆるギターのFコードみたいにね、うーんって突っかかる原因になるんですけど、
このコードとは全く違うモードっていう新しいルールを用いたっていう話なんですけど、
コードっていうとね、CとかDとかAmとか、いわゆる和音のことですけれども、
それ和音じゃなくてモードっていう、要は新しいルール、細かいことはいいですけどね、
とにかく新しいルールを用いてですね、演奏していくということになります。
特徴としてはですね、浮遊感があって神秘的で都会的なメロディーになるなんてことを言われています。
で、ちょっとわからないかもしれないですけど、なんとなく言うとですね、
私もなんとなくしかわかってませんので、違ったらごめんなさいね。
このコードっていうものを使うと、割と曲の顔色というかね、表情がはっきりするんですね。
例えば始まり、あと終わりみたいな。
わかりやすい例を一つあげると、皆さんが学校でああいう入学式とか、
始業式とか、あと授業の始めや終わりで、ピアノの伴奏に合わせてレーした経験ありませんか?
ジャーン、ジャーン、ジャーン、っていうこのドミソと、なんでしたっけ?
レソシでしたっけ?ミソシでしたっけ?忘れちゃいましたけど。
で、またドミソに戻るというような和音の繰り返し。
あれで、気をつけ、レー、ナオリ。
この動きがリズムによって変わるんですね。
あれで、レー、ナオリ。
この動きがなんとなくイメージできますよね。
始まりと中と終わりっていうね。
曲の印象、音でそういったものを知らせることが、なんとなくね、このコードを使った曲だとできるんですけど、
そのコードを使わないために、いまいちその表情がはっきりしないっていうのがモードっていうスタイルらしいです。
そうすると、どこでメロディーラインが終わるのかっていうのが、聴いている方からするとはっきり分からない、分かりにくいわけで、
停滞感があるような感じになるという特徴があります。
そんなモード演奏を、マイルス自身が取り入れたと言われるアルバム、
マイルストーン、こちら、聴いていただきたいんですけれども、
いろいろ調べてみますと、このマイルストーンで演奏しているメンバーの中で、
このモード奏法を取り入れているのはまだまだマイルスだけで、
他のメンバーの、例えばジョン・コルトレーンだとか、その他の人たちは、
まだね、ハードバップに近い演奏というか、もうほぼハードバップの演奏をしているらしいです。
一回聴いてみるといいのかなと思いますので、ちょっと聴いてみましょうかね。
このマイルストーンというのは、あくまでモードジャズを取り入れた最初のアルバムであって、
決してこのアルバム自体がモードジャズの完成形ではないんですね。
つまり、この変化の途中のわけです。
まさにフリーザ第3形態のように、見た目が全く違うエイリアンのような見た目に変わるわけです。
ここでもですね、前までのハードバップとは全然違った音楽を作り出しているということで、
戦闘力がさらに上がってくるわけですよね。
そしてフリーザ第3形態って実は、すぐやめちゃうんですね。
最終形態にすぐ変わっちゃうということで、非常に強かったわけですけれども、
実に登場時間が短いということでも有名なんですが、
このモードジャズ、マイルス・デイビスもやがて完成形を導き出して、
1枚のアルバムを発表します。
それが、Kind of Blueという、ジャズ史上最も売れたアルバム。
このKind of Blueっていうのは、本当にすごく売れたアルバムでして、
何がすごいかというとですね、よくわからないぐらいすごいんですけど、
音楽的なことはね。
ただ言えるのはですね、いつもそうなんですけれども、
フリーザの特徴と一緒で、各国の優れた戦士たちを部下に収めていったフリーザと同様、
マイルス・デイビスも若手アーティストの有望なミュージシャンをですね、
どんどん自分のバンドに引き入れていくんですね。
で、このKind of Blueに登場するメンバーがめちゃめちゃすごくて、
まさにですね、言ってみたらギニュー特戦隊なわけですよ。
毎回ギニュー特戦隊と言っても過言ではないんですけど、
このメンバーは私的にすごく、うわーっていうなるようなメンバーです。
ちょっと紹介してみますとですね、
マイルス・デイビス、トランペット。
