00:00
クモの糸 芥川隆之介
よっ!待ってました!
ある日のことでございます。お釈迦様は極楽の蓮池の淵を一人でブラブラを歩きなっていらっしゃいました。
池の中に咲いている蓮の花はみんな玉のように真っ白で、その真ん中にある黄色の錐からは
なんと見えない良い匂いが絶え間なくあたりあふれております。
それでそれで?
極楽はちょうど朝なのでございましょう。
やがてお釈迦様は、その池の淵にお立たせ済みになって、
水の表を覆っている蓮の花枝から、ふと下の様子をご覧になりました。
その極楽の蓮池の下は、ちょうど地獄の底にあたっておりますから、
水晶のような水を透き通して、三途の川や春の山の景色が、
ちょうど覗き眼鏡を見るようにはっきり見えるのでございます。
すると、その地獄の底に
神多多という男は一人、他の罪人と一緒に蠢いている姿が、お目に留まりました。
この神多多という男は、人を殺したり、家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた
大泥棒でございますが、それでもたった一つ良いことを致した覚えがございます。
と申すのは、あるおときこの男が深い林の中を通りますと、
小さな蜘蛛が一匹、路端を張っていくのが見えました。
そこで神多多は、早速足を上げて踏み殺そうと致しましたが、
いやいや、これも小さいながら命のあるものに違いない。
その命を無闇に取るということは、いくら何でもかわいそうだ、と急に思い返して、
とうとうその蜘蛛を殺さずに、助けてやったからでございます。
お釈迦様は、地獄の様子をご覧になりながら、
この神多多には、蜘蛛を助けたことがあるのを思い出しになりました。
そうして、それだけの良いことをした報いには、
できるなら、この男を地獄から救い出してやろうとお考えになりました。
幸い、蕎麦を見ますと、翡翠のような色をした蓮の葉の上に、極楽の蜘蛛が一匹、
美しい銀色の色をかけております。
お釈迦様は、その蜘蛛の糸をそっと手にお取りになって、
玉のような白蓮の間から、
遥か下にある地獄の底へ、まっすぐそれをお下ろしなさいました。
…
こちらは地獄の底の血の池で、
他の罪人と一緒に、浮いたり沈んだりしていた、神多多でございます。
何しろ、どちらを見ても真っ暗で、
たまにその暗かりからぼんやり吹き回っているものがあると思いますと、
それは恐ろしい針のエマの針が光るのでございますから、その心細さと言ったらございません。
その上あたりは墓の中のようにしんと静まり返って、たまに聞こえるものといっては、ただ罪人がつくかすかな短足ばかりでございます。
03:07
短足短足!
これはここへ落ちてくるほどの人間は、もう様々な地獄の攻め行くに疲れ果てて、泣き声を出す力さえなくなっているのでございましょう。
ですからさすが大泥棒の神方も、やはり血の池の地に結びながら、まるで死にかかった蛙のようにただもがいてばかりいました。
ところがある時のことでございます。
何気なく神方が頭を上げて血の池の空を眺めますと、そのひっそりとした闇の中を遠い遠い天井から銀色の雲の糸が、まるで人目にかかるのを恐れるように一筋細く光りながら、するすると自分の上へ垂れて参るのではございませんか。
神方はこれを見ると、思わず手を打って喜びました。
この糸に縋りついてどこまでも登っていけば、きっと地獄は抜け出せるのに違いございません。
いや、うまくいくと地獄へ入ることさえもできましょう。
あ、極楽へ入ることさえもできましょう。
そうすれば、もう針の山へ追い上げられることもなくなれば、血の池に沈められることもあるはずはございません。
こう思いましたから神方は、早速その雲の糸を両手でしっかりとつかみながら、一生懸命上へ上へとたぐり登り始めました。
もとより大泥棒のことでございますから、こういうことには昔から慣れきっているのでございます。
しかし、地獄と極楽との間は何万里となくございますから、いくら焦ってみたところで容易に上へは出られません。
ややしばらく登るうちに、とうとう神方もくたびれて、もうひとたぐりも上へ登れなくなってしまいました。
そこで仕方がございませんから、まず一休みするつもりで、糸の途中にぶら下がりながら、はるか目の下を見下ろしました。
すると、一生懸命登った甲斐があって、さっきまで自分がいた血の池は、今ではもう闇の底にいつのまにか隠れております。
それから、あのぼんやり光っている恐ろしい針の山も足の下になってしまいました。
この分で登っていけば、地獄から抜け出すのも損害わけないかもしれません。
神方は両手を蜘蛛の糸に絡みながら、ここへ来てから何年にも出したことのない声で、「閉めた閉めた。」と笑いました。
ところが、ふと気づきますと、蜘蛛の糸の下には数限りもない罪人たちが、自分の登った跡をつけて、まるで蟻の行列のようにやはり上へ上へ一心によじ登っていくのではございませんか。
神方はこれを見ると、驚いたのと恐ろしいのとで、しばらくはただ馬鹿のように大きな口を開けたまま、目ばかり動かしておりました。
自分一毛さえ切れそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数の重みに耐えることができましょう。
06:07
もし万一途中で切れたといたしましたら、せっかくここへ登ってきたこの肝心な自分までも、元の地獄へ逆落としに落ちてしまわなければなりません。
そんなことがあったら大変でございます。
だが、そういう中にも罪人たちは何百となく何千となく真っ暗な血の液の底からうようよと這い上がって、細く光っている蜘蛛の糸を一列になりながらせっせと登ってまいります。
今の中に今の中にどうにかしなければ、糸は真ん中から二つに折れて落ちてしまうのに違いありません。
そこでカンダタは大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は俺のものだぞ。お前たちは一体誰に聞いたのを持ってきた。降りろ降りろ。」と喚きました。
その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急にカンダタのぶら下がっているところから、ぷつりと音を立てて切れました。
ですからカンダタもたまりません。あっという間もなく風を切って駒のようにくるくる回りながら、みるみるうちに闇の底へ真っ逆さまに落ちてまいりました。
あとにはただ極楽の蜘蛛の糸がキラキラと細く光りながら、月も星もない空の途中に短く絶えているばかりでございます。
ドンドンドン、ド、dombholem
お釈迦様は極楽の橋の池の淵に立って、この一部蜘蛛をじっと見ていらっしゃいましたが、
やがてカンダタが血の池の底へ石の包丁に沈んでしまいますと、悲しそうなお顔なさいながら、またぶらぶらお歩きに成り始めました。
自分ばかり地獄から抜け出そうとする神田との無慈悲な頃が、そうしてその頃相当な罰を受けて、その元の地獄へ落ちてしまったのが、お釈迦様の目から見ると浅ましく思われたのでございましょう。
待ってました!
しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんなことには頓着いたしません。
その珠のような白い花は、お釈迦様の御三足の周りにゆらゆら腕輪を動かして、その真ん中にある金色の髄から、何とも言えない良い匂いが絶え間なくあたりあふれております。極楽ももう昼に近くなったのでございましょう。
芥川龍之介で、蜘蛛の糸でした。
はい、芥川、蜘蛛の糸。
09:39
いい話じゃないですかね。
うん。
いやーでもなんか一人で喋っていると疲れるな。
どんどんなるみさん目がホワーンってなっていってましたよ、ホワーンって。
疲れるね、読んでいるとね。難しい漢字よく使っているね。
まあ昔の。
うん。あれも教訓にあふれているよね、芥川龍之介って。
はい、こちらは何かといいます芥川龍之介の児童向け短編小説、蜘蛛の糸でございます。1918年に発表されました。
もう100年前、102年前の作品だから著作権が切れてて青空文庫で公開されているっていうね。
です、何しても構いませんよ。
それを読んでみたという感じですね。何で読んだんですかね。
なんか読めっていうお達しが。
正確に言うと裏どんぐり?
はい。
どんぐりFMのコミュニティがありまして、そこでお便りというかなんか提案があったんですよね。
確かにそれは面白そうだなと思ってやってみた次第でございます。
これさ、夜ベッドの中で聞いたら寝れるでしょ。
寝れそう。
どんな不眠症の人も寝れると思うよ。
寝れそう。
読んでて眠くなったからね。
ただですね。
はい。
読んでて眠くなったでしょ。
うん。
でも始まった瞬間あれですよ。あの、待ってましたって。
あれ何なのあれ。あれ何なの。
あれヤバくないですか。
相当ウザいかったんだけどあれ。読んでて。
いやなんか。
ウヨンみたいな。
いやなんか相乗っているかなと思って。寂しいかなと思って。
それか外したみたいなやつがいたけどね。
ほら。この録音し。
待ってました。
こいつこいつ。
ウザいわ。はいはい。ウザいな。
ほら。
はい。
収録しながらさっき収録したの聞くっていう。
まあなんかまたやりますかこれ。
そうですね。
反応良かったらまたやりますか。
反応良いのかな。
あの走れメロスとかね。
はあはあはあはあ。
あのみんな誰でも知ってる作品とかいいですね。
いいですね。
あと芥川は基本的に短いのがいいですね。
そうだね。
あのよく夏の夏休みの宿題で読者感想文にいるじゃないですか。
で僕塾の先生だったんですよ。大学生の時バイトで。
でいろんな中学校の生徒小学校の生徒から夏休み宿題こんなの出たって言われて
12:01
読者感想文書けないっていう子が多かったんですけど
まず本選びの時に芥川選ぶと書きやすいんですよ。
教区にあふれてますからね。
あるそう。前編教訓じゃん。
しかも読者感想文の最も大事なところって本を読むことなんですよ。
分厚い本を読むより芥川隆之介の三千字読んだほうが圧倒的にコストカットできるじゃないですか。
しかもその三千字の中のほぼ90%が一つの教訓にして書いてあるんで
どんな読解力ない人でも書けるんですよ。
確かに。
どう考えてもカンダタの悪いところは誰が読んでもわかるじゃないですか。
うん。
東門でもそうだし、すべての短い中にわかりやすい教訓が入ってるんで
僕はカンダタのようなことはしませんとか言えば書けちゃう。
もう一通りね。
だから僕は本当にリアルでアドバイスしたのは
読者感想文にあれだったら芥川を読め。
そしたら誰も書けるから。みんな書けるようになってましたよね。
そうですよね。
そのぐらい芥川ってすごいんですよね。
というか時代の洗練を経てきてるので
そうだよね。
こういった古文とまではいかないですけど
昔からあるのが面白くなかったら
お前がバカだと。
本は悪くないって。
いや本当そうだよね。
やっぱこの青空文庫に残っているような名作ってどれも面白いんだよね。
面白い。
それがわからないのはお前がバカだというのを。
そうですね。
芥川隆之大体3000文字2000文字とかでこのクオリティですからね。
まあさすがになんかちょっと多分ね
漢字とかはもう少し変えていってもいいのかもしれないですけど
時代が違うんでね。
でもすげーよな。
というかなるみさんが書いた松屋の記事が200年100年後に見られてると思います?
思う。
頑張れ。
思ってるんだけど。
そうか。
すげーよな。
やっぱ時代の洗練を経てるのはやっぱすごい。
そうですね。
えーそういうわけで次回は小関裕で食べられログを朗読します。
いいの?いいの?