ジョン・コルトレーン、テナーサックス。
キャノンボール・アダレー、アルトサックス。
ビル・エバンスとウィントン・ケリーがピアノ。
ポール・チェンバースがベース。
ジミー・コブ、ドラム。
もう聞いた名前がいくつかほらほらほらほら出てきましたよね。
このJAZZの入り口でもですね、ご案内したビル・エバンス出てきましたですね。
それからおそらくジョン・コルトレーンとかね、
JAZZに詳しくない方でも聞いたことがあるんじゃないかと思うんですけど、
どれだけすごいかっていう逸話が一個あって、
このビル・エバンスっていうのはですね、
まもなくこのマイルス・バンドをすぐ離れるわけですね。
この離れた理由というのは諸説あるんですけど、
一つはこのビル・エバンスがですね、
もうどうしようもないジャンキーでですね、
マイルス・デイビスがね、
そんなジャンキーな奴はもういらないって言って首にしたという説と、
ビル・エバンス自身がこんなすごい化け物みたいに
ジャンキーみたいなメンバーと一緒にできないって、
自分のね、あれだけ腕のあるピアニストのビル・エバンスが、
自分の腕の無さに失望して、
自ら辞めていったというような説があるくらい、
このメンバーというのはすごいメンバーなわけですけれども、
このギニュー特戦隊を引き連れたマイルス・デイビスがお送りする
ジャズ史上最も売れたジャズアルバムの
Kind of BlueからSo What。
まさにですね、このマイルスの完成形、
モードジャズの完成形と言える形、
フリーザの最終形態と言えるこの形。
フリーザもね、いわゆるフリーザの形って言われた時には、
このね、最終形態のね、あの白くてちょっと紫が入ってね、
丸っこい、ちっちゃい、あのフリーザの形を覚える人が
ほとんどじゃないかなというふうに思うわけですけれども、
もうマイルス・デイビスのね、アルバムを一個あげろと言われたら
必ず入ってくるのがこのKind of Blueですね。
じゃあもう完成したマイルスの音楽なのかというとですね、
ここがすごいところで、なおも、なおも自分のスタイルを突き詰めて、
新しいスタイルを取り入れていきます。
じゃあ何をしたのか。フリーザで考えてみましょう。
登場時間となっておりますが、
マイルスもやがてこのエレクトリックなジャズを発展させて、
新しいスタイルへと到達していきます。
これが前回のドラゴンボールの扉でも紹介した、
フュージョンというやつですね。
楽器だけではなくて音楽性そのものですね。
この説明は割愛していきますよ。
テイク2のドラゴンボールの扉で既にやっておりますね。
ウェザーリポートをその時にはご紹介したわけですけれども、
ロックやファンク、アフロビートだとかブラジル音楽、
そういった様々な音楽性を取り入れて一つに融合していくと、
こういうようなジャズのスタイルの大変革を起こすわけですね。
実はこの旗頭になって先頭走っていたのが、
マイルス・デイビスということなんですね。
そのマイルスのクロスオーバー、フュージョンの名盤中の名盤、
名盤というか問題作と言われる1枚があります。
ビッチズ・ブリュー。
色々な面で問題作だと思うんですけれども、
これがすごいアルバムなんですね。
まずジャケットのなんとも言えない優術的なイラストというか、
絵画ですね。
見開きで表裏で1枚の絵になっているんですけれども、
かなりパンチの効いたカバーになっています。
このビッチズ・ブリューを聞くと、
すごいやられちゃうようなパンチがあるわけですけれども、
それぐらい戦闘力の強いスタイル。
これは劇場版で出てきたゴールデンフリーザそのものですね。
マイルスがジャズ以外の音楽要素を取り入れたように、
フリーザ自身もこれまでトレーニングというものをしたことがなかったのに、
その凡人たちの手法を取り入れて、
修行・トレーニングをすることで飛躍的にその戦闘力を高めたというのが、
このゴールデンフリーザ。
マイルス、フリーザともに新しい扉を開くための鍵となったのは、
自分以外の人間の価値観・スタイルの吸収だったわけですね。
このビッチズ・ブリューというアルバムの参加しているこのマイルス特戦隊ですけど、
実は、僕個人的にはなんですが、
このカインド・オブ・ブルーの時にすごいって言ったんですけどね、
僕が好きなメンバーっていうのは、このビッチズ・ブリューのマイルス特戦隊だったりします。
具体的に何が好きかというと、
実はこのフュージョンの幕開けとも言えるこのビッチズ・ブリュー、
ここに参加しているこの特戦隊のメンバーが、
後にこのフュージョンシーンを大きくリードしていくバンドを作る、
そういうところが実はエモいんですよね。
具体的にちょっと紹介すると、
エレクトリックピアノのジョー・ザヌビル、
そしてソプラノサックスのウェイン・ショーター、
この2人はウェザー・リポートを結成していきます。
そしてもう1人のエレクトリックピアノのチック・コリア、
この人はレニー・ホワイトというドラムスと一緒に
リターントゥ・フォーエバーを結成していきます。
さっきエレクトリックピアノ2人言いましたけど、
2台使っているんですよね。
右チャンネルからはチック・コリアの、
左チャンネルからはジョー・ザヌビルの
エレクトリックピアノが響いてきます。
さらにパーカッションも2人いたり、
ドラムも2人いるんですよね。
レニー・ホワイトが左から、
ジャック・ディジョネットが右から。
もうなんというか豪華すぎますね。
パーカッションはジム・ライリー1人でしたね。
もう一人ジャズの入り口ファンの方には
おなじみというか、
ご紹介したプレイヤーがいるんですけど、
グラミーの扉のB面の方で、
シャクティというインド音楽とフュージョンの
混じったバンドをご紹介したと思いますけど、
シャクティの中心メンバーのジョン・マクラフリンが
エレキ・ギターで参加しています。
こういう点からも、
このビッチズ・ブリューから旅立っていった有名ミュージシャン
というのは、
後々の活躍がすごくて、
しかも僕が好きな音楽、
好きなジャンルの音楽をやっているという点で、
ものすごくエモいわけですね。
ということで、このビッチズ・ブリュー、
これに凝った音楽ですので、
ヘッドフォンやイヤフォンで聴いてみるのも
一つ面白いかもしれません。
ということで、流しますけど、
ちょっと気合入れてくださいね、ビッチズ・ブリュー。
ビッチズ・ブリュー。
27分あります。
お時間のある方は腰を据えて、
ぜひ聴いていただきたいと思います。
導入部分はなかなか取っ付きにくいと思いますけど、
聴いていくと、
味わえるようになりますし、
聴きやすくだんだんなってきますので、
そういった意味でも問題作じゃないかと
僕は思っておりますけど、
名曲は名曲ですので、
ぜひお時間のある方は聴いてみてください。
ビッチズ・ブリュー。
その後のマイルスはですね、
いろいろな音楽を取り入れて、
どんどんどんどん、
流行りの音楽というか、
最先端の音楽シーンを取り入れていきます。
ポッピーミュージックなんかも取り入れていってですね、
例えば、マイケル・ジャクソンの
Human Natureとかね、
シンディ・ローパーのTime After Timeとか、
当時のヒット曲をカバーして、
ジャズと言いながらも
ポップス色の強い楽曲に
どんどん挑戦していきます。
つまり自分が今まで
慣れ合ってこなかったような
アーティストたちと
どんどん慣れ合って、
慣れ合ってというかね、仲間というかね、
取り入れていきます。
ちょっと前のね、そのフュージョン期には
ジミー・ヘンドリックスと
共演を熱望したっていうようなことも
書いてあったわけですけれども、
この辺りにマイルスすごいのは、
ジミー・ヘンドリックスと一緒にやろうよ
っていうんじゃなくて、
自分がやりたい音楽のフィールドに
ジミー・ヘンドリックスが
登ってきたなら一緒にやってもいいよ
くらいのスタンスでいたらしくって、
実現はしなかったそうですけどね。
この辺りが何とも帝王らしい
お姿というか、メンタルというかね、
そういったところで
幻の共演はなされなかったようですけれども、
フリーザもね、
ドラゴンボールスーパーとかになってくるとですね、
悟空やね、ベジータたちと
一緒にチームを組んで戦う
なんていうストーリーもありますけれども、
とにかくね、
今まで自分が成りあってこなかった
ポップス、
そういった音楽にも挑戦というか
取り込んでいって、
素晴らしい作品をどんどん
生み出し続けていきます。